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Channel: ~星の欠片~
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あなたのしもべ 11

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シンとギョンがアルバイトを始めて三日目の土曜日・・・

夕方の混雑も少し落ち着いてきた頃だった

チェギョンとガンヒョンは、短い休憩を取ながら話をする

『ちょっとチェギョン・・・あのテーブルのお客さんにギョンの仕事終わりの時間を聞かれたわよ。』
『えっ?ガンヒョンも?私はあっちのテーブルの四人組に、シン君が何時に上がるのかって聞かれた。』
『まさかアンタ・・・教えたの?』
『まさか~!≪そういった質問にはお答えできないことになっています。≫って丁重にお断りしたよ。
でもさ・・・みてよ。どっちのテーブルのお客さんもシン君とギョン君の姿ずっと目で追ってない?』
『怖~~い!出待ちしそうな勢いよね。』
『うん。さっき店長が二人を呼んで≪週に5日来られないか?≫って聞いてたよ~~!』
『まぁそえやあもりでしょう。イ・シンもギョンもお父さんの会社に顔出してるらしいじゃん。』
『御曹司って大変だぁ~~!』
『ホント・・・苦労知らずかと思っていたけど意外と骨があるしね。立ち仕事に文句も言わないなんて驚きだわ。』
『あ~それ私も思った。すぐに音を上げるかなって思ったのに、そんなことなかったね。』
『アタシ達が少し偏見持ちすぎてたのかもね。』
『そうかも。最近あまり無理なしもべ指令もしなくなったし~♪』
『あ・・・もう時間よ。あの二人と交代してあげないと・・・』
『そうだね。行こうガンヒョン♪』

束の間のドリンク休憩を取った二人は、シンやギョンと交代し元気よくホールに出て行った

休憩に入ったシンとギョンは、飲み物を口に運びながら溜息を吐く

『しかし・・・俺達よく頑張ってるよな?』
『あぁ。上出来だろう?』
『ガンヒョンからもお褒めの言葉を頂いちゃったんだ~♪』
『デレデレするなよギョン。くくっ・・・』
『ところでさ~店長の頼み、断ってよかったのかな。』
『仕方がないだろう?毎日は出られない。お前も俺もな・・・』
『そんなことしたら親父に怒られちゃうしね~~!』
『あぁ俺もだ。ところで女性客の反応はちょっと面倒だな。』
『シン~~いくらクールが売りでもあまり嫌な顔するなよ。あの角のテーブルの客・・・お前につれなくされて
がっかりしていたよ。』
『いい顔するのもどうかと思うが?』
『まあね・・・ホントその辺りって難しいなぁ。』
『全くだ・・・』

二人顔を見合わせ苦笑した時だった

厨房の中で悲鳴が響いた

『きゃぁーーーー!!』

聞こえてきたチェギョンの悲鳴に二人は慌ててその場所に駆け付けた

するとそこには顔を歪め立ち尽くしているチェギョンの姿があった

『どうしたんだ!』
『っつ・・・痛い・・・』

咄嗟の事でパニックになっていたチェギョンの代わりに、キッチンスタッフが答えた

『フライヤーの油が零れてチェギョンさんの脚にかかったんだ。』
『えっ?・・・』

シンは慌ててチェギョンの脚を見る

するとチェギョンの右脚は、熱い油がかかってしまった部分が赤く染まっていた

『何しているんだ馬鹿!!』

シンは慌ててチェギョンを奥の水道に連れていき、チェギョンの脚を水道の水で冷やす

『イタタタタ・・・』
『我慢しろ・・・冷やさなきゃダメだ。』
『うん・・・でも痛いんだもん・・・』
『痛くても冷やすのが先決だ。我慢しろ!』

暫く水道で火傷した部分を冷やす

『ダメだチェギョン・・・』
『ダメって?』
『このままじゃあ痕が残る。病院に連れていく。』
『えっ?でもまだバイトの時間が・・・』
『あと30分やそこらだ。ギョンとガンヒョンに俺達の分頑張って貰うから大丈夫だ。』
『うん・・・』
『店長に行ってくるから、お前は着替えていろ。いいか?その場所に触るなよ。』
『わかった。』

