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カゲキな彼女 40 (最終話)

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(チェギョンside)

私とシン君が結婚してから七年の月日が流れた

その間には他愛のない痴話喧嘩などもし、それでも私達は夫婦円満・国民の手本となるよう

幸せな毎日を過ごしている

授かったギョムとウナは6歳と5歳に成長し、王立幼稚舎に通っている

この二人が東宮に帰ってくるまではとても落ち着いた時間が過ごせるのだが、二人が一斉に帰って来ると

東宮は毎日大変な騒ぎになる

ほら・・・今日はウナが大騒ぎだ

『おかあたま~おかあたま~どこにいらしゃいましゅかぁ~~~!!』
『はいはい。ここにいますよ。ウナ・・・おかえりなさい。』
『おかあたま~~あ~~~ん!!』

いきなり号泣するウナ

『どうしたのですか?幼稚舎で何かあったのですか?』
『おかあたま~!今度のおゆうぎ会であたち・・・おひめさまになったんでしゅよ~~!あ~~ん!!』
『あら・・・お姫様役なの?すごいじゃない♪』
『すごくないでしゅ!!あたちはおうじ様がやりたかったんでしゅ!!
おうじ様役の時にハイっててをあげたのに~~!!ウナちゃんはおひめさまだから、おひめさま役だって・・・。
おうじ様になりたかったんでしゅよ~~~!!』

なるほど・・・王子役に立候補したけど、なれなかったというのね

まぁ先生の立場を考えたら、男の子を差し置いてウナを王子役には推せない気持ちもわかるわ

『仕方ないわよウナ。王子役は男の子がいるんですもの。』
『ちがいましゅ!』

えっ?違う?何が違うっていうの?

不思議に思った私は首を傾げてウナの顔を覗き込んだ

『おうじ様はチャン家のスワンが・・・やるんでしゅよ~~~!!』

えっ?スワンが王子役なの?あぁ・・・なんてことかしら

そっか・・・つまり王子役争奪戦にウナは敗れたってことね

幼い頃からガンヒョンの娘スワンとウナはまるで双子の姉妹のように育った

母親同士は無二の親友であり、共に長い間男役のトップスターを演じてきた私達は娘にやはり淡い期待を

寄せてしまうらしく、密かにタップダンスなどを教えていた

必然的にウナとスワンもとても仲良しになり、そのタップダンスの練習の場には、気が付くとギョムも加わって

週に一度賑やかな時間を過ごしていた

タップダンスを教える時には、必然的にボーイッシュな格好をさせるようになり・・・

その足さばきが上達するに従い、小さな男装の麗人が本物の皇子を間に挟み踊るようになった

『おうじ様のセリフだって~ちゃんと覚えたのに~~!』

血は争えないというけど、ウナはやはり私に似たのだろうか

なんといって慰めてよいのかわからない私の元に、シン君が顔を覗かせた

『ウナ・・・部屋の外まで泣き声が聞こえるが?』
『おとうたま~~~!』

シン君は部屋の外でウナの話を聞いていたらしかった

『ウナ、幼稚舎のおゆうぎ会ではちゃんとお姫様を演じるんだ。
きっと他にもお姫様になりたかった子はた~くさんいるんだぞ。
ウナは選ばれてお姫様になったのだから、ちゃんとその役目を果たさないとな。』
『でも・・・おうじ様がよかったでしゅ・・・』
『ウナ、スワンの方が背も大きいし、今回はスワンが王子様役に決まったんだ。
ウナはお姫様を立派にやり遂げなさい。』
『くすん・・・』
『御遊戯会はお父様とお母様二人揃って観に行こう。ウナの可愛いお姫様役を楽しみにしているよ。
その代わり・・・素晴らしいお姫様が演じられたら、お父様がご褒美を上げよう。』
『えっ?おとうたま・・・ごほうびって…なんでしゅか?』

ウナは伏せた目をパッとシン君に向け、キラキラと輝かせはじめた

こういう現金なところも私に似たのかしら?

『ギョムとスワンと三人でタップを習っているんだろう?』

えっ?シン君にばれてたの?内緒にしていたのに

まぁ・・・あのリズミカルな靴音が響かないはずはないわね・・・

『はい~~!!』
『発表の場をお父様が設けよう。』
『はっぴょうのば・・・?』
『たくさんの人を集めるから、その人たちの前で踊るんだ。それで納得できるかな?ウナ・・・』
『えっ?タップダンスをたくさんの人の前で?わ・・・わぁ~~い!!』
『ただし・・・仮面をつけて踊るんだよ。誰が踊っているか内緒だから・・・』

シン君・・・それってまさか、また仮面舞踏会を開くつもりなの?

