慌ただしいチェギョンの春休みが終わり、いよいよ大学生となる日がやってきた
チェギョンは今日も意気揚々と愛車の赤い自転車を押し母屋まで行くと、ミンに声を掛けた
『お義母様~では行ってまいります~♪』
ミンはいそいそと玄関に駆け付け、チェギョンの様子を見て慌てた
『ちょ・・・ちょっと待ってチェギョンちゃん、あなたそのスーツで自転車に乗るつもりなの?』
『えっ?はい~~♪』
『ダメよチェギョンちゃん、そのスーツのスカートはタイトミニなのよ。それで自転車になんか乗ったら
ふとした拍子に破れて大胆なスリットが入ってしまうわ。折角の入学式に恥をかいちゃうわ。』
『えっ?本当ですか?』
半信半疑になりながらチェギョンは自転車に跨ってみる
そして確かに危険と隣り合わせなのが、チェギョンにも十分理解できた
『あ・・・お義母様本当です。あ~~じゃあ急いでバスに乗らなくちゃ・・・』
『もぉっ!チェギョンちゃんったら・・・送ってあげるわ。ちょっと待っててね。』
ミンはチェギョンを助手席に乗せ自ら運転してチェギョンを送ることにした
普段着の上に薄手のコートを羽織っただけで財閥の奥様が出来上がってしまうのだから
ミンのオーラは本物だ
『チェギョンちゃん・・・帰りは電話してくれたら迎えに行きますからね。』
『えっ?お義母様忙しいのによいのですか?』
『あら~可愛いお嫁さんを迎えに行くこと以上に大事な用事なんてないわ。おほほほほ~♪
そうそう!!きっとサークルの勧誘がすごいと思うの。お友達と相談して、一番興味を持ったところに入るのよ。』
『あ・・・でもサークルなんて入ったら、いろんな行事も多いですし・・・主婦業に支障が・・・』
『チェギョンちゃん、何を言っているの?今が一番楽しい時期なのよ。サークルには入りなさい。
シンだってきっと同じことを言うはずよ。』
『帰りが遅くなっても・・・いいんですか?』
『ええ。お友達とのお付き合いだって今のうちにしておかなくちゃね♪
ただでさえチェギョンちゃんはもう結婚しているんだから、それだけで行動の制約がされてしまうでしょう?
そんなの折角の青春が勿体無いわ♪ねっ・・・一番興味を引かれたところに入りなさい。』
『はいっ!ありがとうございます。』
理解のある義母ミンに送り出され、チェギョンは大学の門をくぐった
入学式でチェギョンはシンの従兄弟が紹介されるのを目にし、目を輝かせた
(おぉ~イ・ユル助教授カッコいい♪見て~周りの女子学生みんながユルさんに視線集中しているよ~。
オッパの従兄弟なんだもん。それも当然か~。あ~~なんかオッパが先生だった頃が懐かしいな~♪)
そんなことを思い出しうっとりとしていたチェギョンに、いきなりユルはウインクを投げかけた
(うっ・・・ユルさん、いくら従兄弟の嫁だからってそんな目立つことはやめてください~~!
ひぃ~~私の周りの学生、みんな自分にウインクされたと勘違いして、目がハート型・・・。ぷぷぷ・・・)
シンの従兄弟ユルもチェギョンにとっては恩師となりそうだ
入学式が終わったあとチェギョンの元には高校時代からの友人ホン・ミスクが駆け寄って来る
『チェギョン~~わぁ・・・なんかすっかり奥様風だね。』
『えっ?それはひょっとして老けたってこと?』
『違うよぉ~!!すごく落ち着いて綺麗になったってことだよ。どう?新婚生活は・・・』
『えっ?///えへへ~~♪///』
『あ~~もう、あんないい男捕まえるなんて、国一番の果報者じゃない?』
『でしょ~。私もそう思う。』
『上手くいっているんだ。イ・シン先生と♪』
『もちろん~~❤』
今ならいくらでも答えてしまいそうなシンとの仲
こうやって堂々とシンのことを話せるのがとても嬉しいチェギョンだ
ふと気が付くと・・・周りの視線が自分に向けられていることに気が付いたチェギョンは、ホン・ミスクに尋ねた
『ねえミスク・・・私、なんかみんなから見られていない?』
『当り前でしょう?この大学のトップ合格者で既に既婚者。しかも相手はイ財閥の御曹司。
あんたが噂にならない筈ないでしょう?』
『あ・・・そっか。くすくす・・・』
『くすくすじゃないよ。全く呑気なんだから・・・』
サークルの勧誘でごった返す中・・・新入生の中でも一番の有名人を呼ぶ声が響いた
