『オッパ・・・ガンヒョン先生の赤ちゃん、どんな子でしょう~~♪』
チャン家に向かう車の中、チェギョンは助手席で大事そうにお祝いの絵を抱き締め目を輝かせた
『そうだな。ガンヒョンに似ればクール、ギョンに似たらおしゃべりかな。くくっ・・・』
『え~~っ!まだ赤ちゃんだからおしゃべりなんかしませんよぉ~。』
『確かに・・・。だが赤ん坊の要求の表現は泣くことだろう?ギョンに似ていたらとてもよく泣く子かもな。』
『え~~まさかぁ・・・』
チャン家に到着し家の中に通された時、二人はシンの予想が正しかったことを知った
『ふんぎゃ~~~!!ぎゃぁ~~~!!』
そのすさまじい泣き声はベビーベッドの中から響いて来る
『よく来てくれたね~~♪』
『ようこそイ・シン・・・チェギョン♪』
『ガンヒョン元気そうだな。それに赤ん坊も・・・活発そうだ。』
『ガンヒョン先生~♪おめでとうございます♪』
早速二人はベビーベッドに向かいギョンとガンヒョンの第一子の顔を拝む
『ふんぎゃ~~~!!んぎゃっんぎゃっ!!』
あまりに大きな声の赤ん坊に、新生児が身近にいなかったシンとチェギョンは一瞬怯んだ
『もぉ~ごめんね。こいつ構ってくれないとこうやって泣き続けるのよ。ギョン~ちょっと抱いててよ。』
『いやだよ。こいつ・・・俺が抱いても泣き止まないもん。』
『仕方ないわね。』
ガンヒョンはベビーベッドを覗き込むと、泣き叫ぶ赤ん坊を横抱きにした
すると驚いたことに赤ん坊の泣き声はぴたりと止まった
『すごい・・・』
『ね・・・すごいでしょ?ふふふ・・・』
『こいつこうやってガンヒョンを独り占めするんだ。』
『ギョン・・・お前にそっくりだな。くくくっ・・・』
『酷いな~シン。』
チェギョンはガンヒョンの胸元で機嫌を直した赤ん坊の頬にそっと触れた
『わぁ~ホッペがプニプニ~♪色が白くて・・・ガンヒョン先生に似てる?』
『よくそう言われるわ。性格はギョン似だけど・・・ふふふ・・・』
『可愛い~♪』
『チェギョン・・・抱っこしてみる?』
『えっ?怖いですよぉ・・・もし落としたら大変。』
『不思議と落とさないものよ。どうぞ。』
『はいぃ~♪じゃあ・・・ちょっとだけ・・・わぁ~温かい。あれ?それに泣かない。』
『アンタが抱いたからよ。これがイ・シンだったらきっと大泣き。ふふふ・・・』
『はぁ~柔らかくってそれになんだかとってもいい匂いがする。』
横からギョンが顔を出す
『それは俺の手柄だよ。俺が毎晩風呂に入れてやってるからさ~♪こいつは嫌がるけどね。ははは・・・』
『ギョン・・・この子の名前は?』
『ギョンスだよ。』
『ギョンスか。ギョンに似るわけだな。くくっ・・・』
『あ・・・そうだオッパ・・・お祝いを渡さなきゃ。』
『あぁそうだな。』
ガンヒョンはチェギョンからギョンスを受け取り、再び胸に抱いた
やはり母の腕の中の方が心地よいのかギョンスはうっとりした顔でまどろみ始めた
『ギョンさんガンヒョン先生、これです。気に入って頂けるかどうか・・・』
おずおずとラッピングされた絵をギョンに差し出すチェギョン
ギョンは嬉しそうにそのラッピングを剥がし呟いた
『ようやく≪魂の輝き≫の本物とご対面か~♪』
『えっ?』
『知らないとでも思った?新聞に載ってたよ。ほら・・・』
ギョンが目で示したテーブルの上には、あのコンクールの入賞作品が掲載されていた
『もう知っていたんですか?ひぃ~~!!』
『すごいなぁ。コンクールで入賞した絵を頂けるなんて嬉しいよ。おぉ!!見てごらんガンヒョン!!』
