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Channel: ~星の欠片~
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怪しげなアンティークショップ 前編

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同系大学に入学も決まり高校最後の学園祭を目前にしたある日・・・

いつもの仲間たちと他愛のないおしゃべりをしていた時、その中のミン・ヒョリンが爆弾発言を投下した

『私・・・後夜祭でシンに告白するわ。』
『えっ?ヒョリンとうとう?』
『遅い位よ。まぁ仲間内で親しくしているのもよかったんだけど、そろそろ私・・・
シンと恋人への一歩を踏み出そうかと思って・・・。もちろんみんな応援してくれるでしょう?』
『『もちろん!』』

仲間内のヒスンとスニョンはそう答えたが、チェギョンとガンヒョンは何も言えなかった

二人きりになった時、ガンヒョンはチェギョンに問い掛けた

『アンタどうすんのよ。アンタだってイ・シンが好きでしょう?このままみすみすヒョリンに取られてもいいの?』
『いいわけないよ。でもあのヒョリンの自信満々な顔見た?私に勝ち目があると思う?』
『なに弱気になってんのよ。イ・シンはアンタの事憎からず思ってるわよ。いつもアンタに優しいでしょう?』
『みんなと同じに優しいよ。』
『違うわよ。アンタに話しかける時だけ声のトーンが違うもの。きっと奴もアンタに気がある筈よ。
それにしてもヒョリンもヒョリンよ。アンタの気持ち知っていて宣戦布告だなんて・・・
とにかくこのままアンタが尻尾巻いて逃げるような子なら、アタシ・・・友達やめるから・・・』
『ガンヒョ~~ン・・・そんなこと言わないでよぉ~~~!』
『じゃあアンタも頑張んな!』
『わ…わかった。告白する。でも・・・どうやって?』
『そうね。ビビりのアンタの事だからちょっと難しいわね。
あっ!そうだ!駅方面に歩いていった裏通りにあるアンティークショップ知ってる?』
『あ~あのちょっと怪しそうなお店でしょう?知ってるよ。』
『何でもそこのオーナーって恋愛相談に乗ってくれるらしいのよ。他のクラスの子がそこのオーナーに相談したら
恋が成就したって言ってたわ。』
『ま・・・マジ?今日帰りに行ってみる~~♪』
『溺れる者は藁をもつかむよ。行って話を聞いて貰ったらいいわ。』
『うん。そうする~~♪』

シン・チェギョン18歳は・・・こうしてその怪しげなアンティークショップに導かれていった





放課後チェギョンは愛車に乗って、そのアンティークショップを目指した

何度も前を通ったことはある

だが・・・照明も暗くなんとなく入りにくい店だった

(本当かなぁ・・・恋が成就するなんて。でも行ってみるっきゃないよね。)

店の前に自転車を停め、チェギョンは恐る恐る店の中を覗いた

(あ~なんかやっぱ怖いなぁ・・・でも、オーナーさんのお力を借りなきゃ、恋の勝利者にはなれないよね。
頑張ろう!!)

<カランカラン>

ドアを開けるなり鳴り響く大きなベルの音に、チェギョンの蚤の心臓は飛び跳ねんばかりだった

『ひっ・・・』

だがすぐに奥からオーナーらしき女性が姿を現した

『いらっしゃい♪』
『あっあのっ・・・こんにちは。』

店内に入って驚いたのは、その店にはチェギョンが見ても明らかに高額だと思うような品が

ずらりと並んでいる事だった

『今日は何か探し物?』
『あっ・・・いえあの・・・こちらのお店にあるような品物が買えるような経済力はありません。
失礼かと思ったのですが・・・口コミで恋愛相談に乗ってくださると聞いて・・・』
『まぁ~そうなの?どうぞそこに掛けて。一人で退屈していたのよ。今紅茶を淹れるわね。』
『えっ?いえそんな~~お構いなく・・・』

