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俺様的略奪白書 10 (最終話)

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いよいよ社会人としてスタートを切る日・・・俺とチェギョンは母が購入してくれたスーツを共に纏い、

イ財閥本部ビルに向かった

母が購入してくれたとは言っても、もちろんその買い物に俺達は一緒に付き合った

なぜなら・・・母は≪ここぞ!≫と言う時には、とんでもない気張り方をする

買って貰ったあとで着ないとは俺もチェギョンも言い難い。やはり同行して良かったよ。

俺など年末のどこかの歌謡祭で新人賞を獲った歌手か?と思われるほどの、ド派手なスーツを

買おうとしたのだから。

そんな物を着せられた日には、入社即日専務取締役に就任する俺様の沽券にかかわる

本部ビル駐車場でチェギョンと別れ、俺達は別々のエレベーターに乗り込む

公私混同しない・・・仕事をする上でチェギョンと交わした約束だった


最上階のホールに到着すると、既に俺様を待っていた役員に導かれ・・・俺は役員席へと着席させられた

新入社員達は既に着席しており、その横を堂々と通っていく俺様に熱い視線を向けてくる

まぁ、そんな中でも俺様を見ようともせずしっかり前を向いたチェギョンだけが、光り輝いて見えた

司会進行役の重役の声で、新入社員代表の挨拶が始まった時・・・不覚にも俺様は

≪そのポジションは本来俺のものだ≫と心の中で毒づく

いや・・・毒づいている間もなく不意打ちの言葉が、司会進行役から放たれた

【では・・・突然ではございますが、本日専務取締役に就任されたイ・シン様より一言お願いいたします。】

なにを~~~!!そんなの聞いてないっ・・・

冷や汗が流れそうな気分を、俺は得意のポーカーフェイスで隠し・・・壇上中央にあるマイクに向かった

『皆さん・・・本日は入社おめでとうございます。そう言う私も・・・実は本日入社したのですが
皆さん同様、この会社の歯車となるべく努力して行く所存です。
小さな歯車も・・・ひとつとして欠けては大きな歯車は回りません。
皆さんもどうかそのつもりで一緒にこの会社を大きくしていきましょう。』

新入社員達の羨望の眼差しと大きな拍手を浴び、俺は自分の席に戻った

付け焼刃の割りには上手く言えたと自画自賛する

新入社員達の中で、一際輝く笑顔をくれたのは・・・やはり俺のチェギョンだった



順調に日々の業務をこなして行く俺達・・・俺は会議や会長である父と共に支部に赴くことも多く

なかなか社内ではチェギョンに逢えない

父に聞いたところによると、チェギョンは広報部で企業広報パンフレットやDVDを作る仕事に勤しんでいるそうだ

入社から一カ月・・・あまりにも逢うことのないチェギョンに業を煮やし、俺は昼休みに一度も行った事のなかった

社員食堂に行ってみることにした

そうしたらなんと・・・チェギョンの周りには男性社員が群がっているじゃないかっ!!

いや・・・群がっているのは男性社員だけではないのだが、とにかく俺様にはカチンとくる光景だった

俺様は態とチェギョンに見える席に座り、コーヒーの入ったカップを片手に持ちながら何気なく

そちらに視線を向ける

するとなんてことだ!!あの採用試験№2の奴が、チェギョンに一生懸命話しかけている

<コホン>

態とらしく咳払いなんかしてみる

チェギョンは俺に気がついたようで、傍に来たいのだが来られないと言いそうな顔つきだ

『あ!!専務・・・社員食堂にいらっしゃるなんて珍しいですね。』

一人の女性社員がその席を立つと俺の元にやってくる・・・あぁ・・・面倒くさい

『いや、ちょっと社員食堂の様子を見たかっただけだ。すぐに退散するから、話を続けてくれ。』

俺が席を立つと女性社員は残念そうな視線を俺に送った・・・そんな視線を送られても堕ちねーよ。

俺様はチェギョンのものだからな。くくっ・・・

俺がエレベーターに向かって歩いて行くと、あとから誰かが走って追いかけてくる気配がする

『専務さん・・・何か落とされましたよ♪』

その声に振り向くとチェギョンが満面の笑みを浮かべ、俺に小さなメモ書きを手渡した

【シン君カッコいい~♪今夜は味噌チゲを食べようね♪】

くっ・・・思わず笑みが零れたが、その時俺はチェギョンについて何か違和感を覚えた

左手の薬指にいつもしている指輪が無い・・・

思わず俺は小声で問い掛けた

『指輪は?どうしたんだ?』
『あ・・・ここ・・・』

チェギョンは制服の胸元からチェーンを引っ張りだし、そこに通っている指輪を俺に見せた

そこで問い詰めるのはチェギョンとの約束違反だ

マンションに戻ってからチェギョンを問い質すと、チェギョンは唇を尖らせて言ってのける

『だってシン君・・・新入社員が薬指に指輪なんかしていたらね、お局様に睨まれちゃうんだよ~~~!!
女の世界は怖いんだって・・・』

チェギョンの言う事にも一理ある

だが・・・あの社員食堂で見た№2は、どうも俺のチェギョンを狙っているような気がしてならない

俺はスケジュールを見つめチェギョンの誕生日を確認する・・・生憎、、今年の誕生日は平日だった

今年は別荘に行けない

仕方がない・・・この部屋中に花を飾り付け、今度は石付きの指輪も用意しよう

あの時拒絶された23歳の誕生日から先の人生を予約するべく、万端の準備をしよう

ここにはピアノも置いていないが・・・きっとチェギョンは頷いてくれるだろう

そうしたら・・・もう堂々と指輪をしていてもいいよな?チェギョン・・・

20歳の時チェギョンの存在を知り、チェギョンの心を手に入れるために画策した俺

俺様の愛はこれからもチェギョン一人のものだ

だから・・・次の誕生日は頷いてくれ

俺様だけのチェギョンになると約束してくれ・・・




俺様的略奪白書 完

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★あとがき★
前作と合わせて15話という短いお話でしたが
皆様楽しんでいただけましたでしょうか。
俺様・・・にお付き合いいただき本当にありがとうございました❤

また来週からは200万HIT記念のお話
【パウダースノーの降る夜に】という
お話を始めさせていただきます。
そのお話につきましては・・・
明日少しばかり説明させていただきますね~~★

では今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます❤

~星の欠片~ 管理人 ★ emi ★

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