シンがチョ親子に逢うために応接室を出て行ったすぐあと、チェギョンは自分の頬がヒマワリの種を頬張った
ハムスターのように膨らんでいくのを感じた
(チョ・ユラさんがなぜ東宮に?しかもお父さんと一緒?
まさかと思うけど・・・シン君が呼んだの?ひょっとして私とチョ・ユラさんを天秤にかけてるの?)
このところ疑心暗鬼になることが多いチェギョンは、その怒りの標的がシンに向かってしまった
<しゅぴーん!しゅぴっしゅぴーーん!>
(でも皇太后様もグルってことはないよね。皇太后様が私を騙しても何の得にもならない。
だけどだったらなぜ・・・このタイミングでチョ・ユラさんが東宮に現れる?)
<しゅぴしゅぴしゅぴーーん!!>
(シン君・・・あんなに私のこと好きだって言ったくせに、私が思い切ってこんなヒラヒラ着てきても
何も言わないじゃないの!
どうせチョ・ユラさんはヒラヒラのフワフワで着飾って来てるんだ。
私みたいな庶民だったら騙せると思ったの?信じられない~~!)
<しゅぴしゅぴしゅぴしゅぴ・・・シュピシュピシュピシュピシュピシュピーーーーーーーン!!!>
とうとう・・・チェギョンのハリネズミの棘が総立ちしてしまった
(帰ろう。馬鹿馬鹿しい・・・シン君の言葉を信じて、言われるままに東宮に来た私が馬鹿だったんだ。)
東宮の玄関でチョ親子と出くわしたって構わない・・・頭に血が上ったチェギョンは既に冷静さを失っていた
すくっと席から立ち上がり、応接室の扉に向かって歩いていこうとする
その時・・・不機嫌極まりない形相を、必死に笑顔に変えようとして応接室に入ってきたシンは
立ち上がったチェギョンに目を向けた
そしてそのチェギョンがとんでもなく不機嫌な顔つきをしていることに驚愕し、思わず問い掛けた
『待たせてすまなかった。チェギョン・・・一体何があった?そんな顔をして・・・』
『チョ・ユラさんをここに呼んでいるなら、なぜ私に来いなんて言ったのよ!』
『チョ・ユラを呼んだ?呼ぶ筈が無い。』
『じゃあどうして来たの?しかも父親も同伴で・・・。ひょっとしてシン君・・・どちらにしようか迷ってるって事?
だったらあちらを選んだら?チョ・ユラさんは幼い頃から皇族に嫁ぐ為の教育を受けているそうだから
その方がいいんじゃない?
なにも民間人の私を巻き込んで、こんな気持ちにさせなくてもいいじゃない!』
(こんな気持ち?チェギョンそれはもしかして嫉妬か?)
チェギョンから飛び出した喧嘩腰の言葉に、チェギョンの心の変化が見えたような気がして
シンは心の中で嬉しさを感じつつも必死に弁明する
『そんなわけないだろう?お前を東宮に呼んでいるのになぜ他の女を呼ぶ?
言っておくが俺はお前以外の女を東宮に招いたことはない!
もちろんそんな約束だって一切していない。あの親子が勝手に訪ねてきただけだ。』
『勝手に?何の為に・・・?ふ~ん・・・王族は招待されなくても宮殿にフリーなんだ。g』
『そうだ。王族はかなり自由に宮殿に出入りできる。だから・・・お前を東宮から出せないんじゃないか!』
『じゃあ・・・約束したんじゃないの?』
『先程からそういっているだろう?していない。呼ぶ筈が無い!』
(チェギョン・・・今のお前の言ってることって、なんだか古女房みたいだ。お前・・・それに気づいているか?)
