イ家に入るなりチェギョンは満面の笑みでシンに問い掛けた
『ねっねっ?シン家の娘っぽい?』
『は・・・はぁ?何がだ?』
『自転車を自慢しに来たでしょう?』
『あぁ?・・・くくっ・・・くくくっ・・・あぁまぁ・・・な。』
『えっ?ダメなの?』
『態々ここまで自転車に乗ってやってくること自体・・・お嬢様らしくないな。』
『はぁ~そうなの?よくヒョリンは自分の持ち物を自慢していたから、こういうことしたらいいのかなって・・・
思ったんだけどなぁ。』
『くっ・・・ちょっとピントはズレているが、まぁ・・・チェギョンらしくていいよ。』
『ちぇっ・・・私はシン家の娘らしい行動を取ったつもりだったのに・・・』
そんな二人のやりとりを微笑ましく思いながら、ミンは二人の前にお茶を出すと先程スンレと話したことを
二人に告げた
『そうそう!チェギョンさん、秋にね・・・経済界主催の大きなパーティーがあるの。
先程スンレさんと話した様子では、どうもチェギョンさんを連れて行きたいみたいよ。』
『えっ・・・私をパーティーに?それってつまり・・・』
『そう。社交界デビューよ。』
『ひえ~っ・・・どうしよう・・・』
今まで全く自分と縁のなかった世界が、急に目の前に迫って来たのを感じてチェギョンは顔色を変えた
『チェギョン・・・うちに来て色んなマナーを覚えた方がいいだろう。
シン家では何かとヒョリンが嫌味を言いそうだしな。』
『そうね!シン・・・それはいい考えだわ。チェギョンさん暫く通って来ない?』
『あ・・・はい。では学校が終わったら愛車に乗ってこちらに伺います。』
『えっ?車を出してあげるわ。迎えに行かせるから・・・』
『そんなことをしたらヒョリンに咎められちゃいます。お友達の家に遊びに行くような素振りをして
ここに通わせていただきます。構いませんか?』
『解ったわ。じゃあ新学期が始まったらレッスンを始めましょう。』
『はい!よろしくお願いします。』
『ところでチェギョンさん、折角来たんだからお夕飯を食べていったらどう?』
『あ・・・いえ!お母さんとヒョリンが戻る前に帰ります。自転車を見せたかっただけなんです~♪くすくす・・・』
結局自転車で来たチェギョンを一人で帰すわけにもいかず、シンはガレージの奥にしまい込んだ
自分の自転車に乗り込み、シン家までチェギョンを送っていった
そして今後チェギョンを送る羽目になりそうである
その夜・・・少し機嫌を直したヒョリンは、ナムギルに新しい洋服の自慢をしていた
『パパ~~ママに買って貰ったのよ。どうかしら?』
『ああとっても良く似合うよヒョリン。』
『チェギョンほどではないけど、沢山買って貰ったわ。』
言葉の端々にどこか嫌味を忍ばせるヒョリンだった
そんなヒョリンの様子をスンレは表情を変えないまま一瞬凝視し、その言葉を気にしているだろうチェギョンに
視線を向けると片目を瞑り笑いかけた
その表情は≪どうってことないわ。気にしないのよ。≫そう言っているように見えた
チェギョンは父ナムギルからプレゼントされた自転車の礼をその場で言うのは控え、
ヒョリンが部屋に戻ってしまった後感謝の想いを口にする
『あ・・・あの、お父さん・・・自転車をありがとうございました。』
『気に入ったかい?』
『はい。すごくかっこいいですし乗り心地も抜群でした。』
『だけど外出時には気を付けるんだよ。あまり遠くまでは行かない様に・・・』
『はい。』
恐らくナムギルの言うところの遠くはイ家も含まれるのだろうが、チェギョンは敢えてそう返事をしておいた
新学期が始まる前にとチェギョンはアパートを引き払うことにした
長年住み慣れたアパート・・・確かに愛着はあったが、それと同時にチェギョンにとっては一番寂しい場所だった
案の定ヒョリンはそれに立ち会うことは無く、チェギョンは父にお願いして母の荷物のすべてを
敷地内の物置きに保管させて貰えるよう頼み込んだ
自分にとっては愛着の無い物ても、ひょっとしたらいつかヒョリンがそれらの物に逢いたくなるのではないか・・・
そんな期待を秘めての行動だった
新学期が始まり、チェギョンとヒョリンは同じ車で学校に登校して行った
周囲の友達は二人が揃って登校したことに驚き、またチェギョンの名札の名前が変わっている事に気が付き
二人に問い掛けた
チェギョンに至っては『えっとぉ・・・少し事情があって・・・』そう言葉を濁したのだが、
ヒョリンは『知らないわよ!』の一点張りだった
だが・・・そういった噂話はすぐに校内を駆け巡る
つまりヒョリンの母が起こした赤ちゃん取り違えによって二人が入れ替わったことが、生徒に
知れ渡ってしまったのである
ヒョリンの取り巻きたちはその噂の真偽を確認しようとヒョリンを質問攻めにし、ヒョリンは困り果て
心配して教室を訪れたインに泣きつく始末だった
『イン・・・私は何も悪くないのに、どうして私が責められるの?
