皇太子夫妻が初の同伴公務から戻られたあと・・・ヒスンを除く元シン家の娘達と皇太子殿下イ・シンは
韓国芸術大学に進学した
そしてその直後ギョン皇子とイ・ガンヒョンの婚礼の儀が執り行われ・・・
その一カ月後にはイン皇子とミン。ヒョリンの婚礼の儀が執り行われた
慌ただしく皇室五兄弟のうち三人までが婚礼し、それに次々と立ち合って来たファン皇子は
婚約者であるユン・スニョンに相談を持ちかけた
『スニョン・・・兄弟達が立て続けに結婚して、正直焦る気持ちもなくは無いけれど
こう立て続けに帰国させられるんじゃあ、ユルとヒスンさんが可哀想だ。
そこで相談だけど・・・僕達の結婚は、僕が大学を卒業してからにしてもいいかな?』
『えっ・・・・?』
正直スニョンは≪次は自分の番がすぐやってくる≫と思っていた。
その顔に戸惑いを浮かべ寂しそうに俯いた
『ダメかな?』
『ファン皇子・・・ダメじゃないですけど、私だけなんだか置いてきぼりにされたみたいで寂しいです。』
『スニョン、そんなこと言わないで・・・。いつだって中宮殿に遊びに来て欲しいし、まだ発表はされていないけど
君は僕の婚約者なんだから。結婚までに君はしたい事を思いっきりして、それから僕に嫁いで来て欲しい。
いいかな?』
『・・・はい。その代わり・・・ファン皇子がお手すきの時には、宮の中の写真を一緒に撮影して歩きましょう。
ファン皇子が撮影している間私はスケッチをして、中宮殿に戻ったら絵を描きたいと思います。』
『ありがとうスニョン。』
スニョンの心の中に寂しさはあったが、思慮深いファン皇子と縁を結んだ自分なのだ
その深い思いやりの心に応えられる素敵な女性になってから嫁ごうと思い直したスニョン
婚姻は二年先になるだろうが、その間に互いの想いをより深めて行くことだろう
ヒョリンがイン皇子に嫁いで来てから、大学がお休みで公務の時間の空いた時には元姉妹達は集まり
お茶を飲んだりする時間を作る様になった
だがチェギョン以外は二人共既にご懐妊中であり、ガンヒョンなどは細身の体に少しふっくらしたお腹が
目立つようになってきていた
『チェギョンはまだなの~~?』
もちろん悪気があっての言葉ではない。ずっと一緒に育った姉妹の間柄が、ヒョリンに遠慮のない言葉を
言わせてしまうのだ
『あ・・・うん。まだ…みたい・・・』
なんとなくバツの悪そうな表情になるチェギョンに、ガンヒョンはその胸中を察したように微笑みかけた
『なにも焦ることないわよ。アンタもきっとすぐだから。ねっ・・・チェギョン♪』
『うん・・・』
婚礼以来シンはとても優しく、チェギョンを労わってくれている。夫婦関係ももちろん良好だ
なのになぜ・・・チェギョンはいたたまれない気持ちになり、お茶会を開いていた北宮殿を一足先に後にした
(ふぅ・・・なぜなんだろう。どうして私だけ・・・)
憂い顔で歩いていたその時、公務から帰って来た皇后が本殿の入り口で車から降りチェギョンを呼びとめた
『チェギョン・・・チェギョンや!!』
皇后の声に気が付いたチェギョンは、早足で皇后の元に駆け寄った
『皇后様、お帰りなさいませ。』
『チェギョンただいま。どうだ?私の部屋で一緒にお茶でも・・・』
『あ・・・いえ、今北宮殿でいただいて来たところなんです。』
『そうか?だが・・・とても美味しいケーキを土産にいただいたのだ。少し付き合っては貰えぬか?』
『はい!喜んでご一緒いたします♪』
皇后の部屋に通されたチェギョンは、外出着から着替えた皇后と向かい合いケーキを共に口に運んだ
『チェギョン・・・宮にも慣れたか?』
『はい、皆さん良くしてくださいますし、特にシン君はとても優しくしてくれます。』
『そうか・・・それは良かった。
だが・・・気のせいかのぉ…そなたが先程歩いていた時の表情が、随分曇っている様に見えたのだが。
なにか悩みごとでもあるのではないか?私でよければ話しを聞こう。』
心配そうに微笑みかける皇后・・・チェギョンはその皇后の顔をじっと見つめ、ハッと表情を明るく変えた
『皇后様・・・相談に乗っていただきたい事がございます。』
『なんなりと申してみよ。』
『あの・・・皇后様は子沢山・・・』
『あぁ?子沢山?』
『はっはい!皇子様達を五人も産んでいらっしゃいますよね?』
『まぁ…そうだが?』
『あのぉ・・・その子沢山の秘訣と申しますか・・・どうしたら・・・授かるのかなって・・・』
『おぉ?お・・・おほほ・・・おほほほほ~~~♪なんと!そなたはそんな事を悩んでおったのか?』
『はい・・・』
『ふむぅ・・・ガンヒョンもヒョリンも懐妊が先だったから焦っておるのか?』
『いや・・・焦ると言うか、なんだか羨ましくて・・・』
『チェギョンや。こればっかりは神のみぞ知るところだ。秘訣なんてものは無い。』
『え・・・そうなんですか?』
