夜空に浮かんだ雲が
蒼い蒼い月を隠す
月を隠した雲は暗雲か・・・はたまた青雲なのか
雲に隠された蒼い月の光は
シンの元に届かない
【蒼い月】
俺の許嫁シン・チェギョンが宮殿からの帰宅途中事故に遭い、チェ尚宮・運転していたイギサと共に
忽然と姿を消してもう三年が経つ
当時まだ中学三年生だった俺達は、受験に向けて勉強に勤しむ毎日だった
その上チェギョンには訓育という重大な使命もあり、宮を訪れても俺と過ごす時間は短く常に忙しくしていた
その日もチェギョンは皇后様の下で厳しい特訓を受け、それから東宮殿に立ち寄った
『はぁ~シン君、疲れちゃったよぉ~!』
『くっ・・・皇后様は手厳しいからな。』
『うん。手加減なしだよ!でもね・・・いつも皇后様は特訓が終わった後、美味しいお菓子をくださるの~♪』
『っつ・・・食い意地の張った奴・・・』
憎まれ口を利きながらも俺達はいつか・・・一緒になることを受け入れていた
『じゃあね~シン君、また明日♪』
笑顔で手を振って公用車に乗り込んだチェギョンの顔が今も忘れられない
幼い頃から許嫁だと言われ、いつも隣りにいたチェギョン
そのチェギョンが突然いなくなって・・・俺は初めてチェギョンの存在の大きさに気づいた
気づくのが遅すぎた
なぜ姿を消したのか・・・その理由もわからないまま時だけが過ぎていった
イギサとチェ尚宮による誘拐だとか・・・もう既にこの世にはいないとか・・・
実しやかな心無い噂が飛び交い俺を苦しめる
皇太子の許嫁といったら公人だろう?
なのに事故から一年も経たないうちに、皇室警察の捜査は打ち切りとなり・・・チェギョンとその時車に乗っていた
チェ尚宮とイギサの行方も分からないままだ
業を煮やした俺はチェギョンの家・・・つまりシン家を訪ねてみることにした
チェギョンの両親なら・・・何か知っているかもしれない
だが・・・チェギョンの両親も事故のすぐあと姿を消したという・・・
一体・・・何が起こっているんだ
チェギョンは・・・今どうしているんだ・・・
半ば自暴自棄になっていた俺に寄り添ってきた女がいた
王族の息女ミン・ヒョリン
俺は何もかもが面倒になり、ミン・ヒョリンが傍にいることを拒まなかった
なぜなら・・・チェギョンのいなくなった場所がぽっかりと空いてしまい、寂しくて堪らなかったからだ
ミン・ヒョリンがその空白を埋めることなどできない
だが・・・いないよりマシ・・・その程度の存在だった
ただ常に傍にいるだけ・・・それだけで満足してくれていたらよかったのに、とうとうミン・ヒョリンは皇太子妃の座を
欲し始めた
『殿下・・・もうすぐ殿下も18歳ですね。そろそろ・・・私との婚姻をお考えくださっても
よいのではありませんか?』
婚姻?一体誰と誰がだ?俺はその時初めて自分の愚かさを呪った
そうだ・・・王族の女が俺に近づいて来る理由なんてひとつしかない
そんな事さえ計り知ることができなかった自分自身を、心から愚かしく思った
『婚姻?くっ・・・俺には許嫁がいる。』
『殿下・・・シン・チェギョンさんなら、失踪してもう三年も経つんですよ。
その間殿下にお仕えしたのはこの私です。』
皇太子妃狙いが目的ならろくに返事もしない俺の隣で三年間耐え続けたとしても、苦労のうちには
入らなかったのだろうな
俺はそれ以上その話を聞きたくないと、ミン・ヒョリンの傍を離れた
ただ・・・そこにいてくれればいい存在だった
そちらを向けばチェギョンが微笑んでいると、錯覚させるだけの存在でいてほしかった
何も話さず・・・黙ったままその場所にいてほしかったミン・ヒョリンが、俺にとって一番厄介な存在になってしまった
チェギョンは・・・なぜ戻ってこない?チェ尚宮も一緒に消えたイギサも依然として行方は分からない・・・
私はチェ・チュナというらしい
なぜらしいという不明確な表現になるかというと、ここ三年以前の記憶がまったくないからだ
お姉ちゃんの話によると、私たちは三年前事故に遭ったそうなんだけど・・・
一緒に住んでいるコお兄さんはお姉ちゃんの恋人・・・ではないみたい
一体どんな関係なのか探りを入れてみたけど、お姉ちゃんはいつも笑って誤魔化すだけだ
三年前・・・病院のベッドで目覚めた時、私は顔に大怪我を負っていた
腕のいいお医者さんのおかげで顔の傷は元通りになったけど、実はお姉ちゃんやお兄さんの方が
大怪我していたのを私は後から知った
