イ家に到着した5台の車・・・それらはカーポートに整然と並んで駐車された
中でもチェギョンとガンヒョンの家の車は、若干肩身が狭そうに隅っこに停められた
なぜなら・・・他の車と並ぶと見劣りしてしまうからだ
(いや・・・ご招待を受けたのだし・・・堂々としていないと!)
気を取り直しチェギョンの父ナムギルは、精一杯胸を張って屋敷に向かう列に加わった
一番戸惑っているのはガンヒョンの両親だった
ガンヒョンの父に至っては自分の娘とチャン・ギョンの交際さえ、つい最近知ったばかりなのに
いきなり国内トップクラス財閥の家に招かれたのだから、最初は相当おどおどしていた
だが・・・それでもガンヒョンの両親らしく、それを見せない様必死に振る舞っていたようだ
『おば様~~こんにちは♪』
『チェギョンちゃ~~ん、皆さんもようこそお越しくださいました。さぁ中へどうぞ・・・』
イ家の当主ヒョンとその奥方に迎えられ、今回のパーティーの出席者はぞろぞろと家の中に入っていく
ナムギルにとっては何十年も前に来たことのある場所なのだが、その頃とは年齢もそして立場も違う
やはりイ家の屋敷の広さに改めて驚いたようだ
『おば様~では早速準備委取り掛かります。材料は本当に買って来なくてよかったのですか?』
『ええ。何でも揃っているわ。じゃあチェギョンちゃん・ガンヒョンさん楽しみにしているわね~♪』
娘二人は通されたリビングから姿を消した
そのことに驚いたチェギョンとガンヒョンの両親は、ミンに問い掛けた
『あの・・・奥様、チェギョンたちは一体どこに?』
『あ~チェギョンちゃんのお母様、今日はですね~チェギョンちゃんとガンヒョンさんが作った手料理を
皆さんでご馳走になろうというパーティーなんですのよ。』
『えっ?チェギョンとガンヒョンさんが?』
ガンヒョンの母はイ・スンレにそっと耳打ちをした
『チェギョンさんおお母さん・・・これは私達も手伝わないと・・・』
そんな呟きも地獄耳のミンには容易く届いたらしい
『まぁ~何を仰るんです?二人のお料理の腕はシンとギョン君が証明済みですわ。ねっ・・・そうでしょう?』
『はいお母様、チェギョンの弁当は今まで食べたどんな弁当より美味しかったです。』
『ガンヒョンのお母さん・・・心配いりません。もうほっぺたが落ちるほど美味しいんですから~~♪』
そんなシンとギョンを見て心穏やかではないスンレとガンヒョンの母・・・
(惚れた弱みだから美味しく感じただけでしょう?)と心の中で呟くも、手伝いに行くことは許されなかった
『さぁ~皆さん・・・お食事ができるまでティータイムにいたしましょう。
我が家はセルフサービスなんですの。ささっ・・・皆さん並んでお好みの飲み物を手にしてくださいな♪』
ミンが示した方向にはチェギョンとガンヒョンの両親が見たこともないドリンクバーの機械が設置されていた
イ・ヒョンがドリンクバーに向かったのを合図に、みんな思い思いのドリンクバーに並んだ
『チェギョンちゃんとガンヒョンさんのお母様、使い方はご存知ですか?』
『えっ?ええ。ファミレスにあるのと同じですよね?』
『まぁ~~素晴らしいわ。ご存じでいらっしゃるなんて~♪』
其々に思い思いの飲み物を手にし、ソファーに掛けた10人
(財閥の家にドリンクバーだなんて・・・)
と高を括っていたチェギョンとガンヒョンの両親は、それを一口飲んでいつも自分たちが慣れ親しんでいる物とは
全く次元の違う物だと知った
『美味しい・・・』
『こっ・・・これがドリンクバー?』
『お高い専門店で飲んだお味と似ているわ。』
『信じられない・・・』
そんな反応に大満足なミンは、満面の笑みで問い掛けた
『お味はいかがですか~♪』
『奥様…この味がドリンクバーに出せるなんて驚きです。』
『信じられないほど美味しいです。』
ミンは得意げに告げる
『これというのも私がチェギョンちゃんに逢いたいが為に、ファミレスに通った副産物なんですの。