『シン・チェギョン!!』
『えっ?誰だろう・・・』
そう思いその声の方向に向かっていったチェギョンとミスク
『久しぶり~♪』
屈託のない笑顔を向けて来る男子学生がいた
『どちら様ですか?』
怪訝な顔でそう答えたチェギョン・・・その学生の事を思い出したのはミスクの方だった
『チェギョン・・・ほら、二年前の夏にあんたを送ろうとした人だよ。』
『あっ!!私のバッグ強奪した人!!』
チェギョンのその驚愕の表情を見て、男子学生が苦笑いしながら答えた
『強奪なんて酷いなぁ。名前を聞いて驚いたけどやっぱり君だっったんだ~♪
トップ合格おめでとう。それに・・・結婚したんだって?』
『あ・・・ありがとうございます。はい!!結婚しました♪』
隙を作るまいという新妻の心得はしっかり持っているチェギョンだ
『あの時の・・・彼?』
『えっ?・・・』
いきなり核心を突かれ、チェギョンは動揺する
そう・・・あの時迎えに来たシンにチェギョンは救われたのだ
でなければ危険な目に遭っていたかもしれないと、あとで深く反省した
チェギョンは毅然とした態度で男子学生に答えた
『そうです。』
『そうか~。あんな大人が相手じゃ・・・太刀打ちできる筈ないな。』
『その通りですっ!』
『ははは・・・。ねえチェギョンとミスクだっけ?美術サークルに入らない?
俺は四年生だからもう引退したんだけど・・・今日は新入生の顔が見たくて勧誘に参加したんだ。
君達美術科専攻でしょ?』
『はい。』『そうです。』
『見学だけでもしていってよ。』
『『はい!!』』
その男子学生の案内で美術サークルを見て回ったチェギョンとミスク
そこには高校時代美術部では使うことのできなかった、高価な画材や絵の具などもたくさんあり
チェギョンもミスクも目を輝かせた
『俺はコン・ジョンイ・・・四年だから滅多に顔は出せないけど、入って貰えないかな?』
チェギョンは一瞬迷った
この恵まれた環境でなら、思う存分絵が描ける
だが・・・あの海の一件がある以上、手放しで彼を信用してサークルに入るなんてできない
しかしホン・ミスクは違った
『私入ります!』
『ミスク~~決定が速すぎるよ!!』
躊躇したチェギョンの背中を押すように、ある人物が部室に顔を出した
『あ~~チェギョン♪こんなところにいたのか~♪』
それは助教授になったばかりのイ・ユルだった
『ユルさん・・・どうしてここに?』
『あ~~美術サークルの顧問を頼まれちゃってね。チェギョン入る?』
『えっと・・・今、考え中です。』
『考えるまでもない。僕が顧問なんだから入りなよ。シンだって安心するだろう?』
チェギョンの隣でユルの顔を見てうっとりしているミスクが、チェギョンに耳打ちした
『ちぇ・・・チェギョン!一体どういうこと?なぜあんたがイ・ユル助教授と知り合いなの?』
『あ~オ・ユル助教授はイ・シンさんの従兄弟なんだ。』
『うっそ~~~♪それは願ってもない・・・』
ミスクの心はどうやらイ・ユルにすっかり奪われてしまったようだ
『じゃあ二人とも入部に決定ね~♪』
イ・ユルの押しの強さに負けチェギョンは美術サークルに入部することとなった
サークルのみんなと飲みに行くというミスクを残し、チェギョンは部室を出て行った
さすがに入学初日から遅い帰宅になるのは気が咎めたのだ
チェギョンは携帯を取り出すとミンに電話を掛ける
『お義母様~帰りが遅くなってすみません。もう帰ります~♪』
『あ~チェギョンちゃん、今シンが学校の前で待っているそうよ。』
『えっ?本当ですか?すぐに向かいます。』
ヒールの音を響かせてチェギョンが大学の門を出ていくと、そこにはシンの車が横付けされていた
『オッパ~~♪』
『今日は出先から直帰したんだ。早く乗りなさい。』
『はいっ♪』
満面の笑みで車に乗り込んだチェギョン・・・
その車が走り去るのをコン・ジョンイはじっと見送っていた
そしてチェギョンはこの先・・・自分の夫が天下無敵のヤキモチ妬きだと知るのだった
ひ~~ん・・・今日もフリーズしちゃいまして
更新が遅くなっちゃった。
一体私のパソコンどうなっているんだろう・・・
更新が遅くなっちゃった。
一体私のパソコンどうなっているんだろう・・・