そう思いシン君の顔を覗き込んだ時、シン君は私に意味深な微笑みを向けた

あ・・・無理っ・・・もうさすがに男装は無理だから~~!!

でも久しぶりの仮面舞踏会・・・それは楽しそう~♪






(シンside)

ウナは幼稚舎の御遊戯会のヒロインを立派にやり遂げた

チャン家のスワンが演じる王子をどこか切ない目で見つめていたのは、役に没頭していたからではなく

その王子役に対する未練なのだろうな

さすがチェギョンの生んだ娘だ

俺はウナとの約束を果たすために仮面舞踏会の準備を始めた

もちろんあの頃仮面舞踏会に招待した王族の子息や息女たちは、ほとんどが結婚し家族を迎えていた

今日はその子供たちも招待しての仮面舞踏会だ

今回は以前と違い平服での出席を招待状に記した

俺とチェギョンもスーツにワンピースという、比較的ラフな装いだ

もちろんチャン家のギョンとガンヒョンさんにもそうお願いし、俺達は女官にギョム・ウナ・スワンの扮装を任せ

招待客を出迎えた

迎賓館の入り口ではそれぞれに仮面が手渡され、皆楽しそうにそれを身に着けると入場していった

すべての出席者が入場し終えた時、子供たちは女官からジュースやお菓子をもらい楽しそうにおしゃべりし

王族達はそれぞれのパートナーとダンスを始めた

もちろん俺とチェギョン・ギョンとガンヒョンさんもダンスを踊り始めた

6年前に一度開かれた仮面舞踏会は、王族の間では伝説となっていたらしく・・・配偶者のいない者たちは

それぞれにパートナーを見つけると踊り始めた

子供たちは子供たちの世界で、女官の世話を受けながら楽しそうにしている

各世代毎の交流が深まるのは大変喜ばしい事だろう

曲が終わり皆がホールの隅で飲み物を受け取った時、ホールは一瞬暗闇に包まれた

ざわざわとざわめく王族達・・・だが次の瞬間、ホールの中央にスポットライトが輝いた

なんと・・・仮面をつけたギョムを中心にウナとスワンが並んでいた

しかも手にはステッキを持ち、頭にはシルクハット・・・完璧なる男装の麗人が次期皇太子と並んでいるのだ

軽快な音楽が流れるや否や、三人は靴音を鳴らしステッキを持って踊り始めた

なんて素晴らしい・・・まだ幼いというのに一糸乱れぬその足さばきは、見るものを魅了した

ふと気が付くと今はパク・ヨン夫人となったハン氏が、チェギョンにそっと話しかけている

『チェギョン様~~あのダンスはチェギョン様が教えられたのですね?
うちの・・・うちのヨンㇲにも是非・・・手ほどきをお願いいたします~~♪
あぁ・・・なんて素敵なんでしょう。』

子供たちを見つめるハン氏の瞳は、昔チェギョンをうっとりと見つめていたあの目に似ていた

仮面をつけていたとはいえ、その場で踊っていたのは皇孫ギョムとウナ・・・そしてチャン家のスワンであることは

周知のこととなり、三人はその場にいた全員の大きな拍手を浴び満足そうにしていた

しかしそれに味をしめてしまったウナなどは、度々俺に『はっぴょうのばを~もうけてくだしゃい~♪』と

せがむ様になってしまった

それから東宮には週に一度タップダンスの音が響くようになり、その音は徐々に大きくなるものだから

頑丈な床を張ったレッスン室などもできたほどだ

チェギョンもガンヒョンさんも子供たちにタップダンスを教えるという生きがいを持つようになり

ますます美しさに磨きがかかっているようだ

あまり美しくなってしまうと、また年の離れた子供が授かりそうで少し困惑してしまう

男装の麗人を妻に娶った皇太子は、恐らく末代まで語り草になることだろう

皇族でありながら自分の思いを貫いた、誰よりも幸せな男としてな・・・くくっ





カゲキな彼女 完

イメージ 1

(画像はお友達のKEIさんからお借りいたしました。お持ち帰りはご遠慮ください。)

カゲキな彼女・・・teracoさんからのリクエストにより
お送りいたしました~❤
知識がないので妄想だけで書かせていただきましたが
皆様・・・楽しんでいただけましたでしょうか?

週に3回という更新ペースなので
長い時間かかってしまいましたが
最後までお付き合いいただき
誠にありがとうございました❤


なお・・・新しいお話は
リクエストいただいたもののミックスで
お盆休み明けから始めたいと思っております。

今後ともどうぞお付き合いくださいますよう
お願い申し上げます❤

どうもありがとうございました。


~星の欠片~ 管理人 ★ emi ★




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