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Channel: ~星の欠片~
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パウダースノーの降る夜に 8

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チェギョンの指先がシンの唇に留まった途端、シンは笑う事を止めそのままチェギョンに視線を向けた

しばし無言のまま見つめ合う二人・・・

チェギョンはハタと我に返りその指先をシンの唇から離しながら、その不可解な行動を誤魔化すかのように

言ってみる

『わっ・・・わっ・・・笑い過ぎっ!!シン皇子~~!!』

上手く誤魔化せたか・・・目を泳がせながら跪いた状態から立ち上がり、すごすごと先程掛けていた場所に戻る

その時・・・天の助けとばかりにチェ尚宮及び女官が弁当を届けに訪れ、テーブルの上に弁当を広げると

恭しく頭を下げ去って行った

再び訪れた静寂・・・シンはチェギョンに向かって食事を摂るよう勧めた

『早く食べよう。』
『うん。』

弁当に手を伸ばす二人・・・何か話しかけたくても墓穴を掘りそうな気がして、チェギョンはひたすら箸を進めた

するとシンは箸を運ぶのを止め、口角を上げるとチェギョンに問い掛ける

『さっきのは・・・一体なんだったんだ?』
『えっ?さっきのって?』

実際シンが指しているのが眉間のマッサージのことなのか、それとも唇に触れたことなのか

どちらなのか返答に迷うチェギョン・・・いや、後者だったら相当拙い

惚けるわけではないが困惑した面持ちで聞き返したチェギョンに、シンは追い詰めるかのように告げた

『これだよ。これ・・・』

シンは自分の指先を唇に当て、意地悪な顔つきで追い打ちを掛けた

『あっ・・・)ひぃ~~!!)だから・・・それは~~~!!笑い過ぎだから黙らせようと思って・・・』
『俺を黙らせる?くくっ・・・それならキスしたら早いのに。』
『うっ・・・・』

あまりにも図星な言葉に、チェギョンは食べていた物を喉に詰まらせて咳こんだ

『ゲホゲホゲホゲホ・・・・』
『くっ・・・大丈夫か?くくくっ・・・実際今にも顔が近づいてきそうだったけどな。』
『ちっ・・・違うからっ!!王族会の娘たるもの・・・そんな自分から・・・襲う様なはしたない真似しないしっ!!』
『ふ~~ん。そうか?くくくっ・・・』

含み笑いをしながら箸を進めるシン皇子・・・嫌味な笑いもまた様になるから憎らしい

『ところで・・・お前たち姉妹は、たとえば相手が決まった後どうなるんだ?』
『どうなる・・・って?』
『皇帝陛下が言うには、クリスマスの25日にシン家の本当の娘が知らされるらしいが
そのあとの事だ。』
『あ~~そう言う事か。うん。恐らくね・・・その日を最後にシン家の姉妹は解散になると思う。』
『解散?』
『うん。シン家の本当の娘以外は本来生まれた家に戻るの。そして婚礼の日までは家族と過ごすの。』
『・・・そうか。でもお前は家族と過ごす時間がゆっくり持てるだろう。』

もちろん確率的に、チェギョンがシン家の娘ではないだろうと想定しての話である

『えっ?どうして?』
『俺とユルは卒業したら二年間留学する事になっている・だからゆっくり・・・家族と過ごせるな。』
『えっ・・・留学・・・・』
『あぁ。もちろんユルの選んだ相手が、シン家の本当の娘だったら、俺は一人で行く事になるがな。』
『そう・・・・なんだ・・・・』

なんだか途轍もなく振り回されている自分を感じるチェギョンである

だが心の中で叫んでいる本当の気持ちを、その時のチェギョンは言葉にできずにいた



シン家の娘達の空気は冷戦状態のままであるが、クリスマスが近づくうち姉妹達の心情も

徐々に変化して行ったようである

それが一番最初に現れたのは五女のスニョンだった

ガンヒョンを相手にスニョンは明らかにファン皇子への好意を口にするようになったのである

『ちょっと~ガンヒョン聞いてよ。ファン皇子ったらものすごく優しいの。
椅子に座る時には先に椅子を引いてくれるし、私をお姫様みたいに扱ってくれるのよ。
私・・・シン皇子に一目惚れしたけど、シン皇子は冷たすぎるもの・・
ファン皇子の方が私には合っているのかも。』

第一皇子のファンも、どうやらターゲットを変更しスニョンに歩み寄ろうと一生懸命なようである

それは…一概に先帝の遣わした≪シン家の娘達の中から伴侶を選ぶ≫と言う使命感が

個人に執着する気持ちに勝ったのかもしれない


そして第三皇子のユルも・・・何度か教室までチェギョンを昼食に誘いに来たものの

その都度シンの元に行ってしまっているチェギョンに見切りをつけ、とうとうヒスンと昼食を共にするようになった

其々の気持ちの中にわだかまりはあるものの、なんとか折り合いをつけようと必死なようである



クリスマスも近づき・・・シン家の父ナムギルは、毎日のように王族会メンバーとの会議で帰宅は深夜になった

そんなある日、チェギョンは帰ってきた父ナムギルに問い掛けてみる

『お父さん・・・聞きたいことがあるんだけど・・・』
『なんだい?チェギョン・・・』
『あのね、クリスマスの日に先帝の遺言が発表されるんでしょう?』
『あぁそうだよ。』
『たとえば・・・その日になったら、シン家の本当の娘じゃない子は一体どうしたらいいの?』

チェギョンの不安ももっともだった

五人のうち四人は、シン家の娘ではないことがその日はっきりしてしまうのだ

『チェギョンそれはな・・・お父さんは最近毎日会議で忙しいだろう?』
『うん。』
『そのクリスマスの日には、他の四家族も皇帝陛下の元に集まるんだ。』
『えっ?・・・本当に・・・?』
『ああ。だから五人のうちの四人は、その日に本来の家に帰る事になる。』
『えっ?そんなに早く?離れ離れになっちゃうの?』
『ああ、まぁそれも仕方のないことだ。』
『そうかぁ。じゃあもうひとつ教えて!シン家の本当の娘と皇位継承した皇子だけが宮殿に残って、
あとの四組のカップルは宮殿を追われるの?』
『う~~む。・・・それも三陛下と王族会メンバーで話し合っているよ。
その日に皇帝陛下から正式な発表があるだろう。』
『そっか・・・』
『どうしたんだい?チェギョン・・・何がそんなに不安なんだい?』
『ん??別に不安なんかないよ・・・』

恐らくシン家の娘が自分であったら、シンは留学せずに婚姻する事になるだろう

そうしたら置いて行かれずに済む・・・

(私がシン家の本当の娘だったらいいのに・・・)

今チェギョンが密かに願う事は、≪シンが自分を置いて留学しませんように≫という事だけだった

短期間の間にすっかり気持ちを奪われてしまったチェギョン

そんな気持ちはチェギョンのみならず、他の姉妹にも徐々に伝染して行くのだった



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書けたので出しちゃう♪
次回…暴走・皇后ミン様のクリスマスイブに向けた策略~~♪
乞うご期待ください❤

ところでね・・・ムーミン・・・コタツムリになっている場合じゃなかった。
肥えて・・・おったよ
ただ今肥えてゾーンのムーミンです。
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!



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