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Channel: ~星の欠片~
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あの夏の夜の花火 3(最終話)

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大学に進学してからも、たとえ学部が違ってもガンヒョンとは頻繁に逢っていた

さすがに広い構内では同じ大学に進学した彼にも、そして隣にいるであろう彼女にも遭遇する事もなく

私にとっては何よりの幸いだった

またそんな光景を見てしまったら、私の中に燻っている嫉妬心は燃えあがってしまうだろうから・・・

そして・・・大学にも馴染んできた頃、私はガンヒョンに誘われてお酒を飲みに行った

約束している場所に出向いた時・・・私はものすごく驚いてしまった

なぜならガンヒョンの隣には、芸高時代不良グループの中の一人が座っていたからだ

優等生タイプのガンヒョンとその彼を見比べて、私はあまりの驚きにその場で立ち尽くしてしまった

『チェギョン!早く座りな!』
『あ・・・うん。』
『彼・・・知っているでしょう?同じ高校だった・・・』

うん。知ってる。名前は知らないけど不良グループの中の一人だった人だ。

でも・・・高校時代とは随分雰囲気が変ってる

戸惑っている私にその彼は右手を差し出した

『俺・・・チャン・ギョン。ただいまこのイ・ガンヒョンに猛アタック中なんだ。あははは・・・』

屈託なく笑うその彼。あの不良グループだった頃のイメージは払拭され、今ではすっかりオシャレな大学生だ

私は彼の差し出した手に応えながら自己紹介をする

『シン・チェギョンです。よろしく♪』
『もうすぐ俺のダチも来るからさ~ちょっと待っててね。あ~~来た来た~~シン!!ここだよ~♪』

シ・・・ン?私はチャン・ギョン君の視線の方向に恐る恐る振り向いてみる

彼だ!!去年の夏休み、他校の生徒に絡まれていた私を助けてくれた彼がそこに立っていた

久し振りに見る彼は、随分落ち着いた雰囲気を醸し出していた

以前の様な怖くて近寄りがたいオーラはどこにもない

あぁ・・・困ったな。燻っている私の胸の中がカァーーーっと熱くなる

彼はギョン君の指し示す席・・・つまり私の隣に腰掛けた。私はその彼の横顔を凝視しない様に注意しながら

口を開く

『あ・・・あのっイ・シン君、覚えていないと思うけど。去年夏休みに不良に絡まれた所を助けて貰って・・・』

そこまで言ったところで彼の前の席に座るギョン君が割りこんで来る

『不良が不良から助けただって~?あはははは・・・』
『ギョン、アンタは黙ってなさいよ。へぇ~・・・チェギョンそんなことがあったの?』

そう・・・あの頃ガンヒョンは何も知らないまま、落ち込んだり泣いたりする私を慰めてくれていた

『うん。あの時は…本当にありがとうございました。』

私はぺこりと頭を下げた。やっと・・・やっとその時のお礼が言えた

彼は高校時代に遠巻きに見ていた時より穏やかな表情で口角を上げた

『あぁ・・・そんな事もあったかな。くくっ・・・』

よくよく考えてみたらあの時彼が通りかからなかったら、私の人生はとんでもない方向に

向かってしまっていかもしれない。その時の事を思い出し私は彼に感謝の思いを募らせた

そして、恐らく覚えていないだろう自分の名前を名乗ってみる

『シン・チェギョンです。よろしく♪』
『あぁ。イ・シンだ。』

向かいの席ではギョン君とガンヒョンが何やら盛り上がりを見せている

私は思いついた様に彼に問い掛けた

『シン君・・・こんなところで飲んでいていいの?彼女が寂しがるんじゃないの?』

墓穴を掘りそうな質問だが、彼の近況が知りたかった

『かの・・・じょ?』
『うん。仲良かったでしょ?彼女♪』

明るく振舞いながらも私の胸の中はチクチクする

『あぁ・・・ヒョリンの事か。別れたよ・・・』
『えっ?別れた・・・どうして?あんなに仲が良かったのに・・・なぜ?』

立ち入り過ぎだとも思った。でも聞かずにはいられなかった

『価値観の相違かな。あいつは留学したしな。』
『えっ?この大学に進んだんじゃないの?じゃあ・・・シン君、振られちゃったってこと?』
『っつ・・・』

歯に衣を着せない私の口ぶりに彼は苦笑いし、それから憮然とした顔つきで答えた

