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Channel: ~星の欠片~
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孤独な皇子に愛の手を 35

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発熱から三日後・・・すっかり熱の下がったチェギョンは、ベッドから起き上がり普通の生活を始めようとしていた

チェギョンの回復を女官から聞いた皇太后は、朝の挨拶の場にチェギョンを連れ出した

既にシンは両陛下への挨拶が済んだ様で、チェギョンがやってくるのを待っていた

『おはようございます。皇帝陛下・皇后様・・・』
『おはようチェギョン。体調はもうすっかり良いのか?』
『はい。ご心配お掛けいたしました。』
『元気になって本当に良かった。ほほほほ・・・』

皇帝陛下はチェギョンに告げなければならない事があった

それはチェギョンが熱を出した日の王族会義での決定事項だ

陛下はチェギョンがゆっくり休めるようにと、回復するまでその事を言わずにいたのだ

『チェギョン・・・そなたが回復するのを待っていた。すまないがそなたには暫く女官宿舎に
戻って貰わねばならぬ。』
『えっ・・・?はい。それは構いませんが・・・』

チェギョンはもしかして一旦認められたシンとの仲が、取り消されるのではないだろうかと不安そうな顔をする

『王族会に対する作戦なのだ。不満に思うかもしれぬが、暫く辛抱して欲しい。』
『はい。私はその作戦の中でどんなお役目をいただけるのでしょうか?』
『ははは・・・さすがチェギョン。察しが良いな。
そなたは以前と同じ様に女官見習いの役だ。慈慶殿に大勢の王族の娘がやって来る。
その者達に手本を示して欲しい。』
『えっ・・・王族のお嬢様が女官見習いのお仕事を体験されると言う事ですか?』
『そうだ。』
『陛下・・・それは恐らく無理ではないかと思いますが・・・』
『ははは・・・もちろん無理だろう。無理な事をやらせてみて、納得の上皇太子妃の夢を諦めさせようという
作戦なのだ。それにこれは、そなたの真価が問われる時だぞ。』
『私の・・・真価・・・自信がありません。』

不安そうに少し俯くチェギョンに皇后は微笑んで肩を叩いた

『ほほほ・・・何を言う。この皇帝陛下に太子との事を認めさせたそなただ。
なんの心配もいらぬ。ありのままでよいのだ。』
『そうだ。王族にチェギョンと同じ様にと言われたのでな・・・私もたくさん制服を用意したわ。
おほほほほ~~♪』
『えっ・・・あの、まさかと思いますが、お嬢様方もあの・・・制服(メイド服)を着られるのですか?』
『おぉ~当然だ。公平にと言う事だからのぉ・・・』
『ひっ・・・(きゃははははははは・・・・)』

チェギョンは必死で笑いを堪えた。チェギョンならまだしも普段傅かれている王族のご令嬢方がメイド服を着用し

女官見習いをするなど、屈辱以外のなにものでもないと思ったのである

つい顔が緩みそうになるのを必死で堪えながら、チェギョンは安心して頷きながら言った

『今回の作戦・・・承知いたしました。お嬢様方がいらっしゃるのはいつからですか?』
『四日後の正午と言う約束になっておる。』
『では私は感覚が鈍ると大変ですので、本日からそのミッションに入らせていただきます♪』
『なにっ・・・その日からで良い。』
『いえ、今からしっかり仕事をしていないと、ボロが出てしまいます。
皇太后様・・・本日より女官宿舎に戻ります。』
『なんと・・・折角一緒に食事が出来ると思ったのに・・・寂しいではないか。』
『本格的ミッションまではお食事をご一緒させていただきます。あとひとつお願いがございます。』
『なんなりと申すがよい。』
『あのパーティーの日から・・・皆さんが私を≪チェギョン様≫と呼ばれます。
それはお嬢様方の手前、非常に拙いと思うのです。元に戻してくれるよう皇帝陛下から
ご命令いただけませんか?』
『うむ。まぁ・・・確かにそうだな。私から女官達に言っておこう。』
『ではっ!!シン・チェギョン・・・ミッションに入ります♪』

三陛下に深々と頭を下げ、その部屋を去っていったチェギョン

シンは慌ててその後を追いかけた

『チェギョン・・・待てよ!』
『ん??』
『お前が女官見習いに戻ったとしたら、夜の宿題タイムはどうしたらいいんだ?』
『あ・・・そうだ。夏休みの宿題もやらなきゃね。また皇太后様にお部屋を借りよう。』
『それじゃあ不便だ。東宮に来い!!』
『いやぁ・・・でも、もしそんなところ見つかって、ご令嬢方も東宮に行きたがったらどうする?』
『それは・・・困るな。』
『でしょう?皇太后様のお部屋だったら、遠慮があるから来ないだろうし・・・それがいいと思うよ。』
『以前に戻るのか?』
『形だけね。気持ちは・・・一緒❤』
『仕方ないな。解った。ミッション頑張ってくれよ。』
『うん。私にとっては当たり前の事をするだけだから、頑張るも何もないけど・・・お嬢様方には苦痛だろうな~♪
ぎゃははははは・・・』

