ナムギルがカン電子の社長との電話を切った時、スンレはソファーに座るナムギルの前にそっとお茶を出した
『あなた・・・』
『聞いていたのか?』
『ええ。盗み聞きするつもりはありませんでしたが、聞こえてしまいました。
ヒョリンはイン君と一緒に海外に行くつもりだったのですね。』
『ああ。そうらしい・・・。私達の娘を入れ替えた憎むべき女の産んだ子だ。そのヒョリンの事で
カン家に頭を下げるなんて・・・私を愚かだと思うかい?』
『いいえ。察するところカン家でも相当な言われようでしたね。』
『ああ。カン家ばかりじゃない。他の家ではもっと酷く言われている事だろう。
この間の経済界のパーティーでヒョリン自身もその事に気がついた筈だ。
もうこの家の娘としては扱われないのだと・・・。
せめて私達くらいはヒョリンを応援してやろうじゃないか。
何も知らないままこの家にやって来て、18年間私達の娘だった子だ。』
『ええ。それは異存ありませんわ。ただ・・・』
『ただ・・・なんだね?』
『ヒョリンとイン君が一緒に海外に行くことは簡単に許したのに、シン君とチェギョンがお付き合いすることに
関しては、なぜあのような条件を出したのです?ヒョリンはイン君と・・・お付き合いする意思があるのでしょう。
だったらすぐにでも許してやったらいいじゃないですか。』
『いや・・・それは・・・撤回しない。』
『えっ・・・まだヒョリンを思ってとか言うんですか?』
『本音はそうではない。折角帰って来てくれた娘を、あっという間に奪われてしまうなんて耐えられん!!
チェギョンの恋人は・・・父親であるこの私であって欲しいのだ。
もう暫くの間だけ・・・そのくらいは許されるだろう?』
『あなた!嫉妬ですか・・・呆れてしまいますわ。』
『呆れられても父親なんてそんなものだ。特にチェギョンとはまだ親子関係が始まったばかりだ。
少しでも引き伸ばしたいのだ・・・』
苦笑するナムギルの顔を見つめスンレは呆れながらも、父親としての寂しさをひしひしと感じていた
何れチェギョンも・・・そしてヒョリンも嫁いでゆくだろう
短い期間の間だけでも娘の恋人でありたい・・・そう願うナムギルの心情も解らなくはなかった
ナムギルとスンレがそんな会話をしている頃・・・海外の大学の入学試験を受けるインとヒョリンは
その為の手続きをしていた
それが終わった頃・・・インの携帯が鳴り、インはその電話を受けた
電話を切った後、インは実に晴れやかな顔つきをしている
『誰だったの?今の電話・・・』
『親父さ・・・』
『インの・・・お父様・・・』
以前はそんなことはなかったが、シン家の事情を知って以来インの両親はヒョリンの事を
あまり快く思っていなかった
そして海外の大学に行く事もいい顔をされていないと聞いていた
ヒョリンは窺うような視線をインに向けた
『親父・・・許してくれたよ。』
『えっ?』
『ヒョリンと一緒に海外の大学に通うことを許してくれた。』
『一体なぜ・・・?イン・・・勘当されるかもって言っていたじゃない?』
『君のお父さんのおかげだ。』
『えっ?うちのパパの・・・おかげって?』
『≪ヒョリンはうちの大事な娘だから、責任は全部私が持つ。だから行かせてやって欲しい≫
親父にそう言ったそうだよ。』
『うちの・・・大事な娘・・・そう・・・』
プライドの高いヒョリンではあったが、さすがに胸に堪えたようだ
チェギョンが来て以来、自分などもういらない存在だと思っていたヒョリンは、父ナムギルのそんな想いを
人から聞かされ、その瞳を潤まさずにはいられなかった
『さぁイン!!早く書類を持って帰りましょう。』
『そうだな。ヒョリン・・・』
思わずこみ上げてくる涙を笑顔で誤魔化したヒョリン・・・その後二人は父のそんな想いに報いるためにも
準備を万端に整え入学試験を受けるため海外に旅立った
インとヒョリンが海外の大学入学試験を受けている頃・・・韓国芸術高校の生徒も同系大学に進む為の
入学試験を受けていた
もちろん在校生達は同系大学に進むのに、それほど難しい試験を受けるわけではない
半ばエスカレーター式なのだが、それでも一応は振るいに掛ける試験は行われるのだ
