ヒョリンの予定より随分早い帰宅に、ナムギルやスンレばかりではなくリビングに居た全員がピリピリとした
緊張感に包まれた
『お帰りヒョリン・・・』
『ヒョリンお帰りなさい・・・』
両親の余りにもぎこちない言葉に、ヒョリンは面白くないと言わんばかりの態度で
リビングの中に足を踏み入れた
そして両親の間に、見覚えのある顔がある事に気が付き驚愕の表情を見せた
『えぇっ??なぜチェギョンがうちに居るの?私の帰国を祝うお食事会にお招きするほど、
私達は・・・親しかったかしら?』
困惑の表情を浮かべるチェギョン・・・チェギョンにその理由が言える筈もない
すかさずナムギルはヒョリンに自分の横の席を指差して座るように指示をする
『ヒョリン・・・ここに座りなさい。』
ヒョリンは渋々ナムギルの隣に腰を下ろした。いつもならばチェギョンの居る場所は自分が座る場所
その場所にチェギョンが居る事が非常に不愉快なようだ
『ヒョリン・・・話があるんだ。』
『なあに?パパ・・・私もうお腹が空いちゃったわ。お食事しながらじゃあダメかしら?』
『何かをしながら話すような話ではないんだ。今この場で話そう。真剣に聞いて欲しい。』
『もぉっ・・・なによパパったら、そんな深刻そうな顔をして・・・。解ったわ。手短に話してね。』
『ヒョリン・・・ここに居るチェギョンは、今日からこの家で暮らす。』
『えっ?・・・なぜ?あ~母親が亡くなって身寄りがないから?
チェギョンの母親が亡くなったという噂は、私もお友達から聞いているわ。
私だってそりゃあお気の毒だとは思うけど、何もうちで面倒見る必要はないんじゃないの?
うちとは縁もゆかりもない人なんだしっ・・・』
傲慢な口ぶり・・・チェギョンを見下した態度。
ナムギルばかりかスンレさえも握り締めた手が震えだしそうな思いだった
もちろんそれは事情をすべて知っているイ家の三人も、同じ気持ちだった
『チェギョンは一緒に暮らすだけでなく、名前もシン・チェギョンとなる。』
『なに?まさか・・・その子を養女に迎えようって言うの?パパったら人が良いのにも程がある。
あり得ないわ!!そんなの絶対に認めない!!!』
ヒョリンの言っている言葉が・・・亡くなったヒョリンの生母が言わせている様な気がする
一生懸命ヒョリンを育てて来た自分達を嘲笑うかのようなヒョリンの暴言に、怒りや憎しみ・・・
様々な感情が込み上げてくる
『養女にするのではない。チェギョンは本当の・・・私達の血を受け継いだ娘だ。』
『パパ・・・意味がわからないわ。なぜチェギョンがパパの娘なの?』
『チェギョンは・・・私とスンレの娘だ。DNA鑑定もして正式にそう認められた。
だから今日からシン・チェギョンだ。』
『じゃあ…私とはまさか二卵性双生児だとでもいうの?信じられない。こんな子と双子だなんて絶対に嫌よ!!』
『双子ではない。18年前スンレが産んだ娘はただ一人だ。』
『だったら・・・私は?』
漸くヒョリンは事の重大さに気付いた様だ
ナムギルは意を決して準備してあった言葉を発する。残酷な事を告げなければならない
だがこの傲慢極まりない態度のヒョリンにその事実を告げるのは、この一件の首謀者ヒョリンの生母に対する
唯一の復讐のようにナムギルには思えた
『ヒョリンお前は・・・チェギョンを育てた女性の産んだ子だ。』
『あははは・・・パパ、一体なんの冗談なの?じゃあ私はパパの愛人の子だとでもいうの?』
『18年前・・・』
ナムギルはチェギョンの育ての親の死去で発覚した一連の真実をヒョリンに話して聞かせた
ヒョリンはとても信じられないと言った顔をし、目に涙を溜めて首を横に振った
その事実を到底受け入れることができなかった
今の今まで蝶よ花よとこの家で可愛がられたヒョリンである
いきなり聞かされたそんな話を、信じろという方が無理な話だ
『パパ・・・ママ・・・こんなの絶対に嘘よ。この子・・・チェギョンが何か仕組んだに違いないわ。
自分が親を亡くしたからって私の物をすべて奪おうとするなんて・・・酷い女!!