<しゅるしゅるしゅるしゅる・・・>
チェギョンのハリネズミの棘が、怒りの矛先を失って収まり始める
シンはその表情の変化を見逃すことなく、すかさずチェギョンに近づくと今日の格好を褒め称えた
『チェギョン…急な邪魔者が訪れて機会を逃した。そのワンピースすごく似合うじゃないか。
とっても可愛い。』
『似合う?可愛い?』
チェギョンの顔が綻んだ隙にシンはチェギョンをそっと抱き寄せ、とどめの一撃を繰り出す
『あぁ、とても可愛いのだが、このスカートの短さでシートに寝転んできたのかと思うと
イギサに綺麗な脚を見られたんじゃないかって心配でたまらない。』
『だ・・・大丈夫だよ。』
『もう誤解は解けたか?』
『うん。』
『他の誰かを疑うのは構わない。慎重であるべき時だからな。
だが俺の気持ちは疑うな。俺はお前に嘘は絶対に言わない。
今まで言った言葉もすべて真実だ。』
シンはまるで見えていたかのようにチェギョンの背中をそっと撫でた
そうしていればチェギョンは棘を収めて、素直なチェギョンになってくれると信じていた
抱き締めたまま胸元に顔を埋めたチェギョンの髪にそっとキスを落とす
髪にかかる吐息に気が付いたチェギョンがシンを見上げた時・・・シンは堪り兼ねて
その愛らしい唇に一瞬だけ触れた
『なっ////なにを・・・///』
『何をって・・・セカンドキスだ。』
『シン君にとっては二度目かも・・・二度目~?じゃあ・・・他にキスした相手がいるの?』
再びチェギョンの棘が起き上がろうとする
だがそれを許そうとはせず、シンは即座に答えた
『一度目は15年前だ。その相手もチェギョン・・・お前だ。お前は覚えていないんだろうが・・・』
『えっ?じゃあ・・・私・・・』
『お前から約束のキスをされたんだ。俺を疑うなっ!くくっ・・・』
『///カァーーーっ///』
順調に二人の仲は親密さを増していた・・・
その日…家に帰ったチェギョンは、ヒラヒラのワンピースを脱いで普段着に着替えながら独り言を呟いていた
『ったく・・・チョ・ユラさんって何を考えているんだか・・・
しかし王族って比較的自由に宮殿を出入りできるんだ。
親子揃って東宮に来たってことは、シン君に対するアピール?へへん・・・逆効果だったようだね。
でもさ私・・・どうしてチョ・ユラさんがシン君に逢いに来たのが、あんなに不愉快だったんだろう。
ん~~ん~~ひょっとして≪私の男に近づくな≫状態?
だとしたら・・・私、シン君に堕ちてる・・・ひょっとしてその感情にシン君も気が付いた?
ひえ~~~~っ・・・どうしよう。
しかもキスまでしちゃってさ・・・。だけどほんの一瞬で感触さえ覚えてないや。
どうせなら~しっかり感触が残るくらいに、してくれればよかったに・・・
えっ?///やだ・・・私なにを言ってるの~!』
自分が放った言葉に赤面し戸惑うばかりのチェギョンだった
そんな風にして一カ月が過ぎていった
ある日ガンヒョンは、昼休み恒例の皇太子ルームに向かう途中チェギョンに問い掛けた
『ねえチェギョン・・・三次選考会からもう一カ月が過ぎたわよ。
確かあの時、皇太后様はひと月かふた月後、婚約発表をもって皇太子妃の決定・・・って言ってたわよね。
アンタ・・・そろそろ気持ちを固めた方がいいんじゃないの?』
『えっ?でもまだあとひと月あるし・・・』
『馬鹿ね。婚約発表にはそれなりの準備が必要よ。最近アンタたちいい雰囲気だし・・・
そろそろちゃんとした返事をしたら?』
『うん・・・』
チェギョンの中ではほぼ覚悟は決まっていた
だがあれ以降、婚姻の件について問い掛けられない為・・・返事をするきっかけを失っている状態なのだ
まさか自分から受けると言い出すこともできず、チェギョンは悶々とした日々を過ごしていた
そしてそんな悶々とした日々を過ごしているのは、他の候補者も同じだった
自分の元に何らかの打診が来ない候補者たちは、いよいよ結託しターゲットをシン・チェギョンに絞って
追い詰める卑怯な作戦に打って出たのだ
さて・・・折角覚悟を決めたチェギョンの行く末には、一体何が待ち構えているのだろうか
最近・・・次男君が
アニャゾンさんでロードバイクの部品を
飼うことが多いものだから・・・
あなたへのおすすめが
そんなものばっかりで
ちょっとうんざり(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
明日は別荘で体重図られてきます。
ちょっと怖いな・・・
あ・・・それと今回のお話
棘が起き上がる音<しゅぴーん>が多くて
非常に読みにくいかも。
許してね~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!