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Channel: ~星の欠片~
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心友 (しんゆう) 6

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シンを抱えながらイ家に入っていったチェギョンは、肩に凭れかかっているシンに問い掛けた

『シン君・・・あなたの部屋はどこ?』
『ん~~・・・二階・・・』
『階段上るよ。』
『あぁ・・・』
『もぉ~どうしてこんなに飲んじゃったの!』
『ん~~・・・・』

シンの身体を支えながら必死に階段をチェギョンは上る

こんな手のかかる男は突き放してしまえばいいのに、惚れた弱みでそれができない

漸く階段を上がり二階のある部屋のドアをシンは示した

『ここだね?』
『あぁ・・・』
『開けるよ。』

その部屋の扉を開け手探りで電気を点けたチェギョンは、シンの上着を脱がせネクタイを外しベッドに横たえた

そこから先はミンの仕事だろうと思い。机の上にあったハンガーに上着を掛けシンの携帯と財布・車のキーを

机の上に並べて置いた

そして初めて入ったシンの部屋を、一瞬だけ目に焼き付けた

(シン君の部屋って…こんな感じなんだ。)

『シン君・・・じゃあ私帰るね。』
『あぁ・・・』

部屋の電気を落とし静かにドアを閉め階下に降りていく

するとそこにはミンが待っていた

『おば様・・・こんな時間にお邪魔しました。ではおやすみなさい。』

玄関に向かって歩いていこうとするチェギョンにミンは話しかけた

『あら・・・タクシーなら帰しちゃったわよ。』
『えっ?でもおば様・・・待っててくれとお願いしたんですが・・・』
『ここでいいわって言っちゃったわ~♪』
『あ・・でもおば様、じゃあ私帰れない・・・』
『いいじゃないの。こんな時間に帰ることはないわ。泊まってお行きなさい。』
『えっ?そんなわけには・・・』
『チェギョンちゃん考えてもみて。こんな時間に女の子一人でタクシーに乗って、
もしどこかに連れて行かれちゃったらどうするの?私がチェギョンちゃんのご両親に顔向けできないわ。』
『あ~でも・・・』
『いいわ。シン家のお母様に私が電話してあげる。だったら構わないでしょう?』
『い・・・いえ、もう母は眠っていると思います。メールを送っておきますから・・・大丈夫です。』
『おほほほ~~そうと決まったら・・・お腹は空いていない?お酒の〆にはラーメンとか食べるでしょう?』
『くすっ・・・おば様~今日そんなに飲んでいないんです。それにたくさん食べてきましたから
お腹は空いていません。』

夜のお茶会でもしようというのか、そんなミンの問いかけにチェギョンハ苦笑した

二人が話をしていた時・・・あまりに騒がしかったのか、寝入っていたはずのヒョンが顔を出す

『お❓おや・・チェギョンちゃん。』
『あ・・・会長!こんな時間にお騒がせしてすみません。』
『チェギョンちゃん・・・ここは会社じゃなくて家だよ。』
『くすくすすみません。シン君が酔い潰れてしまったので送ってきました。でも行きがかり上・・・』
『チェギョンちゃんには今夜泊まっていただくわ。』
『そうか・こんな時間に帰るより安全だろう。泊まっていきなさい。』
『あ・・・あのおじ様・・・』

チェギョンとヒョンが話している隙に、ミンはその場を離れ自室に入っていった

『なんだね?』
『デザイン部の飲み会にお心づけを頂戴しありがとうございました~♪』
『あ~あれかね?楽しい飲み会になったかな?』
『はい、とても楽しかったです。部長などおじ様からの心づけに感激していましたよ~♪』
『ははは・・・シンが自分で支払うつもりだったが、それ殺めておいた方がいいと渡したまでだよ。』
『おじ様・・・大正解です。おじ様のおかげで皆さん気分よく飲み会ができました。』
『シンはまだその辺りがわかっていない。チェギョンちゃん・・・これからも頼んだよ。』
『えっ?あ・・・はい。』

自分の気持ちに整理を付けようにも、周囲がそうさせてくれない状況を作り出す

チェギョンは戸惑いながらも頷くよりほかなかった

ヒョンが寝室に戻っていくのと交代で、ミンは部屋から出てきた

ミンのその手には、チェギョンのお泊りグッズを抱えられていた

『チェギョンちゃんお待たせ~~♪えっと・・・これがパジャマよ。これは私のだけどちゃんとお洗濯してあるから
使ってね。それとこれは替えの下着ね。もちろん未使用よ~おほほほほ~~♪
後はお泊り化粧品セットよ。ちょっと年配向きだけど、今日のところは我慢してね~♪』
『おば様・・・すみません~~!!』
『部屋はシンの部屋の隣が客間になっているから使ってね。部屋の中にシャワールームもありますからね。
ゆっくり今日の疲れを癒して頂戴♪』
『なにからなにまで・・・ホントすみません。』
『いいのよ~~。部屋に備え付けの冷蔵庫があるから、喉が渇いたら好きな物を飲んでね。
あ~~そうだわ。悪いんだけどチェギョンちゃん・・・寝る前にシンにお布団掛けてあげて貰えるかしら。』
『えっ?』
『あ~~もう私、眠くって~~。じゃあチェギョンちゃんおやすみなさい。』
『あ・・・はい。』

