深夜・・・彼女の寝息を胸に感じながら時計に目を向けた。もう二時を過ぎた頃だ
彼女の誕生日はとうに過ぎてしまったなと思いながら、そう言えば≪おめでとう≫の一言も言っていない自分に
今更ながらに気がつく
腕に掛かる彼女の重さを確かめる様に、そっと腕枕を外し彼女の眠るベッドから抜け出し
俺は素肌にガウンを纏うと自室に向かい机の引き出しを開けた
中に入っている赤いジュエリーケース。それを手に持って再び彼女の眠るベッドへと戻る
彼女は相当疲れたのか、身動き一つせず眠り続けている
俺はジュエリーケースから結婚指輪と一緒に作ったダイヤモンドのピアスを取り出すと、
それを彼女の耳朶にに当ててみた
『誕生日おめでとうチェギョン・・・』
何も飾られていない彼女のピアスホールに、そのピアスを装着させようかとも思ったが・・・寝相が悪いと
自分で言う彼女の事だ
朝になったらどこかに片方失くなってしまい悲しい思いをさせるかもしれない
(明日の朝、渡せばいいか・・・)
俺はピアスをジュエリーケースにしまい、彼女の枕の隣に置くと再び彼女の眠るベッドに潜り込んだ
翌朝・・・スマホの目覚まし機能で目覚めた俺は、隣に彼女が居ない事を知りベッドから起き上がった
俺の眠りを妨げない為かまだカーテンは開けられていない。俺は清々しい気分でそれを開け
室内に朝の眩しい光を呼び込んだ
彼女は一体どこに行ったんだろう・・・ガウンの乱れを直しながらキッチンに向かう
するとキッチンからコーヒーの良い香りとパンの焼ける香ばしい匂いが漂って来る
それと同時に彼女の独り言が聞こえてくる
『あぁぁ・・・お野菜なにも買っていないから、冷凍しておいたパンとコーヒーしか朝食に出せないわ。
シン君・・・これじゃあお腹空いちゃうわね・・・』
元々朝食は食べない主義だが、彼女にそんな事は話していない
それに彼女が用意してくれた物なら≪朝食を食べない主義≫も覆すだろう。
俺は足音を忍ばせて彼女の背後に立ち、驚かせないようにそっと彼女を抱き締めた
『おはようチェギョン・・・早起きだな。』
だが・・・やはり彼女は驚いたようだ
『わっ!!お・・・おはよう・・・シン君。だって今日から出社でしょう?』
彼女ははにかんで頬を染め、俺の方を見ようともしないで答えた
『あぁ・・・正直もう少し休みが欲しいくらいだが社員に示しが付かないからな。食事したら行くよ。
君は?シン・アパレルファッションに行くんだろう?』
『うん。私は午後から行けばいいから、これからお洗濯するわ。』
彼女の格好に目をやると彼女は以前自分がデザインしたサンプル服を身につけ、なぜかその格好には
あまりそぐわないスカーフを首に巻いている
『このスカーフは?』
俺がそう問い掛けると彼女はキッと鋭い視線で俺に振り向いた
『シン君のせいよ!』
『俺の・・・せい?』
『これ見て!こんなのファンデーションで隠せない。もぉっ・・・』
スカーフをずらして首元を俺に見せつけるチェギョン・・・なるほど俺のせいだ。くくっ・・・
『それはすまなかった。だがチェギョン・・・その洋服にそのスカーフは合っていない。
デザイナーとしてそれは無いと思うが?』
『うん。そう思ったんだけど手持ちのアイテムでこれが一番マシだったの。』
『俺のスカーフをして行ったらどうだ?』
『えっ?』
『今日の君の格好に似合いそうな物がクローゼットの中に入っている。好きなのを使って構わない。』
『ホント?じゃあ・・・貸して♪』
貸すも何も俺の物は君の物で、君の物は俺のものだ。もう夫婦だろう?