『言っておくが振られた訳じゃない。彼女には一緒に留学して欲しいと言われたが、
俺には俺の道があるからな。そう言うことだ。』

あっけらかんと話す彼のその口調には、以前の様な尖った所はどこにもなく・・・随分丸くなったなと感じた

そしてそれと同時に私は俄然、彼の友達枠に納まるろうと努力をしはじめた

自分を曲げる事はできないけど、≪価値観が違う≫女にならないよう頑張ったと思う

もちろん押しの弱い私だから、ギョン君の様に猛アタックはしたところで、彼は気が付かないだろう

でも彼のあの時ヒョリンに見せた笑顔に少しでも近づきたくて、そんな笑顔に触れたくて私はさりげなく彼の傍に

いつもいる様になって行った



夏休みが・・・やって来る。あの大雨洪水警報が私の涙腺に発令された日からちょうど一年

信じられない事に私と彼は、ギョン君ガンヒョンと共にあの花火大会に来ていた

ガンヒョンと二人きりになりたいギョン君の策略か、気がつくと私達は二人で花火を眺めていた

<ドドーーーン!パラパラパラ・・・>

視界に飛び込んできた花火にちょうど一年前の事を思い出し、胸の奥を握り潰される様な切なさに襲われた

私がそんな切ない想いでいっぱいになっている時だった

『チェギョン・・・』

呼びかける彼の声に、私は潤んだ目のまま彼に視線を向けた

『なっ・・・何、泣いているんだ?』
『えっ?・・・あぁ・・・違うの。』

無意識のうちに私の瞳は雨模様になっていたらしい。慌てて両手の甲で私は両目を拭った

『俺達・・・付き合わないか?』
『えっ?・・・』

手の甲に残った涙の跡を見つめていると、彼から思いがけない言葉が聞こえて来る

私は慌てて彼に視線を向けた。笑顔だ・・・優しい笑顔で私を見ている

『う・・・うん!!!』

信じられない想いで私は満面の笑みを浮かべ頷いた



その日から付き合い始めた私達・・・だけど・・・花火大会に行くとどうしても、あの時ヒョリンに向けた彼の笑顔が

今私に向けられているものより、優しさに満ちていた様な気がしてならなかった

いつか私も≪価値観の相違≫で彼と別れる様な気がして怖かった

それほどあの時に見た彼の笑顔は、私にとって衝撃的だったのだ

どこか自分が元彼女に及ばないんじゃないかと言う不安を抱きながら、月日は流れて行った

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<ドドーーーン!パラパラパラパラ・・・・>

あの失恋を知った花火大会から6年の歳月が流れた

『チェギョン・・・お前はいつも、花火大会に来ると泣くんだな。』

心配そうな目をして私の目尻を拭ってくれる彼の指・・・

『あ・・・ごめんごめん。』
『そろそろ送って行かないと、お義父さんに叱られる。結婚までは門限を守る約束だからな。
チェギョン・・・そろそろ送るよ。』
『うん。』

今でも打ち上げ花火を見ると胸の奥に小さな痛みが起こる

『後一カ月だな。挙式まで・・・』
『そうだね。』
『待ち遠しいな・・・』

彼は私を包み込むように肩を抱き、人目を気にしながらそっと頬にキスを落とす

『うん。早くその日が来るといいな~♪』

私の胸に残っている小さな痛みは、この先もずっと消える事はないだろう

だけど・・・今はそれ以上の愛情を、彼は私に与えてくれていると信じている

左手を翳して私は確認してみる。

ほら・・・彼のくれた約束の中に、大きな花火が輝きとなって溶け込んでいった



短編≪あの夏の夜の花火≫完

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花火のおサジンはペロンさんからお借りいたしました。
お持ち帰りはご遠慮ください。

いや~~たった三話。
でも何か伝わったかしら~♪
一番書きたかったのは…皆さんがあまりお好きじゃない
第二話なんですけどね・・・
つまり・・・
他の誰かと幸せそうな彼に嫉妬する・・・
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!

ストレス解消に書かせていただきました。
短いお話でしたが、お付き合いいただきありがとうございました❤
明日からは現在進行中のお話に
戻らせていただきますね♪



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