そしてすぐシンッは店長に事情を話し、二人は早退することとなった


夜間診療してくれる病院に着くまでの間、チェギョンはジンジンと痛むのを必死に堪えていた

病院で処置をしてもらい、薬をもらったチェギョンを乗せシンは家に送り届けようとする

『あ・・・でもシン君、自転車がないと明日の出勤が困っちゃう。』
『はぁ・・・明日迎えに来てやるよ。』
『シン君・・・明日はお休みなのに?』
『そんな脚で自転車に乗られてたまるか!』
『う~~ん、ごめんね~~。なんかシン君・・・しもべのしもべみたいだよ。』
『っつ・・・世話の焼ける奴め・・・』

しもべのしもべ・・・まさにそうなのだ

こんな状況になったチェギョンをシンが放っておけるはずもない

『ありがとう。ごめんね。』
『いいか?先生の言うことを聞いて、脚は水に濡らすな。薬はちゃんと塗れよ。わかったか?』
『うん。あ・・・診療費、シン君が立て替えてくれたんでしょう?』
『次のバイト代が出るまで貸しにしておく。』
『ごめんん~~~!』

ありがたさと申し訳なさが同居する思いで、チェギョンはシンの優しさに甘えた

しもべの筈なのに・・・俺様なシンに心惹かれていくチェギョンだった



翌日・・・若干痛みは残っているが、いつも通り元気にバイトをするチェギョン

朝もシンに送って貰い、しばらくは送迎すると言ってくれた

(坊ちゃん…いいところあるんだなぁ~♪)

親しくなるにつれ、俺様な態度に隠された優しさに気付くようになってきたチェギョン

そんな昼下がり・・・≪イ家のばあや≫が夫を連れてファミレスにやってきたのだ

『おばさん♪いらっしゃいませ~~♪今日はお連れ様がいらっしゃるんですね?』
『ええ。今日はお仕事お休みだから、夫と来たのよ~♪』
『ご来店ありがとうございます♪』

早速二人を席に案内するチェギョン

ミンはいつも通りドリンクバーとデザートを二人分注文し、すぐにチェギョンの脚に巻かれている包帯に気づいた

『チェギョンちゃん・・・その脚どうしたの?』
『あ・・・昨日、フライヤーの油がかかっちゃって火傷したんです。』
『まぁ!大変じゃないの~~!なのに今日もアルバイトを?』
『はい。もうそんなに痛くありませんから大丈夫です。シン坊ちゃんが病院に連れて行ってくれたんです。
今日も迎えに来てくれたんですよ。さすがばあやさんの教育がいいだけあって、いい人です♪』
『まっまぁ~♪坊ちゃんが?そんなことを?
だから今朝~出かけて行ったのね?』
『えっ?でもおばさん・・・今日はお休みの筈では?』
『あっ(しまったわ)午後からお休みなのよ~~♪おほほほほ~♪』
『ところで・・・おばさんのご主人様だけあって素敵な方ですね。自慢して歩きたくなっちゃいますね。』
『あら~チェギョンちゃんお目が高いわ、おほほほほ~~♪』
『ではごゆっくりお寛ぎください♪』
『ええ。ありがとう。』

チェギョンが去っていった後、ミンはヒョンと話しながらチェギョンの働きぶりに目を細めた

『どうです?あなた・・・あのシンにアルバイトをさせただけじゃなく、送迎までさせちゃうなんて
すごい子ではありませんか?』
『確かに・・・その上どことなくシン執事の柔らかい雰囲気を思い出させる子だ。』
『しかも見てください。怪我をしているのにあの働きっぷり。大きな会社の御令嬢なんて
掃いて捨てるほどおりますけど、その中にあんなに気立てのいい子はおりませんわよ。』

その時・・・接客していたチェギョンの前で、客の子供が転んで泣き始めた

チェギョンはその子供を起こすと宥め、笑顔でその子の座るテーブルに連れて行った

それを見て益々目を細めたミンは夫に告げた

『単刀直入に申し上げて私・・・あの子を我が家の嫁にと考えておりますの。』
『君がそう決めているのなら、私に口出しすることなどできまい。シンんも怪我をしたあの子を迎えに行くようなら
満更でもないのだろう。
だが・・・シン家はなんというだろうか。』
『今・・・考えていることがありますの。きっと私の思った通りに事は運びますわ。
私に任せていただけますか?』
『いいだろう。君に任せよう。』

夫の後押しを得て、ミンはいよいよ計画を実行に移そうとしていた


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うちの次男君…本当におバカさんで
キャッシュカード落としやがりました。
もう今日は朝から銀行に行ったり大変でした~~!

まったく・・・
母はキャッシュディスペンサーにカードを喰われたことはあるけど
落としたことはないぞ~~!
(喰われるのもどうかと思うけど・・・爆)


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