公用車を降り、シン君と目も合わせないまま美術科の棟へ入っていく私・・・
すぐ後ろを歩いて来るチェ尚宮さんを目にした時、私は今朝チェ尚宮さんとした会話を思い出した
それは私が制服に着替え登校準備をしている時のことだった
『妃宮様・・・殿下からお話伺いました。そんなことがあったとは・・・殿下が幼少期の頃よりお仕えしている私も
まったく存じ上げませんでした。もう少し私が配慮していたら・・・』
私はチェ尚宮さんのその言葉に違和感を覚えた
シン君が幼少期の頃?って~~チェ尚宮さんは一体おいくつなんだろう
そしてその思ったままを口にしてしまう私
『えっ?チェ尚宮さんっておいくつなんですか?』
『あ・・・はい。あの・・・東宮の尚宮をしているくらいですから、それなりの・・・』
はっ!しまった・・・女性に年齢を聞くなんて・・・
『あ・・・ごめんなさい。でもチェ尚宮さんは、とても若々しくてお美しいので・・・殿下の幼少期からの・・・
って言葉があまりにも意外で、ついお聞きしてしまったんです。ごめんなさ~~い!!』
『ふふふ・・・よろしいんです。でも本当にもっと早く私達側近が気づいていたら・・・
殿下お一人で苦しむ事は無かったでしょうに・・・』
『あの・・・チェ尚宮さん、一つお尋ねして良いですか?』
『はい。なんなりとお尋ねください。』
『殿下があのマッシュルームカットをし始めたのはいつ頃ですか?』
『あ・・・あの髪形でございますか。あれは確か中学に入学される頃だったように記憶しております。』
『眼鏡は・・・いつからですか?』
『眼鏡はそれより以前から掛けておいででした。≪掛けていると落ち着くから≫と仰られて・・・』
『そうでしたか。きっと思春期に入りより自分を隠したかったのでしょうね。』
『殿下と婚姻なさったのが妃宮様で本当に良かったと感謝しております。今後お二人の御部屋は・・・
新しい女官には一切出入りできないよう配慮いたしますので、どうぞご安心ください。』
≪ご安心≫させていただきます~♪だって二人の時間が持てるのって結構短いんだもん!!
もしそんな時間まで見張られているとしたら、シン君も私も気が休まらないよ
そんな事を思い出しながら顔が綻んでしまう私・・・いけないいけない!気を引き締めなくっちゃ
教室に入っていくとほらね・・・案の定ユル君が私を見てる
『チェギョン!!おはよう。』
『ユル君おはよう。』
『チェギョン・・・僕は考えたんだよ。やはりこの結婚はおかしい。』
えっ?婚姻の儀式が済んで登校して行ったら、いきなりそんな話なの?
心の中で溜息を吐きながら、私はユル君の話に耳を傾けた
『だってそうだろう?先帝はきっと僕とチェギョンを結びつけたかったに違いないんだ。
もうすぐ母が帰国する。そうしたらチェギョン・・・あの横暴な男から救い出してあげるからね。』
横暴・・・確かにそんな時もあった。私に目もくれないで冷たい視線を送っていた日々・・・
でもそれはみんなユル君との事を誤解していたから・・・
そっか、こんな風にユル君と親しく話をしていたんだもの、私にも誤解される要因があったのかもしれない
ん??でも先帝とお爺ちゃんが結婚の約束した私のお相手って、本当は誰なんだろう
シン君?それともユル君なの?その辺り私は確かめてみたくなった
あ・・・でも今はシン君と上手くいっていない私なんだ。ギアを切り替えよう
『そうだね。あんな話も通じない様な人と一緒に居るなんてホント嫌だ。』
『だろう?僕とだったら気が合うしね・・・』
『そうだね。』
あぁぁ・・・ひょっとして私があなたを好きだとでも思っている?かなり前から不穏な事を言うユル君に
警戒していた私なのに・・・
その気持ちが表情に出ていないかちょっと心配。だって・・・本来正直者なんだも~ん・・・
昼休みが来てチェ尚宮さんが私を呼びに来る。やった~~♪漸くシン君と楽しいお食事の時間だ~❤
『妃宮様・・・お食事の用意が出来ておりますのでご同行いただけますか。』
『はい~(♪)』
あぁ・・・シン君の元に行くのが嬉しくて仕方がないんだけど、それを必死に堪えつまらなそうな顔で
席を立つ私に、ユル君は問い掛けた
『チェギョン・・・ここで食べなよ。シンと食事するより皆と一緒の方がいいでしょう?』
『うん。でもそうもいかないから・・・仕方ない行って来るね。』
つまらなそうに教室を出て行く私・・・徐々に顔が綻んで来る
