『はぁ~っ・・・ダンスをマスターしてもなぁ~~!』
学園祭の最終日、いつも通りに皇太子ルームで食事をしながらチェギョンは大きな溜息を吐いた
そう・・・本日は決戦の後夜祭なのである
『なによチェギョン・・・アンタ随分弱気じゃないの!』
落ち着いた様子でそう冷やかすガンヒョンに、チェギョンは益々深い溜息を吐いた
『はぁぁぁぁ~だって・・・さっきのヒョリン見たでしょ❓周りには取り巻きがいっぱいいたよ。』
『そんなことで怯んでいてどうするの。アンタはこの国の皇太子妃でしょ?もっと堂々としてなさい。』
『そうだよ。そうなんだよ~~それはよ~くわかっているんだけどさぁ・・・』
昼休みに移動する時に見掛けたヒョリンの様子が、チェギョンはどうにも気になって仕方がないらしい
そんな落ち着かいチェギョンにガンヒョンは問い掛けた
『あのさ・・・アンタがこの学校のミスにノミネートされてから、アンタの周りで変化はなかったわけ?』
『変化?あ・・・そういえば、結構話しかけられるようになったかな。』
『以前はアンタ・・・人を寄せ付けないオーラを放っていたでしょう?』
『うん、不思議なんだけど、結構フレンドリーに話しかけて来る人が多くなった気がする。
あ~でも気のせいかも・・・あっそんなことないか。
だって話したこともなかった隣のクラスの女の子に、≪クールな男子の攻略法≫について相談されたりさ・・・』
『ふふふ・・・ちゃんとアンタはこの学校の生徒から支持されているわよ。』
自分たちの作戦が着々と進行していることを知ったシン・ギョン・ガンヒョンは密かに口角を上げた
『それでアンタ・・・後夜祭は確か正装だったわよね?』
『うん。』
『今回ばかりはアンタの支度に、チェ尚宮さんが関わることはできないでしょう?』
『そうなんだよ。どうしよう。テキトーに髪を結っちゃってそれでいいかなぁ・・・』
『ふざけないでよ。皇太子妃の髪型がテキトーだなんて・・・仕方ないわね。アタシがやってあげる。』
『えっ?いいの?ガンヒョン♪』
『ええ、アタシの髪のセットはカリスマ美容師並みだって知ってるでしょ?』
『うん~~♪』
『じゃあ後夜祭の前にここでセットしよう。』
『うん♪』
『皇太子は先に着替えておいてよ。』
『あぁ、ガンヒョン・・・世話掛けるな。』
『どういたしまして。』
本日はこの学校の生徒や父兄ばかりでなく、一般の来場者も多い
従ってイギサばかりでなく、皇室警察まで出向き手荷物チェックや警護に当たっている
学園祭に皇室警察署員が出動することなど、他校ではありえない
午後の催し物を済ませたシンとチェギョンは、後夜祭に向けて皇太子ルームで着替えを澄ますことにした
チェギョンとガンヒョンが部屋に入って行った時、シンは早々に着替えを済ませ部屋を出るところだった
『シン君・・・今日はタキシードなんだ❤素敵~♪』
『チェギョンも早く着替えろ。ガンヒョン・・・後の事は頼んだ。』
『アタシに任せて♪』
皇太子妃として恥ずかしくない物を、しかも高校生として行き過ぎていないデザインを・・・とチェ尚宮が
選びに選び抜いたドレス
それは純白のまるでウェディングドレスと言っても過言でない、ミモレ丈のドレスだった
箱を開けそのドレスを初めて見たチェギョンは、驚いて目を見張った
『わぁ・・・すごく綺麗なドレス。』
『前以てアンタは見ていなかったの?ほら・・・同色のハイヒールも入ってる。
アンタ・・・ハイヒール大丈夫?』
『う・・・うん。特訓を積んだから~~♪』
『これで皇太子の足なんか踏んだりしないでよ!』
『踏まないよぉ~~♪てか踊れるかどうかだって定かじゃない。(いや・・・踊れない可能y性の方が高い。)』
『あら?ティアラも入ってる。そっか~これを髪に飾らなきゃならないわね。
さて~チェギョン着替えよう。』
『うん!』
ガンヒョンに手伝って貰い着替えを済ませたチェギョンは、長い髪をひとつに結い上げて貰った
『あまりティアラが目立ち過ぎるのもいけないから、髪全体にお花を飾るわよ。
無難に白いお花のピンをたくさん持ってきたのよ。よかっらわ。』
ガンヒョンは髪全体に白い小花をちりばめた
『どうかな?』
手渡された大きめの手鏡・・・それを目にしたチェギョンは満面の笑みで微笑んだ
『ガンヒョン・・・可愛いよ。すごく可愛い~~♪』
『良かったわ。』
(しかしアンタが…自分の髪型を見て可愛いというなんて・・・変われば変わるものね。
でも・・・本当はアンタ・・・めちゃくちゃ可愛いんだから、それを素直に認められるようになったのも
皇太子のおかげかしら・・・)
幼稚園の時からチェギョンの傍にいたガンヒョンは、親友の成長を心から嬉しく思った
『さて~チェギョン行きましょう。』
『うん♪』
チェギョンとガンヒョンは皇太子ルームを出て、後夜祭が開かれる講堂に向かっていった
その頃・・・芸校の門をくぐった三人の他校生徒がいた
『なぁ・・・シン。チェギョンって確か俺達と同じ幼稚園だったよな?』
『そうだよ。それが今じゃあ皇太子妃なんだからすごいよな。』
『だけどお前・・・昔メチャクチャ意地悪してなかったか?』
『ああ・・・すごく後悔しているんだ。あれきり目も合わせてくれなくなっちゃったからさ・・・』
『つまりお前・・・好きな子苛めていたってわけか?』
『若気の至りだよな・・・ホント・・・』
幼い頃の意地悪を後悔したところで時間は戻らない
好意を意地悪という形でしか示せなかった男子・・・
まさかその自分たちの取った行動が、チェギョンを思春期まで苦しめていたことなど全く知らない
そして同じ頃・・・王族の娘達も、芸校の門をくぐっていた
『妃宮様・・・大丈夫かしら?』
『ダンスは問題ないわ。あれだけ練習したんですもの。問題はあの・・・強敵舞踏科の女ね。』
『あなたたち抜かりはない?』
『ええ。万全を期したわ。』
『とにかく・・・お友達が寝返らないようにしっかり見張ってなくちゃ・・・』
そろそろ生徒達の投票が始まろうとしている
王族の娘達は自分たちと懇意にしている友人に片っ端から声を掛け、チェギョンに票が集まるよう
わざわざ見張りにやってきたのだ
『お二人のダンスが是非見たいわ。』
『一昨日も素敵だったもの。それに今日は正装でしょう?きっと素敵に違いないわ。』
『さて・・・結果はどうなるかしら。なんだかドキドキしてきたわ・・・』
王族の娘達は人から視線が集まらないように、わざわざ制服でここにやってきたのだ
もうすでに他人ごとではない王族の娘達の心情・・・
さてチェギョンはミスコンでヒョリンを上回る票を獲得できるのだろうか・・・
今日も午後から雨の予報で
三時頃には空が真っ暗になった管理人地方。
なのに・・・一滴も降りませんでした。
豪雨に苦しんでいる皆様
ホントゴメンなさい~~!
早くお天気が回復しますように・・・