Quantcast
Channel: ~星の欠片~
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1451

蜃気楼の家 32

$
0
0

手にしたビンゴゲームのカード・・・チェギョンは戸惑いながらシンに問い掛けた

遊びの一切を知らないチェギョンである

今更どんな質問をしたとしても、シンは親切丁寧に答えてくれるだろうと確信していた

またその様なことは恥ずかしくて、シン以外の誰にも聞けなかったのである

『シン君・・・あのさ、ビンゴゲームってどうやったらいいの?』
『あ?あぁ・・・それは・・・このカードの中には25の数字がランダムに並んでいるだろう?』
『うん。』
『今からギョンが読み上げる数字の場所を開けていくんだ。』
『うん・・・』
『そして・・・縦・横・斜めの一直線に5つの数字の場所が開いたらビンゴだ。』
『ビンゴね・・・』
『ただし縦・横・斜めの一直線の内4つまでが揃った時に≪リーチ≫と宣言しなきゃいけない。』
『う~~ん?』
『とにかくやってみればわかる。くくっ・・・』
『そっか・・・てか!!このゲームって運だけじゃ?』
『まぁそうだな。早く上がった者から好きなプレゼントが選べるんだから・・・』
『えっ?そうなの?頑張らなくっちゃ・・・』
『だから頑張っても無駄。楽しんでやろう。』
『うん~♪』

ギョンが次々と数字を読み上げる

『あ~全然揃わないよぉ・・・』
『そうか?俺はもう3つ揃った。あとひとつ開けばリーチだ。』
『え~~~っ・・・・私ってやっぱり運が悪い・・・』

その時・・・ヒスンが大きな声を上げた

『リーチ!!』

『えっ?ヒスンはもう4つも揃ったの?ひぃ~~~~・・・・』

一人焦りまくるチェギョンである

次の数字が読み上げられた時・・・シンが悠然と手を上げた

『リーチ!』

『えっ?シン君・・・リーチなの?』
『あぁ。もうあとひとつでビンゴだ。くくくっ・・・』
『ひぃ~~~・・・・』

次々と皆が≪リーチ≫と叫ぶ声が上がり・・・やがてヒスンは『ビンゴ~~~♪』と声高らかに叫ぶと

喜びの一位を獲得した

『さ~て~と~何にしようかな~~♪』

クリスマスツリーの下に置かれたプレゼントの中から、これと思った物をゲットしたヒスン

ヒスンは自分の席に戻ると、すぐにその包みを開けた

これも毎年の恒例である

『わ~デジカメ♪しかも一眼レフ・・・使い方解るかな。』
『大丈夫だよ。それは初心者でも比較的簡単な操作だから。』

どうやら贈り物の主はファンの様だ


ヒスンのプレゼント開封が済むと、ギョンは次の数字を読み上げた

そして満面の笑みを浮かべたシンは、ビンゴカードを高く掲げ叫んだ

『ビンゴ!!』
『えっ?シン君・・・上がっちゃったの?』
『あぁ。』

二位をゲットし意気揚々とクリスマスツリーの下に向かうシン・・・

その手で迷わず選んだプレゼントは、チェギョンが用意した贈り物だった

『あ・・・それって・・・』

シンはチェギョンに軽くウインクしてみせると、自分の席で包みを開けた

『あ・・・スノードームか。可愛いな・・・』
『えへへ・・・』

ファンが用意した贈り物に比べ質素感漂うプレゼントに、チェギョンは少し身を縮めた

『これが精一杯だったんだ。』
『馬鹿・・・そんなこと気にしなくていい。』

満足そうにドームのライトをつけ雪を降らせるシン・・・チェギョンは気をとり直し、ギョンが次に読みあげる数字を

じっと待った

その後・・・スニョン・ガンヒョン・ファンと次々とビンゴしていき・・・最後に残ったのはチェギョンとギョンだった

『あ・・・あぁ!!ビンゴ~~~ビンゴだよっ~~♪』

漸くビンゴできたチェギョンは、意気揚々とクリスマスツリーの下に向かう

するとなぜかシンも後からついて来て、大きな包みと小さな包みの前でひたすら悩んでいるチェギョンに

そっと助言をした

『チェギョン・・・こういう場合、小さい包みの方がいい物が入っているだろう?』
『あ・・・そうか~♪』
『それに・・・大きい包みの方は、どうもギョンが目星をつけた物みたいだ。』
『えっ?』

チェギョンがギョンに視線を向けると、確かにギョンはその大きな包みを凝視している

『ここはやっぱり・・・こっち~~♪』

チェギョンが小さな包みを両手で持つと、自分の席に戻りその包みを開けた

『わっ・・・なにこれ!すごく綺麗・・・』

中にはクリスタルでできたペンが入っていた

細かい細工を施された赤くキラキラ光るペン

『こんな綺麗なペン・・・初めて見た・・・』
『綺麗だろう?今すごい人気なんだ。書き心地もものすごくいいそうだ。』
『えっ?これってもしかしてシン君の贈り物?』
『くくっ・・・あぁそうだ。』
『わ~~い♪』

最後にギョンが手にした贈り物は、ガンヒョンが用意したクリスマスタペストリーだった

ギョンも満足そうにそれを手にし、それから漸く全員でプレゼントを眺めながらケーキを食べた

チャン家が用意したクリスマスケーキは、チャン航空御用達の物で味もさることながら、

パーティーを盛り上げるに十分すぎるほどのデコレーションだった

ケーキを食べ終わり、皆満足しながら席を立った

『さぁ~じゃあみんな、男女に分かれてチャン家別荘名物露天風呂を堪能してくれよ♪
就寝時間後の行動については、其々に任せるからさ~♪』

だがチェギョンはそこではたと考えてしまった

『あ・・・あのさギョン君、後片付けはどうするの?』
『あ~そんなこと気にしなくていいよ。』
『いや・・・でもそれはダメでしょう。使った食器とかバイキングの容器とか洗うよ。』

