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Channel: ~星の欠片~
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カゲキな彼女 21

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(チェギョンside)

訓育を受けながら私は日々彼の妃になる準備を進めている

今まで培ってきた知識が今の訓育と全くかけ離れているかというと、決してそうではない

歌劇団で演じた史劇などは国の歴史を知るうえで十分興味を惹かれるものであったし、ダンスの訓練や

一般教養・マナーなどは歌劇団で叩き込まれてきたのだから、容易く及第点をいただけた

海外公演に出れば社交界のパーティーにお招きを受けることも多かったから当然の事だろう

シン君とも毎日少しずつでも近づこうとしていた

彼は対外的には私への愛情を誇示するが、私本人に愛を囁くのはあまり得意ではない

もしかして愛の言葉を囁くのは・・・私の方が上手いかも・・・くすくす



訓育を半分も終えたたころの事だった

その日はずいぶん早く講義が終わり、私は東宮に戻っていった

するとそこには皇太后様と皇后様がお揃いで私を待っておられた

『チェギョンや・・・今日の講義は終わったのか?』
『はい!皇太后様皇后様、お揃いでどうなさったのですか?』
『ん~~♪』

皇太后様はなんだか楽しそうに微笑んでらっしゃる

皇后様がお隣でその理由について教えてくださった

『そなたに息抜きの時間をあげたいと思ってな。』
『息抜き・・・ですか?』
『明日は訓育もお休みだろう?』
『はい。明日はお休みだと、チェ尚宮さんから先ほど聞かされました。』
『では支度をしてくるがよいぞ。』
『支度・・・ですか?』
『おぉそうだ。今宵は幸い陛下と太子は公務で遅いのでな・・・観劇に出かけようかと思ってな。』
『観劇~♪』

目を輝かせた私に、皇后様は大きな包みを手渡した

『ただし・・・そなたは顔が知れているのでな。しっかり変装を頼んだぞ。』

恐る恐るその包みを開けてみる

するとそこには男性用のスーツ一式と帽子や靴まで揃えてあった

つまり・・・私に男装しろってことなのね。うわぁ・・・なんだか楽しそう~♪

私は満面の笑みでお二人に頷いた

『かしこまりました。完璧な男装をして参ります。』
『では一時間後にここで待っておるぞ。』
『はいっ!』

なんだか楽しくなってきた。彼のお祖母様とお母様と一緒にお忍びの観劇だなんて・・・

それに男装しろという両陛下の言葉に、正直血が騒ぐわ

自室に戻った私は訓育の衣装を脱ぎ、皇后様から頂いた男性物のスーツを身に纏った

なんだか・・・訓育の衣装よりもしっくりくるのは長年の習慣ね

そしてドレッサーの中になぜかしまっておいた付け髭を付けた

ん~~♪カンペキ❤

意気揚々と部屋から出て行った私をチェ尚宮さんは凝視した

『皇太后様と皇后様のお言いつけですのでご容赦くださいね。』
『はい。大変よくお似合いです。』

チェ尚宮さんに似合うといわれ決して悪い気はしないけど、ちょっと微妙な気分になったわ




『皇太后様・皇后様お待たせいたしました。』
『おぉ~♪』『まぁ~♪』
『本日は私がエスコートさせていただきます。向かうのはどこの劇場ですか?』
『そなたの古巣だ。』
『ソウル歌劇団ですか?』
『そうだ。』

わぁ~どうしよう胸が躍る~♪

国立劇場に到着し本日のキャストを確認したところ、ガンヒョンが登板している日だった

こんな嬉しいことはないわ

お二人の前を歩きVIPルームへと案内する私・・・すると隣にあるVIPルームに入って行こうとする人物は

チャン・ギョン君だった

『ギョン君♪』
『えっ・・・あぁ?チェギョン・・・か?』
『そうよ。私・・・』
『お前は入宮した筈じゃ?』
『今日は素敵なレディーをエスコートしてきたの。』

私は体をずらして背後にいらっしゃるお二人をギョン君に確認させた

『あぁっ!!』

驚いて目を丸くしたギョン君・・・私は皇太后様と皇后様にギョン君を紹介した

『皇太后様・皇后様・・・こちらは殿下のご学友でチャン航空の副社長チャン・ギョンさんです。』
『おぉ~!!こんなに大きくなられたか。』『以前お目にかかったことがあったなぁ。』
『皇太后様・皇后様、大変ご無沙汰しております。チャン・ギョンです。こんな場所でお目にかかれるとは
思いもしませんでした。本日は私の大切な人が主役なんです。どうぞ楽しんでいってください。』

