翌朝・・・ナムギルが出掛けヒョリンが出掛けた後、スンレはチェギョンに今日の予定を告げた
『チェギョン、お買い物に行きましょう?付き合って貰える?』
『えっ?・・・♪はい!!もちろんお付き合いします~♪』
チェギョンにとって母との買い物など夢のまた夢の大イベントだった
運転手の運転する車の後部座席に並んで腰掛け、チェギョンはワクワクした面持ちでスンレに問いかけた
『お母さん・・・何を買いに行くのですか?』
『ん~~?あなたのお洋服よ。』
『えっ?私の?』
『ええ。あなたに18年分の洋服を買ってあげたいの。でもそれは無理だから、遠慮せずに好きな物を選んでね。』
『本当に・・・?いいんですか?』
『ええ。もちろんよ。あ・・・そうだわ。ミンさんとシン君も来るのよ。シン君に今時の女の子の服を、
選んで貰ったらいいわ♪』
『わぁ~ミンおば様にシン君も来るんですか?大イベントですぅ・・・くすくす・・・』
嬉しそうに微笑むチェギョン・・・育ての親の日記帳を読んだ限り、チェギョンは当たり前の母の情を
掛けて貰えなかった事がスンレにも推測出来ていた
(私も嬉しいわチェギョン・・・)
そんな寂しい思いをさせた娘に、今からでも過ぎた18年間を償いたい
スンレのせいではないのだが、不憫な境遇に生きて来た我が娘に罪悪感を覚える
(あなたがそんな想いをしている時・・・私はヒョリンに欲しい物すべてを与えて来た。)
そのことが今となっては悔やまれるのだ
一瞬たりともヒョリンを自分の娘ではないのではと、疑問を抱いたこともなかった
だが産婦人科医院から自分が抱いて退院した子を、自分の子ではないと疑ってかかる親はいない
スンレのせいでは決してなかった
賑わう高級ショッピングタウン・・・その交差点の手前で車は停まり、スンレとチェギョンは車から降りた
『帰りはイ家のミンさんに送っていただくから、迎えはいいわ。』
『はい。かしこまりました。』
運転手は二人が降りた後シン家に向かって戻っていった
そしてスンレは待ち合わせの場所に目を向ける
『あら・・・ミンさんとシン君、もう着いているわ。』
スンレが視線を向ける方向にチェギョンが目をやると、ミンとシンは二人に向かって手を振っている
スンレとチェギョンは小走りに歩み寄り、待ち合わせしていたミンとシンに挨拶をする
『ミンさん・・・ごめんなさいね。遅くなっちゃって・・・』
『いいのよ。ヒョリンが出掛けるのを待っていたんでしょう。』
『ふふふ・・・さすがね。』
シンとチェギョンも早速挨拶を交わす
『シン君~こんにちは。今日はお母さんがお洋服を買って下さるんだって♪』
『あぁ聞いた。良かったな。』
『うん~~♪』
『ところで昨日の化粧品使ってみたのか?』
『あ・・・あれ?うん♪使う順番がわからなくて夜中に検索しちゃったよ。くすくす・・・』
『使い心地はどうだ?』
『最高~~♪香りはいいしお肌すべすべだよ~♪触ってみ?』
『どれ・・・』
チェギョンに促がされ指先でチェギョンの頬に触れるシン
『本当だ。すべすべだな。』
別になんの意識も無い二人の行動。だがそれを見逃がすミンではない
『まぁ~~なんだか仲がいいのね。ね~~スンレさん♪』
『本当に・・・主人が見たら妬いちゃうかも。』
『いや~ね~スンレさんったら。でもとっても絵になる二人だわ。そう思わない?』
『ええ。確かに・・・』
押しの強いのはミンの性格である。その押しの強さがじわじわと知らない間に周りを巻き込んでいくのである
『でもチェギョン、化粧品の順番がわからないなら聞きに来たらよかったのに・・・』
『あ・・・でもお母さん、もう遅い時間だったから遠慮しておきました♪』
『次からは聞きに来るのよ。』
『はいっ♪』
四人はシンを先頭にビルの一階にあるブティックに入っていく
『この店だよ。今、女の子に一番人気の店は・・・』
『おぉ・・・・』
そのブランド名を見て一瞬後ずさるチェギョン。敷居が高い・・・相当高くて店内に入れないかもしれないと
思った瞬間、二人の母に背中を押された
『さぁ入りましょう。』
『ほら・・・チェギョン先に行って頂戴。』
『はいぃ~~~・・・・』
店内にはファッション誌から抜け出してきそうな洋服がズラリと並び、シンは早速チェギョンの腕を取り