シンだってチェギョンの肩ばかり持って、私との婚約の話を白紙に戻したのよ。
もう私は・・・誰からも必要とされていないのかしら・・・』
取ってつけた様な哀願の表情。それは自分に好意的なインを味方につけようというヒョリンの計算だった
なんとかして自分の立場を守らなければ・・・ヒョリンにしてみれば背水の陣だった
質問攻めにしていった取り巻きたちは、ヒョリンがシン家の娘ではないと知ると掌を返したように背を向けた
もう今・・・学校内で自分の味方になってくれるのはインだけなのである
そのインは一旦ヒョリンの元を離れ自分の教室に戻っていった
シンに一言・・・文句を言ってやらなければ気が済まなかったのである
夏休み前までは≪大学に入ったらヒョリンと婚約する≫事を渋々ながらも受け入れていたシン
事情が変わったとはいえ、自分が想いを寄せる相手がその様な扱いを受けることが我慢できなかった
ところがシンは教室にはいなかった
ギョンの言うところによると、チェギョンの様子を見に美術科へ行ったそうだ
(シン・・・やっぱりお前はそういう奴なのか。ヒョリンが・・・それじゃああまりにも可哀想だ!)
昂った感情のままチェギョンの教室に向かったイン。インはチェギョンの教室の廊下で心配そうにチェギョンを
見つめているシンを目にし、カッと頭に血が上ってしまったようだ
いきなりシンに歩み寄りその胸倉を掴み、左頬に拳を打ちつけた
不意をつかれたシンはその場に尻もちをつき、打たれた左頬を手で押さえた
『っつ・・・イン、いきなり何をするんだ!』
『それは俺のセリフだ。シン・・・お前少しはヒョリンの気持ちを考えたらどうだ?余りにも酷すぎるだろう?』
『ヒョリンの気持ち?だったらチェギョンの気持ちはどうなる?お前はチェギョンが今までどんな扱いを受けたか
知っているのか?何も知らないで口を出すなっ!!』
二人の競り合いに続々と人が集まって来る。チェギョンも慌てて教室から飛び出すと、二人の間に割って入った
『シン君!!』
インはシンを殴ったことで少しは気が晴れたのかその場を去っていく
シンも急いで立ち上がりその場を去ろうとした
だが・・・インに殴られたことにより切れてしまった唇の端に血が滲んでいるのを見てしまったチェギョンは
シンの手を掴みその場から走りだした
そして誰もいない洗面所でハンカチを濡らし、シンの唇の端を拭おうとした
『シン君・・・切れてる・・・』
『っつ・・・こんなの舐めておけば治る。』
事情も説明できないまま一方的にインに殴られたショックから、チェギョンの差し出したハンカチさえを
拒もうとするシン
『舐めておけば・・・治るの?』
チェギョンはその傷をじっと見つめ、それから何の躊躇いもなく背伸びをするとその場所に顔を近づけた
<ぺろり・・・>
『うっ・・・おっ・・・お前・・・唐突に何をする気だっ!!ここは学校で・・・』
チェギョンの起こしたあまりにも衝撃的な行動に、シン自身も何を口走っているのか分からない
『だって舐めておけば治るって言うから・・・』
『だっ・・・ばっ・・・お前・・・ここは学校で、それにこの場所は・・・唇・・・』
そう・・・端とはいっても唇なのだ。シンは躊躇いも無くチェギョンに唇を舐められたのである
そしてチェギョンがその事に漸く気が付き、口を開けたまま頬を真っ赤に染めた
『あっ・・・わっ・・・ごっごめん。つい・・・』
『つい・・・あぁ・・・』
『舐めておけば治るに反応しちゃって・・・ごめん・・・悪気はないよ。』
『お前・・・相当な天然・・・』
『そっそうかも。あ・・・授業が始まる。戻らなきゃ~~~///』
パタパタと小走りにその場を去っていったチェギョン
シンは指で傷の部分をなぞり、あの一瞬の感触を思い出し心臓の鼓動が速度を上げるのを感じた
<トクンドクン・・・ドクンドクン・・・>
(あいつ・・・学校でこんな事。っつ・・・誰にでもこんなことしたら承知しないからな!!)
