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Channel: ~星の欠片~
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蜃気楼の家 24

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その夜チェギョンは早速シンに電話を掛けた

ヒョリンの事をシンに話し、この胸の中にあるもやもやを鎮めたかったのである

『もしもし?シン君?』
『あぁ。どうした?もう俺の声が聞きたくなったのか?』
『ちぇっ・・・そうじゃないって!!』
『そうじゃないのかよ・・・』
『まぁそれもあるけど・・・あのね、ちょっと聞いて欲しい話があって・・・』
『話してみろよ。』
『ヒョリンが・・・海外の大学に行くって決めたみたい。』
『そうか。』
『そうかって・・・驚かないの?』
『まぁあり得る話だなと思って。それで・・・おじさんとおばさんは賛成したのか?』
『複雑な顔をしていたけど、援助は惜しまないって・・・。
ねえ、ヒョリンが家を出て行くのは私のせいなのかな?』
『ヒョリンがそう言ったのか?』
『ううん。そうは言っていないけど・・・』
『だったらそうじゃないだろう。元々ヒョリンは自分が一番じゃなきゃ気が済まない性格だ。
今のシン家でどんなに虚勢を張っても、ヒョリンは一番になり得ない。
だとしたら・・・遠く離れた方がお互いの為・・・両親の為なんじゃないのか?
アイツと上手く暮らしていくのは難しいだろう?』
『うん・・・でも気が咎めるんだ。』
『お前がそんな考え方をしていたら、ヒョリンの≪エベレストより高いプライド≫が凄く傷付くだろうな。
海外で勉強したいって言っているんだ。応援してやれ・・・』
『それでいいのかな・・・』
『あぁ。それでいいんだ。』
『解った。そう考えることにするよ。シン君・・・どうもありがとう。』
『いや、気にするな。マナーレッスンも終わってしまったし、暫く受験体制に入らないとな。』
『うん。暫く遊びに行けないね。』
『合格したら・・・いろんなところに連れて行く。覚悟しておけ。』
『うん~♪』

約束の交際開始まではもう暫く期間がある

だがもう既にお互いの気持ちの上では、ステディな関係が成り立っているのだった




翌週から・・・学校から帰宅するとチェギョンもヒョリンも受験に向けて部屋で勉強に勤しむ日々だった

ヒョリンに於いては以前留学中にお世話になった先生に連絡を取り、必要な書類を取り寄せているようだった

お互いがお互いの未来に向かって、精一杯羽ばたく努力をしているようで

食事の時間なども共に過ごすことは無く、チェギョンとヒョリンが衝突する事もなかった



そして経済界のパーティーから一週間後・・・シン家には思いもよらぬ来客が訪れた

それはソ・ファヨンとイ・ユル親子だった

もちろんいろんな場所で二人に逢うことはあっても、シン夫妻にとってソ・ファヨンは

家に訪ねてくるほど親しい友人ではなかったのである

それでも顔見知りの二人をシン夫妻は応接室に通し、にこやかに談笑していた

『今日は一体どうされたんです?ソ・ファヨンさん。』
『先日のパーティーに出席できなかったので、こちらのお嬢さんのお顔をちゃんと拝見できなくて・・・
今日はご挨拶に伺いましたの。』

ヒョリンは丁度バレエのレッスンに行っている最中で家には不在だった

そしてシン夫妻もこのソ・ファヨンの言うところの≪お嬢さん≫はチェギョンの事だと察した

すぐにチェギョンは応接室に呼ばれ、両親と共にソファーに腰を下ろした

『あ・・・ユルさん、こんにちは♪ソ・ファヨンおば様もこんにちは。』
『チェギョンちゃん・・・』

笑顔のチェギョンに迎えられ、ユルは嬉しそうにチェギョンを見つめた

『まぁ・・・すっかりお嬢様らしくなったこと♪先日もユルと踊って下さったそうね。』

イ家のミンとソ・ファヨンがあまり折り合いが良くない事を知っていたスンレ

親しくしていると感性まで似てくるのだろうか。ファヨンの言葉の端々に皮肉めいたものを感じるスンレである

一瞬スンレの表情が曇ったのを見逃がすユルではない

ここでシン夫妻に気に入られないと、その先はクリアできないのである

ユルは思い切って本日訪問した本題に入る

『あの・・・早速ですが、実はチェギョンちゃんがこの家の娘であると知る以前から、
僕は彼女に好意を寄せていまして・・・今日は正式にお付き合いを申し込みに来たんです。』
『えっ?』

