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Channel: ~星の欠片~
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カゲキな彼女 20

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(チェギョンside)

皇室警察署から戻った時には既にシン君は公務で出掛けており、私は一人で食事を摂る羽目になった

食が進まない私を気にしてか、チェ尚宮さんが問い掛けてくる

『チェギョン様、あまり食が進みませんでしたがお疲れになられたのですか?』
『いいえ、そんなことはありません。大丈夫です♪』

そう答えた私だったけど、本当は女官の皆さんがずらっと並んで見ている中での食事が非常に苦手なだけ

決して疲れたわけではない

自分の心の中に残っていた心配事が上手く解決して、本来なら食欲旺盛な姿を見せたいところだけど

シン君がいないのだから仕方がない

きっとシン君が一緒だったら人払いをしてくれたから、食事も進んだ筈だ

食後のお茶をいただいた後、チェ尚宮さんの後に続き書筵堂に案内された

いよいよ・・・訓育の始まりだ



各教科ごとに師を招き講義を受けるのだが、ここ最近身体を動かすことの方が多く頭を使うことと言ったら

セリフを覚えることくらいしかしてこなかった私には、非常に眠たくなる講義だった

はぁ・・・ようやくひとつ講義が終わった

休憩時間、私は庭に向かって立ち思い切り背伸びをした

『ふあぁ~!!』

ついでに大きく欠伸までしちゃってた

『ふふふ・・・ずいぶん大胆な欠伸だね。チェギョンさん・・・』

その声に驚いて目を向けるとイ・ユルさんが私を見て微笑んでいた

ひっ・・・大変なところを見られてしまったと、私は必死に皇太子の婚約者の仮面を被った

だけど・・・もう見られちゃったものは仕方がないわよね

でもユルさんはこんな場所に何の用があるのかしら・・・

そう思った時、イ・ユルさんは手に持った袋を目の前に掲げ私に近づいて来る

『陣中見舞いに来たんだよ。訓育大変でしょう?』

私の前に立ったユルさんはその袋を私に手渡した

『なんですか?これは・・・』
『疲れた時には甘い物に限るでしょう?キャンディーやクッキー・マカロンの詰め合わせだよ。』
『甘い物は食べないようにしているんです。』

これは男役を長く演じてきた私の習慣だった

身体に余計な脂肪が付くことを恐れたのだ

『チェギョンさん・・・もう女優じゃないんだから、そんなにストイックにならなくていいんだよ。
疲れた頭に効果大だよ。試してごらん。』

まぁそれも一理あるかも

『ではありがたく頂戴いたします。』
『あ・・・僕の事はユルって呼んでくれない?シンみたいにさ・・・』
『ユル・・・君?』
『うん。その方が僕は嬉しい。ところでシンはここに顔を出さないの?』
『執務中ですから・・・』
『とはいっても、婚約者が自分に嫁ぐための勉強をしているのに顔も見せないなんて・・・』

そういう言われ方は好きじゃない

『彼は忙しい人ですから・・・』
『そう?あ・・・もう休憩時間が終わるね。じゃあ僕は帰るとしよう。くれぐれもチェ尚宮に見つからないようにね。』
『はい。ありがとうございます。』

ありがたくその袋の中のマカロンを口にひとつ放り込んだ

甘いマカロンは口の中で溶けていく・・・疲れも吹っ飛びそうな優しい甘さだ

でも・・・やはりこういう物をくれるのは、他の誰よりも彼がいい

そう実感した






(シンside)

公務から戻ってすぐに書筵堂に俺は向かった

ところが・・・

『殿下、チェギョン様はただいま講義中です。どうぞお戻りください。』

つれなくチェ尚宮にそう言われ、訓育の邪魔になることもできず俺は彼女の姿だけ確認して執務室へと戻った

その日は結局タイミングが合わず、書筵堂に行くことはできなかった


夕食の時漸く顔を合わすことができた彼女

『チェギョン・・・初日はどうだった?』
『頭の中がはち切れそう。』
『皇室警察の方は上手く処理できたのだな?』
『うん。ちゃんと釈放してくれるよう手配してきたわ。』
『そうか、よかった。今日は何か変わったことはなかったのか?』
『ユルさんが来たわ。』

ユル?ユルが一体どこに来たっていうんだ?