『あ・・・そうだ。チェギョンちょっと動くな。』
『えっ・・・』
俺はガウンのポケットに入れたジュエリーケースからピアスを取り出し、彼女の両耳に装着した
『一日遅れてしまったが、誕生日おめでとう。』
『あ・・・ピアス?』
彼女は両手で耳朶に触れながらそれを確認し、俺に微笑んで見せた
『ありがとう。なんかいっぱい貰っちゃった♪』
『いっぱいって・・・ピアスだけだ。』
『ううん。新しい私も貰ったし・・・それにシン君も・・・くすくす・・・』
『くくっ・・・意味深に笑うな。』
堪らなくなった俺は彼女の唇を啄ばんだ。もちろん新婚なのだから、朝だってたっぷりと彼女の唇を
味わいたいところだが、それは自ら掘った穴に自分から堕ちる様なものだ。
俺は自分を制し彼女の唇を何度か啄ばんだだけで彼女を解放した
見つめ合った時の彼女の目があまりにも艶っぽく・・・俺はこの先毎朝、彼女の誘惑から逃れられるのだろうかと
少し不安になる
出社前に身支度をしていると彼女が部屋をノックして来る
『シン君・・・支度済んじゃった?』
『いやまだだ。』
彼女は俺の手にまだ結ばれていないネクタイを見つけると、嬉しそうに駆け寄ってきた
『私が・・・ネクタイ締めてあげる♪』
『そうか?じゃあお願いしよう。』
彼女は俺の首にネクタイを回し結びながら、恥ずかしそうに頬を染める
『こうしていると奥さんって感じがするでしょう?』
『こうしていなくても奥さんだ。』
『くすくす・・・そうだけどなんか奥さんになったって実感するの。』
ただでさえ愛おしいのにそう言う仕草はやめてくれ・・・会社に行けなくなる
『できた♪』
満面の笑みでネクタイの結び目を確認する彼女。俺はやはり彼女にキスをせずにはいられない
『じゃあ行って来る。帰りはミンヒョン産業まで来てくれるか?』
『えっ?この間行ったカフェで待っていたらいいの?』
『いや・・・受付に言っておくから、俺の部屋を訪ねたらいい。』
『うん、解ったわ。』
名残惜しい・・・髪の襟足の部分など彼女に向けて跳ね上がりそうだ
また彼女に逢える退社時刻の頃を心待ちにしながら、俺は愛車に乗り込むと会社に向かった
『おはようございます!!』
『イ副社長おはようございます。』
一週間前とは随分態度の違う役員達。中には媚びた態度の者もいて非常に不快な気分だ
今更取り繕っても無駄なことだ。もう役員達の本質が俺には解っている
俺は至って平常心で挨拶を返すと、全社員が週初めの朝礼を行うホールに向かった
既に父も母も出社しており、社長の椅子に父が・・・一つ席を空けてその隣に母が座っている
つまり母は・・・本日副社長の座を息子である俺に譲り、今日からは理事の筆頭に納まるらしい
二人は俺を見つけると目を輝かせ、俺をその空いている席に座るよう目で促した
今まで一社員として営業部の席にいた俺だが、ここは悠然と社員の間を通り抜け副社長の席に着いた
着くなり母の小声の追及が始まった
『ねっねっシン~~♪新婚旅行楽しかった?』
『今夜伺いますから話はその時に・・・』
『ハネムーンベビー期待しちゃっていいのかしら~ん♪』
それは無理だ母さん・・・くくくっ・・・
母は俺から色々聞き出したくて仕方がない様子だったが、父の咳払いに口を噤み・・・
やがて週初めの朝礼が始まった
父は社長挨拶と同時に俺の副社長就任も正式に発表した
『社員の皆さん、本日休暇を取っていたイ・シンが会社に復帰しました。
本日付で彼を副社長に任命します。どうぞ今まで以上にイ・シンを叱咤激励してやって欲しい。』
父から促されマイクは俺に回って来る
『皆さん・・・まず最初にお礼を言わせてください。先日は私の結婚披露パーティーに
ご出席いただきありがとうございました。
この会社の社長の息子である事は内緒にしておりましたので、皆さん驚かれたのではないでしょうか。
若輩者ではありますが、この度家庭も持ちました。今後は今まで以上に腰を落ち着けて
仕事に精を出したいと思っています。どうぞよろしくお願いします。』
満場の拍手・・・中には苦々しい笑顔を作っている者もいたが、それは今までしてきた行いのせいだろう
無事社員に向けての正式発表も済み、俺は副社長室へと向かった
デスクの上に置かれた≪副社長イ・シン≫の文字が何だかくすぐったい
