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Channel: ~星の欠片~
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あなたのしもべ 25

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それから程なくして、順調に交際を続けている二組のカップルは・・・

昼休みに食事をしながら週末の予定の打ち合わせをしていた


『今週は二人共土曜日が出勤だったよな?』
『うん。そうだよ♪』
『じゃあ日曜日にドライブがてら撮影に行こう。』
『えっ?本当?』
『あぁ。』
『ガンヒョンも予定空けておいてね~♪』
『もちろんよ。じゃあ・・・アタシ達はお弁当でも作っていく?』
『いいね~ガンヒョン。いつもご馳走になってばかりだからお弁当持って行こうよ~♪』
『お弁当・・・♪』
『弁当?手作りの?』
『当り前じゃん♪』

今まで取り巻き連中と出かけた時など、一度としてそんな提案をされたことのないシンとギョンは

一気に胸が高鳴った

助手席には大好きな彼女がいて、その膝の上には手作りの弁当が置かれている光景を思い浮かべ、

二人とも顔がにやけずにはいられなかった

『じゃあそう言うことでまた夜、バイト先に迎えに行く。』
『うん。』
『俺もお休みを言いに行くよ~♪』
『アンタは来なくていいわよ。』

そんな風にアルバイトのある日は、いつも通りこんな会話を交わし学内のカフェを後にするのが日課だった



だがその日はいつもとは違っていた

チェギョンとガンヒョンがアルバイトで一番忙しい時間帯に、ギョンの携帯に連絡が来たのだ

『ギョン?』
『ガンヒョン!どうしたの?こんな時間に・・・』
『今、チェギョンと飲んでいるところよ。』
『えっ?休憩時間?』
『いいえ、ファミレスと並びにある居酒屋よ。』
『居酒屋?一体どうして・・・』
『・・・ギョン、悪いんだけどイ・シンに電話して、チェギョンを迎えに来てくれるように言ってくれない?』
『えっ?うん。まだ部室だからシンは隣にいるよ。すぐに・・・駆け付けるから待ってて!!』

電話を切ったギョンは、その不可解な電話に首を傾げた

隣りにいたシンはそんなギョンの様子を見て、訝しく思い問いかけた

『ギョン・・・一体どうした?今の電話、ガンヒョンからだろう?』
『うん、そうなんだ。今・・・居酒屋で飲んでるって・・・。シンにチェギョンを迎えに来て欲しいそうだよ。』
『居酒屋ってことは・・・飲んでいるのは酒か?おかしいな・・・チェギョンはあまり酒は好きじゃない。』
『ガンヒョンだって一緒さ。とにかく何か変だ。店に急ごう。』
『あぁ。』

居酒屋に駆け付けるのに車で行くわけにはいかない

シンとギョンは部室を出ると徒歩で居酒屋に出向いた




シンとギョンが酒を飲むなら絶対に選ばないような場所

焼き物の煙がもうもうと立ち込める店内に、二人は臆することなく入っていった

そのような店にスーツ姿で入っていく客は非常に目立つ

どうやら飲んでいた客も二人に気が付いたようだ

『んっ?あれって映像科のイ・シンとチャン・ギョンじゃね?』
『あ~本当だ。こんな場所に御曹司が来るなんて珍しいな。』
『あ~わかった。ほら・・・奥の間で二人の彼女が飲んでいるだろ?だからだ。』
『やっぱり付き合っているという噂は本当だったんだな。』

酔った勢いで大声でまくしたてる学生たち・・・そのおかげでシンとギョンは二人の居場所が分かったらしい

奥の間目指してひたすら突き進んでいく

すると・・・二人の耳にチェギョンの声が飛び込んできた

『はぁ~まったくどうしてよ~~!一体何がいけなかったのよぉ~~!』
『チェギョン・・・アタシ達は何も悪くないって・・・』
『だよね~おかしいよね~~納得がいかない~~!』

シンとギョンはその奥の間に二人が座っていることを確認すると、靴を脱いで座敷に上がりこんだ

『どうしたんだ?チェギョン・・・』
『ガンヒョン・・・すぐに来ただろう?』

二人の姿を目にしたチェギョンは、シンの腕を引っ張り隣に座らせた

『シン君だぁ~♪わぁ~~~い!うけけけけ~~♪』
『一体どうしたんだ?チェギョン・・・今はバイトの時間だろう?酒を飲むなんて・・・』
『クビになったんれす~うけけけけ~♪』
『クビ?』

もうすっかり出来上がっているチェギョンの代わりに、ガンヒョンが説明をする

『今日バイトに出勤したら、いきなり店長に呼ばれてね・・・
なんでもあの店の本部に、接客態度が酷すぎるってクレームの電話が入ったらしいのよ。
チェギョンとアタシ・・・二人一緒にね。』

ガンヒョンの説明を聞いて、納得がいかない二人

一緒にアルバイトをしていた時もそうだったが、陰ひなたなく働き笑顔を絶やさない二人だ

長くいる社員にも決して引けを取らない接客態度だった

『それは・・・おかしいだろう?』
『そうだよ。ガンヒョンとチェギョンがクレーム対象になるなんて、絶対にありえない!』
『店長も首を傾げていたわ。でも本部から言われてしまったのではどうしようもなくて・・・
今日付で解雇となったわけ。』

話がシンとギョンに通じたところで、酔っ払いのチェギョンに泣きが入りだす

『大学に入ってから半年~すっと頑張ってきたのにさ~一体誰よ~~!』

一体誰が・・・そう叫びたいのはシンやギョンも一緒だった

チェギョンとガンヒョンの性格・・・そして今までの仕事ぶりを見て、明らかに二人を貶めようとする人間の仕業だと

シンとギョンは推測した

(ひょっとして・・・俺達の取り巻きでは?)

シンとギョンに振られたばかりか傍にいる事さえできなくなった腹いせに、

チェギョンとガンヒョンを懲らしめようという魂胆だろうと考えた二人

元々・・・チェギョンとガンヒョンは人から恨みを買うような女性ではない

(逆恨みか?)

シンとギョンは互いに目を見合わせ頷いた

これは二人の憶測であり、確証もないのだからチェギョンやガンヒョンに言うことはできない

『はぁ・・・バイトどうしようかしら・・・』
『困っちゃう・・・大学生にもなって親がかりにはなれないよぉ~~!』

ギョンは思い付きで言ってみる

『じゃあさ・・・チャン航空のカフェでバイトする?』
『ギョン・・・アンタさ、空港まで遠すぎるでしょう?』
『うん。通うの無理~~!』

そんな三人の会話を聞いて、シンは頭を捻った

もし本当にそのクレーマーが取り巻き達なら、いくらチェギョンやガンヒョンがアルバイトを探してきても

またクビにされるのがオチだ

『俺が・・・探してみるから待っていてくれ。』
『ホント?シン君・・・』
『あぁ。ガン本と一緒に働けるところがいいだろう?探してみるよ。』

もちろんそれはイ財閥の息がかかった場所でなければならない

でなければまた、この二人を哀しい気持ちいさせてしまう

なんとしてもこの二人を守りたいシンとギョンだった





居酒屋を出た四人は二組に分かれた

ギョンは歩いてガンヒョンを家まで送り届け、かなり酒に酔っているチェギョンは酔いを醒ましてから

送っていくことに決めた

シンはチェギョンの身体を支えながら、大学の駐車場までの道を歩いた


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はぁ~久し振りにいいお天気でしたね❤
でもまた明日から雨だって・・・

台風…日本列島をどうかそれてくれますように・・・



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