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Channel: ~星の欠片~
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パウダースノーの降る夜に 9

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一番最後まで自分の気持ちを押し通そうと足掻いていたのはヒョリンだった

ヒョリンは意中のシンを射止めたチェギョンに、姉妹の中で最後まで意地悪な態度を取っていたのだが

どうやらそれも終わりの時が近づいたようだ

クリスマスも近づいたある日・・・ヒョリンはレッスン室で一人踊っていた

シンに近づこうと何度も茶番な真似をした自分を、惨めに想いながら踊っていた

怒りを踊ることで昇華しようとしていたその時のヒョリンは、傍から見て痛々しいほどだった

そう・・・誰もいない筈のレッスン室の外では、第二皇子のインがその自分を痛めつける様なヒョリンを

黙って見守っていたのだ

そんなことは全く知らないヒョリンは、半ば自暴自棄のレッスンを一人続けていたのだが

やはりそのような気持ちでのレッスンは集中力に欠けるようで・・・スピンした瞬間着地に失敗し

床の上に倒れ込んだ

『イタッ・・・痛いっ!!』

捻った足首を手で押さえ擦ってみるのだが、痛みは一向に引かない

(罰が当たったんだ。チェギョンに意地悪ばかり言うから・・・罰が当たった・・・)

涙目になり俯いたヒョリンに、レッスン室の扉を開け駆け寄ってきた人物がいた

もちろんそれはイン皇子だった

『大丈夫か?ヒョリン・・・』
『イン皇子、どうしてこんなところに?』
『ここは母校だから顔パスで入れる。君がレッスンしているって聞いて見に来だんだ。
足首…捻ったのか?』
『はい。』
『行こう。』

言うなりイン皇子はヒョリンを抱き上げた

『えっ?どこに?』
『北宮殿だ。俺の侍医に診て貰うんだ。』
『えっ?そんなの大げさ・・・』
『大げさなものかっ!踊ることが生き甲斐の君が踊れなくなったら困るだろう?』

有無を言わさずヒョリンを公用車に運んで行くイン皇子。公用車に乗せられ北宮殿に車が向かって行く中

ヒョリンは隣に座るイン皇子の横顔をこっそり窺った

するとイン皇子は心配そうに自分の顔を見つめている事に気が付く

『もう・・・俺にしろ!君の事を一番理解できて、いい面も悪い面もすべて愛せるのは俺だけだ。』

その通りかもしれない・・・ヒョリンは素直な気持ちで思った

自分の中に渦巻く嫉妬の黒い感情も、この人はすべて見通しそれでも愛してくれる・・・

『はい。』

当てつけや意地ではない。素直な気持ちで頷いたヒョリン・・・自分が幸せになれる道は、

イン皇子の元にしかないと漸く気がついた様である






クリスマスイブ当日・・・皇后ミンは何やら忙しそうに、五人の皇子達の宮殿を一つ一つ回る

まずは第三皇子ユルの住む西宮殿・・・

皇后が時折途轍もない事をしでかす事を知っている皇帝陛下は、心配になり様子を見に行った

『皇后・・・何をして居るのだ?』
『陛下・・・おほほほほ~~内緒ですわ。』
『内緒ですわって言いながらも、その手に持っている物は電球ではないか。ははは…』
『あら、ばれてしまいましたか?そうなんです。今宵はクリスマスイブ・・・大事な皇子達が
運命の女性としっかり気持ちの確認が出来る様に、少しばかり手助けをしませんとね。ほほほ~~♪』
『少しばかり?それにしても大仰な仕掛けだな。ははははは・・・』
『大仰?嫌ですわ陛下。本日は皇子達がロマンチックなプロポーズを敢行する日ですのよ♪
どれだけしても足りないくらいですの。』
『ははは・・・・そうか。それにしても・・・そなたはやはりユルを一番に考えるのだな。』
『ええ。そうしないと気が済まないんです。』

沢山の電球をデコレーションした西宮玄関と玄関に続く庭の一角

そこには沢山のキャンドルが並べられており、その時が来るのを待っている

キャンドルに導かれるように進んでいくと、一番奥に椅子が用意されており傍らに置かれたテーブルには

色取り取りの花が生けられている

陛下は皇后を見つめ、限りない感謝の視線を贈った

『よくやってくれた。そなたは本当によくやってくれたな。
早いものだ。あれからもう18年も経つ。あの悲しい事故で兄夫妻が亡くなってから・・・』
『そうですわね陛下。もうそんなに経つのですね。ユルも立派な大人になって、きっと天国のお二人も安心して
くださっていることでしょう。』
『そうだな。本当だったらユルは、義姉のお腹の中で亡くなっていてもおかしくない状態だった。:

二人は忌まわしい事故のあった18年前に思いを馳せる

本来皇太子殿下だった兄と皇太子妃だった義姉。二人はその日事故に遭いその命を落とした

皇太子妃ソ・ファヨンのお腹の中には、妊娠八カ月の胎児が宿っていた

事故直後緊急搬送された王立病院にて、胎児の心音が確認できた医師は先皇帝陛下の指示を得て

その胎児を帝王切開で出産させたのである

誠に残念なことに皇太子は病院に搬送された時点で死亡が確認され、また皇太子妃も

手の施しようがない状態での手術であった為、皇太子の後を追う様にその人生の幕を降ろした

その後皇位を継承した弟夫妻は、話し合う事もなくその時生まれたユルを現在妊娠中の我が子と

双子として育てる覚悟を決めた

これは当時執刀した医師と数名の看護師・・・そして先帝と皇太后・そして現皇帝陛下夫妻しか

知らないことなのである

陛下は皇后を見つめ、その電球を握り締めている手を取った

『そなたが分け隔てなく、我が子と同じ様にユルを育ててくれたおかげで
ユルも寂しい思いなどせずに済んだ。』
『当然のことです。ユルは…確かに私が産んだ子ではありませんが、私の育てた私の子です。
それに不慮の事故で急逝されたお義兄様お義姉様の分も幸せにならないといけないのです。』
『先帝の平等の精神は、そなたが身を持って実践してくれた。感謝する。』
『ええ。ユルにも皇位継承のチャンスが無ければおかしいのです。これで・・・良かったんです。
さぁ・・・陛下。陛下とお話していると西宮殿の飾り付けだけで終わってしまいますわ。
ワタクシ・・・忙しいんですの。おほほほほ~~~♪』

皇后ミンはユルの住む西宮殿の飾り付けを終え、次は第一皇子ファンの住む中宮殿に向かって行った

大切な愛する五人の息子達が、幸せなクリスマスイブを過ごせるようにと・・・

ミンは思いつく限りのロマンチックなデコレーションを、各宮殿にして回るのであった



そしてすべてのデコレ-ションが終わった時、各宮殿には皇子達がシン家の娘を連れてくるのである

その様子は・・・次回クリスマスイブに・・・♪



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リクエストくださった方の中になかった展開を
持ってきてしまいました~~★

週末は少しばかり忙しくって・・・
次回クリスマスイブにお話しアップさせていただきますね❤
どうぞよろしくお願いします❤

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