講堂のステージ袖で入場を待っていたシンに向かって、付き添っていたギョンは驚愕の声を上げた
『シン~チェギョンが来たよ。おぉっ!おぉぉぉ・・・・ガンヒョンの腕がいいのか、
はたまたチェギョンは磨けば光る宝石の原石だったのか~?シン…早く見ろよ~~♪すごいぞ!』
あまりにも期待を持たせるギョンの視線に、シンはそのまま背後を振り向いた
『チェギョ・・・ン・・・?』
純白のドレスを纏い神々しいばかりに輝いているチェギョンに、思わずシンは息をのんだ
『シン君~♪ガンヒョンに髪を結って貰ったの。』
『あ?あぁ///』
ドレスアップした姿など何度も見ている
婚礼の儀式の時には化粧を施されたチェギョンも見ている
だが今日のチェギョンは化粧もしていないのに、いつもの可愛い妻ではなかった
まさに女性として輝くばかりに美しい…そう形容するよりほかなかったのである
『シン君~あぁってそれだけ?』
『とても・・・///綺麗だ///』
『き・・・///綺麗?///』
『あぁ。』
できる事なら後夜祭などエスケープして、妻を浚って東宮に逃げ帰りたい気分のシンだった
『綺麗だなんて~~///はじめて言われた。』
そんなチェギョンに後からついてきたガンヒョンは思わず言った
『アタシが先に言ってやろうかと思ったんだけど、皇太子の為に我慢してやったの。ギョンだってそう思うでしょ?』
『うん。チェギョンすごく綺麗だよ~♪』
『えへへ///ありがとう♪』
その時・・・ミスターにノミネートされた男子生徒は名前を呼ばれ、シンはステージに向かっていく
その途端・・・会場からは黄色い悲鳴が聞こえる
『シン君カッコいいから~♪』
『大丈夫。アンタも負けてないわ。さてアタシはそろそろ自分の席に着くわね。』
『うん。ガンヒョンありがとう。』
『どういたしまして♪』
ガンヒョンが去っていった後、ステージ袖にはミスにノミネートされた三名の女子生徒だけになった
ミン・ヒョリンは真紅のドレスを纏い妖艶に微笑んでいた
『妃殿下・・・とてもお似合いです。』
『ありがとう。ヒョリンさんもとっても素敵。ところで私・・・あなたに謝りたいことがあるの。』
『なんでしょう?』
『あなたがミスに選ばれた時・・・皇太子殿下とダンスを踊っても構わないと以前言ったでしょう?』
『ええ確かにそう仰いましたわ。』
『やはり夫が他の女性と踊るのを見るのは嫌なの。前言撤回させていただくわ。』
『でも・・・』
『ごめんなさいね。本当に申し訳ないと思っているわ。』
『ですが私はダンスを辞退するつもりはありませんわ。』
『ええ。きっとそうでしょうね。でもきっと皇太子殿下は、私以外の女性とのダンスは辞退すると思うの。
その時は許してね。』
『っつ・・・』
悔しそうな顔をしたままヒョリンはステージに向かっていった
そしてチェギョンと他のノミネートされた生徒もステージに上がった
<うぉぉ~~~~!!>
会場内から男子生徒の感嘆の声が上がった
チェギョンは皇太子妃として恥じないように、静かに微笑んだ
(あの会場の叫び声の一割でも・・・私に向けられていたらいいなぁ・・・)
そんな風に心の中で呟いていたチェギョンを、幼稚園の時のいじめっ子三人組は愕然とした思いで溜息を吐く
『あれが・・・シン・チェギョン?』
『すごく綺麗だな。』
『もう・・・恐れ多くて声なんか掛けられないな・・・』
幼い頃の好意を素直な気持ちで伝えていられたら、関係も変わっていたかもしれない
(いや・・・皇太子妃になる人と俺が、縁がある筈はないよな・・・)
その三人の中のボス的存在の男子は、後悔の想いでチェギョンをじっと見つめた
やがて・・・生徒たちの投票が始まり、それと同時に開票も始まった
【イ・シン・・・イ・シン・・・パク・ジュン・・・イ・シン・・・】
【シン・チェギョン・・・ミン・ヒョリン・・・ハン・ユラ・・・】
白熱する開票結果・・・