『どこに・・・来たんだ?』
『書筵堂よ。私が休憩している時にお庭にいたわ。』
『なにっ?それで・・・一体何を話したんだ?』
『自分の事をユルって呼んでくれって・・・。』
『却下・・・』
『でもきっとユルさんのままだと気を悪くするわよ。』
『っつ・・・・』
『あとね・・・お菓子をくれたの。』
『菓子・・・だと?』
『うん。疲れた時には甘い物だって・・・』
『食べたのか?』
『ひとつだけね・・・』
『たくさんもらったのか?』
『うん。まぁ・・・こんな感じ。』

チェギョンはこっそり忍ばせていた袋を俺に手渡しみせた

『没収・・・』
『えっ?なぜ?』
『これを食べたいのか?』
『ううん、別にそういうわけじゃない。元々あまり甘い物を食べる習慣はないわ。』
『甘いものが欲しければ俺が持っていく。ユルからは受け取るな。いいな!!』
『うん。』

食事が済んだあとそれぞれ自分の部屋に戻るようにと促すチェ尚宮に、俺は抗議の目を向けた

『チェ尚宮・・・俺達は同じ東宮にいるにも拘わらず、話ができるのは食事の時だけか?
子供じゃないんだ。話し合わなきゃならない事もたくさんある。自由にさせてくれ。』

チェ尚宮は恐らく皇帝陛下からお目付け役を申し渡されているのだろう

困惑した顔をしたが、俺たちの気持ちも理解しているようで困りながらも頷いてくれた

『かしこまりました。ですが殿下・・・婚姻まで寝室は・・・』
『わかっている!それ以上言うな。』
『はい。』

少し感情的になって声を荒げてしまった俺・・・チェ尚宮はそれ以上何も言わず下がった

『チェギョン・・・俺の部屋で話をしよう。』
『あ・・・でも、この衣装を着替えてからでもいい?』
『あぁ。大至急だ。』
『うん。大至急ね。』

チェギョンは微笑みながら自室に入っていった

俺は自分の部屋に入りスーツの上着を脱ぎネクタイを外すと、チェギョンのためにコーヒーを淹れた

美味しいチョコレートも用意した

慣れない訓育を受け疲れているだろうチェギョンと、ゆっくりした時間を過ごしたかった

話の邪魔にならないようにと、小川のせせらぎや鳥の声が収録されたBGMも流した

<トントン>

用意がすっかり整った時、チェギョンは部屋に現れた

『シン君入ってもいい?』
『あぁ。』

部屋に入るなりその耳に心地よく響いて来るBGMにチェギョンは気が付いたらしい

満面の笑みでこういう

『お部屋で森林浴の気分ね。それにコーヒーのいい匂いがする。』
『あぁコーヒーを淹れたんだ。掛けて・・・』

チェギョンと並んでソファーに腰掛け、チェギョンにコーヒーを勧めた

『美味しいチョコレートもある。食べろ・・・』

ユルに先を越された口惜しさを晴らしたかったのかもしれない

『うん。じゃあひとつだけ・・・』

チェギョンは俺の差し出したチョコレートを口に放り込み、美味しそうに食べている

『なあ・・・ユルの事だが・・・』
『うん?』
『君に特別な感情を持っているような気がする。』
『そんな事・・・ないでしょう・・・』

そういいながら一瞬見せる戸惑った顔は、自分でもユルの好意に気が付いている証拠だ

『必要以上に近づけるな。』
『それって・・・私が防げること❓』
『いいや・・・。』

そうじゃない。チェギョンには防ぎようがないだろう

やはりこれはコン内官やチェ尚宮の協力あってのことだ

『シン君、何を心配しているの?』
『あぁ?』

俺の顔を覗き込んできた彼女の表情にドキッとする

『まさかと思うけど私が皇子を二人手玉に取るとでも思ってる?』
『いや・・・そんなことはないが・・・』
『シン君、私はそんなに器用でもないし、男性慣れもしていない。
民間人の私が皇太子と恋をしようと思ったこと自体が、もう将来を覚悟したっていう意味なの。わかる?』
『あぁわかっている。』
『わかっているならどうして・・・そんなことが不安になるの?』

拗ねたように唇を尖らせるチェギョン・・・今流行りの≪アヒル口≫ってやつなんだが

不細工がすると見れたものじゃないが、俺の婚約者には実によく似合う

『早くしっかり捕まえたくて・・・』

吸い寄せられるように俺はその可愛い≪アヒル口≫を啄んだ

『もぉっ///』

あとは言葉にならなかった

チェ尚宮に告げた≪話さなきゅあならない事≫は・・・そこから先はボディランゲージで終わってしまった

100の愛の言葉よりキスの方が想いを伝えるのに効果的なことがある

まさに今の俺達はそんな状態だった



イメージ 1

(画像は薔薇の奥様ことkakoさんよりお借りしております。お持ち帰りはご遠慮ください。)

本日も豚バラ大根煮玉子入りです(爆)
なぜが月曜日は煮込み料理が多いのよ~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
しかし…雨が少ないね。
水不足が心配です。

ところで!
身体に余計な脂肪が付くことを恐れ、甘いものは食べない
一度でいいから・・・言ってみたい(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!






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