仄かに湧きあがる独占欲・・・それは恋の始まりだった
『ねっねっ?シン家の娘っぽい?』
『は・・・はぁ?何がだ?』
『自転車を自慢しに来たでしょう?』
『あぁ?・・・くくっ・・・くくくっ・・・あぁまぁ・・・な。』
『えっ?ダメなの?』
『態々ここまで自転車に乗ってやってくること自体・・・お嬢様らしくないな。』
『はぁ~そうなの?よくヒョリンは自分の持ち物を自慢していたから、こういうことしたらいいのかなって・・・
思ったんだけどなぁ。』
『くっ・・・ちょっとピントはズレているが、まぁ・・・チェギョンらしくていいよ。』
『ちぇっ・・・私はシン家の娘らしい行動を取ったつもりだったのに・・・』
そんな二人のやりとりを微笑ましく思いながら、ミンは二人の前にお茶を出すと先程スンレと話したことを
二人に告げた
『そうそう!チェギョンさん、秋にね・・・経済界主催の大きなパーティーがあるの。
先程スンレさんと話した様子では、どうもチェギョンさんを連れて行きたいみたいよ。』
『えっ・・・私をパーティーに?それってつまり・・・』
『そう。社交界デビューよ。』
『ひえ~っ・・・どうしよう・・・』
今まで全く自分と縁のなかった世界が、急に目の前に迫って来たのを感じてチェギョンは顔色を変えた
『チェギョン・・・うちに来て色んなマナーを覚えた方がいいだろう。
シン家では何かとヒョリンが嫌味を言いそうだしな。』
『そうね!シン・・・それはいい考えだわ。チェギョンさん暫く通って来ない?』
『あ・・・はい。では学校が終わったら愛車に乗ってこちらに伺います。』
『えっ?車を出してあげるわ。迎えに行かせるから・・・』
『そんなことをしたらヒョリンに咎められちゃいます。お友達の家に遊びに行くような素振りをして
ここに通わせていただきます。構いませんか?』
『解ったわ。じゃあ新学期が始まったらレッスンを始めましょう。』
『はい!よろしくお願いします。』
『ところでチェギョンさん、折角来たんだからお夕飯を食べていったらどう?』
『あ・・・いえ!お母さんとヒョリンが戻る前に帰ります。自転車を見せたかっただけなんです~♪くすくす・・・』
結局自転車で来たチェギョンを一人で帰すわけにもいかず、シンはガレージの奥にしまい込んだ
自分の自転車に乗り込み、シン家までチェギョンを送っていった
そして今後チェギョンを送る羽目になりそうである
その夜・・・少し機嫌を直したヒョリンは、ナムギルに新しい洋服の自慢をしていた
『パパ~~ママに買って貰ったのよ。どうかしら?』
『ああとっても良く似合うよヒョリン。』
『チェギョンほどではないけど、沢山買って貰ったわ。』
言葉の端々にどこか嫌味を忍ばせるヒョリンだった
そんなヒョリンの様子をスンレは表情を変えないまま一瞬凝視し、その言葉を気にしているだろうチェギョンに
視線を向けると片目を瞑り笑いかけた
その表情は≪どうってことないわ。気にしないのよ。≫そう言っているように見えた
チェギョンは父ナムギルからプレゼントされた自転車の礼をその場で言うのは控え、
ヒョリンが部屋に戻ってしまった後感謝の想いを口にする
『あ・・・あの、お父さん・・・自転車をありがとうございました。』
『気に入ったかい?』
『はい。すごくかっこいいですし乗り心地も抜群でした。』
『だけど外出時には気を付けるんだよ。あまり遠くまでは行かない様に・・・』
『はい。』
恐らくナムギルの言うところの遠くはイ家も含まれるのだろうが、チェギョンは敢えてそう返事をしておいた
新学期が始まる前にとチェギョンはアパートを引き払うことにした
長年住み慣れたアパート・・・確かに愛着はあったが、それと同時にチェギョンにとっては一番寂しい場所だった
案の定ヒョリンはそれに立ち会うことは無く、チェギョンは父にお願いして母の荷物のすべてを
敷地内の物置きに保管させて貰えるよう頼み込んだ
自分にとっては愛着の無い物ても、ひょっとしたらいつかヒョリンがそれらの物に逢いたくなるのではないか・・・
そんな期待を秘めての行動だった
新学期が始まり、チェギョンとヒョリンは同じ車で学校に登校して行った
周囲の友達は二人が揃って登校したことに驚き、またチェギョンの名札の名前が変わっている事に気が付き
二人に問い掛けた
チェギョンに至っては『えっとぉ・・・少し事情があって・・・』そう言葉を濁したのだが、
ヒョリンは『知らないわよ!』の一点張りだった
だが・・・そういった噂話はすぐに校内を駆け巡る
つまりヒョリンの母が起こした赤ちゃん取り違えによって二人が入れ替わったことが、生徒に
知れ渡ってしまったのである
ヒョリンの取り巻きたちはその噂の真偽を確認しようとヒョリンを質問攻めにし、ヒョリンは困り果て
心配して教室を訪れたインに泣きつく始末だった
『イン・・・私は何も悪くないのに、どうして私が責められるの?
