財界のパーティーが開かれる日・・・チェギョンとガンヒョンは其々の恋人の家の客間で着替えを済ませた
『チェギョンさん準備はどうかしら?』
『あ・・・はい!おば様今参ります~♪』
着てきた洋服をハンガーに掛けてドレス姿で部屋の扉をチェギョンは開けた
『お待たせしました。』
『まぁ~素敵じゃないの~♪髪をアップにしたからかしら。試着した時よりずっと似合うわ~♪』
『えへへ~ありがとうございます♪』
『そうそうチェfギョンさん、これをね♪』
ミンはチェギョンの首元に手を回すとチェギョンの首に何かを付けた
『ん?』
『私が若い頃父から貰った物なんだけど~もう私には若向きすぎて使えないの。あなたが使ってちょうだい。』
ミンはドレッサーの前にチェギョンを連れていき、今首元に装着したネックレスを見せた
『素敵~♪いいんですか?おば様・・・そんな大切なものを。』
『おほほほ・・・しまっておくよりもシンの彼女が使ってくれた方が、父も喜ぶ筈よ。』
『ありがとうございます。』
ミンが実父からプレゼントされた物なら、相当な価値のある物だろうとチェギョンは身が引き締まる思いだった
そのネックレスひとつで・・・まるで自分が淑女になったような錯覚にとらわれた
(いやいや私は付け焼刃だし…ボロを出さないように気をつけなくちゃ~~!
おじ様やおば様に恥をかかせたら大変!!)
背筋をピンと伸ばし、ミンと共に階下に降りて行ったチェギョン
玄関で待っていたシンは、着ていたコートを脱ぐとチェギョンの肩に掛けた
『寒いから着ていろ!』
『えっ?大丈夫だよ~!』
『いいから着ていろ!』
チェギョンの細くしなやかな肩のラインなど、他の誰にも見せたくないと思ったシン
そんな時ミンはチェギョンに問い掛けた
『チェギョンさん、ヒールは大丈夫?同じデザインとはいっても、全く同じ靴じゃないし・・・
痛くなったら私に言うのよ。』
『はい。おば様♪』
シンは自分の車の助手席にチェギョンを乗せ、ヒョンとミンは運転手の運転する車の後部座席に乗り込むと
二台の車はパーティー会場に向かって走り出した
走り出した車の中、シンは隣に座るチェギョンに何度も視線を向けながらつい言ってしまう
『なぁ・・・そのコートずっと着ていたらどうだ?』
『え~~っ!やだよ。シン君のコート長いんだもん。
それにパーティー会場でコートを着ているなんてマナー違反でしょう?』
『まぁ・・・確かに・・・』
自分でもおかしなことを言っていると思いながらも、やはり人目に晒したくない気持ちは変わらない
どうしてもこんな無理難題を言わずにいられないシンだった
会場であるホテルの地下駐車場で車から降りた四人
『ではチェギョンさん…行こうか。』
『えっ?あ・・・はい。』
ヒョンにエスコートされていくチェギョンをシンはすぐに追いかけようとする
だがミンに阻止された
『どうしたんですか?お母様・・・』
『ちょっとした計画があるのよ。あなたは私と一緒に来るのよ。』
パーティーの開催時間よりずいぶん早く到着したのには、どうやら理由があったようだ
シンとミンはチェギョンとヒョンが乗ったエレベーターではなく、会場から一番遠いエレベーターに乗り込み
最上階へと上がっていった
そして最上階に到着した時、あろうことかミンは隠れるように控室に入っていく
控室を開けるとそこにはチャン夫人とギョンが既に待っていた
『チャン家の奥様~随分お早いんですのね。』
『ええ。後れを取ったらいけないと思いまして・・・』
『まぁ~大丈夫ですわ。敵は時間にルーズですから~おほほほほ~♪』
ミンとチャン夫人の会話の意味が分からず、シンとギョンはきょとんとしていた
『ではそろそろ・・・外を覗いてみましょうか~♪』
『そうですね。イ家の奥様♪』
薄く開いた控室の隙間から8つの目がパーティー会場の入り口を見つめていた
シンとギョンは・・・両親たちが一体何を企てているのかわからないまま会場の入り口に目を向けた
