彼に抱きかかえられ連れて行かれた産婦人科・・・気も遠くなるほどの痛みが私を襲う
これが・・・命を生み出す為の試練なのだろうか
病院に到着した時には既にお産は始まっていたらしく、分娩着に着替えさせられ分娩室に私は運ばれた
今まで経験した事もない様な痛みは断続的に続き・・・楽な時間は徐々に短くなっていくようだった
大丈夫かな・・・私・・・
そんな不安が頭の片隅を掠めた時、耳元で彼の声が響いた
『チェギョン・・・頑張れ!!』
えっ?立ち会うなんて一言も言っていなかった彼が、私の顔を心配そうに見つめている
私は彼に縋る様な想いで右手を伸ばした。その手をしっかりと握りしめてくれた彼
その眼差しがあるだけで、私は頑張れそうな気がした・・・
・・・気が遠くなる。あまりの痛みに神経が麻痺しそう・・・
右手は彼の手を握り締め、もう片方の手はベッドのバーを渾身の力で掴んでいた
・・・早く出て来て・・・いい子だから・・・
腰が砕けそう・・・私は自分の持てる力すべてを出しきり最後に大きくいきんだ
『チェギョンさん・・・頭が出てきたからもういきまないで!!』
そんな言葉を掛けられ私は必死にいきみを逃した
身体の芯が燃え尽きてしまうんじゃないかと思えるほど熱い・・・
はっはっはっ・・・まだなの?お願い頑張って…赤ちゃん・・・
なにかがスゥーっと私の身体から離れていく・・・女の子だと言う彼の声で、朦朧としていた私は重い瞼を開けた
赤ちゃん・・・私のお腹の中から生まれてきた赤ちゃん・・・漸く逢えたね
後処理を施され暫くそのままの状態で安静を強いられる
身体はすごく疲労しているのに頭は妙に昂り、私はよく顔も見ることが出来なかった私の分身に
早く逢いたくて堪らなくなった
分娩台の上でしばらく安静にしていた私は、ストレッチャーに乗せられ自分の病室に運ばれて行った
そこには既に両家の両親が勢揃いしていた
『おめでとうチェギョンさん!』『おめでとうチェギョン・・・』
口々に祝いの言葉を掛けられ私は照れ臭い気持ちでいっぱいになる
そんな私よりももっと興奮した顔つきの彼の手を借り、ベッドに横たわった私
両家の親が生まれたばかりの赤ちゃんの感想を聞かせてくれる
『もうね~チェギョンさん、すごく可愛い子なのよ。将来が心配だわぁ・・・』
お義母様がそう言えば母もそれに倣う様に言葉を掛けて来る
『チェギョン・・・あなたの赤ちゃんの時にそっくりよ♪』
私の赤ちゃんの時と言われても、私自身は赤ちゃんの時の顔に記憶が無いのだからよく解らない
『ありがとうございます。』
するとベッドの横にいた彼が、クールな顔をこれ以上ないほどに綻ばせて私に告げた
『君にそっくりだ。』
『ホント?』
『君が休んでいる間、ずっと赤ん坊の顔を見ていた。ずっと見ていても全く飽きない・・・』
『そうだよチェギョンさん。愛らしくていつまでも見ていたい赤ん坊だ。』
なんだか嬉しいけど癪に障る。だって私は自分が産んだ赤ちゃんなのに、まだ顔さえよく解らない
突然父が涙声で話しかけて来た
『よかったなチェギョン・・・親子共々無事で本当に・・・』
やだ!お父さん泣かないで・・・私は困り果て、話の矛先を別に向けてみた
『うん。よかった。あ・・・そうだ!発表会の後片付けは?無事終わった?
