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Channel: ~星の欠片~
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恋の花咲かせましょ♪ 40

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終業時間と同時に両親に挨拶をし退社した俺・・・彼女が待っているチャン家まで車を走らせる

今日は彼女の妊娠が発覚した記念日だ。お祝いに食事に誘おうと思っていたのだが、

ギョン夫婦の住むマンションの前で待っていた彼女は、親友ガンヒョンと一緒に作ったと言う夕飯のおかずを

紙袋一杯に持っていた

『ご飯はもう掛けてきたから帰ったらたけているわ。
家で食事しようシン君。ガンヒョンの得意料理もあるの。美味しいのよ~♪』
『そうか?じゃあそうしよう。』

俺がそう言いながら微笑みかけると、彼女は顔全体を真っ赤に染め俺から目を逸らした

なっ・・・なんだ?その反応は・・・まるで結婚前の彼女に逢ったようだ

『チェギョンどうしたんだ?顔が赤いが・・・まさか熱でも?』
『ちっ・・・違うっ!なんでもないぃ~~~・・・・』

俯いて始終無言で帰ったマンション。一体彼女に何があったんだと気になるばかり・・・

夕食を食べている時も、ふと目が合うと目を逸らす・・・俺は気になって仕方が無くなって来る

彼女が夕食の片づけをしている時に、俺は自室に籠りギョンに電話を掛けてみる

『ギョンか?俺だ・・・』
『あっシン~~♪チェギョン妊娠したんだって?おめでとう~♪』
『あぁ、ありがとう。それで・・・ちょっとガンヒョンに電話を代わって貰えるか?』
『えっ?俺の奥さんに何の用?』
『違うっ!!帰って来てからなんだかチェギョンの様子がおかしいんだ。
ガンヒョンとどんな話をしたのか聞きたくて。』
『解ったよ~ちょっと待って。』

程なくして電話の相手はガンヒョンに代わった

『なあに?シン君・・・』
『チェギョンの様子が・・・帰って来てからおかしいんだが、何か心当たりはないか?』
『・・・どんな風におかしいの?』
『俺と目を合わせないようにするんだ。目を逸らすって言うか・・・顔なんか真っ赤にしているし・・・』
『あはははは・・・・』

なんだ?電話の向こうでガンヒョンは大きな笑い声を上げた

そしてひとしきり笑った後、笑いを噛み殺すような声で俺の疑問に答えてくれた

『もぉ~おかしいんだからチェギョンったら・・・。でもチェギョンには少し刺激が強すぎたかもね。』
『刺激が・・・強い?』
『ええ。もう妊婦になったんだから、そのくらい平気かしらと思ったら・・やっぱり?』
『なんなんだよ。ガンヒョン・・・教えてくれ!』
『チェギョンがね、妊娠中の事を不安だって言うから・・・ちょっとした本をプレゼントしたのよ。』
『本?』
『その本を開けてみるなり真っ赤になっちゃって~~あはははは・・・』
『一体どんな本なんだ?』
『チェギョンの鞄の中にこっそり入っている筈よ。』
『だから一体どんな本なんだ?』
『チェギョンに聞いてみたらぁ?あはははは・・・』