その日は母からの引き継ぎで一日の大半を過ごした様なものだが・・・その仕事の最中にも
何かとチェギョンの事に触れたがる母に苦笑する
母はやはり・・・≪三人の孫に囲まれチェギョンと庭作りをする生活≫を心待ちにしているようだ
そうだ!チェギョンのデザイナー契約は上手くいっているだろうか・・・
一週間ずっと一緒にいたせいなのか、たった半日離れただけで彼女に逢いたくて堪らなくなる俺だった
本日の花≪サボテン≫
こちらの画像は猫友達のKEIさんからお借りいたしました。
お持ち帰りはご遠慮ください。
この方・・・素敵な写真を撮られるんです。
猫もお花もイルミネーションもすごく素敵なんです❤
昨日はお休みしちゃってミアネ~。
ちょっとDさんが体調不良でして・・・
休息中はなかなかお話書けないんです。。。
すまんです。
今後も時々そんなことがあると思われますが
ごめんしてね❤
彼女の誕生日はとうに過ぎてしまったなと思いながら、そう言えば≪おめでとう≫の一言も言っていない自分に
今更ながらに気がつく
腕に掛かる彼女の重さを確かめる様に、そっと腕枕を外し彼女の眠るベッドから抜け出し
俺は素肌にガウンを纏うと自室に向かい机の引き出しを開けた
中に入っている赤いジュエリーケース。それを手に持って再び彼女の眠るベッドへと戻る
彼女は相当疲れたのか、身動き一つせず眠り続けている
俺はジュエリーケースから結婚指輪と一緒に作ったダイヤモンドのピアスを取り出すと、
それを彼女の耳朶にに当ててみた
『誕生日おめでとうチェギョン・・・』
何も飾られていない彼女のピアスホールに、そのピアスを装着させようかとも思ったが・・・寝相が悪いと
自分で言う彼女の事だ
朝になったらどこかに片方失くなってしまい悲しい思いをさせるかもしれない
(明日の朝、渡せばいいか・・・)
俺はピアスをジュエリーケースにしまい、彼女の枕の隣に置くと再び彼女の眠るベッドに潜り込んだ
翌朝・・・スマホの目覚まし機能で目覚めた俺は、隣に彼女が居ない事を知りベッドから起き上がった
俺の眠りを妨げない為かまだカーテンは開けられていない。俺は清々しい気分でそれを開け
室内に朝の眩しい光を呼び込んだ
彼女は一体どこに行ったんだろう・・・ガウンの乱れを直しながらキッチンに向かう
するとキッチンからコーヒーの良い香りとパンの焼ける香ばしい匂いが漂って来る
それと同時に彼女の独り言が聞こえてくる
『あぁぁ・・・お野菜なにも買っていないから、冷凍しておいたパンとコーヒーしか朝食に出せないわ。
シン君・・・これじゃあお腹空いちゃうわね・・・』
元々朝食は食べない主義だが、彼女にそんな事は話していない
それに彼女が用意してくれた物なら≪朝食を食べない主義≫も覆すだろう。
俺は足音を忍ばせて彼女の背後に立ち、驚かせないようにそっと彼女を抱き締めた
『おはようチェギョン・・・早起きだな。』
だが・・・やはり彼女は驚いたようだ
『わっ!!お・・・おはよう・・・シン君。だって今日から出社でしょう?』
彼女ははにかんで頬を染め、俺の方を見ようともしないで答えた
『あぁ・・・正直もう少し休みが欲しいくらいだが社員に示しが付かないからな。食事したら行くよ。
君は?シン・アパレルファッションに行くんだろう?』
『うん。私は午後から行けばいいから、これからお洗濯するわ。』
彼女の格好に目をやると彼女は以前自分がデザインしたサンプル服を身につけ、なぜかその格好には
あまりそぐわないスカーフを首に巻いている
『このスカーフは?』
俺がそう問い掛けると彼女はキッと鋭い視線で俺に振り向いた
『シン君のせいよ!』
『俺の・・・せい?』
『これ見て!こんなのファンデーションで隠せない。もぉっ・・・』
スカーフをずらして首元を俺に見せつけるチェギョン・・・なるほど俺のせいだ。くくっ・・・
『それはすまなかった。だがチェギョン・・・その洋服にそのスカーフは合っていない。
デザイナーとしてそれは無いと思うが?』
『うん。そう思ったんだけど手持ちのアイテムでこれが一番マシだったの。』
『俺のスカーフをして行ったらどうだ?』
『えっ?』
『今日の君の格好に似合いそうな物がクローゼットの中に入っている。好きなのを使って構わない。』
『ホント?じゃあ・・・貸して♪』
貸すも何も俺の物は君の物で、君の物は俺のものだ。もう夫婦だろう?
