大学でギョン達と合流し、チャン家に向かう車の中シンはチェギョンに問い掛けた
『ところでチェギョン・・・先ほど立ち寄った店で、どうしてあの一番人気の菓子を買ったんだ?
店頭の一番目に付くところにに置かれていた菓子の方が見栄えが良かったような気がするが?』
ギョン達と合流する前に、手土産を買うために立ち寄った店でチェギョンが選んだ菓子を疑問に思ったようだ
『ん?それはね・・・あのお店は私やガンヒョンが人様の家を訪問する際に、いつも使う店なんだけど・・・
ガンヒョンが一番人気のお菓子を持参するはずだからよ。』
『そうなのか・・・・』
『私は今日、あくまでも≪おまけ≫だから、控えめにしなくっちゃね♪』
『くくっ・・・大したものだな。』
『偉いでしょ。あはは~♪しかしガンヒョン・・・随分気合が入っていたね。今日着ていたあの洋服だって
入学式の時に買ったものだよ。ガンヒョンにとっては一張羅だよ。
あぁ‥‥心配だなぁ・・・。ギョン君のおうちのおば様がシン君ちのおば様のように
話の分かる方だったらいいのだけど・・・。』
『大丈夫だろう。ギョンの家のおばさんは慎み深くおっとりした控えめな人だ。』
『そっか。ガンヒョンを受け入れてくれるといいけどなぁ・・・』
上流階級の奥方の中でも異端と言えるシンの母・・・
その母に先に出逢ってしまったチェギョンは、なんだか自分まで背筋が伸びる思いだった
やがてギョンの家の敷地に連なった二台の車が入っていく・・・
チェギョンはシンの家に行った時とは違う緊張感を覚えた
いや・・・本音を言うとシンの家で緊張したことはない
なぜなら今まで行った時は、しもべだったからだ
車から降りたガンヒョンは、やはりチェギョンが思った通りあの店の一番人気の菓子を胸に抱え緊張した面持ちだ
『さぁ・・・みんな行こうか~♪』
明るい口調で言っているが、ギョン自身も心なし緊張しているように見えた
時刻は午前11時・・・チェギョンやガンヒョンなら訪問を避ける時間帯だが、当のギョンは
そんな事を気にする様子は全くない
『母さん~友達を連れてきました~♪』
もちろん木曜日のそんな時間帯に父がいるはずはない
『は~い。』
明るい声が聞こえどうやらギョンの母が、ギョンの友人を出迎えに駆け付けるようだ
『いらっしゃい♪・・・まぁっ!』
『『あっ!!』』
ギョンの母・ガンヒョンとチェギョン・・・三人は顔を見合わせ驚愕の表情を浮かべた
ギョンとシンはその様子に首を傾げ問い掛けた
『一体・・・どうしたんだ?』
ガンヒョンはギョンのその問いに答えることはなく、ギョンの母に頭を下げた
『あのっおば様、先日はご来店ありがとうございました。』
チェギョンも慌てて頭を下げた
『ご来店ありがとうございました。』
ガンヒョンとチェギョンは、日曜日に来店したミンの友人がギョンの母親だったことを知った
(おば様~つまり・・・あの時の来店は、ガンヒョンの売り込みだったんですね~♪
すごいわおば様。さすがとしか言いようがない~~~♪)
ミンのフットワークの軽さは自分とシンを見合いさせただけにとどまらず、ギョンの母とガンヒョンを
引き合わせる作戦に出たのだとその時知った
『ふふふ・・・まぁ♪あぁ・・・なるほどね~ふふふ・・・
どうぞおあがりください。』
笑顔を浮かべたギョンの母に誘われ、リビングに通された四人
ガンヒョンは持ってきた手土産をギョンの母に手渡した
『おば様・・・これ、召し上がってください。』
『ありがとう。ガンヒョンさんだったわね。』
『あ・・・はい。イ家のおば様は名前まで紹介してくださったのですか?』
『ええ。しっかり紹介していただきました。』
チェギョンもおずおずと菓子を手渡す
『おば様・・・これもどうぞ。』
『ありがとう。チェギョンさんだったわね。イ家の奥様がそりゃあもう自慢なさっていたわ。』
『お恥ずかしい・・・』
『さぁ掛けてくださいな。』
『『失礼いたします。』』
四人はシンとギョンの前にチェギョンとガンヒョンが並んで座った
ギョンの母が席を外した隙にギョンは二人に疑問を投げかけた
『一体…どういう事?』
『日曜日にイ家のおば様がファミレスにいらしたのよ。アンタのお母さんとご一緒に・・・』
『えっ・・・マジか。』
『本当よ。』
『シン・・・お前おばさんに何か言ったんだろう?』
『あ?あぁ・・・次の休みはみんなでギョンの家に行くと・・・』
『そう言う事か。おばさんが・・・つまり・・・』
四人で顔を合わせ密談している時に、ギョンの母親は茶を運んでくる
『あらあら・・・内緒話?』
『あ・・・そんなことは・・・』
四人の前に茶を出し、ギョンの母は椅子に腰かけると微笑んだ
『それで?ギョン・・・こうやってお友達を連れてくるって事前に言うくらいだから、
なにか私に話があるのでしょう?』
『母さん俺・・・この人、イ・ガンヒョンとお付き合いしたいと思ってるんだ。
イ家のおばさんと話をしたのならきっともう知っているだろうけど、この人は普通の家のお嬢さんだ。
