後日、シンから託された集配物をクラスメートに配り、その中に入っていたアンケートを全員分集めたチェギョンは
職員室にいるシンの元へ向かった
職員室に入り、シンの机を目指して歩くと・・・そこにシンはいなかった
『あれ~?イ・シン先生、どこ行ったんだろう・・・』
シンの机の横に立ち、アンケート用紙を抱えたままじっと待っているチェギョンに、やはりその人は近づいてきた
『あなた・・・イ先生になにか?』
『あ・・・はい。イ・シン先生のクラスのルーム長ですが、クラスのアンケートを持ってきたんです。』
『そう。すぐに戻ると思うけど、私が預かっておくからあなたは教室に戻っていいわ。』
『えっ?いえ・・・質問したいこともありますので自分で渡します。』
『そう?折角預かってあげると言っているのに・・・』
このとき声を掛けてきたのはミン・ヒョリン先生だった
ミン・ヒョリンはたとえ生徒であってもシン先生に女性が近づくのは嫌なようだ
そしてチェギョンも、自分が任された仕事を人に託すのは嫌だった
すっかり機嫌を損ねたミン・ヒョリン先生が自分の席に戻った時、シンは職員室に戻ってきて
チェギョンは無事、そのアンケート用紙をシンに渡すことができた
そしてこれからが本題である
『あの・・・イ・シン先生、これどうぞ。』
妙に小声になるチェギョンが机の上にそっと置いたものを見つめ、シンは問い掛けた
『なんだ?これは・・・』
『サンドイッチです。あの時のお礼で~~す♪』
『くっ・・・気にしなくていいのに・・・』
『いや~~コンビニのには敵わないような気もしますが、よかったらお昼ごはんにどうぞ。』
『そうか?ではありがたくいただこうかな。』
『はい~♪ではイ・シン先生失礼しま~す♪』
チェギョンにとってみれば、あの初めて出逢った日に空腹から救ってくれた恩は到底忘れられない
不安で空腹で心細かった自分を、助けてくれた救世主だったのだから・・・
しばらくは穏やかに時間が流れた
シンもチェギョンの扱い方に随分慣れたようで、毎日部活が終わった後机に向かい合っての個人授業が行われた
もちろん教師と生徒である
チェギョンもその辺りを自覚し、ハン先生に接する時と同じように屈託なく・・・そして真剣にシンと向かい合った
仕草や口調に計算などなくても、十分すぎるほど魅力的な女の子のチェギョンはただその存在だけで
シンを翻弄していた
だが・・・そんな気持ちは微塵も悟られない様、互いに気を付けていた
ある日・・・個人授業が終わった時、窓を打ち付ける雨の音にシンは気が付いた
『シン・チェギョン・・・雨が降ってきた。今日はより一層気を付けて帰りなさい。』
『え~~っ!雨ですか。あぁ参ったな・・・今日はハン先生のお見舞いに行く日なのに・・・』
『こんな雨だから日を改めたらどうだ?』
『いや…それはダメです。ハン先生きっと待ってらっしゃるし・・・。元気な顔見せなくちゃ。
じゃあ~イ・シン先生今日もありがとうございました。さようなら~♪』
教科書とノートを片付けカバンにしまい込むと、チェギョンはいそいそと自転車置き場に向かう
そして雨合羽を制服の上に着こみ、颯爽とペダルを漕ごうとした
その時・・・
『シン・チェギョン!!』
自分の進行方向にシンが立っていることにチェギョンは気が付く
『イ・シン先生・・・どうかしましたか?』
『シン・チェギョン・・・この雨では視界が悪いし危ない。道路も滑るし危険だ。一旦家に帰り自転車を置いて、
以前車を降りた場所まで来なさい。』
『えっ?』
『心配だから病院まで送迎してやると言っている。』
『ほ・・・本当ですか?』
『あぁ。じゃあまた後でな。』
『はっ・・・はい~~♪』
ほんの僅かだけいいのかな?と戸惑いを感じながらも、やはり気持ちが弾むのは隠せないチェギョンである
大急ぎで家に一旦戻り、雨合羽を脱ぎ捨てると一番お気に入りの傘をさして以前降ろしてもらった
場所に向かう
するとそこにはすでにシンの車が到着していて、チェギョンは傘をたたむと助手席に乗り込んだ
『イ・シン先生~すみません~♪』
『っつ・・・すまないと思うならこんな日に見舞いに行くな。』
『は~~い。』
そう返事をしたが一向に反省した様子のないチェギョン
シンは車を走らせながら話しかけた
『この間はすまなかった。』
『えっ?何のことですか?』
『昼飯の差し入れだ。美味かった。』
『えっ?本当ですか?食べてくれたんですね?じゃまた今度・・・』
『いや、それには及ばない。もう二度としないでくれ。』
『えっ?』
『先生方の目があるからな・・・』
