済州島から帰宅したミンは、着替えをする暇もなく何かを探していた
『チェギョンが帰ってくる前に、アレを出しておかなくちゃ♪』
『ミン、一体何をそんなに慌てて探しているんだい?』
『アレよ。イ家が皇族だった名残のテディベア♪』
『君はそんなに本物のテディをチェギョンに見せたいのかい?』
『もちろんよ~♪だってレプリカであんなに喜んでいたのよ、本物を見たらどれだけ喜ぶか~♪
あっ!あったあった~♪
大事にしまいこんでいたからなんだか埃っぽいわね。』
ミンはイ家に代々伝わるテディベアを片手で持つと、ポンポンと埃を払った
『さぁ~いつでも帰ってきていいわよ~♪』
漸く着替えを済ませたイ夫妻
お茶を飲み終え既に食事の支度も済んだというのに、なかなか帰宅しない若夫婦に二人は業を煮やしていた
『あなた・・・遅いわね。シンとチェギョンは・・・』
『一体どこに行ったのだろうな。野暮用だなんて・・・』
イ夫妻は出来上がった夕食を目の前にして首を傾げていた
そんな時・・・どうやら漸く若夫婦が帰宅したようだ
『ただいま戻りました。』
『大変遅くなりました~~♪』
『あっ・・・二人が返ってきたわ~♪』
横の椅子に置いたテディベアを抱え、ミンはいそいそと玄関に駆け付けた
もちろんヒョンもその後に通続く・・・
『もぉ~どこに行っていたのよ。遅かったじゃないの。チェギョン・・・これよ。本物♪』
『わっ・・・お義母様抱っこしてもいいですか?』
『ええ構わなくってよ。おほほほほ~~♪』
チェギョンはミンからテディベアを手渡され、それを嬉しそうに胸に抱いた
『すご~~い。これが本物なんだ~♪歴史を感じさせますね。』
『そうね。とても古いものだからね。レプリカとは一味違うでしょ?』
『わぁ~♪』
『さぁ皆さん~食事にしましょう。』
『はい。』
四人はダイニングテーブルの席に着いた
『お義母様・・・お食事の支度ができなくてすみません。』
『いいのよ~♪さぁいただきましょう。』
『『いただきます。』』
和やかに楽しかった新婚旅行の話に花を咲かせる四人
それもそのはずイ夫妻も新婚旅行についていったのだから、共有する思い出がたくさんあった
チェギョンはシンが一体いつ重大な話を切り出すのだろうかと、ドキドキしながら話に加わっていた
そして告白のチャンスをミンが与えてくれた
『ところで一体どこに行っていたの?新婚旅行の帰りに行かなきゃならない用事なんて・・・』
漸く話すきっかけを得たシンは、少しはにかみながら口を開く
『病院に・・・行ってきたんです。』
『えっ?誰かのお見舞い?』
『いいえ違います。チェギョンを診て貰ったんです。』
『チェギョン?どこか具合が悪かったの?』
心配そうに見つめるミンに、チェギョンは困惑の表情で微笑んだ
『い・・・いいえ~違います。』
だがその先は自分が言ってはいけない気がしたチェギョンは、シンの顔を見つめその先の言葉を託した
シンは口角を上げると両親に告白をする
『実は・・・チェギョンのお腹に赤ちゃんができました。』
『えっ?』
『本当かい?』
『はい。』
『チェギョン・・・今、何カ月なの?』
『あっ・・・先生に妊娠6週だと言われました。』
『まぁ~~~~❤』
『なんと・・・』
『シン・・・あなたは気がついていたのね?』
『はい。なんとなく・・・そんなy予感がしていました。』
『それで昨晩は静かだったのね~~~おほほほほ~~♪』
『ミン・・・やめなさい!』
『おほほ・・・あら・・・いいじゃないの。まぁ~どうしましょう。
結婚してすぐ赤ちゃんが授かっていたことが分かるなんて、こんな喜ばしいことはないわ~♪』
食事が済んだ時、チェギョンは椅子から立ち上がりキッチンに食器を運んで行った
『お義母様~洗い物は私がしますから~♪』
『あっ・・・だめっ!チェギョンは座っていなさい。妊娠6週と言ったら一番大事な時期なのよ。
おとなしくしていなさい~~♪』
『お義母様そのくらい平気ですよ。それに明日はギャラリーに顔を出さないと・・・』
『チェギョンが顔を出さなくてもキャラリーの運営は専任の社員がしてくれるわ。
お願いだからもうしばらくはおとなしくしていて。』
『解りました。お義母様・・・』
イ夫妻は頬を緩め知らぬ間にチェgyフォンのまだ膨らんでもいない腹部に視線を向けた
『あなた・・・どちらが生まれるでしょうね~♪』
『私は男の子がいいな。』
『あら・・・私はチェギョンみたいな女の子がいいです。』
そんな様子を見兼ねたシンは呆れながらいう
『どちらでもいいじゃないですか。きっと賢くて絵の上手な子が生まれてきますよ。』
『そうね~~♪』
『そうだな。ははは・・・』
新婚旅行の疲れも吹き飛ばす大ニュースを持って帰宅した若夫婦
イ夫妻はこの幸せな気持ちが更に増幅していくのを感じていた
その夜・・・若夫婦の寝室では、ベッドの中でシンが近い将来に向けての心構えを説いていた
『チェギョン・・・お母様はかなり過干渉だろうが、しばらく辛抱してくれ。』
『シン君・・・私にとってはありがたいことだよ。』
『それと・・・車の運転はやめておけ。』
『えっ?でも不便だよ。』
『心配で仕事にならない。まぁお母様が運転などさせるはずないけどな。』
『あぁ確かに・・・』
『それと・・・新しい絵の制作には、あまり根を詰めるなよ。』
『うん。心得ていま~す♪』
『ちゃんとバランスよく食事をして、睡眠不足はダメだからな。』
『は~い。シン君の方がお義母様より過保護だ。くすくす・・・』
『そうだな。これくらいにして・・・寝よう。』
結婚したばかりの新妻を抱き締め、シンは穏やかな眠りの中に引き込まれていく・・・
空いている片方の手は、チェギョンの腹部にそっと添えられシンは≪大きくな~れ大きくな~れ≫と
夢の中で囁いていた
もう七年も前に書いたお話なので
覚えてらっしゃる方も少ないかと・・・
無理だよね。私も忘れてる(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
斜めに読み返ししてきたけど
食い違う点があるかもしれません。
その際にはご指摘ください。
ほら~新婚旅行先で
グラスを壁に当てて隣室の様子を窺っちゃうミン様が
ここにおります(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
多分二話か三話です。
良かったらお付き合いくださいね~♪