シンだってチェギョンの肩ばかり持って、私との婚約の話を白紙に戻したのよ。
もう私は・・・誰からも必要とされていないのかしら・・・』
取ってつけた様な哀願の表情。それは自分に好意的なインを味方につけようというヒョリンの計算だった
なんとかして自分の立場を守らなければ・・・ヒョリンにしてみれば背水の陣だった
質問攻めにしていった取り巻きたちは、ヒョリンがシン家の娘ではないと知ると掌を返したように背を向けた
もう今・・・学校内で自分の味方になってくれるのはインだけなのである
そのインは一旦ヒョリンの元を離れ自分の教室に戻っていった
シンに一言・・・文句を言ってやらなければ気が済まなかったのである
夏休み前までは≪大学に入ったらヒョリンと婚約する≫事を渋々ながらも受け入れていたシン
事情が変わったとはいえ、自分が想いを寄せる相手がその様な扱いを受けることが我慢できなかった
ところがシンは教室にはいなかった
ギョンの言うところによると、チェギョンの様子を見に美術科へ行ったそうだ
(シン・・・やっぱりお前はそういう奴なのか。ヒョリンが・・・それじゃああまりにも可哀想だ!)
昂った感情のままチェギョンの教室に向かったイン。インはチェギョンの教室の廊下で心配そうにチェギョンを
見つめているシンを目にし、カッと頭に血が上ってしまったようだ
いきなりシンに歩み寄りその胸倉を掴み、左頬に拳を打ちつけた
不意をつかれたシンはその場に尻もちをつき、打たれた左頬を手で押さえた
『っつ・・・イン、いきなり何をするんだ!』
『それは俺のセリフだ。シン・・・お前少しはヒョリンの気持ちを考えたらどうだ?余りにも酷すぎるだろう?』
『ヒョリンの気持ち?だったらチェギョンの気持ちはどうなる?お前はチェギョンが今までどんな扱いを受けたか
知っているのか?何も知らないで口を出すなっ!!』
二人の競り合いに続々と人が集まって来る。チェギョンも慌てて教室から飛び出すと、二人の間に割って入った
『シン君!!』
インはシンを殴ったことで少しは気が晴れたのかその場を去っていく
シンも急いで立ち上がりその場を去ろうとした
だが・・・インに殴られたことにより切れてしまった唇の端に血が滲んでいるのを見てしまったチェギョンは
シンの手を掴みその場から走りだした
そして誰もいない洗面所でハンカチを濡らし、シンの唇の端を拭おうとした
『シン君・・・切れてる・・・』
『っつ・・・こんなの舐めておけば治る。』
事情も説明できないまま一方的にインに殴られたショックから、チェギョンの差し出したハンカチさえを
拒もうとするシン
『舐めておけば・・・治るの?』
チェギョンはその傷をじっと見つめ、それから何の躊躇いもなく背伸びをするとその場所に顔を近づけた
<ぺろり・・・>
『うっ・・・おっ・・・お前・・・唐突に何をする気だっ!!ここは学校で・・・』
チェギョンの起こしたあまりにも衝撃的な行動に、シン自身も何を口走っているのか分からない
『だって舐めておけば治るって言うから・・・』
『だっ・・・ばっ・・・お前・・・ここは学校で、それにこの場所は・・・唇・・・』
そう・・・端とはいっても唇なのだ。シンは躊躇いも無くチェギョンに唇を舐められたのである
そしてチェギョンがその事に漸く気が付き、口を開けたまま頬を真っ赤に染めた
『あっ・・・わっ・・・ごっごめん。つい・・・』
『つい・・・あぁ・・・』
『舐めておけば治るに反応しちゃって・・・ごめん・・・悪気はないよ。』
『お前・・・相当な天然・・・』
『そっそうかも。あ・・・授業が始まる。戻らなきゃ~~~///』
パタパタと小走りにその場を去っていったチェギョン
シンは指で傷の部分をなぞり、あの一瞬の感触を思い出し心臓の鼓動が速度を上げるのを感じた
<トクンドクン・・・ドクンドクン・・・>
(あいつ・・・学校でこんな事。っつ・・・誰にでもこんなことしたら承知しないからな!!)
仄かに湧きあがる独占欲・・・それは恋の始まりだった
久し振りに~~超天然チェギョンでございますね~~♪
これがきっかけでお互いに意識しはじめるよ❤
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
これがきっかけでお互いに意識しはじめるよ❤
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!