『あ・・・はい。わかりました。』
やんわりとした拒絶・・・それは嫌悪感から来るものではないことはチェギョンにもわかった
だが・・・シンのその言葉に、やはり越えられない一本の線を引かれたような気がするチェギョンだった
病院に到着した時シンはチェギョンに告げた
『ここで待っている。なるべく早く済ませるように・・・』
『えっ?イ・シン先生は折角ここまで来たのにお見舞いに行かないんですか?』
『あぁ。この間顔を出したばかりだしな。』
『わかりました。じゃあ行ってきます♪』
チェギョンは助手席側から車を降りると、お気に入りの傘をさし面会者出入り口へと向かった
<トントン>
『ハン先生!!お加減いかがですか?あっ!!奥さんもいる~~♪』
『チェギョン!こんな雨なのによく来たな。』
『ホントよチェギョンちゃん。まさか自転車で来たの?』
想定内の質問なのに少し戸惑うチェギョン
『あ・・・今日は送ってもらったんです。』
するとやはりハンは、送ってきたという相手が気になっってしまったようだ
『まさかチェギョン・・・夏休み中に彼氏ができたのか?』
『あら~チェギョンちゃん、私達に逢わせないとね♪』
戸惑いは困惑に変わっていったが、やはり心を許しているハン夫妻に嘘はつけない
『あ・・・違います。イ・シン先生に送っていただいたんです。』
『なにっ?イ・シンに?だったらなぜ顔を出さない・・・』
『それはわかりません。』
『またどうしてイ・シンに送ってもらうことになったんだ?』
『あ~あのっ・・・部活が終わったら雨が降ってきて、私がこれからハン先生のお見舞いに自転車で行くと言ったら
送ってくれるって・・・』
『そうか。何も顔くらい出したらいいのにな。』
ハンの妻は病室の窓から外をそっと窺い、シンの車が止まっているのを確認した
『本当だわ。シン君・・・ここまで来たのね。』
『はい。』
『あいつはちゃんと教師をしているか?』
『はいっ!ハン先生の代わりに数学も教えてくださいます。部活も・・・美術の心得はないけど
一生懸命指導してくれています。』
『そうか。クラスの中で何も問題はないんだな?』
『はいっ!大丈夫です。それより先生・・・いつ退院できるのですか?』
『そんなに長く入院はしない。だが今年度いっぱいは自宅療養だ。』
『えっ・・・そんなに?』
『悪いなチェギョン。だがお前の事はイ・シンに頼んでおいたから、しっかり面倒見て貰え。』
『わかりました。あまり世話を掛けないよう気を付けます。』
『さぁチェギョン。もう帰りなさい。シンをこれ以上待たせては気の毒だ。』
『はいっ!ではハン先生・奥さん・・・また元気な顔を見せに来ますね~♪』
『ああ気を付けて帰るんだぞ。』『チェギョンちゃんまたね~♪』
ぺこりと頭を下げチェギョンが扉の向こうに消えた後、その廊下をパタパタと小走りしながら去っていく
音が聞こえた
ハン夫妻はそっと窓から外を覗き、チェギョンがシンの車に乗って帰っていくのを見送った
『でもなぜシン君はわざわざここまで来たのに顔を出さなかったのかしら・・・』
『恐らく・・・教え子を助手席に乗せたなんて、俺に知られたくなかったのだろう。疚しかったんだな。
しかし困ったな。シンがこんな態度を取るってことは、恐らくシンにとってチェギョンは
生徒以上になっているんだろう。』
『あなた、何が困るの?シン君は未婚よ。教師と生徒と言っても結婚だってできるわ。』
『だがチェギョンは未成年だ。確かにチェギョンの事を頼んだのはこの俺だが、シンには教師としての理性を
保ってもらわないと・・・』
『もぉ~頭が固いわね。あなたって人は・・・。そんなことばかり考えていると病気が治らないわよ。』
『ははは。そうだな。気を付けないといけないな。老婆心は持たないようにしなくては・・・』
雨の夜道を・・・制服姿のチェギョンを乗せたシンの車が走っていく
ロマンチックなシチュエーションだが・・・さすがに教師と生徒の間にある見えない一本の線は
二人が接近しないよう邪魔をする
ん~~明日は≪涙の雫≫を更新したいと思います。
頑張る~~❤
ところでね・・・我が家の次男
明日6時からロー●ンにいって
一番安いユ●ケルを確保するんだって!!
何しろ・・・好きなアニメのグッズが
ユ●ケルについてくるそうで・・・
朝7時にそのグッズが並ぶんだって・・・
ご苦労なこった(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
でもさ~またアタシが飲むの~~?それ・・・