その週の日曜日・・・ミンは古くからの友人を誘い、チェギョンがアルバイトをしているファミレスに向かった
本日はシンやギョンは休日なのを知った上での来店だった
『イ家の奥様・・・こちらに入られるんですか?』
『ええそうなんですの。』
『そうですか・・・』
友人が戸惑うのも無理はない
友人もそのような場所に足を踏み入れたことなどない、上流階級の奥方だ
『おほほ~ここにはたくさん学ぶべきものがあるんですのよ。』
『そうなんですか・・・』
ミンのテンションの高さに比べ、その友人は非常に困惑した面持ちだ
『いらっしゃいませ~♪』
元気よく声を掛けたスタッフにミンは満面の笑みを向けた
『こんにちは~♪』
『あっ!おば様・・・今チェギョンにご案内させますので・・・』
『あ・・・いいのいいの~ガンヒョンさんに案内していただきたいわ~♪』
『あ・・・はい、かしこまりました。ではご案内いたします。』
ミンのテーブルを担当したのはガンヒョンだった
ガンヒョンはミンとその友人を席に案内すると、メニューをそれぞれの前に置いた
『ただいまお水をお持ちいたします。』
『ガンヒョンさん・・・この間はシンの誕生パーティーでお手伝いいただいて悪かったわね。』
『おば様とんでもありません。私は何もしていませんし、却ってご馳走になったなってしまっただけで・・・』
『そんなそんな~とても助かったわ。』
『そんなことを仰られると恐縮してしまいます。今・・・チェギョンにお水を持たせます。少しお待ちください。』
ガンヒョンが去っていった後、ミンはメニューを広げ友人に向かって微笑んだ
『そうね・・・ドリンクバーと、パウンドケーキを頂こうかしら。あなたはどうなさる?』
『えっ?あ・・・私は奥様と同じものを・・・』
右に倣えするのも無理はない
ミンの友人は初めて連れてこられた場所で、何が何だかさっぱり理解できていないのだ
二人の元にすぐチェギョンはお水を乗せたトレーを持ってやってくる
『いらっしゃいませおば様。先日は・・・ありがとうございました~♪』
『いいのよチェギョンちゃん。万事上手くいってよかったわ。』
『はい。今日はご友人とご一緒なんですね。』
『ええ。とても親しくさせていただいている友人なのよ。』
『ご注文がお決まりでしたらお伺いします。』
『あ~ここはガンヒョンさんの担当でしょ?ガンヒョンさんに来ていただいて。まだ迷っているところなの~♪』
『かしこまりました。ではどうぞごゆっくり。』
ランチタイムを過ぎたとはいえ日曜日のファミレスはなかなか忙しい
チェギョンが去っていった後、ミンは友人に話しかけた
『あの子・・・うちのシンの彼女なんですのよ。』
『えっ?シン君とお付き合いされているんですか?』
『ええ~私が仲を取り持ってしまいましたの。おほほほほ~~♪』
『ですが奥様・・・』
友人の言わんとしていることは分かりきっているとばかりにミンは口角を上げた
『ええ。どこかの財閥のお嬢様でも大企業のご息女でもありませんわ。』
『奥様・・・よろしいんですか?イ財閥の将来がかかって来るんじゃありませんか?』
『人をその生まれ育った家柄で判断するのは、今時ナンセンスなんですのよ。
現にシンはあの子と知り合ってから、人を思いやることのできる素敵な男になりました。
あの子がシンについていてくれれば、シンの未来は安泰です。
実り多い人生が送れることでしょう。』
『ですが・・・』
『あの子・・・チェギョンちゃんの影響で、シンはここで週に三日アルバイトをしているんですよ。
お客さんからもとても人気があるみたいで~夏休みの間の短期アルバイトなのですが、辞めないでくyれと
店長から言われたそうですわ~♪あのシンが・・・人に頭を下げて接客する姿なんて想像できますか?』
『いいえ。全く想像できませんわ。』
『あ~そうそう!お宅のギョン君もここでシンと一緒にアルバイトしているんですのよ。』
『えっ?ギョンが・・・?』
『あら・・・ご存知ありませんでした?』
『ええ。全く知りませんでしたわ。ギョンはあまり家で自分の事を話さないものですから。』
『ギョン君はとても人気者みたいですわよ。人当たりがとてもいいから・・・』
『まぁ・・・』
『ギョン君もきっと・・・一生懸命な姿を、誰かに見せたいのかもしれませんわね~♪』
ミンが思わせぶりにそう呟いた時、ガンヒョンがオーダーを取にやってくる
『ご注文はお決まりですか?』
『そうね~ドリンクバーをふたつとパウンドケーキをふたつお願いね。』
『かしこまりました。ドリンクバーはどうぞご自由にお持ちください。
パウンドケーキはすぐにお持ちいたします。』
『お願いします~♪』
