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心友 (しんゆう) 10 最終話

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チェギョンを車に乗せたシンは、助手席でとても憂鬱そうにしているチェギョンを気に掛けながら車を走らせた

『どこに送ったらいいんだ?』
『えっ?・・・あ・・・』

言葉に詰まった返答に、やはり寄るところなどないと確信したシンはチラチラとチェギョンの様子を窺った

愛らしい瞳は涙で潤んでいる

意を決してシンは別れた女性に逢ってきた理由を口にしようとした

『あのなチェギョン・・・』

そう言いかけた瞬間に、初めてチェギョンから拒絶の言葉が放たれた

『シン君・・・悪いけど、今日はシン君の話を聞く気分じゃないの。』

確実に誤解されていると感じたシンは、構わず話を続けた

『空港で彼女を見送ってきた。』
『聞きたくないってば!』

初めて聞いたチェギョンの感情的な声・・・

シンは幹線道路から大型河川に沿って走る道に車を左折した

『ど・・・どこに行くの?』

黙ったままシンは車を走らせ、やがて頭上に大きな橋のある場所で車を停めた

『し・・・シン君・・・なに?』
『君があまりにも聞く7耳を持ってくれないから・・・。』

チェギョンは覚悟したとばかりに、シンに顔だけを向けた

『わかった。いいよ。どうぞ!』

それは今まで一度も言われたことのない、投げやりな言葉だった

『君に背中を押されて逢いに行ってよかったよ。おかげで綺麗に別れられた。』
『そう。よかったね・・・・えっ?・・・はぁ?・・・』

チェギョンは今まで俯いていた視線をシンに向け、大きく目を見開いた

『別れ・・・られた・・・?』
『あぁ。逢ってみてよくわかった。俺はもうあの人の事は過去になっていたんだ。』
『過去?』
『あぁ。もう俺の中で終わっていた。君が傍にいてくれたおかげだ。自分でも気づかないうちにな・・・』
『そ…そうだったんだ・・・』
『ありがとう。すべてチェギョンのおかげだ。』
『そんなことないよ・・・』

表情が先程までと一転し、随分明るくなったことを知ったシンはいよいよ本題を切り出した

『これからは仕事もプライベートも傍にいてほしい。』
『うん。もちろん♪だって友達じゃん、』

今ひとつ伝わっていない感じがするチェギョンに、シンは踏みかけてみる

『いや・・・友達じゃなく恋人として傍にいてほしい。』
『恋・・・人・・・?えっ?シン君なに馬鹿な事言ってるの。私がイ家のおじ様や叔母様に
認めていただけるはずがないよ。』
『はぁ?君の方が愚かなことを言っている。チェギョンの気持ちを教えてくれたのは、他の誰でもない俺の母だ。』
『えっ?おば様が?』
’てか・・・おば様に悟られていたなんて・・・)

非常に動揺しているチェギョンにシンは畳みかけた

『もう今は君の事で頭が一杯だ。付き合って・・・貰えるだろ?』

NOとは言わせないとばかりに笑顔をシンはチェギョンに向けた

(無理だ。ずっと好きだった人だもん・・・この顔に口説かれたら絶対に無理っ!!)

『本当に・・・私でいいのなら。』
『チェギョンじゃなきゃダメだ。くくっ・・・』

漸く何の憂いも無い笑顔で見つめ合えた二人

『そうと決まったら…初デートの食事に行こう。あ・・・その前に母に連絡しておかないと・・・』

シンは母の携帯に電話を掛けた

『母さん・・・シンです。今夜、食事はいりません。』
『えっ?なぜ?』
『出来たての彼女と初デートするんです。チェギョンと付き合うことになりました。』
『なんですって!そんなこと私が許さないわ!!』

離れても聞こえてくるミンの大きな声に、チェギョンはやっぱり…と落胆した

『母さん・・・チェギョンの気持ちを教えてくれたのは母さんじゃないですか。
反対なさるおつもりですか?』
『違うわよ!”二人きりで食事っていうのが~~~面白くないの♪
さぁ~~彼女になったチェギョンちゃんを連れてきて~~♪
今夜はご馳走よ。あ~メイドさんにケーキを買ってこさせなくちゃ~、忙しいから切るわね。
すぐ帰ってらっしゃいね~~おほほほほ~~♪』

電話を切ったシンは、一瞬心臓が止まるほど驚いたチェギョンに笑顔を向けた

『ほらな。母さんは俺なんかよりチェギョンの方がずっと好きなんだ。
しかし参ったな。これじゃあ・・・二人で食事にも行けない。』
『あぁ・・・驚いた。おば様・・・私を受け入れてくれるのかな?』
『当然だろう?チェギョンがいて、我が家の食卓はとても楽しくなるんだ。
父さんだって…きっと同じ気持ちさ。さぁ・・・仕方がないから、彼女を紹介しに自宅に戻るか。』
『うん♪』

イ夫妻はきっと今まで以上にチェギョンを信頼し可愛がることだろう

ただ心配なのは母ミンの過干渉

ともすればシンに疎まれるような行動をとるかも知れない

またシン家の父ナムギルは・・・きっと≪玉の輿が目の前に~~!≫と狂喜乱舞するに違いない

さて・・・二人が困難や壁に立ち向かいながら愛を育んでいく様子は数か月後の課題とし

ここでは一旦このお話を完結としよう



心友(しんゆう) 完

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皆様~9年間もの長い間
本当に・・・
ありがとうございました。

一緒にお話の世界に入り込んでいただき
心から感謝申し上げます❤
私をここまで続けさせたのは
きっと皆様のお力あってだと思います。
二次小説ブロガーに
育てていただき感謝申し上げます。

=星の欠片~ ★emi★


あ・・・ちなみにまだ記事はアップしますからね~♪



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