財閥や大企業のお嬢さんではない。でも・・・すごくしっかりした素敵な人だ。
隠れて付き合うなんて俺は嫌だから、紹介しようと思って連れてきたんだ。』
ギョンの母親はギョンの顔を見てふっと微笑んだ
『ふふふ・・・あなたがそんなことを私に相談するなんて驚いたわ。
今日連れてきた女の子が、今までパーティーなどの時に来た女の子のようなタイプだったら
私は猛反対したことでしょう。だってどう考えてもチャン航空の跡取りというvブランド目当ての
子ばかりだったから。でも・・・このガンヒョンさんは違うみたいね。』
ギョンの母親はそういうとガンヒョンに視線を向けた
ガンヒョンはおずおずと口を開く
『おば様・・・見ていただいた通り、私は本当にどこにでもいる普通の学生です。
ギョンからも再三口説かれましたけど、相手にしていませんでした。
大企業の跡取り息子なんて面倒なだけ・・・それに自分では何もせず、金持ちを鼻に掛けていると思っていました。
そんな私の挑発に乗って、ギョンは先日いらしたファミレスでアルバイトを始めたんです。
働く姿を見て思いました。
こんなこともできる人なんだって・・・。正直驚きました。できないと思ってました。
すぐにやめてしまうだろうって・・・
ところがお客様からは人気が出るし、接客も完璧です。
人の上に立つ人間は人に頭を下げられる人じゃないとダメなんだと悟りました。
今ではここにいるイ・シンとギョン目当てにファミレスにやってくるお客様がいるくらいです。
ギョンから・・・正式に付き合ってほしいと言われていますが、まだ返事はしていません。
おば様がもしお許し下さるのなら、お付き合いしてみたいと考えています。』
眼鏡の奥の真剣な瞳をギョンの母は見つめると、ガンヒョンに向かって頷いた
『ガンヒョンさん・・・ギョンはこう見えて、私に女性を紹介するのは初めてなのよ。
付き合ってみたい・・・では済まないかもしれないわ。そのことを覚悟の上でお付き合いしていただけるかしら。』
『えっ?あ・・・はい。』
『軽そうに見えるけど意外と一途な子なの。』
『解りました。』
知らぬ間に自分が蚊帳の外にいることにハタと気が付いたギョンは、母に向かって満面の笑みを向けた
『母さん本当に?認めて貰えるの?』
『ええ。イ家の奥様とお話してなかったら、正直戸惑ったかもしれないわ。
でもイ家の奥様に教えられたの。人間の価値は器なんかじゃなくその中身だって・・・』
その光景を目の当たりにしたシンとチェギョンは、小さくガッツポーズを作った
偉大なる母ミンの根回しが、カップルの誕生へと導いたのだ
話が纏まった時ギョンの母親は言った
『さぁ昼食の準備がしてあるのよ。皆さん私と一緒にお食事していってね。』
『えっ?おば様・・・よろしいんですか?』
『ええ。シン君とチェギョンさんもご一緒にね。』
『恐縮です。ご馳走になります。』
やはりファミレスなどとは格段に味の違う料理を堪能しながら、チェギョンとガンヒョンは本音を口にする
『美味しいです。おば様・・・すごく美味しい~~♪』
『本当にこんな美味しいお料理が食べられるのに…
(ギョンの馬鹿、ファミレス通いなんかしてるんじゃないわよ!)』
チェギョンとガンヒョンに褒められて、ギョンの母はとても嬉しそうに微笑む
『そう?嬉しいわ。我が家は主人も外で済ませることが多いしギョンは家でほとんど食べてくれないから
毎晩準備しても残ってしまうのよ。』
それを聞いたガンヒョンは目を吊り上げた
『ギョン!アンタ食事の要らない時に、連絡していないの?』
『してない・・・』
『アンタね・・・食事の支度をしてくれる人の身にもなりなさい!
それにこんな美味しいお料理がいつも食べられるのに、家で食事しないなんてどうかしてる!
おば様・・・夏休みが終わったら、ギョンはファミレスのバイトを辞めますので
そうしたら家で食事する機会が増えます。いえそうさせます!』
つい…いつもの口調で言ってしまったガンヒョンは、シマッタとばかりに俯いた
『ふふふ・・・頼もしいわガンヒョンさん。ギョンの事よろしくね。』
『はっはい!』
息子のギョンに自分ではなかなか言えないことを言ってくれる彼女ができたことを、ギョンの母親は心から喜び
そして…こんなしっかりした女性がギョンの傍について居てくれることを誇らしく思った
(イ家の奥様の仰る通りだわ。人間は器なんかじゃない。しっかりした中身が大事なのね。
ギョンはいい人と巡り合ったわ。)
久し振りに自分の手料理を食べてくれる息子とその友人達
ギョンの母親はとても温かい気持ちに包まれるのだった
まぁこんな展開で~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
ギョン君よかったね❤
ガンヒョンが彼女になってくれて♪
しかし・・・なんだか急に寒くないですか?
昨日と今日・・・マジカルキューティーを
家の中にしまうほど寒いです。
秋はどこに行ったんだ~~!