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Channel: ~星の欠片~
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可愛い姫は棘だらけ 17

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その日・・・三時限の授業が始まってすぐの事だった

職員室に待機していた教師が、チェギョンのクラスに飛び込んできたのだ

その教師は担任教師に慌てた様子で耳打ちをした

そしてその直後担任教師は、チェギョンに声を掛けた

『シン・チェギョン・・・お父さんが事故に遭ったとお母さんから連絡が来たそうだ。
今すぐ第一病院に向かいなさい。』
『えっ?うそっ・・・』

椅子から立ち上がり呆然とするチェギョンに、ガンヒョンが声を掛けた

『アンタ・・・何しているの?早く行かないと!』
『あ・・・うん。そうだねガンヒョン・・・先生、早退します。』
『ああ。気を付けていくんだよ。』

机の上に広げた教科書やノートを鞄にしまい、チェギョンはすぐに教室を飛び出した

チェギョンが去った後、ガンヒョンはギョンにその件をメールした

もちろんその情報は即座にシンに伝わった

昼休み前の一番警備が手薄になる時間・・・嫌な予感を感じたシンはすぐイギサに連絡を取った




シンがイギサに連絡するより早く、教室ではユルが席から立ち上がり教師に言った

『先生・・・僕も早退します。』
『イ・ユル君・・・早退の理由は?』
『チェギョンが心配なのでチェギョンに付き添います。では失礼します。』

教師の返事も聞かずユルは教室を飛び出した



一方・・・自転車置き場で愛車に跨ったチェギョンは、ペダルを踏みこみながら第一病院までの一番近い道順を

思案していた

(裏道を使うより・・・大通りを直進したほうが早い。そうしよう。お父さん・・・大丈夫かな・・・)

自然とペダルを踏みこむ脚に力が入る

普段は些細なことでハリネズミになるチェギョンだったが、今は自転車に乗った音速の隼のように

大通りを疾走していった

(あぁ・・・信号変わっちゃった。仕方がない止まろう、)

交差点の10メートルほど手前でブレーキに手を掛けたチェギョンは、その手ごたえのないブレーキに

背筋を凍らせた

(えっ❓ブレーキが利かない。どうして?あっ!)

いつもは必ずする自転車の点検を怠ったことを後悔する

(あ・・・あぁどうしよう。)

普通であったら地面に足をつき摩擦で止めることも可能なはずなのに、チェギョンはすっかり冷静さを失っていた

(こ・・・交差点に入っちゃう~~!)

今まさにチェギョンの自転車が、交差点に進入しようとした時だった

チェギョンは自分の身体が傾くのを感じ、咄嗟にハンドルにしがみついた

<ガシャん!!>

確かに転んだはずなのになにも痛みを感じない

チェギョンは恐る恐るぎゅっと閉じた目を開けた

『ユル君!!』

驚いたことにそこには自分の下敷きになっているユルが、苦悶の表情で呻いていた

『ゆ・・・ユル君!だ・・・大丈夫?』
『ダメだろ?チェギョン・・・ちゃんと止まらなきゃ!』
『ブレーキが・・・壊れてたんだよ。』
『ブレーキが・・・壊れていた?ふぅ・・・間一髪だったね。』
『うん。ごめんね。でも・・・ユル君がどうしてここに?』
『なんとなく嫌な予感がして、後を追いかけたんだよ。』
『そうだったの?ありがとう。ホントごめん・・・起き上がれる?』
『う・・・ん・・・』

チェギョンの手を借りて起き上がった時、イギサがその場に駆け付けた

『ユル様・・・どうなさいましたか?』

痛そうにその場に立っているユル・・・代わりにチェギョンが説明をする

『私の自転車が壊れたのを庇って怪我をしたんです。』
『すぐに病院にまいりましょう。』

チェギョンの自転車を道路の脇に停め、二人はイギサの運転する車に乗り込んだ

『すまないけど第一病院にお願いします。チェギョンのお父さんが事故に遭ったと連絡が入ったので・・・』
『かしこまりました。すぐに向かいます。』

イギサは後部座席に二人を乗せ、第一病院に車を走らせた



第一病院に到着した時、ユルはチェギョンに言った

『僕の事はいいから、早くお父さんのところに行って。』
『うん。ありがとうユル君。』

チェギョンは病院の入り口まで走り、受付カウンターの女性に問い掛けた

『あのっ・・・こちらに事故で運ばれてきたシン・ナムギルの娘ですが・・・父は・・・』

するとその女性は怪訝そうな顔をする

『シン・・・ナムギル様ですか?そういった患者さんは本日搬送されていませんが・・・』
『えっ?でも学校に連絡が来たんです。』
『間違いありません。そういった患者さんはいらっしゃいません。』
『えっ?・・・』