皆が食べ終わったケーキの皿を手に持つとキッチンに向かって行くチェギョン

慌ててガンヒョン・ヒスン・スニョンも後に続いた

その光景を見ていたギョンは、今までにない女子達の行動に驚き呟いた

『チェギョン・・・お嬢様なんだから、そんなことしなくてもいいのに・・・』

ギョンのその言葉を聞いてシンは思わず答えた

『いや・・・あれはチェギョンの性分だ。くくくっ・・・』



率先してキッチンで使用した皿を洗い始めたチェギョン・・・ガンヒョンとヒスン・スニョンは後からキッチンに続き

チェギョンの洗った皿を拭き始めた

『今までさ・・・手を出していいものかどうか分からなくて、ギョンに言われるままにしていたのよ。
チェギョンが来てくれたおかげで、やっと食器に手が出せるわ。』
『えっ?そうだったの?』
『そうよ。ヒョリンは食器なんか絶対に洗わないしね。』
『だよね~。くすくす・・・。でもねこれは習性なんだよ。ほら・・・飲食店のバイトが長かったから。』
『そうだったんだ。今は・・・幸せ?』
『うん♪なんか夢心地の気分だよ~~♪』
『良かったわねチェギョン・・・』

チェギョンとガンヒョンの会話を、ヒスンやスニョンは頷きながら聞いていた

チェギョンが大変な環境だった事は知っていても、詳しい事は何一つ話さなかったチェギョン

以前の生活ぶりがチェギョンの表情から痛いほど伝わったようだ

『今夜は一杯話そう!!』

ヒスンとスニョンは以前のチェギョンを慰めるように、その背中を軽く撫でた



『さてと~~お片付けも終わったし、皆お風呂に行こう♪』
『『『おぉ!!』』』

女子達はリビングの灯りを消し二階に上がっていく

クリスマスツリーの灯りだけが点滅するリビングは、実にロマンチックな光景だ

なんとなく後ろ髪引かれる思いになりながら、四人は女子の部屋に入っていった

男子達は既に部屋に引き揚げたようだ

『さぁチェギョン・・・着替えを持って露天風呂に行こう!!』
『うん。下に着替える場所があるの?』
『あるわよ。脱衣所もシャワールームもちゃんとあるわ。』
『すごいなぁ・・・』

早くその露天風呂に行きたかったチェギョンは、鞄の中から着替えを取り出すと両手に抱えた

『可愛いパジャマ持って来た?』
『うん。アニマル柄じゃあないんだけど・・・』
『えっ?アニマル柄って?』
『クマさんとかリスさんが良かったんだけど、お母さんがこれにしなさいって選んでくれたのにしたんだ。』

それを聞いたヒスンは笑い転げた

『チェギョン・・・可愛いって子供のパジャマじゃないんだからさ~きっとお母さんの意見が正しいと思うよ。』
『そうかなぁ・・・』

四人はテラスから出て階段を降りて行く・・・

そこには脱衣所とシャワールームが完備されており、女同士の裸の付き合いが始まった

皆で背中を洗いあったり・・・修学旅行さえ不参加だったチェギョンにとって、こんな楽しい時間は

生まれて初めてだった

『あ~~さすがここのお風呂はいいお湯ね。』
『あったか~~い!!』
『チェギョン・・・ここのお湯は温泉なのよ。』
『えっ?そうなの?』
『うん。自然に湧き出しているんだって。ギョンが自慢していたわ。』
『ほぉ・・・・・露天風呂に温泉が湧き出しているなんてすごすぎる!!』

スニョンはチェギョンの言葉に驚いて、思わず問いかけた

『チェギョン・・・あんたのうちにもある筈よ。前にヒョリンが自慢していたもの・・・』
『なにが?』
『温泉付きの別荘・・・』
『マジ?』
『聞いていない?』
『うん。私はまだシン家の娘になって歴史が浅いから知らない。くすくす・・・』

チェギョンのそんな返事にガンヒョン・ヒスン・スニョンはチェギョンを心から不憫に思えた

自分達は庶民ではあるが、当たり前のように両親に愛され普通に生活して来られた

だが・・・今までのチェギョンは違った

特に小学校の頃からチェギョンを知っているガンヒョンは、今のチェギョンの笑顔の裏に

どれほどの涙を流してきただろうかと思うと胸を締めつけられる思いだった

『星が・・・すごく綺麗だね。今にも落ちてきそう。』
『今年は雪が降らなかったからいいけど、雪が降ったら降ったでまた違った美しさを堪能できるわ。
すごく寒いけどね・・・』
『だよね~~雪の中の露天風呂って寒そう・・・・ぶるぶる・・・』

皆満面の笑みを浮かべながら、チェギョンがこのパーティーに参加できたことを心から喜んでいた

当のチェギョンは頬をピンク色に染め、落ちてきそうなほどきらめく星空を満面の笑みで見上げていた



イメージ 1

あらやだ!!
ビンゴゲームのくだりが長すぎた。
クリスマスパーティーはもう一話続く・・・
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!


しかし本当に寒い~~!!
本日から多肉ハウスの中は
ハウスインハウスになりました。
水道凍結防止ヒーターも入ったの。
電気代が心配だわ(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1451

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>