チェギョンは自分の名前が呼ばれる度に花のような笑顔を零した
ミン・ヒョリンにダンスの許可を撤回したチェギョンは、もう結果などどうでもよかった
この学校の中で毎年ミスに選ばれているミン・ヒョリンではなく、自分を応援してくれる人がいる・・・
それだけでチェギョンは幸せな気持ちになっていた
シンはシンで開票結果などよりも、自分の妻があまりに美しいことに気を取られ何度も視線を向ける
その度に会場では噂話が囁かれたた
『ほら見てみなよ。皇太子殿下・・・蕩けそうな顔をして妃殿下を見てる。』
『やはりあの噂は本当だったんだね。そんなに妃殿下がお好きなんだ~♪』
そんなシンの態度は確実にチェギョンの票を伸ばす結果となった
当日までチェギョンかヒョリンかで迷っていた生徒は、そのシンの表情を見てチェギョンに投票することに決めた
【シン・チェギョン・・・シン・チェギョン・・・ミン・ヒョリン・・・シン・チェギョン・・・】
ミスターの方はやはり圧倒的な票数を獲得し、シンが選ばれた
後はミスの開票が終わるのを待つのみとなった
会場にチェギョンの名前が何度も響いていく
読み上げる生徒もそろそろ声が嗄れるかと思われたとき・・・漸くミスの開票が終わった
【韓国芸術高校今年度のミスを発表します。
投票数681票・・・無効3票・・・最高獲得数468票・・・ミス芸校はシン・チェギョンさんに決定いたしました~!】
その瞬間会場では割れんばかりの拍手と歓声に包まれ、チェギョンにスポットライトが照らされたとき
シンはチェギョンの元に向かいチェギョンに左手を差し伸べた
『シン君・・・夢みたい。』
『夢なんかじゃない。お前が綺麗だからだ。』
チェギョンはシンの左手に右手を預けステージ中央に出ていく
益々大きくなる拍手と歓声・・・
司会進行役から記念のトロフィーを授与された二人は、満面の笑みでマイクの前に立った
『記念すべき最終学年で、妻と一緒にこの名誉あるミスターに選ばれたことを光栄に思います。』
『今年は私にとってとても感慨深い年になりました。応援してくださった皆様・・・心から感謝いたします。』
鳴りやまない拍手と歓声に包まれた二人・・・
司会進行役は二人に授与したトロフィーを預かり、マイクに向かって大きな声を上げた
【では今年の芸校ミスターとミスによる素敵なダンスをご堪能ください!】
ミン・ヒョリンをはじめ落選した者達はステージから降り、ステージは二人だけの世界となった
音楽が流れ始め、シンはチェギョンをエスコートすると右手を握り締め左手はチェギョンの背中に回した
『どうだ?チェギョン・・・ミスになった気分は・・・』
『シン君・・・まるで夢の中にいるみたい。』
『お前が綺麗だから選ばれたんだ。』
『本当?』
『あぁ。今夜このまま俺の部屋に連れて帰りたいほどだ。』
『えっ?///もぉっ・・・///』
ほんのり色づいたチェギョンの頬にシンは思わずキスをする
≪きゃぁ~~~!!≫
それを見ている会場の生徒たちは思わず悲鳴を上げ、更にうっとりした目で二人の踊る姿に釘付けになる
『シン君…すごく幸せ。こんな幸せな気分は初めてかも・・・』
『俺もだ。お前が俺の妻だって宣言しているようなものだからな・・・』
愛し合う皇太子妃夫妻のダンスは会場の溜息が零れる中終わりを告げた
『チェギョンやったじゃない。』
『うん。信じられないけどすごく嬉しい・・・』
『まぁ皇太子がアンタをどれほど好きかも見せて貰ったし、すごく素敵なダンスだったわ。』
『ありがとうガンヒョン・・・』
友人達に見送られながら公用車に乗り込んだ二人・・・
後夜祭の興奮冷めやらぬまま東宮に戻った二人は、一体・・・
管理人地方はこれから雨のようです。
大雨の被害に遭われた地域の皆様
引き続きお気を付けくださいね。
チェギョンは圧倒的勝利で
ミスに選ばれました~❤
良かったねチェギョン♪