受付カウンターで途方に暮れているチェギョンを、イギサに手を借りて入り口から入って来たユルは声を掛けた

『チェギョン・・・どうしたの?』
『お父さん・・・運ばれてないって・・・』
『チェギョン・・・お母さんに連絡してみなよ。』
『あ…そうだ。そうする。』

チェギョンは携帯を取り出すと母スンレの番号を押した

スンレはすぐにその電話を取った

『どうしたの?チェギョン・・・まだ授業中でしょう?』
『お母さん・・・お父さんが事故に遭ったって・・・』
『えっ?何を縁起でもない事を言ってるの。そんなことある筈ないでしょう?』
『でも…お母さんから・・・
お母さん、学校に電話した?』
『してないわよ。何を寝ぼけたこと言ってるの?』
『じゃあ・・・これって・・・』

呆然としたまま母との電話を切ったチェギョンは、特別待遇ですぐに診察が受けられたユルに付き合うことにした

自分を庇って怪我をしたユルを一人にすることなどできなかった


ユルが診察室の中に入ったあと・・・チェギョンは今日の不可解な出来事を考えていた

(お父さんが事故に遭ったというのは…まったくの嘘だった。
つまり私をおびき寄せるため?ううん違う!自転車のブレーキが壊れてた。
朝は何ともなかったのに・・・はっ!ひょっとしたら、私を慌てさせて安全確認もしないままあの自転車に乗せ
事故を起こさせるつもりだった?
じゃあブレーキは・・・誰かが故意に壊したの?)

三次選考会の時の事件がよみがえる

これは明らかに自分を狙った悪質な犯行だ

(一体誰が・・・)

チェギョンは三次選考会の時に逢った娘たちの顔を、一人一人思い浮かべた



診察が終わって診察室から出てきたユルに、チェギョンは駆け寄ると問い掛けた

『ユル君・・・怪我はどうだった?まだ痛む?』
『あ・・・ただの捻挫と打撲だけ。チェギョン・・・すごくスピード出していたから、衝撃が大きかったのかも。
でもこれで分かっただろ?シンの傍にいたら危ないって・・・』
『シン君は関係ないよ。』

以前のチェギョンだったら恐怖心が再び沸いたことだろう

だが今はシンを庇いたい気持ちでいっぱいになった

『こんな時・・・シンは何をしてくれる?何もできないだろ?
もうやめなよ。シンはおとなしく王族の娘と婚姻したほうがいいんだよ。』

チェギョンは頭の中で反論しながらも、その言葉をユルには言わなかった

こんな卑怯な手で皇太子妃候補を辞退させよとする娘たちが、シンの隣に並ぶなんて

到底我慢できなかった

そんな時・・・二人にイギサが声を掛けた

『チェギョン様・ユル様・・・皇太子殿下が東宮にお越しいただけるようにと仰っています。』
『わかった。チェギョン・・・どうせ早退しちゃったことだし、東宮に行こう。』
『うん・・・』

チェギョンとユルを乗せた車は、東宮殿に向かっていく

シンはどうやら学校を早退し、東宮で待っているらしい

さて・・・この三つ巴の話し合いは・・・どんな結末を迎えるのだろうか



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暑くて~集中できない~~!
と・・・庭に出て蚊に刺されまくる私。
蚊もさ・・・死活問題なんだろうけど
痒くするのはやめてほしいよぉ~~!

あ・・・疑心暗鬼になっている方も多いのでは?
この場合・・・王族関係以外の共犯者はおりません。
学校の先生もユル君も
悪い人ではありません。







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