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Channel: ~星の欠片~
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晩夏の熱風 36

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『じゃあチェギョンちゃんはシンのお部屋に顔を出してね。私はお父さんのところに行くわね。』
『はっはいぃ~~!!』

エレベーターに乗り降り立った最上階で、ミンからそう言われチェギョンは専務室を探した

(専務室…専務室・・・あ~~ん広すぎるぅ~~!!)

何しろシンの仕事先になど今まで一度として来たことがなかったのだ

ふと見覚えのある女性がある部屋の前に立っていることに気が付き、チェギョンは会釈をしその女性に近づいた

そう・・・その女性は、以前シンと暮らし始めたばかりの頃、一緒に車に乗っているところを見かけ

シンとの仲を誤解してしまったシンの秘書だった

『若奥様、いらっしゃいませ。』
『ひぃ~ここでも若奥様・・・)あっ・・・秘書さん、しゅ・・・主人がいつも・・・大変、お世話になって・・・いますぅ///』

しどろもどろになりながら必死に挨拶をするチェギョンに、秘書は穏やかな微笑みを浮かべ答えた

『とんでもありません。お世話になっているのは私の方です。先日の挙式・・・とてもお綺麗でした。』
『あ・・・ありがとう///ございます。///』

大人の女性に敬語で話しかけられ、また花嫁姿を褒められチェギョンは恐縮するばかりだった

『専務がお待ちです。どうぞお部屋にお入りください。』
『は・・・はいぃ。ありがとうございます。』

まだ高校を卒業して間もないチェギョンに、≪若奥様業≫はなかなか照れがあり難しい様だ

<トントン>
『失礼します♪』

専務室の扉を開けた時、てっきりシンは一人でいるものと思い込んでいたチェギョンは、

部屋の中にいる社員の数に驚き立ち尽くした

『あっ・・・』
『チェギョンよく来たな。もうすぐ打ち合わせが終わるからそこに腰掛けて待っていてくれ。』
『あ・・・はい!!』

チェギョンは緊張しながら促されたソファーに腰掛け、まるで石像のようにその姿勢を崩さずにいた

瞬きひとつせず膝の上に両手を置いて固まっているチェギョン・・・だが社員の言葉は嫌でも耳に入る

『専務~若奥様は本当に愛らしいですね。』
『こんなに可愛い嫁さんが待っているんじゃあ、当分は退社時刻と同時に帰宅ですね。』

『あまり冷やかさないでくれよ。くくっ・・・』

『でも専務・・・こんな可愛い若奥様がいるんじゃあ心配でたまりませんね。これから大学生でしょう?』

『あ?あぁまぁ・・・さぁ午前中の打ち合わせは終わりだ。休憩時間にしてくれ。』

『専務は若奥様とご一緒にお食事ですか?』
『あぁ。レストランから部屋に届けてもらうつもりだ。』
『あ~~専務、折角ですからレストランでお食事なさってくださいよ。パーティーに招待されなかった社員の方が
断然多いんです。みんな若奥様の噂を聞いて、お目にかかりたいって言ってましたよ。』
『そうか?チェギョン・・・どうする?』

シンにしてみれば会社に来るだけでこんなにも緊張しているチェギョンが、社員と一緒に食事だなんて

食事を楽しめないのではないかと心配になったのだ

『あ・・・折角ですから皆さんとご一緒に・・・』

だがチェギョンはぎこちなくも笑顔を浮かべそう答えた





会長室にレストランで食事をすると連絡を入れ、二人は社員と一緒にレストランに向かっていった

チェギョンにしてみれば社会人の中に子供が放り込まれたようなものだ

居心地がいい筈はない

だが・・・持ち前の負けん気がこんなところで発揮されたようだ

シンと打ち合わせをしていた社員の誘導で窓側の席に腰掛けた二人

そこはもちろんこのレストランの特等席だ

『俺はAランチを・・・チェギョンはどうする?』
『私もAランチを頂きます!』
『チェギョン・・・Aランチは男性向けで量が多い。お前ならレディースのAランチがいいと思うが?』
『いいえ!私もAランチが食べたいです!』
『飲み物は、コーヒーとココアを・・・』
『オッパ、私もコーヒーが飲みたいです!』
『あぁ?コーヒーか?・・・じゃあコーヒーをふたつ。』