年齢に相応しい場所に連れて行く
『これなんかどうだ?すごく可愛いだろう?』
『はっ・・・すごい・・・・可愛い・・・♪』
『こっちもいいかも。きっとチェギョンに似合う。着てみたらどうだ?』
チェギョンは頬を紅潮させその洋服一枚一枚を見つめ、うっとりとした顔つきをしていた
だが・・・シンがどんな洋服を持ってきたとしても、チェギョンは目を輝かせそれを凝視した後で
元あった場所に戻してしまうのだ
そんな様子をスンレとミンは少し離れて見守っていた
『どうしたのかしら。気に入らないのかしら・・・』
『違うわ!!スンレさん・・・チェギョンさん、きっとプライスを見ちゃって≪これがいい≫って言えないのよ。』
『ま・・・まぁ・・・』
『遠慮深い子だとは思ったけど、これほどとは・・・』
『仕方ないわねえ・・・』
店内を一回りしてもチェギョンは試着するとは言わない。業を煮やしたミンとスンレは、チェギョンが
特別目を輝かせた品を片っ端から両手に持って、チェギョンを強引に試着室に入らせた
『全部着てみるのよ。いいわね。』
『チェギョンさん、私達に見せなかったら承知しないわよ~♪』
二人の母に気圧されチェギョンと大量の洋服は試着室に消え、三人は少し離れた場所で
チェギョンが出てくるのを胸を躍らせながら待った
『あの・・・どうでしょうか。』
出て来たチェギョンは七分袖のカットソーにチュニック・・・下にはサブリナパンツを着用していた
『まぁ~~♪可愛い。とっても似合っているわ。』
『本当に可愛らしいわ。これ・・・いただきましょう。』
チェギョンが試着室から出てくる度に、お買い上げ品は増えていく
どれもこれもとても愛らしく、そして上品な雰囲気を醸し出している
スンレが≪これ・・・いただきましょう≫という度に、段々チェギョンは顔面蒼白になっていく
恐らく頭の中の計算機で、今一体いくらお買い上げなのかを計算し血の気が引いていくのだ
『あ・・・あのお母さん、このブランド高校生が着るには少しお高すぎて・・・あの・・・』
『気にしないのよ。18年分買い物したいって言ったでしょう?』
ミンも横で頷く
『そうよチェギョンさん。スンレさんは嬉しくって仕方がないの。これも親孝行だと思いなさい。』
『は・・・はい・・・』
恐らく真新しい洋服ダンスが半分は埋まるだろうと思うほどお買い上げが増えた頃、
スンレはチェギョンが最後に試着したセットを見つめ店員に言う
『これもいただくわ。これ・・・着て帰るからプライスカード取って頂戴ね。』
『はい。かしこまりました。』
店側も突然現れたとんでもない上客に、最上級の接客姿勢である
『さてと・・・どこかでお食事して行きたいけど、一旦荷物を車に載せましょう。』
『そうね。この荷物を持ってじゃあお食事に行きにくいわね。』
ひとまずミンが車を停めた駐車場に向かった四人
チェギョンはそのブランドのバッグと靴も買って貰い身につけているが、非常に恐縮した様子である
シンはそんな様子のチェギョンを委縮した状態から解き放つために、頬に顔を寄せた
『くんくん・・・本当だ。いい香りがするな。』
『わっ!シン君・・・いきなり接近したら驚くじゃない。』
『くくっ・・・高級ブランドもよく似合っているぞ。何も心配するな。母さんもそう言っていただろう?』
『でも・・・すっご~~い金額だよ。私がアルバイトしたお金じゃあ1セットも買えないよ。』
『今はそれが相応しい環境に居るんだ。ちゃんと胸を張れ!!』
『う・・・うん♪』
胸を張って凛と前を向いたチェギョンは、そんじょそこらのお嬢様では太刀打ちできない程の気品を漂わせた
でえ~~い!!
某ブロガーさんご希望のシン君とのシンデレラタイムは
次回ってことにね❤
今日はヒョリンのタカビーが出て来なくて良かったなぁ。
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
某ブロガーさんご希望のシン君とのシンデレラタイムは
次回ってことにね❤
今日はヒョリンのタカビーが出て来なくて良かったなぁ。
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