両家からの応援もあり順調に交際を続けていくシンとチェギョン・・・そしてギョンとガンヒョン
時折家族で集まりながら親睦を深めていった
大学内はもちろんの事、世間一般にもチェギョンとガンヒョンはイ・シンとチャン・ギョンの恋人と認識され
余計なちょっかいなど出してくる無謀な者は現れなかった
チェギョンやガンヒョンはまた訪れるかもしれない≪いつか≫の為に、アルバイト中は
あのハイヒールを履き続け仕事に勤しんでいる
シンやギョンも悪い虫がつくかもしれない不安がなくなり、事業を学ぶ為の修練に身が入るようになった
そんなある週末の事だった
イ家を訪れていたチェギョンは、ミン自慢のドリンクバーでイチゴラテを頂いていた
『あ~~♪ここのイチゴラテはやはり最高ですぅ~♪』
『でしょ?チェギョンちゃん。ところで・・・以前交わした約束事は・・・どうなったかしら?』
『お約束事・・・ですか?』
チェギョンは咄嗟にミンとの約束が思い出せず首を傾げていた
するとミンは催促するように口角を上げた
『もぉ~忘れちゃったの?い・ざ・か・や・さ~~ん♪よ!』
『えっ?』
チェギョンが驚くのも無理はない
チェギョンは言葉を濁しただけで、決して約束などしていないのだ
『おば様・・・ですから居酒屋さんはおば様をお連れするような場所では・・・』
『え~~っ?シンも行ったのでしょう?ズルいわ。』
正確には行ったのではなく迎えに行っただけだ
『でもおば様それは・・・』
『ねっ?シン・・・居酒屋さんまで送って頂戴。あなたを連れて行くと目立つから。あなたは家でお留守番よ。
チェ四ちゃんと二人でた~~んと楽しんできますからね~♪』
『ですがお母様・・・』
『いいから早く支度して頂戴。私も~着替えてくるわね~~♪』
そそくさと自室に向かったミンは、すぐに着替えを済ませ部屋から出てきた
『チェギョンちゃん・・・これでいいかしら?』
ミンにしてみれば精一杯の普段着なのだが、やはりどことなく漂う品の良さは隠せない
『おば様・・・本当に行かれるのですか?』
『あらやだ!こんなおばさんと居酒屋さんに行くのは嫌なの?』
『違いますよ~~おば様。では・・・参りますか。』
『行きましょ~~♪』
渋々車を出したシンは、普段とは違い後部座席にチェギョンとミンを乗せた
『シン~お父様がもう少ししたら帰ってきますから、そうしたら一緒にお食事してね。』
『解りました。』
(何が悲しくて男同士が向かい合い二人きりの食事をしなければならないのですか?)と、心の中でシンは毒づく
シンはミンに従うしかなかった
『チェギョン・・・あの居酒屋でいいのか?』
『うん。お店の前で車を停めて貰える?』
『あぁ。』
大学にほど近い居酒屋の前・・・シンは車を停車させた
『じゃあ行ってきま~~す♪』
『楽しんできますからね~~おほほほほ~♪』
『チェギョン・・・迎えに来るから電話してくれ。』
『うん、わかった~♪』
チェギョンとミンが居酒屋の中に入っていくのを見届けて、シンは自宅に戻っていった
『ここが・・・・居酒屋さん?随分煙がすごいのね。』
『あ~焼き物の煙ですよ。おば様・・・奥の座敷を予約しましたから行きましょう。』
『行きましょう~~♪おほほほほ・・・』
店内に充満する煙には閉口したが、それしきのことでは決して動じないミンはチェギョンに続いて
奥の座敷に上がりこんだ
『この網は?』
『ホルモンとかここで焼いて食べるんですよ~♪』
『ホル・・・モン?それ…いってみようかしら。』
チェギョンは心の中で(おば様~本気ですかぁ?)と叫びながらも、それに従うことにした
『飲み物はどうしましょう?』
ミンはメニューを眺めて・・・ある一点にその視線を集中させた
『この・・・マッコリ・・・がいいわ。』
『マッコリですか?いいですね~♪』
チェギョンはミンの要望通りホルモンを頼み、そしてマッコリを注文した
すぐに運ばれてきたホルモンとマッコリ
ミンは目を丸くしながらその光景を眺めていた
『ホルモンって・・・これなの?』
『はいそうです。今網に載せますね。』
『このヤカンは何かしら?』
『マッコリが入っているんですよ。』
『えっ?』
ミンはそのヤカンの蓋を開けて中を覗いた
『あら・・・白いのね。』
『はい。まずは一杯。』
チェギョンは器にヤカンのマッコリを注ぐとミンに促した
『おば様・・・どうぞ。』
『じゃあ・・・飲んでみようかしら~♪』
いつもお酒をたしなんでいるようなグラスではない
ヤカンと同質の器だ
少し躊躇しながらもミンはマッコリを口に含んだ
