東宮に到着した皇太子夫妻・・・普段の制服姿ではなく、まるでパーティーから戻ったようなドレスアップした姿に
出迎えた内官や女官は目を見張った
『お帰りなさいませ。殿下・妃宮様・・・』
もちろん宮殿に仕える者なのだから、高校生のように悲鳴を上げたりはしないが・・・
それでも車から降りた二人を目にした時、つい賛美の言葉が出てしまう
『妃宮様・・・とてもお美しいです。』
『ありがとうございます。コン内官さん♪』
その輝くようなチェギョンの笑顔を目にし、二人が今年度のミスとミスターに選ばれたことを
察したコン内官はシンに告げた
『殿下・・・お食事の用意が出来ております。』
『食事?あ…あぁそうだな。』
今日は格別美しい妻に気をとられ、食事の事など頭になかったシン・・・
『お着替えされてからになさいますか?』
『いや・・・このままでいい。食事にしよう。』
チェギョンをエスコートしシンは食堂に向かった
その様子にチェギョンは慌てふためいた
『シン君!折角のドレスが食事して汚したら大変。』
チェギョンにとってみれば、ミス芸校に選ばれた記念のドレスなのだ
『汚さないように食べたらいい。』
チェギョンの着替えをしたいという意思表示に、ぶっきらぼうにそうシンは言い放つ・・・
『ぷ~ん・・・』
少し膨れっ面で席に着いたチェギョンは、シンと向かい合いドレスの首元を大判のナプキンで覆った
すると前の席からシンは、同じナプキンをチェギョンに手渡した
『膝に置いておけばいい。』
『あ・・・ありがとう♪』
そう言いながらチェギョンがシンを見つめると、シンは不思議と目を逸らす
(あれっ?どうしたんだろう。シン君・・・ご機嫌斜めだ・・・)
実際はそうではない
チェギョンを目の前にして、自分の気持ちが抑えきれなくなることをシンは案じているのだ
『今日の後夜祭はすごく幸せな気分だった。ダンスの特訓もした買いがあったよ。
でもさ・・・シン君、意外じゃなかった?
私にあんなに票が集まるなんて・・・。ほら・・・私って結構尖っていたでしょ?』
『あぁ・・・だが以前の事などより、今お前rが綺麗でミスにふさわしいと思ったからじゃないのか?』
決してギョンやガンヒョンの裏工作があったことなど、シンは暴露しない
『うん。きっとみんなのおかげだね♪』
『みんなのおかげ?あぁそれもあるかもしれないな・・・』
今回の結果は決して自分の力だけじゃないとチェギョンは確信していた
『ところで・・・シン君はどうしてさっきから目を逸らすの?』
『あ・・・あぁ?』
『ほら・・・なんだか必死に食事しているように見えるけど?』
『そんなことはない。俺はもう食べ終わった。』
『えっ?もう?』
チェギョンがシンの料理を見ると既に綺麗に食べ尽くされ、食後のコーヒーを飲んでいる
『早く食べろ。』
『う・・・うん!』
(でもどうしてシン君・・・今日はこんなに食事のペースが速いんだろう。
あ・・・そんなこと言ってる場合じゃない。早く食べよう!)
まるで急かすかのような視線を時折シンから受け、チェギョンは必死に食事を終えた
『食べ終わったか?』
『うん。』
『じゃあ行こう。』
『うん。』
席を立ち食堂から出て行った二人・・・シンはチェギョンの背中に手を添えて歩いていく
そして自室の前でチェギョンが向かいの部屋に入ろうとするのを止めた
『チェギョン・・・今夜は俺の部屋で・・・』
『えっ?』
チェギョンを見下ろす愛おしく切なそうな視線
『お風呂・・・』
『こっちで入ればいい。』
『で・・でも…まだ陛下のお許しが・・・』
『後で俺が許しを乞う。』
その時背後でコン内官の声がする
『殿下・・・まだ陛下かから・・・』
『コン・・・もう婚姻して三カ月が経つ。陛下には私から後で許しをもらう。今日は下がってくれ。』
『ですが殿下!』
コン内官が止めるのも聞かず、シンはチェギョンを伴うと自室に入って行った
『シン君・・・陛下に叱られちゃうかも・・・』
『構わない。俺達は夫婦なんだ。もう・・・限界だろ?』
潤んだ視線で見つめられたチェギョンは、口角を上げると頷いた
『うん。限界だね・・・』
チェギョンの手を引いてベッドルームに入って行ったシンは、ベッドにチェギョンを座らせ肩に手を置くと
ダンスを踊っている時からずっと触れたくて仕方がなかった唇にそっと口づけた
そして髪に飾られたティアラと小花のピンを一本一本外し、何もついて居ないチェギョンの髪を梳いた
三歳の頃から心に決めていた人は、その日漸くシンの本当の妻となった・・・
『陛下・・・申し訳ございません。殿下と妃宮様が・・・』
慌てて本殿に報告に向かったコン内官に、陛下はすぐに辞退を察し苦笑しながら答えた
『構わぬ。放っておきなさい。太子には随分我慢を強いてきた。
妃宮を無理やり部屋に連れて行ったのではなかろう?』
『はい。妃宮様も合意・・・とお見受けいたしました。』
『あの二人もあとは卒業を待つばかりだ。太子もそれなりに考えておることだろう。』
『私もそう・・・感じております。』
『コン・・・今宵は誰一人二人の初夜を邪魔せぬように・・・』
『はい。かしこまりました。』
合房の儀式を執り行う前ではあったが、二人の気持ちが固まったのならば見守るべきと考えた皇帝陛下
チェギョンの髪を撫でながらシンは問い掛ける
『チェギョン・・・俺は優しくできたか?』
『うん。この上なく優しかったよ。心配だったの?』
『あぁ。とても心配だった。』
チェギョンは少し身体を起こすと、そんなシンの唇に軽くキスをする
『シン君はいつもすごく優しいよ。でも今日は格別大切にしてくれた。』
『そうか・・・良かった。』
シンもチェギョンの唇にキスを落とす
『愛してるチェギョン・・・』
『私も愛してる。シン君・・・』
婚姻から三カ月が過ぎ、漸く結ばれた二人
きっとこの三カ月の間に、二人の愛情の温度差はなくなっていったのだろう
これも皇帝陛下の思し召しだったのかもしれない
いやぁ・・・もう皆様の妄想力も
相当鍛えられた事でしょう(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
割愛させていただきました。
だってさ・・・次男君帰宅するし
家族の帰宅も速いし・・・
条件が満たなかったんだも~~ん。
あはは~~申し訳ないっす❤