外から見ると非常に怪しげな店だったが、中に入ってしまえば実に居心地の良い店でチェギョンは言われるまま

オーナーが指示した木の椅子に腰かけた

『芸校の三年生?』
『えっ?なぜわかるんですか?』
『や~ね~その制服を見ればわかるわ。それに名札もついている。三年生のシン・チェギョンちゃんね?』
『は・・・はい~~♪びっくりしました。オーナーはエスパーなんじゃないかと・・・』
『そんなの誰でもわかるわ。』

オーナーはチェギョンの前にいかにも高級そうなティーカップに入った紅茶を置いた

『どうぞ。』
『いい香りですね~♪』
『ええ。最高級のダージリンよ。気に入ったお客さんにしか淹れてあげないの~♪』
『恐縮です。いただきます。』

ふわっと立ち上る紅茶の香り・・・一口飲んでチェギョンは目を見開いた

『美味しいですぅ~♪』
『でしょ~~♪それで・・・恋愛相談とは?』
『学園祭で好きな人に告白したいんですけど勇気がなくて・・・どうしたらいいのかアドバイスが欲しくて・・・』
『ふ~~ん。それで相手の男はどんなタイプ?』
『学校で一番背が高くて~ギリシャ彫刻のような整った顔立ちで、すごくクールなんですけど
笑うと子供みたいな表情になって可愛い人なんです。』
『まぁ~♪・・・それはハードルが高そうね。』
『はいぃ~高すぎるハードルですぅ・・・。それに仲間の一人に先に告白宣言されちゃって・・・。』
『じゃああなたから告白したら、その子に恨まれちゃうんじゃないの?』
『うっ・・・確かに・・・』
『じゃあ・・・その相手の男から告白させたらどうかしら?』
『えっ?そっそんなの無理に決まってますぅ・・・』
『どうして無理に決まっているの?』
『いや~私なんか女の子として見ていないと思うんですよぉ・・・』
『そう?可愛い笑顔をするんでしょう?ギリシャ彫刻みたいな顔が・・・』
『そうなんですけど、その笑顔は自分だけのものかどうか・・・わからない~~!』
『ん~~チェギョンちゃんは弱気なのね。』
『はい。親友からもそう言われますぅ・・・』
『とにかく明日からその男にあったら、しっかり目を見て最高の笑顔を届けるの。』
『えっ?目を見るなんて…そんな恥ずかしい事・・・』
『もぉ~それじゃあダメ!負けたくないんでしょう?』
『あ・・・はい。頑張ります!』
『じゃあまた・・・その成果が出たかどうか知らせに来てね。』
『はい。伺います!あの・・・相談料は・・・』
『えっ?いらないわ。ちょうど退屈していたから、チェギョンちゃんと話せて楽しかったもの。』
『お茶までご馳走になって・・・申し訳ないです。』
『そんなことないわ。あっ・・・そうそうこれを持って行って!』

オーナーはキラキラ光る香水瓶から小さなガラスのボトルに香水を詰め替えチェギョンに手渡した

『これは?』
『勇気が出る香水よ。でもたくさん使ったら逆効果よ。一滴だけね。』
『はい。じゃあオーナーまたお邪魔します♪ありがとうございました~~♪』

来た時とは見違えるほど明るい表情でチェギョンはその店を後にした



≪カランカラン≫

大きな音を立ててドアベルが鳴る

『あ・・・あなた。もうお仕事終わったの?』
『ああ。君ももう帰れるかい?』
『ええ。帰れるわ。』

店じまいをしたオーナーは夫と共に車が停めてある場所まで歩いていく

『今日は何か売れたのかい?』
『お皿が一枚だけね。』
『君の店は単価が高すぎるから、一般人では手が出ないだろう?』
『おほほほ・・・そうね。でも~今日は大きな収穫があったの。』
『なんだか楽しそうな顔だね。』
『芸校で一番背が高くて~ギリシャ彫刻のように整った顔の男って誰かしら~?』
『そりゃあ・・・うちのシンだろう?』
『でしょ~~♪なんだか楽しくなってきたわ~♪』

さてこの怪しげなアンティークショップのオーナーが放った愛の矢は、弱気なチェギョンと息子のシンを

貫くような予感がしてならない


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あはは~~短編のお話です。
多分三話で終わると思います。
しばしお付き合いください❤


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