『わぁ・・・アンタ、やるわね。』
『この絵はすごく縁起がいいじゃないか。ギョンスの未来が約束されたようなものだな。ははは・・・』
『ええ。すごく神々しいわ。早速リビングに飾りましょう。そしてギョンスが物心ついた時には
チェギョン・・・アンタの作品だって自慢するわ。』
『ありがとうございます。喜んでいただけて嬉しい・・・』
チェギョンの絵が喜ばれたことを嬉しく思いながらも、これはチェギョンからのお祝いであり自分は何一つ
貢献していないと思ったシンは、内ポケットの中から封筒を取り出した
『これは無粋なんだが・・・俺からの出産祝いだ。』
封筒を手渡されたギョンはそっとそれを覗いてみる
『お!ガンヒョン・・・この絵だけで十分なのに、高級デパートの商品カードだ!』
『あ~~もうイ・シン・・・そんなに気を遣わなくていいのに・・・』
『気持ちだけだ。受け取ってくれ。』
新しい家族ギョンスを迎え幸せそうなチャン・ギョンとイ・ガンヒョン夫妻
帰りの車の中でシンはチェギョンに問い掛けた
『赤ん坊・・・欲しくなったか?』
『はいぃ~♪正直欲しいと思うけど、まだ早いかな。だって・・・大学卒業まであと三年もあるんです。
それに・・・大学在学中に、なんとしてもあのコンクールで一位を獲りたいし♪くすくす・・・』
『そうだな。』
穏やかに微笑み合う二人・・・まだその時期ではないと互いに思いながらも、やはり身近に愛らしい赤ん坊が
生まれるとどこか母性本能・父性本能をくすぐられるようである
それから月日は流れ・・・シンは仕事に忙しく、またチェギョンは家事と学業の傍らで絵を描き続けていた
もちろん出品者の中には、そのコンクールがすべての人も多いわけで・・・
チェギョンは入賞常連者になったが、やはり一位を獲ることはできなかった
そうしてコンクールに出品するようになって四度目の秋・・・チェギョンは大学四年生になっていた
卒業制作も忙しい中・・・原点に戻ろうと思ったチェギョンは、今の自分自身の気持ちを絵に込めた
高校一年生で結婚してから七年・・・ずっと包み込むような愛情で自分を慈しんくれたシンに対する今の想い
出逢った頃と愛する気持ちは変わっていないが、それよりももっと深くてもっとおおらかな想い
そんな気持ちを精一杯込めた
毎年やって来るコンクール主催者からの招待状を今年も受け取ったチェギョンは、家族総出で会場に向かう
さすがに四度目ともなると堂々としたもので、一位を獲った時の為にと女流画家にふさわしい装いで
会場に向かった
(あ~頼むよ。今度こそ・・・今度こそは一位に~~~!!)
なぜチェギョンが一位に拘るのかというと、一位に輝いた者には画壇デビューが約束されているからだ
だがシンは正直一位を獲ってほしくないと思う気持ちもあった
なぜなら一位を獲った者には画壇デビューの副賞として、二年間の海外留学の権利も受けるのだ
シンにしてみたら愛する妻を手放したくない・・・それが本音だった
五位入賞者からいつものように司会進行役は名前を呼び始めた
さてチェギョンのシンへの愛は・・・どのような評価を受けるのだろうか
一話で三年もぶっ飛んでしまったの(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
さて~チェギョンの絵の結果は
どうなるんでしょうね♪
なお≪晩夏の熱風≫は50話で完結させていただきます。
その後はクリスマスのお話を今年いっぱい書こうかな♪
あ!≪いにしえ≫も完結させますね~★