そんな私をチェ尚宮さんに窘められた
『妃宮様・・・お顔が嬉しそうになっておいでです。』
『あ!!はい。』
私はつまらなそうに必死に口角を下げた。嫌いな夫と食事をする妻の表情と言うのは非常に難しい
チェギョンと婚姻して初めての登校日・・・俺はチェギョンが上手くやれているかどうか不安でならなかった
待ちに待った昼休みチェギョンは≪皇太子ルーム≫にいそいそと現れ、その部屋の扉が閉まると同時に
俺に向かって突進してくる
『シンく~~ん♪』
あははは・・・こいつ本当に大丈夫なのか?俺は勢い余って倒れない様にしっかり足を踏ん張り
それからチェギョンを受け止めた
『くっ・・・お前、上手くやれているのか?』
『そりゅああもぉ~抜くかりなくってよ♪くすくす・・・』
『そうか良かった。食事にしよう。』
向かい合って座るようセットされた弁当・・・チェギョンはそれをわざわざ俺の隣に移し当然のように横に座った
『だって~折角のご飯の時間だもん。東宮ではこうはいかないでしょう?』
『確かにそうだな。東宮では人払いしない限り人の目があるしな・・・。
それで・・・今日は何か言われなかったか?』
『ユル君?言われたよぉ・・・。先帝とうちの御爺ちゃんが約束した許嫁の話って、相手は僕だろうって・・・』
『あぁ?なんか都合のいい様に話を持って行こうとしていないか?』
『うん。でもそこん所私も知りたいって思ったんだ。考えてみたんだけどね・・・
その取り交わした約束の文書の日付が、ユル君のお父様が生存中の物だったらそれもあり得るけど
もしその日付がお亡くなりになってからの事だったら・・・そのお相手はシン君になる。そう思わない?』
『確かに・・・それは言えるな。』
『だから私・・・今日宮に帰ったら皇太后様のところに行って来ようと思うんだ。』
『皇太后様のところにか?』
『うん。その取り交わした約束の文書って、皇太后様が持っている筈だし・・・』
『チェギョン上手くやれるか?色んな事を聞かれてしまうかもしれないが?』
『あ・・・まぁね。でも大丈夫。上手くやるよ。』
『解った帰ったらすぐに慈慶殿に向かってくれ。その結果については夜な。』
『夜♪了解~~♪』
俺達は食事を摂りながら会話を続けた
『ところでさ・・・昨日の話だとソ・ファヨンさんは、ユル君を現皇帝陛下の子どもだと言ったんでしょう?』
『そうらしい。』
『その辺りの事に付いて、皇帝陛下は何らかの発言があったのかな?』
『皇后様にあとから聞いた話では、なんのいい訳もしなかったそうだ。』
『そうか~。でも・・・もしかしたら昔は恋人関係だったのかもしれないけど、婚姻してからは何もないかもよ。』
『どういう意味だ?』
『う~~ん。上手く言えないけど皇帝陛下って、そう言ういい訳とかしそうなタイプじゃない様な気がする。』
『つまり黙して語らずか?』
『うん。黙っている事で自分を守る。つまり不器用な方なんじゃないかな。
シン君もそうだけど・・・くすくす・・・』
『あぁ。確かに・・・。何れその辺りの事を皇帝陛下に質問してみたいが、今はまだ時期を見よう。』
『そうだね。それがいいと思う・・・』
すっかり食事を終えた俺達はぴったりと寄り添いわずかばかりの恋人の時間を過ごす
『あぁそうだ!チェギョン・・・今朝、髪が上手く決まらなかったんだ。少し手直しして貰えるか?』
『うん。いいよ~~♪』
チェギョンのおかげで美容グッズにもすっかり詳しくなった俺
ブラシとワックスは常に持参だ
チェギョンはソファーから立ち上がると、俺の髪にブラシを入れそしてワックスで毛先を整えた
俺はつい、一生懸命スタイリングしているチェギョンの腰を引き寄せそのお腹の辺りに顔を埋めた
『しっ・・・///シン君///唐突にそう言うのやめて!!顔がにやける・・・』
そう言われても俺の行動が止まる事はない。折角セットし直してくれた髪が乱れるのも構わず、
チェギョンを抱き締めた
仄かに鼻をくすぐる甘い匂いが俺を包みこむ
チェギョンもそれに応え俺の頭を抱きしめてくれた
あぁ・・・もう一度セットし直して貰わないと、教室に戻れないかもな。くくくっ・・・
半分は書けていたのだけど・・・
第二王子の学園祭に行って・・・帰宅したら
ふぅちゃんの誘惑に負けました。
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!