ミンはそういうと寝室に入ってしまい、チェギョンは困惑しながらも再び階段を上がる

シンの部屋のすぐ隣の部屋を開け明かりを点けた

『わぁ・・・客間ってホテル並みなんだ。すごい部屋・・・』

そう言いながらチェギョンは、備え付けられたソファーの上に

ミンから渡されたお泊りグッズと自分のバッグを置いた

『さすがにお風呂上りにシン君の部屋を訪ねるのはなぁ・・・。今、お布団掛けてこようっと。』

そのまま部屋を出て隣のシンの部屋に向かったチェギョン・・・

明かりを点けると・・・なんとシンはスーツのズボンを自分で脱ぎベッドの下に投げた状態だった

つまり・・・ワイシャツと下着姿だったのだ

『うわっ・・・目の毒!』

チェギョンは一瞬両目を手で覆ったが、すぐにベッドに向かい必死の思いでシンに布団を掛けた

そしてシンの脱ぎ散らかしたスーツのズボンをハンガーに掛けた

『何やってるんだろう私・・・。しかしシン君・・・眠っていてもカッコいいなんて罪作りな男。
さぁ早くシャワーお借りして寝なくっちゃ。』

電気を消す瞬間・・・チェギョンはもう一度シンの寝顔に目を向けた

『子供みたい・・・くすっ・・・』

非常に世話の焼けるシンだが、こんな機会はもう巡ってこないかもしれない

そう考えてチェギョンは苦笑しながら、隣りの部屋に戻っていった


イ家の客間はまるでホテルのような・・・いやそんじょそこらのホテルなど足元に及ばない程、居心地がよかった

チェギョンはシャワーを済ませミンに借りたパジャマという名のネグリジェを纏うと、

冷蔵庫の中のミネラルウォーターを頂戴した

そしてふかふかのベッドに潜り込み、よそ様の家とは思えない程熟睡したチェギョンだった




翌朝早く目覚めたチェギョンは、身支度を済ませミンが準備してくれた基礎化粧品だけ付けると

階下に降りて行った

『おば様~おはようございます。』
『まぁ~チェギョンちゃんお休みなのに随分早いのね。もっとゆっくりしていてよかったのに~~♪』
『とんでもない。朝ごはんの支度お手伝いします。あ~おば様・・・替えのストッキングまでありがとうございます。』
『おほほ~至れり尽くせりでしょう?よく眠れた?』
『はい。ぐっすり眠れました。あ・・・おば様。パジャマや使ったタオルはお洗濯してお返しします。』
『もぉ~いいのよぉ。きっと今頃メイドさんが洗濯機に入れてしまったわ。』
『わぁ~~~すみません。』

食欲をそそるスープの匂いと出来立てのおかずをミンと共に盛り付けるチェギョン

(なんか・・・イ家のお嫁さんになった気分。あ~~違う違う!勘違いしちゃあダメだから~~!)

ダイニングテーブルの上に料理を並べ終わった時、ミンが言った

『チェギョンちゃん、シンを起こしてきて貰える?私は主人を起こしてくるから~♪』
『あ・・・はい。』

チェギョンは二階に上っていき、シンの部屋の前で一瞬躊躇する

(また昨晩のような状態で寝ていたらどうしよう・・・。でもそんなこと言ってる場合じゃない~!)

ドアをノックし部屋に入っていく・・・幸い今朝は布団を掛けた状態でシンは寝ていた

『シン君・・・朝だよ。』
『うぅ・・・ん・・・んっ?ちぇ・・・チェギョン!』
『覚えてないでしょう?昨晩、シン君をこの家に送ってきたの。でもおば様がタクシーを帰しちゃったから
泊めて貰ったの。』
『そ…そうだったのか・・・』
『着替えてすぐに下りてきて。朝ごはんだよ。』
『あぁ。面戸かけてすまない。すぐに行く。』
『うん。』

チェギョンが一階に戻っていくと既にヒョンは席に着いていた

『チェギョンちゃん。お父さんにご飯運んでくれる?』
『はい~!』

まるで嫁状態である


そのうちには部屋義に着替えたシンが席に着き、四人は朝食を摂り始めた

『シン~~あなた。昨晩はチェギョンちゃんに迷惑かけたのよ。』
『あぁ。チェギョン・・・本当にすまなかったな。』
『いいって。それよりタクシー代をおば様が支払ってくださったの。』
『そんなの当然よ~~♪だってシンを送ってくれたんですもの当然でしょう?
後で車を出しますから、会社まで行ってそれからシンに送って貰うといいいわ。』
『あ・・・はい。』

そう言いながらもチェギョンは万が一人に見られることを恐れ、途中で車を降ろして貰うつもりでいた

休日の日中にシンの車に乗っているところなど誰かに見られたら、それはスキャンダルとなってしまう

チェギョンはそれを恐れていたのだ

『しかしチェギョンちゃん・・・若いっていいわね~~♪スッポンでもこんなに綺麗なんだもの~~♪』
『スッポン?』
『そうよ~~スッポンでも勝負できるなんて、ホント羨ましいわ~~♪』

ミン以外の三人がキョトンとした顔で首を傾げた

そしてようやくシンはミンの言葉を理解したらしく、含み笑いをし始めた

『くくっ・・・くくくっ・・・母さん、それはスッポンじゃなくて、スッピンです!』
『ま・・・まぁ~~どうしましょう~~おほほほほ~~♪』
『くす・・・あはははは~~♪』
『はっはっはっはっは~~!』

すっかりチェギョンはイ家の家族の中に溶け込んでいる自分を感じ、幸せであり・・・そして苦しくもある

矛盾する胸の痛みをそっと抱き締めた



イメージ 1

そう言えば私の母も
昔レ●ッカの事をオベッカだと
勘違いしていたんです。
そんなことを思い出しました。(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!

某ブロガーさんが電車内で
笑ってくれると嬉しいな(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!






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