ガンヒョンが去った後ミンは徐に席から立ち上がってギョンの母を誘った
『さぁ参りましょう?』
『えっ?一体どこに行くんですか?』
『ドリンクを持ちに行くんですのよ~♪いろんな種類を飲みたい放題できるんですの。』
『は・・・はぁ・・・』
ギョンの母はミンの後に続き、ミンに倣ってドリンクバーを初体験中だ
『私はカフェラテにいたしますわ。わっ!おぉ・・・・』
機械から噴き出すミルクに仰天するギョンの母・・・それを見てミンは楽しそうに笑う
『さぁ~席に戻りましょう。』
『ええ。』
席に戻った二人・・・ギョンの母は面食らいながらもドリンクバーがとても楽しかったようで、席に着くなり呟いた
『次はカフェオレにしましょう。』
『おほほほほ~とても楽しいでしょう?』
『ええ、奥様・・・人の手を煩わせることなく、好きな飲み物が飲めるなんて素晴らしいですわ。』
『実は~我が家はあの機械を導入してしまったんですの。今度我が家ににいらしてくださいな~~♪』
『えっ?本当ですか?近々お邪魔しようかしら。』
『ええ是非~~♪』
ドリンクバーでひとしきり盛り上がっていた時、ガンヒョンがオーダーしたパウンドケーキを運んでくる
『大変お待たせいたしました。』
二人の前にパウンドケーキを置いてそしてにこやかな笑顔で会釈をする
『どうぞごゆっくりお寛ぎください。』
『ええ。どうもありがとう~♪』
二人でパウンドケーキを口に運びながら、ギョンの母はミンに問い掛けた
『今・・・接客してくれたお嬢さんは・・・?』
『あ~ガンヒョンさんの事かしら?シンやギョン君…そしてチェギョンちゃんと同じ大学に通っているんですの。
我が家にもシンの誕生パーティーに来てくれましてね、とてもいいお嬢さんですわ。』
『とても忙しそうなのにキビキビと働いてらっしゃるわ。』
『ええ。私はチェギョンちゃんを一番最初に気に入ってしまったからですけど、
もしチェギョンちゃんがいなかったらシンのお嫁さん候補にしたいくらいの娘さんですのよ。』
『まぁ・・・そうですか。本当によく働くお嬢さん達ですね。』
『ええそうでしょうとも。初めてここに来た時には、まるで≪回し車に乗るハムスター≫のようだと思いましたわ。
おほほほほ~~♪』
『ところで奥様・・・シン君とあのお嬢さんの仲を取り持ったというのは?』
『あ~そのことですの?おほほほほ・・・どうも二人が家柄の違いを気にして、
想いを打ち明けられずにいたものですから、お見合いさせちゃったんですの~♪』
『お見合い・・・ですか。』
『ええ。子供の背中を押してやるのも親の務めと思いましてね。』
『そうですか。そんなことがあったんですね。』
『ええ。今までシンの周りには、家柄は良くても中身が全くないお嬢さんばかりだったんです。
私は心底心配しておりましたの。だから・・・チェギョンちゃんのような子がシンの傍にいてくれたら
とても安心なんですの。
まぁ何よりも私がチェギョンちゃんを気に入ってしまったんですけどね~おほほほほ~♪』
『確かに・・・我が家でも何度かパーティーが開かれましたが・・・その都度ギョンの連れてくる女の子は
眉を潜めるような子ばかりで・・・。あんなしっかりした子がギョンをサポートしてくれたら・・・』
ミンは満面の笑みをギョンの母に向けた
『その通りですわ。人間の価値は器なんかじゃない。中身です。
その中身が澱んでいたらどうにもなりませんわ。』
ミンは何かに気づいてくれたギョンの母に、心の中で思い切り叫んだ
(後は奥様の賢明な選択をお祈りしていますわ~おほほほ♪)
一仕事やり終えたミンは、実に爽快な気分でギョンの母をチャン家に送り届けた
翌週の休日・・・シンとチェギョンは大学の駐車場へ向かった
そこでギョンと待ち合わせていたからだ
『チェギョン・・・今日は見合いの時よりもお洒落していないか?』
『えっ?だって~ガンヒョンの友達としてギョン君の家に行くんだし、その後にはイ家にお邪魔するし~』
『くくっ・・・とてもよく似合っている。だが・・・折角お洒落したのだから
食べ零すなよ。いつもみたいに大口開けていたら
折角の洋服を汚しちゃうかもしれない。』
『ちぇ~~っ…気を付けます。』
ギョンの車と合流したシンの車は、いざチャン家に向かって走り始めた
さてミンのお節介が吉と出るか凶と出るか・・・
雨ですね・・・ひとまずお洗濯物は乾いたけど
やはりお日様をふんだんに浴びたお洗濯物が
好き❤
ミン様が電話をした女性は
ギョン君の母でした~♪
って…バレバレだよね(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!