試験が終わった時・・・クラスメート達は皆晴れやかな顔をし、チェギョンもその中で一緒になって微笑んでいた
『さぁ~試験も終わったし、打ち上げに行くわよ~♪』
クラスの中心人物イ・ガンヒョンの号令で、いつもの仲間はぞろぞろとガンヒョンの後に続いた
向かった先は学校からさほど離れていないカフェ
チェギョンは初めての友人との寄り道に胸を高鳴らせ、ガンヒョンに言われるまま彼女と向き合い
窓側の席に座った
メニューを眺め・・・一人うっとりと蕩けそうな顔をしているチェギョンに、ガンヒョンは問い掛けた
『チェギョンは何にする?アタシはコーヒー。』
『私はカフェラテ。』『私はミルクティー。チェギョン?まだ決まらないの?』
『あ・・・私はあの・・・これ・・・』
『モンブランパフェ~~?』
『う・・・うん。ダメ?』
『いや・・・別にいいけど・・・』
注文を済ませた後、皆は其々に大きく溜息をついた
『終わったわね~~。』
『うん。終わった・・・』
『まさか落ちないわよね。』
『そりゃないでしょ~~~!!』
そしてチェギョンは四人掛けのテーブルに、なぜかガンヒョンと二人だけが座っている事に今更気がついた様だ
『ねえ~どうしてヒスンとスニョンはそっちに座るの?横・・・空いているのに・・・』
『ふふふ・・・もうすぐ映像科のメンズがここに来るからよ。』
『えっ?』
映像科のメンズとは・・・すなわちシン達のグループである
やがて其々の前に注文した物が到着し、チェギョンは自分が頼んだ≪モンブランパフェ≫の大きさに目を丸くした
『な・な・な・な・・・なにこれっ・・・』
『ここのパフェは普通のパフェの二倍なのよ。』
普通のパフェさえも知らないチェギョンは、とんでもない物を頼んでしまったと恐れおののいていた
そこに・・・現れた映像科のメンズ達
ガヤガヤと騒がしく店内に入って来る
『お~~ガンヒョン待たせたね~~♪』
『遅いわよギョン!!』
ごく当たり前にギョンはガンヒョンの隣に座り、その後から入って来たシンはチェギョンの隣に座る
リュ・ファンはヒスンとスニョンの前に座った
シンはチェギョンの目の前にそびえ立つモンブランパフェを横目で見ると小さく呟いた
『また・・・すごい物を頼んでるな。』
『あ・・・こんなに大きいとは思わなかったんだ。どうしよう・・・』
メンズ達も其々に注文を済ませた後、チェギョンはその高いモンブランに挑戦中である
もちろん入試が終わったからといって、まだ交際がスタートしたわけではない
でも気持ちはすっかり恋人気分の二人である
シンは自分のコーヒーについてきたスプーンで、チェギョンが挑戦するモンブランを横から手助けする
そんな様子を見ていたギョンは・・・もちろん経済界のパーティーでの様子も知った上で、チェギョンに話しかけた
『チェギョン・・・今年のクリスマスパーティーにはもちろん参加だよね?』
『う・・・うん♪行きたい~♪』
友人からの誘いに応じられる事・・・チェギョンにとってこれほどうれしい事はないのだ
『ギョンの家の別荘、寒い地方だから厚着して来なきゃダメよ。まぁ室内は暖房が効いているから
問題ないけど。』
『えっと・・・何を持っていったらいいのかな?』
『夜はパジャマパーティーになるから、可愛いパジャマは必要ね。』
『ぱ・・・パジャマ?って・・・泊まり?』
『もちろんそうよ。』
『えっ・・・・・』
両親に初めて友人と遊びに行く報告が、いきなり一泊旅行になるとは・・・
高すぎるハードルを目の前に絶句するチェギョンだった
にゃんと~~友人達とのクリスマスパーティーは
お泊りだって♪
チェギョンはどうするんだろうね~~♪
漸く友人達が出てきました。
このお話展開遅すぎだね(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
お泊りだって♪
チェギョンはどうするんだろうね~~♪
漸く友人達が出てきました。
このお話展開遅すぎだね(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!