深々とお二人にお辞儀をしたギョン君は、隣のVIPルームへと入っていった

さぁ・・・そろそろ舞台が幕を開ける

あ・・・出てきた。ガンヒョンだ~~♪あぁカッコいい。私と違ってどこまでもクールなガンヒョンは、

以前は私と人気を二分していた

でも私が引退した今・・・どうやらガンヒョンが登板する日の方がお客さんの入りはいいみたいに感じる

『皇太后様・皇后様・・・本日の男役が、入宮するまで一緒に暮らした私のルームメイトであり
ギョン君の大切な方です。』
『そうか~チェギョンとは趣が違うが、なかなか凛々しい姿だ。』
『まさに男役を演じるために生まれてきたような娘さんだな。』

なんだか自分の事を褒められているようでとても嬉しい

ガンヒョンの舞台を観終え興奮冷めやらぬまま宮に戻った私達は、本殿にてその舞台の事を語り合いながら

楽しく食事を摂った

お二人の前で男装のまま食事をする事になるなんて、思ってもみなかったけどね・・・くすくす






(シンside)

公務先に向かう途中、陛下から≪今日は宮殿の女性三人が観劇に行くそうだ≫と聞かされた俺

訓育で疲れているだろうチェギョンに、なんて粋な計らいだろう

正直俺も同行したかった

だがそのあとで不穏な話を聞かされた

『王族の最長老から、本日の公務にはユルを連れて行ってほしいと頼まれたのだが・・・』
『ユル・・・ですか?それは一体なぜ・・・』
『亡き兄上の忘れ形見を、もっと公式の場に出してもよいのではないか・・・ということだったが
私にはどうも不穏な考えが潜んでいるように思えてならない。』
『不穏な考えとは・・・』
『ユルを次期皇帝に据えようと思っている者も、未だにいるらしいのだ。』
『それは困りましたね。』
『まぁ太子が婚姻し、皇孫に恵まれれば・・・そのような考えも払拭できるのだが・・・』
『陛下。まだこれから婚姻ですから当分先の話になります。それに子供に恵まれたからといって
皇位継承者が生まれて来るとは限りません。その辺りチェギョンにプレッシャーを掛けたくないのです。』
『そうだな太子・・・』
『もし一日でも早く皇孫をとお望みであれば、寝室を一緒にしても私は一向に構いませんが?(くくっ)』
『いや・・・それは世間体が悪い。それに婚礼の儀式の時に懐妊などしていたら、母体に負担となるだろう。』
『(ちぇっ)そうですね。あの衣装を身に着けるだけでも負担となるでしょう。』

さりげなく・・・鉄壁のコン内官とチェ尚宮の監視を緩めたかったのだが、そうもいかなかった




公務を終え遅い時間に東宮に戻った俺

今日はチェギョンとろくに話もしていない

自室に戻る前にチェギョンの部屋の前に立つと、チェ尚宮に諭された

『チェギョン様はもうお休みになっておられると思いますが・・・』
『あぁ。顔だけ見るだけだ。少しの時間だ。』

<トントン>

チェギョンの部屋をノックしてみると、すでに風呂上りなのかラフなスタイルでチェギョンハ扉は開けた

『シン君~お帰り。』
『あぁ、ただいま。』

あぁ・・・この笑顔は俺だけのものだ

『今日、観劇に行ったんだって?』
『うん~♪少し話がしたいな。』

チェギョンはドアから顔を覗かせチェ尚宮に了解を取った

『チェ尚宮さん、いいでしょう?』
『あ・・・はい。明日は訓育もお休みですし・・・』

渋々といった返事だったが、俺はまんまとチェギョンの部屋に入り込んだ

チェギョンにコーヒーを淹れてもらい、ソファーに並んで腰かけて今日の報告を聞く

彼女は目を輝かせ楽しかった観劇の事を語る

あぁ・・・一日も早く婚礼の日が来ればいい

そうしたらもう・・・俺達の邪魔をする者はいない


イメージ 1

(画像は薔薇の奥様ことkakoさんからお借りしております。お持ち帰りはご遠慮ください。)

なんか本州は雨が少ないのに
九州と北海道は雨が多いって
一体今年はどうなっちゃっているのでしょうね。

土砂災害とかが心配です。どうぞお気を付けください。



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