シンとギョンがアルバイトの日・・・チェギョンとガンヒョンは休憩時間に愚痴話をする
『最近さ・・・あのギョンの接客態度が無性にムカついて仕方がないわ。』
『あ・・・ガンヒョンも?私もそう。シン君・・・鼻の下伸ばしてるときあってムカつくもん。』
『え~~っあのイ・シンが?まさかぁ・・・デレデレしてるのはギョンの方よ。
なんであんなに愛想がいいの?ムカつく。』
『そうそう!店長は夏休みが終わっても続けてほしいなんて言ってるし・・・ムカつく!』
『ところでアンタ・・・火傷の具合はどうなの?』
『うん。もうちょっとってところかな。なんだか痛痒いよ。』
『そう。治りかけが大事よ。それにしてもイ・シン・・・毎日アンタの送迎してるじゃない?』
『うん。それはありがたいと思ってるんだけどさ。この間なんかシン君の出待ちしていたお客さんに、
シン君の車に乗るところ見られて睨まれちゃったんだけど・・・』
『あ~ヤダヤダ・・・女の嫉妬って怖いわ。』
『ガンヒョンはそんなことないの?』
『アタシ?帰る前にギョンの車の中で話をしていたら、翌日その客が来て≪どういうご関係ですか?≫って
聞かれちゃったわよ。』
『ほぉ~それで何と答えたの?』
『ただの同級生です!って答えたわ。全くさ・・・あの二人の追っかけ達、
二人がとんでもなくいいお家柄だと知ったらどんな反応するのかしら・・・』
『きっと更に目の色変えるに違いない。』
シンとギョンがアルバイトに入るようになって、女性客が日を追うごとに増えていく
それを面白くなく思うことが嫉妬の感情だと、薄々気づきながらもチェギョンとガンヒョンは
それを必死に否定しようとしていた
そして・・・そんな頃ミンの作戦は着々と進行していた
ある日帰宅したチェギョンを、保険外交員をしている母が待ち構えていたのだ
『チェギョン・・・ちょっとそこに座って。』
『なあに?お母さん・・・』
チェギョンはリビングのソファーに腰掛けた
『あのねチェギョン・・・来週の木曜日ってアルバイトお休みよね。』
『うんそうなんだけど、私・・・約束が・・・』
その日は給料日後初めての休日で、チェギョンはシンに借りたお金を返すのと誕生日プレゼントを改めて贈ろうと
シンと約束をしていた
『お友達との約束は断って頂戴。』
『一体なぜ?わけわかんない~~!私にも都合があるのに・・・』
『実は上司からあなたに見合いの話が来たのよ。』
『えっ?お見合い?ちょっと待ってよお母さん!私まだ19よ。見合いなんてありえない~~!』
『私もそう思ったんだけど、どうも先方の奥様があなたの事をとても気に入っているらしくて
どうしてもって言われちゃったのよ。』
『だからってお母さんそんなの・・・』
『そこそこいい家柄のおうちみたい。逢うだけ逢ってみて貰えない?』
『ちょっと待って・・・いいお家柄のおうちみたいって・・・どういう意味?』
『実は私も知らないのよ。とにかく逢ってくれの一点張りで・・・』
『お母さん・・・そんな闇鍋をつつくみたいなお見合いって信じられない~~!
相手がどんな人かも知らずに逢うの?』
『実は・・・そうなの・・・』
『お母さんお願い!この話、断って!』
『それが・・・断れないそうなの。逢うだけで構わないって言ってるらしいわ。
だからチェギョン・・・我慢してその日だけ逢って貰えない?お母さん上司に泣きつかれちゃったのよ。』
『もぉ・・・信じられない・・・』
母の上司からの見合いを断れば、母の立場が悪くなる
重い気持ちを抱えながらも≪逢ってみるだけ・・・≫となんとか自分を宥めようとするチェギョンだった
その翌日・・・アルバイトは休みだったがチェギョンを迎えに来てくれたシン
その車に乗り込んだ時チェギョンは重い口を開いた
『シン君・・・あのさ、来週の木曜の約束延期してもいいかな。』
『あぁ?なぜだ?』
『ちょっと野暮用ができちゃって・・・』
非常に暗い顔で口ごもるチェギョンに、シンは更に問い掛けた
『一体どんな用事なんだ?俺との約束を反故にするなんて・・・』
『うちさ・・・お母さんが保険外交員してて、その上司から頼まれて・・・』
『保険外交員の上司から何を頼まれた?』
『見合い・・・』
『はぁ?見合いだと?』
『うん・・・』
『お前馬鹿か!10代で嫁に行く気なのか?』
『いや・・・逢ってみるだけだよ。そんなつもりないよ。』
『火傷はもう・・・治ったのか?』
『うん、もう包帯とってもいい頃かも・・・』
『包帯したままでいけ。』
『えっ?どうして?』
『怪我でもしていれば、少しは断られる口実ができるだろう?』
『あ~そうか。いい家柄だと傷がある娘なんか嫁に欲しくないもんね。』
『そう言うことだ。だったら約束はその次週にな。』
『うん。ごめんねシン君・・・』
『あぁ・・・』
あぁ・・・そう答えながらもシンは心穏やかではいられなかった
しもべでないと傍にいられない
しもべでなければ傍に置けない
この時の二人はそんな切ない思いを一緒にいる理由としていた
それほどまでに自然な流れで恋に発展できる境遇の二人ではなかった
そしてそんな衝撃的な告白をされたシンは、父の会社に出社し帰宅した時・・・母からさらに衝撃的な
言葉を告げられた
『シン・・・確かあなた、木曜日はオフだったわよね。』
『ええ。そうですが・・・』
『来週の木曜日は空けておいてね。』
『えっ?来週の木曜日・・・ですか?』
『ええ。とても素敵なお嬢さんとお見合いをしていただくわ。』
『えっ?お母様・・・私はまだ・・・』
『あら~とても良いお話が舞い込んできたの。あなたに悪い虫が付かないうちに早くと思ってね♪』
『ですがお母様・・・』
『これはお父様もご存知の話よ。いいわね。命令ですからね・・・』
『・・・はい・・・』
一旦帰宅しファミレスへ向かったシンは、なんだか落ち込んでいるチェギョンを慰めることができなかった
なぜなら・・・今自分自身も全く同じ立場にいるのだから・・・
自分が見合いしている頃、同じようにチェギョンも見合いをするのだ
そう思うとシンの心はグラグラと揺れ動いた
もちろん母からの命令に背くことはできないが、相手が自分を気に入らなければきっと断って貰える
そう思ったシンは見合い当日氷の仮面をつけて、いつも以上に冷たい男でいようと決心した
チェギョンには・・・相手に気に入られないように、あまり可愛い格好はするなとしもべ指令を出した
さてさて・・・まさかミンが水面下で暗躍しているとは知らない二人・・・
果たして見合いはどうなるのだろうか・・・
ミン様の考えた末の作戦とは
闇鍋みたいな見合いを仕組む・・・なんですね(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
もちろんスンレさんの説得はその時にするらしい。
そしていよいよ・・・ミン様の正体が
明かされる時がやってきました。
次回どうぞお楽しみに~~❤