こんな女早くここから追い出してっ!!』
ヒョリンの暴言をずっと黙って聞いていたが、とうとう我慢しきれなくなったスンレが言葉を放った
『ヒョリン・・・全部あなたものじゃない。このチェギョンのものなのよ。
あなたには今まで好きな事を自由にやらせて来たわ。これからもこの家の娘である権利だけは奪わない。
でも血を分けた娘はこのチェギョンだけ。あなたは・・・この家とは赤の他人なのよ。』
『嫌よっ!!絶対に認めないわ。パパ・・・私と親子鑑定をして頂戴。そうしたらチェギョンなんかじゃなく
私が本当の娘だって証明してみせる。』
ナムギルもスンレも呆れかえり何も言葉を発せられなくなった
その気持ちを代弁するかのように、向かいに座ったミンが口を開いた
『ヒョリン・・・時間の無駄よ。そんなことをしてもシン夫妻とは他人だと思い知るだけよ。
あなたは今まで散々いい思いをして来たでしょう?それはすべてあなたの生みの母が仕組んだ事よ。
チェギョンさんにはなんの罪もないのに、彼女は随分苦労して来たわ。
あなたも少しは謙虚な気持ちになって、冷静に物事を受け止めることね。』
両親ばかりじゃなくミンからも窘められ、相当憤慨したヒョリンはいきなり立ち上がり部屋中に響く声で叫んだ
『どうしてみんなで私を責めるの!!私は何も悪くなんかない!!
チェギョンなんかと一緒に暮らせない。絶対に認めないわっ!!』
部屋から去って行こうとするヒョリンをチェギョンは追いかけ、亡き母の形見である黒い革表紙の日記帳を
ヒョリンに押し付けた
『ヒョリン待って!!』
『なによ!あなたなんか顔も見たくないわ!!私の物をすべて奪って行こうとするあなたなんかと
一緒に暮らせる筈ない!』
『この日記を読んで!!あなたはこの家の両親からも愛されてきたけど・・・亡くなったお母さんにも
愛されていた。私には愛してくれる肉親が一人もいなかったの。18年間ずっと・・・
随分不公平でしょう?だから・・・』
この日記を読んで欲しいと続けようとしたチェギョンから、ヒョリンは日記帳を奪い取ると
サイドボードに向かって投げつけた
<ガシャーーーンっ!!!>
音を立ててクリスタルの花瓶が砕け散る
ヒョリンは自分のそんな行為を悪びれる様子もなく、踵を返すと部屋から出ていった・・・
そしてやがて二階にあるヒョリンの部屋の扉が大きな音を立てて閉まった
(無理だ・・・ヒョリンに私を受け入れることはできない。
このままここに居ても、お父さんお母さんを苦しめるだけ・・・)
チェギョンは両親が座るソファーの横に立つと、亡き母の日記帳をテーブルの上に置いた
『お父さんお母さん、ヒョリンが落ち着いたらこれを読むように言ってください。
私は一旦アパートに戻ります・・・』
両親と暮らす期待がチェギョンの中で大きかっただけに、もうそれ以上は何も言えず
チェギョンはリビングから出ていった
『待ちなさいチェギョン・・・』
『チェギョン・・・行かないでっ!!』
追いかけようとするスンレとナムギルを、ミンは窘めた
今のこの状況のシン家にチェギョンが居座れる筈はないと判断したミンは、シン夫妻に向かって告げた
『私に任せていただけます?チェギョンさんはほとぼりが冷めるまでうちで預かります。
でもぉ・・・なるべく早くヒョリンを納得させてくださいね。でないとチェギョンさんが可哀想だから・・・』
それだけ言うとミンはリビングから出ていった。シンとヒョンも後に続く
