(チェギョンside)
思わぬところで皇太子殿下に弱音を吐いてしまった私・・・
励まされ気を良くした私は、彼の最終目的が何なのかを確認してみた
婚姻・・・ですって?あぁ・・・理解できない
まぁ程々に付き合っておけば、そのうち飽きるでしょう・・・そう思った私だったけど
彼はとんでもないことを言い始めた
それは私がオフの日の事・・・
彼から電話がかかってきたのだ
『俺だが…今話せるか?』
『はい。大丈夫ですけど?』
『今週の土曜日は確かガンヒョンさんが舞台を務める日で、君は休みだろう?』
『いや…休みっていうか、身体を休める日です。こう見えても舞台女優は体力がいるんです。』
『っつ・・・あぁそれもわかっているが・・・その日は劇場に行く必要はないのだな?』
『まぁ・・・そうですね。』
『それなら宮殿見物に来ないか?』
『宮殿・・・見物?』
『あぁ。君の舞台のパンフレットを皇帝陛下に見せたら、是非宮殿で開かれるパーティーに招待したいと
いわれてね。』
『ぱ・・・パーティー?私がですか?』
『あぁ。皇太后様と皇后様は君がソウル歌劇団の男役と聞いてとても逢いたがっている。』
何を言い出すの?私がどうして・・・
『いえ・・・私はそのような場所に出入りする人間ではありませんから・・・』
冗談じゃない・・・
皇太子殿下の恋心にほだされて身の破滅なんてまっぴら御免よ!
『そうか?だが・・・舞台の役に立つと思うが?正式なパーティーなどなかなか出席できないだろう?
本物のパーティーを経験するいい機会だ。』
こいつ・・・私を見下してる?
『それに皇帝陛下は王族の娘と君を品定めしたいらしい。
女優としての腕の見せどころじゃないのか?レディーを演じる・・・くくくっ・・・』
つまり王族の娘と比べて、いかに私が劣ってるかを笑いたいわけ?
ん?王族の…娘?えっ?くすくす・・・それは面白そうだわ
『私の女優としての真価が試されるということですか?』
『あぁそうだ。来て貰えるだろう?』
確定な訳?
『わかりました。女優として伺いましょう。』
『そうか。では至急君のサイズのドレスと靴とバッグを、君の元に届けよう。』
『いいえ。それには及びませんわ。ドレスも靴もバッグも・・・たくさん持っていますから・・・』
衣装だけど・・・くすくす
『そうなのか?では土曜日の10時に君のマンションの前で車を待たせておく。それに乗って来てくれ。』
『わかりました。では土曜日の10時に・・・』
いくら皇帝陛下であっても品定めされるなんて聞いたら、私の負けず嫌いの性格は我慢ならないのよね
その日折角のオフだというのに私は劇団の衣装部に顔を出し、パーティー用のドレスと靴とバッグを借りた
かなり前の舞台で使われた貴族の娘役が身に着けたドレス・・・
これなら印象にあまり残っていないはず
さて・・・いつもの男役と違って女優としての私の真価を、とくと見ていただこうじゃないの
私は意欲に燃え、当日はヘアサロンに行って髪を美しく結い上げてもらった
よ~~し!!乗り込むぞ宮殿へ・・・女優シン・チェギョンの底力を見せつけてやるわ!!
(シンside)
チェギョンがこの宮殿にやって来る・・・
俺はその当日胸が高鳴って仕方がなかった
約束の時間・・・チェギョンを迎えに行ったチェ尚宮から≪チェギョンを車に乗せた≫との連絡が入り
しばらくして俺は迎賓館の入り口に出て行った
するとそこにちょうど到着した王族会の面々と娘たち・・・そしてシン・チェギョンが鉢合わせをしていた
王族たちはその見慣れない女性≪シン・チェギョン≫に聞こえよがしに嫌味を言う
『今日はどうやら皇太子殿下が女優を招いたらしい。』
『女優ですか?ははは・・・殿下もお戯れがすぎますな。』
だが・・・嫌味を言う王族に反して、その娘たちはチェギョンの姿をチラチラと目で追った
チェギョンはというと、その中の一人の娘に声をかけている
『まぁ・・・ハン家のお嬢様。このような場所でお目にかかるとは思いませんでした。
残念ですわ。折角のパーティーだというのに女の姿で・・・。
いつもの姿でしたらダンスを申し込みたいくらいお美しいです。』
『し・・・シン・チェギョン様・・・きゃぁ~♪』
『えっ?本当に?・・・あっ///チェギョン様ぁ~///』
瞬く間に王族の娘たちに取り囲まれてしまったシン・チェギョン
つまり・・・王族の娘たちもシン・チェギョンのファンということなのか?