するとそこにはシンとギョンの父親が、息子の彼女を褒め合っていた
『やぁガンヒョンさん、これまた美しくて・・・』
『チェギョンさんもとても愛らしいですな。このパーティーに美しい花が添えられた気分です。』
そんな様子を見ていたシンとギョンは、不思議そうに母親たちに問い掛けた
『お母様・・・一体何をなさるおつもりですか?』
『そうだよ母さん・・・ガンヒョンとチェギョンをどうするつもり?』
『いいからあなたたちは黙って見ていなさい!』
ミンの鶴の一声で、シンとギョンは黙り・・・そのままじっと様子を窺っていた
するとそこにミン社長を筆頭に、シンやギョンの元取り巻きたちの父親たちが姿を現した
『イ会長・チャン社長・・・こんにちは。今日は随分お若いパートナーをお連れのようですね。
なんとも美しいお嬢さん方ですが・・・どちらのお嬢さんですか?』
するとヒョンとギョンの父は、呆れ顔で答えた
『えっ?おかしいですねイ会長。』
『本当におかしな話もあるものですな。接客態度が悪いと散々こき下ろした娘さんが目の前にいるのに
全く気がついて居ないとは・・・』
『さては・・・あの酒の席で仰ったことは真っ赤な嘘なのでは?』
いきなりヒョンとfギョンの父に追及され慌てた財界の大物たち
そこにどうやらシンの取り巻きたちがやってきたようだ
ミン・ヒョリンは相変わらず露出の多いドレス姿で、化粧の匂いをぷんぷん漂わせ
ヒョンとギョンの父の元にやってくる
『イ会長・チャン社長ごきげんいかがですか?・・・はっ・・・シン・チェギョンとイ・ガンヒョン・・・
庶民のあなたたちがなぜこんな場所に来られるの?少しは身の程をわきまえなさい!』
そんなヒョリンの攻撃にも動じることなく、チェギョンとガンヒョンはシンやギョンの元取り巻きたちに視線を向けた
余計なことを言ってはいけない
きっとシンやミンがその場に駆け付けるはずだと思ったからだ
そして思った通り・・・シンとギョンが姿を現す
『失礼な言い方はやめて貰いたいね。彼女たちは俺達のパートナーだ。』
『よく見てみろよ。家柄のいいお嬢さんより余程品がある。』
『なんですって・・・』
ミン・ヒョリンを先頭に元取り巻きたちの顔色が、怒りの赤に変わる頃・・・どうやらミンとチャン夫人の
お出ましのようだ
『まぁ~♪よい家柄の娘さんといってもホント大したことございませんわね。』
『イ家のおば様・・・』
『ミン・ヒョリンさん・・・あなた、良家の息女とは思えないことをなさっているのね~!』
『なんの・・・ことでしょうか。』
『あらぁ~?チェギョンさんとガンヒョンさんのアルバイト先に、わざわざ自分の名前を名乗って
ありもしないクレームを入れるなんて~随分やることがダークですのね~~♪』
『えっ?ちっ・・・違います。そんなの濡れ衣です。私はそんなことしていません。』
『しらを切る気?あなたが電話をしたファミレスの本部では、電話内容は全部録画されているそうよ。
なんなら…確かめてきましょうか?』
『えっ・・・あのっ・・・』
『あなたもいい家のお嬢さんなら、それらしく振る舞いなさい。
シンやギョン君のお付き合いしている女性を陥れようなんて、私が絶対に許さなくってよ。』
『あ・・・あの・・・失礼します。』
そそくさと踵を返し退出していく元取り巻きたち・・・
それと一緒にその親たちもバツが悪くなったのか、コソコソと退出していった
『おほほほほ~~~ざまあみろだわ♪』
パーティー会場の入り口でミンの高笑いはいつまでも続いていた
ミン様の鬼退治コンプリート❤
これに懲りたら財界の令嬢たちも
チェギョンやガンヒョンに
≪ミン様が怖いから≫
手を出さないことでしょう(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
パーティーは始まってもいないので
その後の話は次回にね♪