『あ・・・そうだ。チェギョンちょっと動くな。』
『えっ・・・』
俺はガウンのポケットに入れたジュエリーケースからピアスを取り出し、彼女の両耳に装着した
『一日遅れてしまったが、誕生日おめでとう。』
『あ・・・ピアス?』
彼女は両手で耳朶に触れながらそれを確認し、俺に微笑んで見せた
『ありがとう。なんかいっぱい貰っちゃった♪』
『いっぱいって・・・ピアスだけだ。』
『ううん。新しい私も貰ったし・・・それにシン君も・・・くすくす・・・』
『くくっ・・・意味深に笑うな。』
堪らなくなった俺は彼女の唇を啄ばんだ。もちろん新婚なのだから、朝だってたっぷりと彼女の唇を
味わいたいところだが、それは自ら掘った穴に自分から堕ちる様なものだ。
俺は自分を制し彼女の唇を何度か啄ばんだだけで彼女を解放した
見つめ合った時の彼女の目があまりにも艶っぽく・・・俺はこの先毎朝、彼女の誘惑から逃れられるのだろうかと
少し不安になる
出社前に身支度をしていると彼女が部屋をノックして来る
『シン君・・・支度済んじゃった?』
『いやまだだ。』
彼女は俺の手にまだ結ばれていないネクタイを見つけると、嬉しそうに駆け寄ってきた
『私が・・・ネクタイ締めてあげる♪』
『そうか?じゃあお願いしよう。』
彼女は俺の首にネクタイを回し結びながら、恥ずかしそうに頬を染める
『こうしていると奥さんって感じがするでしょう?』
『こうしていなくても奥さんだ。』
『くすくす・・・そうだけどなんか奥さんになったって実感するの。』
ただでさえ愛おしいのにそう言う仕草はやめてくれ・・・会社に行けなくなる
『できた♪』
満面の笑みでネクタイの結び目を確認する彼女。俺はやはり彼女にキスをせずにはいられない
『じゃあ行って来る。帰りはミンヒョン産業まで来てくれるか?』
『えっ?この間行ったカフェで待っていたらいいの?』
『いや・・・受付に言っておくから、俺の部屋を訪ねたらいい。』
『うん、解ったわ。』
名残惜しい・・・髪の襟足の部分など彼女に向けて跳ね上がりそうだ
また彼女に逢える退社時刻の頃を心待ちにしながら、俺は愛車に乗り込むと会社に向かった
『おはようございます!!』
『イ副社長おはようございます。』
一週間前とは随分態度の違う役員達。中には媚びた態度の者もいて非常に不快な気分だ
今更取り繕っても無駄なことだ。もう役員達の本質が俺には解っている
俺は至って平常心で挨拶を返すと、全社員が週初めの朝礼を行うホールに向かった
既に父も母も出社しており、社長の椅子に父が・・・一つ席を空けてその隣に母が座っている
つまり母は・・・本日副社長の座を息子である俺に譲り、今日からは理事の筆頭に納まるらしい
二人は俺を見つけると目を輝かせ、俺をその空いている席に座るよう目で促した
今まで一社員として営業部の席にいた俺だが、ここは悠然と社員の間を通り抜け副社長の席に着いた
着くなり母の小声の追及が始まった
『ねっねっシン~~♪新婚旅行楽しかった?』
『今夜伺いますから話はその時に・・・』
『ハネムーンベビー期待しちゃっていいのかしら~ん♪』
それは無理だ母さん・・・くくくっ・・・
母は俺から色々聞き出したくて仕方がない様子だったが、父の咳払いに口を噤み・・・
やがて週初めの朝礼が始まった
父は社長挨拶と同時に俺の副社長就任も正式に発表した
『社員の皆さん、本日休暇を取っていたイ・シンが会社に復帰しました。
本日付で彼を副社長に任命します。どうぞ今まで以上にイ・シンを叱咤激励してやって欲しい。』
父から促されマイクは俺に回って来る
『皆さん・・・まず最初にお礼を言わせてください。先日は私の結婚披露パーティーに
ご出席いただきありがとうございました。
この会社の社長の息子である事は内緒にしておりましたので、皆さん驚かれたのではないでしょうか。
若輩者ではありますが、この度家庭も持ちました。今後は今まで以上に腰を落ち着けて
仕事に精を出したいと思っています。どうぞよろしくお願いします。』
満場の拍手・・・中には苦々しい笑顔を作っている者もいたが、それは今までしてきた行いのせいだろう
無事社員に向けての正式発表も済み、俺は副社長室へと向かった
デスクの上に置かれた≪副社長イ・シン≫の文字が何だかくすぐったい
その日は母からの引き継ぎで一日の大半を過ごした様なものだが・・・その仕事の最中にも
何かとチェギョンの事に触れたがる母に苦笑する
母はやはり・・・≪三人の孫に囲まれチェギョンと庭作りをする生活≫を心待ちにしているようだ
そうだ!チェギョンのデザイナー契約は上手くいっているだろうか・・・
一週間ずっと一緒にいたせいなのか、たった半日離れただけで彼女に逢いたくて堪らなくなる俺だった
本日の花≪サボテン≫
こちらの画像は猫友達のKEIさんからお借りいたしました。
お持ち帰りはご遠慮ください。
この方・・・素敵な写真を撮られるんです。
猫もお花もイルミネーションもすごく素敵なんです❤
昨日はお休みしちゃってミアネ~。
ちょっとDさんが体調不良でして・・・
休息中はなかなかお話書けないんです。。。
すまんです。
今後も時々そんなことがあると思われますが
ごめんしてね❤