そして玄関から出て歩いて行くチェギョンを捕まえる
『チェギョンさん・・・アパートに帰るなんてダメよ。シン夫妻に心配かけたいの?』
『でもおば様・・・ほかに行くところなんて・・・』
『あらやだ!!うちがあるでしょう?うちに行きましょう。
ヒョリンはあんな態度だったけど、きっとあの日記を読むに違いないわ。そうしたら納得せざるを得ないもの。』
『そうでしょうか・・・』
『そうよぉ~~そうに決まっているでしょう?ヒョリンもね・・・この機に少しは謙虚さを身につけるべきだわ。
さぁ行きましょう♪』
『本当に・・・いいんですか?』
『もっちろんよぉ~~♪』
ミンに促がされ乗り込んだイ家の車。後部座席では項垂れたままのチェギョンをシンが必死に励ましている
『デート・・・しようか?』
『えっ?』
『家に帰ったら俺の車で・・・ほら、昼食食べ損ねただろう?』
だが・・・それを黙って聞いているミンではない
『あら~~私達もお腹空いたわよね~~あなた♪』
『ああ確かに・・・』
『このままお食事に行きましょう♪』
結局ミンに押し切られ二人で食事することは敵わなくなってしまったようだ
行きつけのレストランに向かう間・・・チェギョンはシン家で見た自分の部屋の話をシンに聞かせた
『大きなお部屋にね・・・大きなベッドがあって、すごく素敵な勉強机もあったんだ。
あのベッド・・・すごく寝心地いいだろうな・・・寝てみたかった。
お母さんの料理も・・・食べてみたかった。
やっぱりシン家は私にとって蜃気楼の家なのかな・・・
すぐ近くにあったのに手が届かない・・・。幻の様に消えてしまう・・・』
ヒョリンとの対面を済ませ緊張が解けたのか、チェギョンは口角を下げ唇を噛みしめると必死に涙を堪えた
その様子に気がついたシンは、チェギョンの顔を見ない様にしながら右手をチェギョンの頭の上に置いた
人からそんな風に触れられた事のなかったチェギョンは、頭の上に感じる大きな掌のぬくもりに
我慢しきれず涙を零した
イ家の車はその後誰ひとり言葉を発しないまま、行きつけのレストラン駐車場に入っていった
チェギョンはイ家の三人が見守る中・・・声を殺して泣き続けた
想うお存分泣かせてやる事・・・それがイ家の家族の思いやりだった
折角シン家で暮らせると思ったのにね・・・
イ家に行くことになっちゃった(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
昨晩21時過ぎ・・・爆弾低気圧がやってくる中、我が家の第二王子強歩大会でね・・・
小雨降る中行ったわけですよ・・・
でも・・・朝の6時半無事帰宅しまして
『完走したの?』って聞いたら・・・
『とんでもない!!中止だよ!!』
夜中三時半ごろ・・・山を歩いていて
ものすごい風雨に見舞われ・・・死ぬ思いだったそうな・・・
無事帰ってきて本当に良かった~~❤
イ家に行くことになっちゃった(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
昨晩21時過ぎ・・・爆弾低気圧がやってくる中、我が家の第二王子強歩大会でね・・・
小雨降る中行ったわけですよ・・・
でも・・・朝の6時半無事帰宅しまして
『完走したの?』って聞いたら・・・
『とんでもない!!中止だよ!!』
夜中三時半ごろ・・・山を歩いていて
ものすごい風雨に見舞われ・・・死ぬ思いだったそうな・・・
無事帰ってきて本当に良かった~~❤