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Channel: ~星の欠片~
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蛍火 1

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どうして思い出せなかったんだろう。
思い出していたら、もっと上手に君を捕まえることが出来た筈なのに。。。

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蛍火 1


あれは伯父上が亡くなったばかりの頃だから、俺はまだ5歳にもなっていないくらいだったか?

その日俺は先帝に連れられ、長時間公用車に揺られ出掛けて行ったんだ

ソウルから離れ、途轍もなく田舎の山の中に連れて行かれたような気がする

到着したその場所には、おおよそ先帝が足を踏み入れるには躊躇するほどの古く小さな家があり

その小さな家にはお爺さんと小さな女の子が居て、先帝と俺を出迎えた

『シン、お友達だ。仲良くしなさい。』

女の子はそのお爺さんと並んだ場所から一歩足を踏み出し、俺に向かって小さな右手を差し出した

『わたし…シン・チェギョン♪どうぞよろしくね♪』

同じ年頃の女の子に、こんなに馴れ馴れしい態度を取られたのは初めてで、俺は一瞬躊躇した

『おれは・・・イ・シン。』

言うだけ言ってみたが、その差し出された右手に応えることが出来なかった俺に、

先帝からの威圧的な咳払いが響いた

≪あ~コホン…。≫

俺は慌ててその小さな手を握り締めたんだ



なんだかとても楽しそうに話している先帝とチェギョンのお爺様。。。

伯父上が亡くなって以来じゃないか?先帝の笑い声なんて・・・

俺はそんな先帝の笑い声を聞くことが出来て、嬉しいような複雑な気持ちになってくる

大体、こんな何もない退屈な場所で、一体どうやって時間を潰したらいいんだ?

俺はその家の縁側に腰掛けて、退屈しのぎに足をばたつかせていた

自分の立場がこれからどう変化して行くのかとか、まだ幼い俺には考えが回る筈もなく・・・

ただ流されるままに日々を過ごし、自分の立場を徐々に認識して行くんだろうと思っていた

『シン君、ねえ?かくれんぼしない?』

唐突に背後から小さな手が俺の肩を叩いた

俺が振り向くとそこにはにこにこ笑顔のチェギョンの顔があった

『かくれんぼ?』
『うん。一人が鬼になってもう一人を探すの。』

そんな遊びはしたことが無い。。。俺は退屈紛らわせに頷くと、チェギョンとじゃんけんをした

『あ…負けちゃった。じゃあわたしが鬼ね♪シン君は家の中のどこかに隠れて。
10数えたら探しに行くからね~~♪』

チェギョンが1・2・3…と数える声が聴こえる。。。俺はその家の中の隠れる場所を探しまわり

箪笥と壁の隙間に入り込み息を潜めた

『もういいか~~い!!よ~~しさがすぞ~~♪
シン君はどこかな~~?』

チェギョンははしゃぐような声を上げながら、俺を探しまわっている

俺はさらに身を小さくし、チェギョンから見つからないよう必死だった

『シンく~~んどこ~~?』

見つかって堪るものかとmさらに息を潜める

『な~~んだ!シン君こんなところに居たのか♪
シン君み~~つけたっ♪』

チッ…心の中で毒づきながら、仕方が無いのでその箪笥と壁の隙間から出て行く

『じゃあ今度はシン君が鬼だよ♪10数えたら探しに来てね~~♪』

言うなりチェギョンは視界から消えた

俺は1・2・3…と数え10数え終わった時にチェギョンを探し始めた

『チェギョン…どこだ~?』

こんな小さな家の中に見つからない場所がある筈はない

俺は必死になってチェギョンを探した。。。だが、チェギョンの姿はどこにもない

『チェギョ~~ン!!』

何度呼びかけても返事もない。。。あの時の不安な気持ちは、きっとチェギョンには解らないだろう

もう既に家の中はくまなく探し、チェギョンがどこにもいない事に不安を募らせた俺は

意を決して先帝とチェギョンのお爺様の元に向かった

『チェギョンが…どこにもいないんです。』

先帝とお爺様は驚いた顔をなさったが、お爺様はすぐにそのチェギョンの居場所が分かったようだ

三人でその家の二階に上がり、お爺様は一番奥の部屋の襖を開けてみせた

『ほら…シン君、ここに居ただろう?ははは・・・』

お爺様の声に反応しその襖の中の暗闇で、すっかりお昼寝体制に入っていたチェギョンは

眠そうに両手で目を擦った

『あれ?わたし…眠ってた?』
『すごく・・・探したんだ!!』

正直俺の怒りは収まらなかった。。。かくれんぼの最中に眠りこけるなんて有り得ない

腹を立てたままその家で夕食を摂り・・・てっきり宮の車に乗って帰るのだろうと思っていたのだが、

先帝は今夜ここに泊まるといい、仕方なく俺も先帝に従った

不思議な事に女官は俺の着替えも用意してあったようで、俺はその古めかしい風呂を使いパジャマに着替えた

先帝と初めての外泊・・・なんだかその古い家に一緒に連れて来られたのも、シンチェギョンの存在も

俺にとっては謎ばかりだった。。。



≪使用しているラインは海外サイトからお借りしております。お持ち帰りはご遠慮ください。≫

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ーーーシン君の回想によるノスタルジックなお話になったらいいな~~♪ーーーー
しばらくお付き合いくださいね❤


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