なんだか楽しそうなチェギョンの様子に、シンは安堵しチェギョンや女官・・・そして三陛下の呆れた顔が

これからうんざりするほど見られると思うと、可笑しくなって口角を上げ共に笑った





約束の日・・・慈慶殿の前には黒塗りの高級セダンが続々と横付けされた

運転手達がトランクからブランド物のボストンバッグを出すのを目にした皇太后は、即座にその者達に告げた

『荷物はすべて宮で支給する。洋服類などは持ち帰る様に・・・』

怪訝な顔をするご令嬢方・・・めかしこんだその様子は、なんの覚悟もできていないのが見て取れた

『チェギョン・・・チョン女官、娘達を部屋に案内しなさい。』
『はい。かしこまりました。』

やってきたチョン女官・・・その横にはメイド服を着たチェギョンの姿がありそれを目にしたご令嬢方は

非常に驚いたようで、皆ポカンと口を開けたままだ

『案内しますからついて来なさい。』

チョン女官にそう告げられ、いきなり面白くなさそうな顔をする者・・・もちろんチョン女官も他の女官も

≪閻魔帳≫なるものを持参しており、何かあった折にはその都度減点がされていく仕組みである

ご令嬢方の人数は6人・・・

キム・セナ
チャン・チム
カン・ソヨン
チャ・ジュニ
ク・サラ
シム・ウンジュ

其々は女官宿舎の部屋に案内され、部屋に掛けられているメイド服に驚きを隠せない

『まさか・・・私達にこれを着ろと仰るの?』

チェギョンは満面の笑みで答えた

『ええ。皇太后様の用意して下さった制服ですから。早く着替えて集合してください。』

呆れながらそのメイド服に着替えるご令嬢方・・・準備にも相当な時間を要する様である

廊下ではチョン女官が大きな声を張り上げた

『早く支度をして出て来ないと皇太后様の昼食の時間に遅れてしまいますよ。あと三分で出て来なさい。』

ところがやはりその三分が守れない者もいる様である

(チャン・チム・・・チャ・ジュニ・・・減点1)

その後皇太后付きの尚宮の服装検査が行われる

『カン・ソヨンさん・・・その爪で皇太后様にお仕えするのですか?
爪を切ってネイルを落として来なさい・
シム・ウンジュさん・・・その髪きちんと束ねて来なさい。不潔です。』

そこで失格した者は部屋に戻り身なりを整え、その他の者は皇太后の昼食の準備に向かう

『あの・・・尚宮さん?私達のお食事は?』
『ク・サラさん・・・私達は皇太后様のお食事が終わられてから、交代になります。』
『えっ・・・お腹空いたのに・・・』
『あなた達は何をしに宮殿に来たのですか?自覚しなさい!!』

不満を顔に出すク・サラ・・・もちろん尚宮の≪閻魔帳≫の減点対象となった




漸く女官見習いの昼食時間がやってきた

『えっ・・・何この料理。あたし達は王族なのよ。もっとましな料理は出ないの?』

女官の食事時、不平不満を募らせるキム・セナ

チェギョンはチョン女官と食事を摂りながら笑顔で話しかけた

『良かったらキムチもあるけど食べる?』
『き・・・キムチですって?そんな臭う物・・・食べないわよ!!』
『そっ・・・美味しいのにぃ~~♪』

チョン女官と楽しそうに食事をするチェギョン・・・もちろんご令嬢方の中には、あのパーティーに

出席していた者もいて、チェギョンの動向を一部始終観察しているのである

『さぁ・・・お姉さん、エントランスの花瓶を磨かなくっちゃ・・・』
『そうね行きましょう。』

不満だらけの食事を慌てて切り上げ、チョン女官とチェギョンの後に続くご令嬢方

しかし・・・そこでも年代物の磁器を割ってしまう者があったり・・・散々な結果であった

『ねえチェギョン・・・あの子達いると、私がストレス溜まっちゃうわ。』

その何もできないっぷりどころか、逆に仕事を増やしてくれるご令嬢方に泣きが入るのは

慈慶殿の女官達だった

泣きつく女官達をなんとか宥める尚宮とチェギョン・・・

そんな一日目の仕事の終わりは・・・皇后の部屋を訪れることだった・・・



イメージ 1

あ~もっと書きたかったけれど
肩揉みタイムと宿題タイムは
次回のお楽しみにしておきます~~♪

尚土日はお話の更新はお休みさせていただき
ふぅめる通信&多肉通信を
お送りいたします~❤


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