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Channel: ~星の欠片~
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偽装と現実(リアル) 20

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それからの私は四人の医師の指示を守り、しっかり治療を受けた

だけど残念なことに予定より早く退院を許される事はなく、入院からきっちり二週間の日漸く退院が許可された

季節は真夏・・・だからという事もあるが、私は化膿予防の漢方薬を引き続き飲む事と毎日消毒する事を

約束させられた

消毒に関しては夫であるシン君が、先生からレクチャーを受けていた

これからはシン君が朝晩消毒してくれるそうだ。えへへ♪

退院だ~~退院♪漸く東宮に戻れる~~♪

意気揚々と病院から出ていった私達を、やはりマスコミが待ち構えていた

【皇太子妃殿下、退院おめでとうございます。】
『どうもありがとうございます。大変ご心配おかけいたしました。』

そしてやはり・・・質問は私の懐妊について触れる

【妃殿下・・・お腹の御子は順調でしょうか?】
『あ・・・はい。7週目に入りました。』
【どうぞご自愛なさってください。犯人逮捕に私たちも協力いたします。】
『ありがとうございます。感謝いたします。』

コン内官とチェ尚宮さんに急かされるように公用車に乗り込んだ私達

車に乗り込むとシン君は私の右手を握り締め、満面の笑みを向けて来る

公然とこんな笑顔を向けられることは今までなかったから本当に嬉しい

『チェギョン・・・』
『ん?』
『実行犯が漸く依頼主の名を口にしたそうだ。』
『えっ・・・いつ?』
『拘留期間が切れるので釈放すると警察官が脅しを掛けたらしい。昨晩・・・自供した。』
『誰・・・だったの?』
『元・・・宮殿の尚宮をしていた者だ・・・』
『それってやっぱり・・・』
『あぁ。昔ユルの乳母をしていた者だ。』
『えっ・・・じゃあ、まさかユル君が・・・首謀者・・・?』
『いや、それは違う。その尚宮はソ・ファヨンに傾倒していたからな。すでにソ・ファヨンは
皇室警察で取り調べを受けている。』
『この事件への関与を認めるかな。』
『っつ・・・認めないだろう。恐らくソ尚宮が勝手にやった事だと言い逃れするだろうな。』
『何か手立てはないの?』
『折角ここまで追い詰めたのにな・・・』

退院できて嬉しい筈が、お互いに表情を曇らす

一体いつになったら私達に平穏な日々がやってくるのだろうか・・・そんな事を思いながら東宮の車止めに

公用車が到着した時・・・満面の笑みを浮かべた意外な人物がその場所で待っていた

『ゆ・・・ユル君!!』

私は自分の中にずっと抱いていた疑念をやはり晴らすことはできないみたい

いくらシン君が≪ユルは血を分けた従兄弟だから大丈夫だ。≫と言ってもユル君を見るなり、身が竦む思いに

囚われた

『チェギョン・・・退院おめでとう。』
『あ・・・あり・・・がとう。』

ユル君は手に持っていた大きな花束を私に手渡した

普通・・・お母様が皇太子狙撃事件に関与したと警察で尋問を受けている時に、ここに・・・来ないよね

『シン・・・一緒に食事がしたくて来たんだ。僕も夕飯をご馳走になっていいかな?』
『あぁ。そうしてくれ。』

ユル君の気持ちもシン君が何を考えているのかもわからない

不安になりながら私はひとまず本殿に出向き、三陛下に退院の挨拶を済ませた


イメージ 1



チェギョンの元気そうな様子に三陛下は満面の笑みで出迎えてくれた

お三方共皇孫をお腹に宿したチェギョンに労わりの言葉を掛け、そして俺の命を救ったことへの感謝の言葉も

忘れはしなかった

今までに見た事もないほど穏やかな顔をした陛下と皇后様に、俺はあのあと≪言葉足らずの陛下≫が

13年黙ってきた真実をきちんと皇后様に話せた事を認識できた

漸く家族の時間が流れ始めた様な気がする

それにしてもユルは一体何をしに来たのだろう

ソ・ファヨンのことが心配じゃないのか?

だが俺には屈託なく笑っているようでいて、実は何か深く悩んでいるように見えるユルが放っておけなかった

一緒に食事をしたい・・・

その申し出を拒絶する事は出来なかった



俺達が東宮に戻った時、既に食堂には三人分の食事の支度が出来上がっていた

俺はいつも通りにチェギョンと並んで席に着き、その向かい側にユルが腰掛けた

ところが・・・ユルは徐に席を立ちあがった

『チェギョン・・・悪いんだけど、席を交換してくれる?』
『えっ?なぜ?』
『シンと内密の話があるんだ。』
『あ・・・うん。いいよ。』

いつもチェギョンが座っている席にユルが座り、俺達が食事に手を付ける前にユルは食事を口に運び始めた

皇族として育った以上・・・こんなことはあり得ない

東宮の主は俺だ。俺が食事に手を付けない限り、周りも普通は従うだろう

ユルだってそんなことは百も承知の筈・・・なのに・・・

『しかしチェギョン・・・お芝居が上手だったね。まさかシンと本当の夫婦になっているとは思わなかったよ。』
『あ・・・うん。ごめん・・・』

俺と内密の話があると言いながら、チェギョンにばかり話し掛ける

しかも・・・一品ずつまるで毒見をするように口に運ぶ

『でもよかった。皇孫も無事で・・・本当に良かった。』
『うん・・・』

猛然と箸を進めるユルの様子に、俺とチェギョンは呆気に取られただその様子を見守っていた

そしてユルがスープを口に運んだ時だった

『うっ・・・』

突然ユルの身体がぐらりと揺れ、椅子から転げ落ちた

『ユルっ!!』
『ユル君っ!!』

ユルは荒い呼吸をしながら苦しそうに呻いている

『誰か!!救急車をっ!!』

叫ぶと同時に俺はユルの上半身を抱え必死に呼びかけた

『ユルっしっかりしろ!!ユルっ!!!』

『た・・・太子や・・・』

突然東宮の食堂に現れた皇太后様・・・その表情は血の気を失い唇を震わせていた

『皇太后様、ユルが急に倒れたんです!!』
『こ・・・これを・・・先程ユルが持ってきた手土産の中に入っていた手紙だ。』

俺は駆けつけた救急隊員にユルを任せ、皇太后様が握り締めた手紙を開いてみた

サイレンの音を響かせ救急車は王立病院に向かって行く

俺はその手紙を読みながら体中の力が抜けていくのを感じた



イメージ 2

さて~~一体何が起こったんでしょうね(爆)
ユル君が皇太后様に宛てた手紙については
次回月曜日にね~♪

『仮面』見てらっしゃいますか?
あの姉夫婦・・・鬼よね。鬼!!

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