なんだ?どの娘もシン・チェギョンに熱い視線を送っているじゃないか・・・まいったな・・・
呆気にとられている王族たち・・・その一人に向かってシン・チェギョンは頭を下げた
『初めまして。シン・チェギョンと申します。ソン様でいらっしゃいますね?
奥様には大変ご贔屓にしていただいております。』
なに?王族の夫人もか?
俺は口元を押さえて必死に笑いを堪えた
そうか・・・シン・チェギョンには勝算があったのだ
王族の娘たちはほとんどがシン・チェギョンの舞台に足を運んでいる熱烈なファンだと知っていたのだ
しかも名前まで知っているということは、俺のように個別の呼び出しを受けている筈だ
くくっ・・・そうだったのか。侮れないなシン・チェギョン・・・
釈然としない顔の王族が迎賓館に入ってきた後、チェギョンは王族の娘たちに囲まれて迎賓館に入って来た
とても美しい女性の姿なのに、どこか顔つきはあの≪男装の麗人≫を思わせる雰囲気があった
俺は早速チェギョンを迎えに行き、チェギョンをエスコートして三陛下の元に向かった
『皇帝陛下。こちらがシン・チェギョン嬢です。』
チェギョンは臆することなく微笑み三陛下に頭を下げた
『初めまして。このような席にご招待いただき感謝いたします。
ソウル歌劇団のシン・チェギョンと申します。』
その優雅な姿勢は皇太后様と皇后様を魅了した
『まぁ・・・あなたがあの男装の麗人か。』
『娘役も十分通用するのではないか?美しいのぉ・・・』
『ありがとうございます。高貴な方々にお目にかかれて光栄です。』
『今日は存分に楽しんでいくがよいぞ。』
『はい、お心遣いに感謝いたします。』
ホールの隅では王族の娘たちが、胸の前で手を組んでチェギョンが自分たちの元へ戻るのを待っている
すでにこのパーティーの主役は俺ではなく、チェギョンに代わってしまったといっても過言ではない
なぜなら娘たちは誰一人として俺を見ていない
チェギョンに話しかけられるのを待っているのだ
皇帝陛下が・・・その状況を目の当たりにし、苦虫を噛み潰したような顔をなさっている
愉快だ…実に愉快だ
俺はチェギョンと共に王族の娘たちの元へ向かった
普段は舞台上にいる憧れのスターが目の前にいるわけだから、娘たちも舞い上がって当然だろう
一人の娘がとんでもないことを言い始めた
『チェギョン様・・・一曲踊っていただけませんか?』
『えっ?くすくす・・・ですから、今日は女としてやってきましたので、女性同士のダンスでは絵にならないかと・・・』
『でしたら次回のパーティーには男性の姿で///お越しいただけますか?///』
それはないだろう?チェギョンは俺の妃候補だ
宮殿に男装してくるなんて俺が許さない
『それは・・・出来かねます。でしたら今度プライベートで・・・』
待てっ!!それもダメだ
俺はすぐに話に割って入った
『すまないが彼女は私の客だ。そういった約束事は遠慮してもらおうか。
チェギョン・・・一曲踊らないか?』
『えっ?ですが・・・』
『いいから・・・』
俺は強引にチェギョンの手を取るとホールの中央にチェギョンを誘った
歩きながらチェギョンは俺に困惑する視線を向けた
『こ・・・皇太子殿下、あのっ・・・私、リードするのは容易いんですが…リードされるのはちょっと・・・』
そんなこと構うものか
王族の娘にチェギョンを奪われるなんてまっぴらだ
俺が合図を送ると音楽が流れ始め、俺は満面の笑みで困惑するチェギョンの腰に腕を回した
(画像は我が家の梅花空木)
あはは~~油断大敵(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
次男君が設定してくれて
何とかかけましたのでアップします。
お返事は明日させていただきますね~~★