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Channel: ~星の欠片~
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恋の花咲かせましょ♪ 41

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シン・アパレルファッションの新ブランド発表の日・・・

私はイ・シンの妻とデザイナー≪シン・チェギョン≫の肩書を背負い、ステージ脇でマスコミ関係者や業界人の

反応を見ていた

もちろん、自分の為にそのようなショーが開催される事は初めてなのだが、観客席の反応は決して悪くない

むしろ相当評価されているだろうと自覚出来るほどの反応だ

一人・・・また一人とモデルがステージに立つ度、観客からの歓声が上がりカメラのフラッシュは絶え間なく光る

かなりの手応えを肌に感じた。イケる・・・この秋冬物はきっと、国中に私の洋服を着た女性が溢れる事だろう

私の胸の中に満足感が充満する。こんな気持ち・・・初めてかもしれない

すべてのモデルがステージに出尽くし・・・やがて一列に整列した

司会進行役が私の名前を呼ぶ。デザイナーとして華々しいデビューを飾った私は、モデル達の後ろを歩き

ステージの中央でモデルの前に姿を現した。

今日の私の衣装は黒のエナメルミニワンピ。前ファスナーのそのワンピはワイルドなキャリアウーマンの

イメージだ。ハイヒールも同じ黒のエナメル材質を選んだ

眩しいスポットライト・・・そしてさらに目も眩むほどのフラッシュが私を包んだ

【シン・アパレルファッション、新ブランドデザイナーのシン・チェギョンです。
本日はたくさんの皆様にお越しいただき、本当にありがとうございました。
新しいブランドの洋服は気に入っていただけましたでしょうか?
どうぞ今後ともシン・アパレルファッションをよろしくお願いいたします。】

割れんばかりの拍手が私に向けられた。そしてお祝いに駆けつけてくれた、沢山の人達からの花束を

満面の笑みで受け取る私。

でもその時・・・自分の身体の中に異変が起こった

それは・・・挙式当日、済州島に向かう飛行機の中で起こった事態とよく似ていた

(えっ・・・?)

身体の中から何かが流れ出す感触に、私はショーの成功の喜びも束の間、身体中の血液が

凍りつきそうな想いだった

なんとか必死に笑顔を取り繕いその場をしのごうとする。だけど・・・そんな強がりも彼の顔を見るまでだった

彼がステージの下に深紅の薔薇の花束を持ち現れ、それを私に手渡してくれた時・・・

私は彼にすがりつきそうな気持ちに陥った

そんな気持ちをどうにか鎮めショーの閉幕となった時、私は控室の隣にある洗面所に飛び込んだ

そして・・・自分に起こっている事実を確認してしまった

下着に付着した赤いシミ・・・鼻につく血液の匂い・・・一気に血の気を失った私は震える手で彼にメールを送った

応急手当を済ませた後も私の震えは止まらず、個室から出る事は出来なかった

なにやら・・・女性の悲鳴が外で聞こえるのを漠然と聞いていた

『チェギョン!!どこにいるんだ?返事をしろっ!!』

彼だ・・・女性用トイレにまで私を探しに来てくれたんだ

私は一番奥の個室のドアを叩き返事をした

『シン君・・・ここ・・・・』

すぐに彼はその場所を突き止めドアを何度もノックする。

『チェギョン開けろ!!一体何があったんだ!!』

私はおずおずと鍵を外しドアを開けた

『出血・・・しちゃってるの・・・・』
『なにっ!・・・・・・とにかく病院に行こう。』

彼はその場で私を抱き上げると、トイレの中にいた女性に頭を下げながら洗面所を出ていった

そして控室に居る両親に手短に用件だけ告げた

『チェギョンが出血したようです。すぐに病院に向かいますので、申し訳ありませんが
あとの事はよろしくお願いいたします。』

私の両親は不安そうな顔で私を見つめ、それから彼に≪よろしく≫と言う様に頷いた

彼は足早に私を抱いたまま歩き、駐車場に止めてあった愛車の助手席のシートを倒し私を寝かせた

それから運転席に戻ると車を発進させた

無言のまま車を走らせる彼・・・私は不安で堪らずつい口に出して言ってしまった

『どうしよう・・・赤ちゃんダメになっちゃったら・・・どうしたらいいの?
お義父さんお義母さんになんて言ったら・・・・』

涙が止まらず両手で顔を覆う私に、彼は毅然とした態度で言ってくれた

『まだ・・・解らないだろう?ちゃんと診察して貰おう。今は余計な事を考えるな。』
『うん・・・』

やがて車はかかりつけの産婦人科医院の前に到着し、再び私を抱えた彼は病院に入っていった

医師の診察により私は切迫流産と診断され、しばらく入院することとなった

必死に生まれてこようとしている命を守る為なら、しばらくの不自由な生活も安静と言う形で辛抱した

彼もきっと同じ気持ちだろう

入院してからと言うもの、彼とお義母様は毎日交代で私の元を訪れた

ショーの大成功を報じた新聞や雑誌などを手土産に、いつも私を笑顔にしようとしてくれている

『チェギョン・・・調子はどうだ?』
『うん。もう出血も止まったし、元気よ。』
『この雑誌見てみな。君のデザインが高く評価されている。シン・アパレルファッションは注文が殺到して
今てんてこ舞いらしいぞ。』
『ホント?良かった。』

もちろん母からその報告は受けていたが、やはり彼の口から褒められるのは嬉しい

『この秋冬は・・・ソウル中が君の洋服を着た女性で溢れるだろうな。』
『だったら嬉しいけど・・・』

ストレスに感じない様に彼は言わないのだろうけど、もう来春夏物の話が出ている・・・

まぁそれも退院してからの話だ。今はとにかく・・・お腹の中の子を一生懸命育てないとね。

お義母様に至っては、毎日美味しい物を持って来てくださる

だから入院期間中に私は少しふっくらした様な気がする

体重コントロールの厳しい現代の出産現場・・・いつか私は先生から怒られそうな気がする。くすくす・・・



とにかく何も考えずにゆっくりと過ごした入院生活・・・医師から退院の許可が下りた

『もう心配はないでしょう。退院を許可します。』

モニターで確認できた赤ちゃんの鼓動。それは妊娠が発覚した時にはまだ確認が出来ずにいたのだ

初めて聞かされた胎児の心拍音。力強く私のお腹の中で脈打つその鼓動は、私に大きな勇気と希望をくれた

退院許可の知らせを受け、彼が迎えに来てくれた

彼は私の着替えと・・・それから私の持っている靴の中でヒールのないものを選んで持参した

そう・・・ショーの日は衣装と合わせてハイヒールを履いていた私だったから

『当分はハイヒールはお預けだな。』
『うん。』
『さぁ退院手続きも済ませたから家に帰ろう。』
『うん。帰ろう~♪』

彼の用意してくれた服に着替えた私は、ヒールのない靴を履く

まだまだ長い妊婦生活だけど、彼や家族に守られてお腹の中の命を一生懸命に育んで行こうと思う


私の愛の実・・・小さな小さな鼓動を力強く奏で始めました♪


イメージ 1


本日の花≪花でもないけど・・・コケサンゴ≫

なんとなくチェギョンのお腹で育ってる赤ちゃんみたいで・・・♪
ね♪
耐えてゾーンだなんて書かなかったでしょう?
でもドキドキさせてごめんね。
妊娠にトラブルはつきものです。
ただいま妊婦の皆様~どうぞ頑張って♪




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