また・・・後片付けしないで帰っちゃってごめんなさい・・・』
たった今思い出したのだ。それまでは痛みの中にいたので他の事はすべて頭から消えていた
『もぉ~チェギョン、そんな心配はしなくていいの。ちゃんとスタッフ一同で残務はこなすから。』
『明日の新聞はシン・アパレルファッションの記事と共に、お前の出産記事が出るだろうな。』
私は驚いてしまった
『えっ?出産記事?』
『もうマスコミからどちらが生まれたんだと問い合わせ殺到だよ。ははは・・・』
あぁぁ・・・私の赤ちゃんは一躍時の人ね。
そしてお義母様は満面の笑みで私にこう告げた
『退院したら一カ月は実家にいらっしゃい。』
『えっ?』
『だって~~チェギョンさんの御両親はお仕事してらっしゃるし、私はもう隠居した様なものだから
自由が利くのよ~~♪しっかりお世話させていただくわ♪おほほほほ~~♪』
『でもっ・・・そんなご迷惑じゃ・・・』
『と~~んでもない~~~!!いつでもウェルカムよ~おほほほほ~~♪』
予定外の提案に少し驚いた私は、彼の顔を窺い見た
『あぁ・・・俺も仕事に行っている間心配で仕方が無いから、≪一カ月だけ≫三人で世話になろう。』
シン君がそう言うなら・・・それもありかな。
だって育児の事なんか何も分からないんだもの。お義母様に教えていただくのが一番いいかもしれないわ
『さぁ~じゃあ・・・善は急げよ。お買い物して帰りますからね~♪じゃあまた来るわね~♪』
お義母様の号令と共に両親たちは病室から帰って行った
静かになった病室内・・・シン君と二人だけ。
今日は母体を休ませるのが先決と言う事で赤ちゃんは看護師さんが面倒を見てくれる
彼は私の頬に手を当てて優しい眼差しでキスを落した
それはいつも受けるキスよりも、深い意味合いを持ったキスだと唇が教えてくれた
『ありがとうチェギョン。』
『私こそ・・・ついていてくれてありがとう。』
出産前抱えていた不安もすべてなくなり、今は晴れ晴れとした気持ちが私の心に満ち溢れる
『そんなに私に似ているの?』
『あぁ。目が開いたらもっと似て来ると思うが、思わずキスしたくなる唇だ。』
『えっ!!!まさか・・・シン君?』
『しっ・・・してないよ。そっ・・・そうだチェギョン、赤ん坊の名前なんだが・・・』
『考えてくれたの?』
『あぁ。マアムはどうだ?イ・マアム・・・いい名前だろう?』
『素敵ね。マアム・・・どんな子に育つかしら・・・』
『きっと君に似てお人良しだろうな。くくっ・・・
あ・・・先に宣言しておく。マアムは俺より背の高い男じゃなければ嫁にやらないからな。』
『えっ・・・・・?』
シン君より背が高いって言ったら巨人よ!今からそんなにハードル上げちゃって、マアムの将来が心配だわ
とにかく…早くマアムに逢いたい。可愛い我が子をこの手に抱きたい
私の愛の実・・・この世に生まれ出てくれて本当にありがとう・・・
本日の花≪多肉植物クーベリー≫
babyのお名前ですが・・・昨日ちょうどお誕生日だったと言う縁で
≪まあむ≫さん・・・勝手にお名前拝借いたしました~♪
なお・・・土日はお話の更新をお休みさせていただき
【ふぅめる通信】および【マジカル・多肉通信】をお送りいたします★
これが・・・命を生み出す為の試練なのだろうか
病院に到着した時には既にお産は始まっていたらしく、分娩着に着替えさせられ分娩室に私は運ばれた
今まで経験した事もない様な痛みは断続的に続き・・・楽な時間は徐々に短くなっていくようだった
大丈夫かな・・・私・・・
そんな不安が頭の片隅を掠めた時、耳元で彼の声が響いた
『チェギョン・・・頑張れ!!』
えっ?立ち会うなんて一言も言っていなかった彼が、私の顔を心配そうに見つめている
私は彼に縋る様な想いで右手を伸ばした。その手をしっかりと握りしめてくれた彼
その眼差しがあるだけで、私は頑張れそうな気がした・・・
・・・気が遠くなる。あまりの痛みに神経が麻痺しそう・・・
右手は彼の手を握り締め、もう片方の手はベッドのバーを渾身の力で掴んでいた
・・・早く出て来て・・・いい子だから・・・
腰が砕けそう・・・私は自分の持てる力すべてを出しきり最後に大きくいきんだ
『チェギョンさん・・・頭が出てきたからもういきまないで!!』
そんな言葉を掛けられ私は必死にいきみを逃した
身体の芯が燃え尽きてしまうんじゃないかと思えるほど熱い・・・
はっはっはっ・・・まだなの?お願い頑張って…赤ちゃん・・・
なにかがスゥーっと私の身体から離れていく・・・女の子だと言う彼の声で、朦朧としていた私は重い瞼を開けた
赤ちゃん・・・私のお腹の中から生まれてきた赤ちゃん・・・漸く逢えたね
後処理を施され暫くそのままの状態で安静を強いられる
身体はすごく疲労しているのに頭は妙に昂り、私はよく顔も見ることが出来なかった私の分身に
早く逢いたくて堪らなくなった
分娩台の上でしばらく安静にしていた私は、ストレッチャーに乗せられ自分の病室に運ばれて行った
そこには既に両家の両親が勢揃いしていた
『おめでとうチェギョンさん!』『おめでとうチェギョン・・・』
口々に祝いの言葉を掛けられ私は照れ臭い気持ちでいっぱいになる
そんな私よりももっと興奮した顔つきの彼の手を借り、ベッドに横たわった私
両家の親が生まれたばかりの赤ちゃんの感想を聞かせてくれる
『もうね~チェギョンさん、すごく可愛い子なのよ。将来が心配だわぁ・・・』
お義母様がそう言えば母もそれに倣う様に言葉を掛けて来る
『チェギョン・・・あなたの赤ちゃんの時にそっくりよ♪』
私の赤ちゃんの時と言われても、私自身は赤ちゃんの時の顔に記憶が無いのだからよく解らない
『ありがとうございます。』
するとベッドの横にいた彼が、クールな顔をこれ以上ないほどに綻ばせて私に告げた
『君にそっくりだ。』
『ホント?』
『君が休んでいる間、ずっと赤ん坊の顔を見ていた。ずっと見ていても全く飽きない・・・』
『そうだよチェギョンさん。愛らしくていつまでも見ていたい赤ん坊だ。』
なんだか嬉しいけど癪に障る。だって私は自分が産んだ赤ちゃんなのに、まだ顔さえよく解らない
突然父が涙声で話しかけて来た
『よかったなチェギョン・・・親子共々無事で本当に・・・』
やだ!お父さん泣かないで・・・私は困り果て、話の矛先を別に向けてみた
『うん。よかった。あ・・・そうだ!発表会の後片付けは?無事終わった?