そんな事聞けるか?・・・電話口で黙り込む俺に、ガンヒョンは捲し立てた

『まっ・・・とにかく夫婦仲良くね~♪じゃ・・・アタシ、ユニを寝かしつけるから切るわね。』
『あぁ・・・』

一方的に切られてしまった電話。俺は仕方なくキッチンで後片付けをしている彼女の元へ向かう

鞄の中に・・・何がしかの本が入っていて、彼女の様子がおかしいのはそれが原因だと言うのは解った

だが、彼女の持ち物を勝手に開ける趣味はない。思い切って本人に聞いて・・・みるか

彼女は使用した食器を洗っているところだった。俺はそっと彼女に近づき、

驚かさないようにそっと背後から彼女を抱き締めた。それから彼女の右肩に顔を載せた

『チェギョン・・・?』
『うん?』
『ガンヒョンからなに貰ったんだ?』
『ひっ・・・』

みるみる染まって行くその頬。耳までも真っ赤に染め彼女は狼狽する

『なっ何も貰ってなんか・・・』
『嘘つくな!ガンヒョンから聞いたんだ。一体何を貰ったんだ?』
『ひぃ~~~・・・・』

元々この体制で耳元に囁かれるのに弱い彼女。彼女は水道の蛇口を止め、備え付けのタオルで手を拭くと

一旦自室に入った。

それからすぐ両手を後ろに回したままキッチンに戻って来る

そして俺の目の前で目をぎゅっと閉じ、後ろ手で持っていた本を両手で差し出した

『コレッ!!!!』

表紙を見ただけで俺は彼女の赤面の理由に納得した。そしてペラペラと中を開いてみて、

俺の方まで赤面しそうになった

『あとで一緒に読むか?』
『えっ?あっ・・・・うん・・・』

その夜から俺達は、そのガンヒョンからの贈り物を参考に夫婦としての絆を深めた

俺は・・・妊娠中の彼女が一緒にいても、気分がおかしくなる事は無くなった

勉強熱心な彼女のおかげで、却って彼女への愛情が深まったように感じる

そしてそれは・・・彼女自身もきっと同じ気持ちだろう。




日々彼女の中で育っていく命。忙しい毎日の中・・・母は約束通り彼女の送迎を引き受けた

もちろん仕事の現場にまで顔を出す事はしない。あくまでも送迎だけだ

順調に新ブランドの発表会の準備は進み・・・いよいよ彼女のブランドが世に出る日がやって来た

ファッションショー形式で行われるその発表会は、会場を市内のホテルと決定しマスコミ各社や

ファッション業界の人間が招待を受けた

もちろん俺もそして両親も招待状を受け取っている。

彼女と一緒に会場入りした母は、今日だけは荷物の運搬などが心配で彼女についているらしい

俺と父は開場時間ギリギリになって、ホテルに駆けつけた

受付入り口で自作デザインした衣装を纏ったチェギョンが微笑んでいる

俺の美しい妻は世間へのデビューを前に眩しいくらいの輝きを放っていた

大きな花束を持って来場したのだが、ここで渡すよりもショーが終わってからの方がいいだろう

俺はその花束を背中に隠すと彼女に声を掛けた

『チェギョン・・・』
『シン君♪お義父様も・・・どうもありがとうございます。』
『しっかり頑張れ。』
『うん。』
『母さんは・・・どこにいる?』
『もうお席に着いてらっしゃるわ。早くお席にどうぞ♪』

会場入り口にはチェギョンの他デザイン部の面々や、シン家の両親も揃っている

俺と父は皆さんに会釈をし指定された席へと向かった



会場の灯りが落され・・・軽快な音楽に乗って司会進行役のアナウンスが流れた

それと同時にスポットライトを浴びて、チェギョンのデザインした洋服を着こなしたモデルが舞台中央から

観客席に向かって歩きだす

20代をターゲットとした愛らしく・・・そして時に小悪魔的なそのファッションは、夫である俺ですら

感心せずにはいられないほど魅力的な出来栄えだった

一人・・・また一人とモデルがポーズを決めながら、色取り取りの彼女の生み出した洋服はマスコミ各社の放つ

カメラのフラッシュを浴びた

大成功・・・だな・・・

最後に黒のエナメルで作ったミニワンピースを着た彼女が、舞台中央に現れると場内は割れんばかりの

拍手の渦に包まれた

次々と彼女の元に花束が届けられる。その集団が一段落した時、俺は悠然と彼女に向かって歩き

深紅の薔薇をふんだんに使った花束を彼女に手渡した

『おめでとうチェギョン・・・大盛況だ。』
『ありがとう。』

だがおかしい・・・満面の笑みを浮かべていると思った彼女が、どこか顔色が冴えない

どうしたんだ?と聞く事も出来ず一旦客席に戻った俺・・・

だがショーも無事終わり、招待客が帰り始めた時、俺の携帯に彼女からメールが届いた

【シン君助けて・・・】

俺はそのメールを見るなり席から立ち上がると、控室に向かって全力で走った


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本日の花≪困った時のマジカルキューティー≫

では土日は・・・マジカル多肉通信及び
ふぅめる通信をお送りいたします。









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