もう~すっかり楽しくなってしまって~~♪チェギョンちゃんは我が家に絶大な影響力があるんですのよ。
おかげで息子のシンも・・・ずいぶん品行方正になったんですよ。チェギョンちゃん様様です。』
それを聞いたチェギョンの両親は悪い気がせず、少し照れたように俯いた
そして・・・そんなミンの独壇場を聞いていたギョンの父が、負けずと息子の彼女自慢をし始めた
『いやいや・・・・我が家にとってもガンヒョンさんは、ものすごい影響力がありますよ。
なんと言っても我が家の多国籍のインテリア雑貨を、ガンヒョンさんが適材適所にレイアウトしてくれたのですよ。
おかげで我が家は・・・ずいぶんすっきり致しました。
元はと言えば・・・私が海外からのお土産をとんでもないほど買ってきてしまうからなのですがね。ははは・・・』
ガンヒョンの両親もそんなギョンの父の言葉を聞き、不安だった胸を撫で下ろした
そんな風に談笑しながら菓子を摘まみ、お茶を楽しむ10人
それでもシンとギョンは、キッチンでの様子が気になるらしく・・・リビングに続くダイニングルームに動きが見えた時
すくっと席を立ち上がった
『私達は・・・何か手伝ってきます。』
『料理を運ぶくらい・・・アルバイトで慣らしたからできますしね~~♪』
それを見てやはり驚いてしまうチェギョンとガンヒョンの両親・・・
『あの・・・ご子息はそんなことまでなさるのですか?』
『おほほほほ~これもチェギョンちゃんとガンヒョンさんの影響ですわ~♪』
引き続きお茶を飲みながら談笑する四組の夫婦・・・だが徐々に大きくなるダイニングルームからの声に
待ちきれなくなったのかみんなで立ち上がりダイニングルームをこっそり覗いた
『おぉぉ~~美味そう♪』
『とってもいい香りだ。』
『味の保証は・・・料理長さんがしてくださったよ。あはは~~♪』
ダイニングテーブルの上には、すでにたくさんの料理が並んでいた
『本当にいい匂いがするわ。お腹が空いちゃったわね~~♪』
そう呟いたミンの言葉に、どうやらチェギョンが気が付いたらしい
『あっ!もうお料理が出来上がっていますからどうぞこちらにお越しください~~♪』
『さ・・・さぁ~~皆さん参りましょう♪』
テーブルの上に大判のチヂミが数種類・・・トッポギも三カ所に置かれている
そしてチェギョンたちがお弁当に入れたおかずが所狭しと並び、其々の席の前には
サムゲタンが湯気を立てている
『まぁ~~~素晴らしいわ。盆と正月がいっぺんにきた気分だわ~♪』
だがそんな料理の中で一品・・・スンレは疑問を持った物があったらしく、チェギョンを捕まえて聞いてみる
『チェギョン・・・トッポギの色がずいぶん薄いようだけど?』
『あ~それはね・・・皆さんの健康の為に、唐辛子を控えめにしてみたんだよ。』
『まぁ・・・そうだったの。』
『味の方は料理長さんがオッケー出してくれたから安心。』
『だったらよかったわ。』
其々が席に着いた時・・・イ家の当主ヒョンが号令をかけた
『では皆さん・・・いただきましょう。』
『『いただきます。』』
ミンやチャン夫人は一口食べるごとに、感嘆の声を上げた
『まぁ~このスープの美味しさったら~~♪』
『奥様・・・こちらのチヂミもとっても美味しいですわ~~♪』
家庭料理を絶賛されたチェギョンとガンヒョンは、心から幸せな気分に浸っていた
自分の作った料理を、上流階級の人たちがこんなに喜んで食べてくれる
どこにでもある家庭料理だが、イ家やチャン家の面々は非常に斬新で大喜びで箸を進めた
娘達の母親は(この子達…いつの間にこんなに料理上手になっラのかしら・・・)と感心するばかりだった
食欲旺盛なシンとギョンに至っては、サムゲタンのスープにご飯を入れ・・・最後の一滴まで残さず食したようだ
こうして4家族初めてのホームパーティーは、和やかにそして幸せに過ぎてゆくのだった
もちろん・・・次はチャン家で同じことが行われるだろう
今日はとても暖かかったですね~♪
ベランダでマジカルキューティーが満開です。