『私も婚姻してすぐに御子が授かった訳ではない。物事にはタイミングというものがある。
そのタイミングが今ではないと言うだけの話だ。』
『皇后様・・・そのタイミングって言うのは・・・いつ訪れますか?』
ソファーから身を乗り出す様にして皇后に問い掛けるチェギョンに、皇后は優しく微笑むと答えてくれた
『それはいつ来るのかは誰にも解らない。ただ・・・シン皇子とちゃんと向きあって、
お互いを大事に想う気持ちがあれば、きっといつかは訪れるだろう。』
『本当ですか?』
『あぁ。だからつまらぬことでくよくよしたりしてはならぬぞ。よいな。』
『はい!!ありがとうございます皇后様。ところでこのケーキ・・・すごく美味しいですね♪』
『あ・・・これは本当は陛下と一緒にいただこうと思っていた物だ。チェギョンと二人で食べてしまったな。
ガンヒョンやヒョリンには内緒だぞ。ほほほ・・・』
『はい!内緒にします。くすくす・・・』
来た時とは打って変わって明るい表情で本殿を後にしたチェギョンを見送り、皇后は安堵の溜息を吐いた
懐妊が先だった二人の元姉妹達に比べ、チェギョンは皇太子妃という立場もあり妊娠に対しプレッシャーを強く
感じているようだ
その事も重々承知の上で、皇后は努めて明るくチェギョンを励ましてみた
皇太子夫妻の仲睦まじい様子から、そう遠くは無いと思われるが・・・それでも年若くして嫁いできたチェギョンが
後継者の事で悩まないよう・・・今後もしっかり支えて行こうと思う皇后ミンであった
チェギョンが北宮殿に出掛けている頃・・・シンは執務室を出て資料を探しに書筵堂へと向かった
そこで・・・女官の会話を耳にしてしまったようだ
『ねえ~妃宮様の今描かれてる漫画読んでる?』
『もちろん読んでいるわよ。お仕えする身としては妃宮様の趣味にも精通していなくっちゃね。』
『新しくアップされたの・・・もう読んだ?』
『読んだわ♪ねえ・・・殿下って意外と・・・ムフフなのね~~♪』
『あなたもそう思った?なんか・・・想像しちゃうわね~~♪』
シンは女官が含み笑いをしながら言った≪ムフフ≫の意味が気になって仕方がない
そう言えばこのところ公務に忙しく、チェギョンのHPのチェックを怠っていた事に気が付き
シンは探しにきた資料も持たずに書筵堂を後にすると、再び執務室に戻って行った
(あいつ・・・一体どんな漫画を描いているんだ?ムフフって・・・一体なんだ?)
パソコンを開きチェギョンのHPを開いてみたシン・・・
そして驚いた事にその中にはチェギョンと自分しか知り得ない、甘く囁いた言葉のオンパレードだったり
秘密ごとが漫画となって発信されていたのである
『チェギョーーーン!!』
思わずシンが大きな声を上げた時、チェギョンは執務室にタイミング悪く入ってきてしまったようである
『チェギョン・・・これはなんだ?』
『えっ?漫画・・・』
『描いてもいいとは言った。だが・・・俺の言ったセリフとか全部出てくるのはなぜだ?
それに・・・この男・・・キザすぎる。俺はこんなにエロくないだろう?』
『あ。。。だから、これはあくまでもフィクションで・・・』
『女官達の噂になってる・・・』
『え・・・えぇーーーーっ・・・・』
『だから頼むから、もう少しオブラートに包め。俺は宮の中を恥ずかしくて歩けなくなるだろう?』
『でも・・・別にシン君がモデルってわけじゃあ・・・』
『誰だどう見てもこれは俺だろう!!』
チェギョン自身も思い浮かぶのはシンしかいないのだから、どう足掻いても主人公はシンになってしまう
そしてヒロインは自分なのだ。
その私生活ダダ漏れの漫画を、こっそり楽しんでいるのは女官やガンヒョン・ヒョリンばかりではなかった
慈慶殿では慣れないパソコンを開き、皇太后がその漫画が更新されるのを待っていたようである
『おぉ!!チェギョンの漫画が更新されて居る。
おぉ~~シンよ。なかなかキザなセリフを吐いてくれるではないか。
先帝も若い頃はのぉ・・・・ほほほほほ・・・・
若いって・・・青春っていいものだのぉ・・・・ほほほほ』
チェギョンの描く漫画のファンは宮中に確実に広がっているようだ
そしてもちろん妃殿下がそのような活動をしていると知らない一般人にも、
じわじわとそのページは浸透しつつあるのだった
こちらのお話はもうあとは宮中ホームドラマになります❤
各皇子が全員結婚し、賑やかになった宮中まで
書かせていただきますね♪
そうそう!最近第一王子の前の席にッポエマー男子がいるそうで
うちの王子にポエムをくれるんだって・・・
お持ち帰りしたのを朗読してくれたんですが・・・
ん~~~・・・・君、それじゃあ女の子にもてないねっと
つい呟いてしまったムーミンです。
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!