驚いたのはチェギョンばかりでない。ナムギルやスンレも、ユルの言葉に呆然とした

『ユル君・・・チェギョンはまだ高校生だよ。それに受験で今がとても大切な時期だ。
まだ男性とのお付き合いなど早すぎる。』

もちろんユルからの申し出を即答で断るナムギルである

まだ家に戻って来てさほど時間も経っていない

いきなり娘に交際相手が出現するだなんて、到底考えられないナムギルである

それを聞いたファヨンは奥の手を口にする

『ナムギルさん・・・両家にとって悪い話じゃないと思うんですよ。何れは二つの会社を合併したら
更に大きな会社になるんですから・・・。シン家にとって悪い話じゃありませんわ。どうぞご一考ください。』

しかしこの言葉はナムギルの怒りに油を注いだようなものである

ソ・ファヨンの口ぶりは≪企業家として娘を差し出せ≫と言っている様なものなのだ

『お断りします。』

きっぱりと言い切るナムギル

ユルも黙ってはいられなくなったようだ。チェギョンの本心を聞くまでは帰れない・・・

『チェギョンちゃん・・・チェギョンちゃんはどう思う?僕とお付き合いする気はない?』

寝耳に水の話である。チェギョンにとってはあくまでも≪▼■食堂≫に来ていた常連客でしかないのだ

『あ・・・あの、ユルさん・・・私、そう言う対象としてユルさんを見たことがなくて・・・』

チェギョンの返事に満面の笑みのナムギルは、ユルに言い放った

『ユル君・・・娘もその気はないといっている。諦めてくれないか?』

しかしユルは・・・やはり諦め切れない。そう言う対象として見て貰えるだけの時間がユルには無かったのだ

『シン社長、イ・シンだったらお相手として了承するのですか?』

悔し紛れにユルは、先週シンから挑発された言葉を放ってしまった

『ああ?シン君?なぜシン君の名がここで出てくるんだね?』
『シンが言っていました。大学に合格したらチェギョンちゃんと付き合う約束をしたと・・・』
『なんだって?チェギョン・・・それは本当かい?』

いきなりシンと交わした約束の話が飛び出し、チェギョンは目をまん丸にして困惑するも

毅然とした口調で父に答え始めた

『お父さんお母さん・・・あの、シン君は私がこの家の娘じゃない頃から、
すごく私を気に掛けてくれていたんです。
この家に来るまでの間・・・ミンおば様もだけどシン君も、すごく私の力になってくれました。
私にとってとても頼りになる存在なんです。大学に合格したら・・・お付き合いしたいと思っています。
ダメですか?』

イ・シンと娘はいい友人関係だと思っていたナムギル

チェギョンから飛び出した言葉で血相を変えた

『ソ・ファヨンさんユル君・・・そう言うことだから帰って貰えるかな。
スンレ・・・すぐにシン君をここに呼びなさい!!』

合格したらシンはきちんと挨拶をしお付き合いを始めようと考えていたのだ

だがユルの暴露により、その順番が狂ってしまった

ソ・ファヨンとイ・ユルは肩を落としシン家から出て行く

去り際にユルは、チェギョンに向けてこう呟いた

『僕が君の頼りになる男に・・・なりたかった。君と同じ年に生まれていたら良かったのに・・・』

報われない想いの憂さを、二人の約束を暴露することで晴らそうとしたユル

だが去っていくユルの胸の中に残ったのは、深い敗北感だけだった



ソ・ファヨンとイ・ユル親子が帰った後、スンレはすぐさまミンに電話を掛けた

『ミンさん!!』
『どうしたの?スンレさん・・・』
『シン君は家にいる?』
『ええいるわよ。』
『今から家まで来ていただけない?シン君も一緒に・・・』
『構わないけど・・・一体何があったの?様子が変だわ。』
『うちのチェギョンとシン君、大学に合格したら正式にお付き合いする約束をしていたみたいなの。
それを・・・今、ユル君がやって来て主人に話してしまったのよ。』
『えっ?正式な・・・お付き合い♪まぁ~~~❤』
『主人・・・相当お怒りの様なのよ。』
『お怒りなの~~♪まぁ~そんなのへっちゃらよ。すぐに行くわ。待っててね~~♪』

電話を切ったミンは自室で勉強をしているシンを引っ張り車に乗せた

予定より早いが・・・シンは正式なお付き合いの申し込みをする事になりそうである



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さて~~ナムギルパパ・・・賛成してくれるかな。
すべてはシン君とチェギョン次第❤

るろう・・・アニメも面白いっす(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!




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