一体どういった心境の変化だろうと不思議に思いながらも、シンは今日のチェギョンの装いを褒め称えた

『チェギョン・・・今日のスーツ素敵じゃないか。』
『えへへ・・・先ほどお義母様が買ってくださいました。他にもたくさん買ってくださったんです♪』
『そうか。大人っぽくなるものだな。だがいつも通りの格好も俺は好きだ。』
『えっ・・・///そうですかぁ///』

ふと気が付くとチェギョンは自分に向けられた女性社員の視線が気になった

半数はシンの秘書のような温かい視線だが、残りの半数は非常に冷たい視線だ

そしてそういう者に限って、視線がぶつかると途端に笑顔を取り繕い会釈をするのだ

(オッパって・・・やっぱり人気があるんだ。無理もないよね~~こんなにイケメンなんだもん。
でも・・・結構女性社員から冷たい視線浴びてるよ。ふふ~~んだ!でも私、イ・シンの妻だも~~ん♪
もうお飾りなんかじゃないもん。れっきとした奥さんだも~~ん♪)

運ばれてきたAランチはシンが言った通りボリューム満点で、チェギョンは少々戸惑いながらも果敢に

それに取り組もうとしていたが、さすがに普段のチェギョンの食事量を知っているシンは、チェギョンの皿から

食べられないだろうと思う量を奪っていった

『オッパ・・・食べられるのに・・・』
『無理なんかしてあとで胃もたれしたら大変だ。コーヒー・・・本当に飲むのか?』
『はい。飲みます!!』
『ほら…ミルクと砂糖。』
『いいえ!!ブラックで!!』

そういいながらコーヒーカップに口を付けたチェギョン・・・必死に平静を保とうとしているが

その目は若干涙目になっていたのをシンは見逃さなかった

(チェギョン・・・無理して背伸びする必要はないのに・・・。社員の手前だからって必死になって・・・。)

シンはそんなチェギョンが一層愛おしく思えた


シンの会社で好意的な社員にもライバル心をむき出しにした社員にも逢ったチェギョン

敵は外にたくさんいる

より一層女性として磨きを掛けなければ・・・そう思い知らされたチェギョンだった





『チェギョンちゃん帰るわよ~♪』

食事が済んで専務室に戻った時・・・ミンはチェギョンを迎えにやってきた

シンはチェギョンを抱き締めている真っ最中で、ミンは『あら!ごめんなさい・・・』そう言って扉を閉めた

『お義母様・・・すみません。帰りましょうか。』
『ええ。仕事の邪魔になってはいけないわ。帰りましょう。続きは家に帰ってからにしてねシン♪』
『///あ・・・はい、お気をつけてお帰り下さい。』

来た時と同じように社員に見送られミンとチェギョンは会社を後にした



『どうだった?チェギョンちゃん・・・会社の雰囲気は・・・』
『オッパは・・・女性社員にモテるみたいです。』
『あら・・・何かあったの?』
『ん~~ライバル心むき出しの視線を幾多となく浴びました。』
『まぁ!なんて失礼な社員なの?正式な奥さんに向かって・・・』
『いいんです。そんなことは・・・。でも奥さんの座に甘えていてはダメです。必死に人間磨きをして
オッパに愛される女性でいなくっちゃ♪』
『そうよ.チェギョンちゃんその意気よ!!』

イ家に戻りミンから大量に買って貰った洋服をしまいそれから家事を済ませたチェギョンは・・・

母屋でミンと一緒に食事の支度を始めた



『オッパ~お帰りなさ~~い♪』

今日もチェギョンの明るい笑顔がシンを出迎えた




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さて~~そろそろチェギョンは大学生になります❤

あ~~もう少しで次男が帰宅です。
寂しかったよぉ・・・(親馬鹿)


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