また・・・後片付けしないで帰っちゃってごめんなさい・・・』
たった今思い出したのだ。それまでは痛みの中にいたので他の事はすべて頭から消えていた
『もぉ~チェギョン、そんな心配はしなくていいの。ちゃんとスタッフ一同で残務はこなすから。』
『明日の新聞はシン・アパレルファッションの記事と共に、お前の出産記事が出るだろうな。』
私は驚いてしまった
『えっ?出産記事?』
『もうマスコミからどちらが生まれたんだと問い合わせ殺到だよ。ははは・・・』
あぁぁ・・・私の赤ちゃんは一躍時の人ね。
そしてお義母様は満面の笑みで私にこう告げた
『退院したら一カ月は実家にいらっしゃい。』
『えっ?』
『だって~~チェギョンさんの御両親はお仕事してらっしゃるし、私はもう隠居した様なものだから
自由が利くのよ~~♪しっかりお世話させていただくわ♪おほほほほ~~♪』
『でもっ・・・そんなご迷惑じゃ・・・』
『と~~んでもない~~~!!いつでもウェルカムよ~おほほほほ~~♪』
予定外の提案に少し驚いた私は、彼の顔を窺い見た
『あぁ・・・俺も仕事に行っている間心配で仕方が無いから、≪一カ月だけ≫三人で世話になろう。』
シン君がそう言うなら・・・それもありかな。
だって育児の事なんか何も分からないんだもの。お義母様に教えていただくのが一番いいかもしれないわ
『さぁ~じゃあ・・・善は急げよ。お買い物して帰りますからね~♪じゃあまた来るわね~♪』
お義母様の号令と共に両親たちは病室から帰って行った
静かになった病室内・・・シン君と二人だけ。
今日は母体を休ませるのが先決と言う事で赤ちゃんは看護師さんが面倒を見てくれる
彼は私の頬に手を当てて優しい眼差しでキスを落した
それはいつも受けるキスよりも、深い意味合いを持ったキスだと唇が教えてくれた
『ありがとうチェギョン。』
『私こそ・・・ついていてくれてありがとう。』
出産前抱えていた不安もすべてなくなり、今は晴れ晴れとした気持ちが私の心に満ち溢れる
『そんなに私に似ているの?』
『あぁ。目が開いたらもっと似て来ると思うが、思わずキスしたくなる唇だ。』
『えっ!!!まさか・・・シン君?』
『しっ・・・してないよ。そっ・・・そうだチェギョン、赤ん坊の名前なんだが・・・』
『考えてくれたの?』
『あぁ。マアムはどうだ?イ・マアム・・・いい名前だろう?』
『素敵ね。マアム・・・どんな子に育つかしら・・・』
『きっと君に似てお人良しだろうな。くくっ・・・
あ・・・先に宣言しておく。マアムは俺より背の高い男じゃなければ嫁にやらないからな。』
『えっ・・・・・?』
シン君より背が高いって言ったら巨人よ!今からそんなにハードル上げちゃって、マアムの将来が心配だわ
とにかく…早くマアムに逢いたい。可愛い我が子をこの手に抱きたい
私の愛の実・・・この世に生まれ出てくれて本当にありがとう・・・
本日の花≪多肉植物クーベリー≫
babyのお名前ですが・・・昨日ちょうどお誕生日だったと言う縁で
≪まあむ≫さん・・・勝手にお名前拝借いたしました~♪
なお・・・土日はお話の更新をお休みさせていただき
【ふぅめる通信】および【マジカル・多肉通信】をお送りいたします★