『あ・・・あら~美味しいわ♪』
『美味しいでしょう?私も大好きです。』
『あぁこれ…すごく気に入ったわ。』
そう言うとミンは器に入っているマッコリを一気に飲み干した
『あ・・・おば様・・・マッコリは口当たりはいいですがアルjコール度数が高いから、
あまり一気に飲まないでくださいね。』
『ええもちろんそうするわ。』
そう言いながらミンは、自らヤカンのマッコリを自分の器に注いだ
『実はね・・・若い頃から一度飲んでみたかったのよ。』
『えっ?そうだったのですか?』
『ええ。でもね・・・私のお友達にはマッコリを一緒に飲んでくれる人がいなくってね。』
ミンの育った環境を考えたら無理はないとチェギョンは思った
『これからは私がお相手になります。おば様♪お酒・・・そんなに強くはありませんが、
そこそこ飲めますから~♪』
『とっても嬉しいわ。』
『あっ!おば様・・・ホルモンが焼けました。どうぞ♪』
チェギョンハ焼けたホルモンを箸でつまみ、ミンの目の前の皿に於いた
『こっ・・・これがホルモン・・・』
『美味しいですよ。どうぞ♪』
『えっ・・・ええ。』
ミンは恐る恐るホルモンを箸で口に運び、そして数回嚙んだだけで飲み下した
『おっ・・・おば様・・・良く嚙まないと消化に悪いです。』
『あっ・・・ええ・・・』
ミンのそんな様子に、チェギョンはミンの苦手な物を見た気がした
チェギョンは焼けたホルモンをすべて自分の更に移し、新たにサムギョプサルを注文する
『おば様・・・豚肉は食べられますよね?』
『ええもちろん。チェギョンちゃん・・・ごめんなさいね。』
『え~~いいんですって。』
『だって~~ホルモンってちょっと見た目が怖いんですもの。』
『あはは~~確かに怖いかもしれません~~♪』
やがて目の前の網は鉄板に差し替えられ、サムギョプサルの材料がテーブルに並んだ
『チェギョンちゃん・・・今度はこの特級マッコリって言うのにしましょうよ。』
『あっそうですね。おば様♪』
鉄板の上に野菜や豚バラ肉が並び・・・いい音で焼け始める
『まぁ~~いい匂いね。』
『いい感じに脂も抜けました。今カットしますね。』
チェギョンが豚バラ肉をカットする様子を、ミンは楽しそうに眺めている
食べやすい大きさにハサミでカットした肉を、チェギョンはタレにつけサンチュで包むとミンの皿においた
『おば様・・・きっと美味しいですよ。』
『いただくわ~♪熱っ・・・もぐもぐ・・・ふーふー・・・なんて美味しいのかしら~♪
きっとチェギョンちゃんに包んでもらったから、一層美味しいんだわ。』
『あはは~~とっても嬉しいです。』
こうしてミンの居酒屋初体験は、楽しく過ぎて行った
チェギョンからのお迎え要請を受けたシンは、父と二台の車で迎えに行った
居酒屋の奥の座敷では、チェギョンとミンがご機嫌な様子でマッコリを飲んでいた
『さぁ・・・ミン帰ろう。』
『あなた~~迎えに来てくださったんですか?』
『そうだよ。』
居酒屋を出た四人は千鳥足のミンとチェギョンを、其々背負って歩き始めた
ミンとチェギョンは背中でぐっすり眠ってしまっている
『お父様・・・大学の駐車場まで背負えますか?』
『ははは・・・昔はこうやってミンを背負ったこともあったのだ。見くびるな。』
『そうですか。お父様にもそんな頃がありましたか。』
『あったとも。お前のお母様と結婚前は、靴擦れができて歩けなくなったお母様をこうして背負ったものだ。
今回のような酔い潰れて…というのはなかったがな。ははは・・・』
『きっとチェギョンと一緒で楽しかったのでしょう。』
『そうだな。実際ミンはチェギョンさんと知り合ってから、毎日が楽しそうだ。
こんな家に嫁いでしまったから、羽目を外すこともできなかったから・・・ミンにとってチェギョンさんは
シンの彼女である以前に自分の大切な友達なんだろう。』
『早くチェギョンを嫁に欲しいと言い出しそうですね。』
『ああ。確実そういうだろうな。その日の為にもシンはしっかり事業を学ばないとな。』
『はい、そう致します。お父様・・・』
両親にも今の自分たちと同じように、輝いていた時期があったことを知ったシンは
このままチェギョンと付き合いを深めていくと同時に、チェギョンをしっかり受け止められる男になろうと
その日、固く心に誓うのだった
ミン様の居酒屋初体験は
とても楽しい時間になったみたいですよ~♪
そうそう来週なんですが
法事やお出掛け予定が入ってしまっていて
ひょっとしたらお話の更新は
月曜日だけになってしまうかもしれません。
申し訳ない!