二人共身体中のあらゆる個所に傷を残しているのだ
なのに私の退院が決まった時、怪我が治っていない二人も退院をした
両親は?その問いかけにお姉ちゃんは≪ずっと昔に亡くなった≫と教えてくれた
だけど不思議なんだよね
写真くらい残っている筈でしょう?一枚もないの・・・
その問いかけにお姉ちゃんは『ずっと昔、火事で焼けてしまったの。』と答えた
事故だの火事だの物騒な私の家だ
うちってお金持ちなのかな・・・家は結構大きくて、立派な造りだ
なのにこの家にはテレビもないし電話もない
その上近くに家もない
そんな場所に三人で暮らしている
学校?学校には行っていない
なんでも通学するのを免除されているとか?よくわからない理由で家には毎日いろんな先生がやって来る
でも学校で教わるような教科ばかりじゃなく、こんな事将来役に立つの?と思えるような難しいことまで・・・
お姉ちゃんとコお兄さんは何のお仕事をしているんだろう
ほとんどうちにいる
時々訪ねてきた人と部屋に籠って話をしていたり・・・なんだかよくわからない二人だ
秘密が多そう
そんな二人がある日・・・出掛けると私に言う
『チュナ・・・コさんと出掛けて来るから、あなたは漢詩の復習をしていてね。』
『うん、わかったよお姉ちゃん。』
『チュナ何度言ったらわかるの?お姉ちゃんじゃなくお姉さんと呼びなさい。』
『はぁ~い、行ってらっしゃいお姉さん!』
『解っていると思うけど外には出ないのよ。』
『はぁ~~い。』
不満げに二人を送り出した私
別に監禁されている訳じゃないので、外になんかいくらだって出られる
でも・・・事故の後二年ほどはやはり恐怖心があるのか、家の敷地内にさえ出られなかった
二人が揃ってお出掛けなんてこんなチャンス・・・滅多にないよね・・・
二人が出掛けていった後私は家に鍵をかけ、初めて敷地内から外に出て行った
ここって・・・相当山深いところなのかな・・・
見渡す限り木々の緑しかない
敷地を出てからの一本道を、私は探検するかのように下りて行った
うちが建っているのは小さな山の中なのかな・・・歩いてみてそんな感じだった
もちろん途中で喉も乾くだろうしお腹も空くだろうから、ペットボトルのミネラルウォーターとお菓子は必需品♪
だけどすごく歩くかと思ったら、一時間も経たないうちに商店街みたいな風景が見えてきた
あ~お金持っていればよかったのに・・・お金なんて持っていない
てか…この山って我が家の所有なのかな
途中に家なんか一軒もなかった
建ち並ぶ商店・・・なんだかわくわくする~♪
あ~なんかすごくいい匂いがする。あれは大好物のトッポギじゃ?
残念だなぁ・・・お金持ってないや
あれ?そういえばお姉ちゃんは、トッポギなんか作ってくれたことがない
いつもなんだか畏まった料理をたくさん並べる
でも・・・私はトッポギの味を知っている・・・ん~?
自分の胸の中に疑問ばかりが広がっていく
考えてみれば不自然なことばかりだ
その時・・・書店の店先に新聞を見つけた
なになに?皇太子殿下に婚約の噂?その記事に載っている写真を見た時・・・
私の胸の中に懐かしさがこみ上げた
それと同時にもう一枚隣に載っている女の子を見た時、私の胸に怒りがこみ上げた
≪私の男になにをするのよ!≫
心の中で叫んだその言葉に非常に躊躇する私・・・
皇太子殿下を私の男だなんて言ってのける私って・・・一体何者なんだろう?
七周年記念のお話です❤
どうぞお付き合いくださいね~♪
昨日はたくさんのお祝いコメントを頂戴し
ありがとうございました❤
頑張るぞ~って気分になりました♪
ところでさ・・・ダイエットスリッパってあるでしょう?
あのかかとが短いスリッパ
あれ履いて普通のスリッパになっちゃうのって
私だけ?(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
どうぞお付き合いくださいね~♪
昨日はたくさんのお祝いコメントを頂戴し
ありがとうございました❤
頑張るぞ~って気分になりました♪
ところでさ・・・ダイエットスリッパってあるでしょう?
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あれ履いて普通のスリッパになっちゃうのって
私だけ?(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!