チェギョンからの交際宣言に一瞬怯んだ取り巻き軍団だったが、すぐにその傲慢さを取り戻し
顔には嘲笑さえ浮かべた
『あなた・・・何か勘違いなさっているようだけど、シンはあなたが対等にお付き合いできるような人ではないのよ。
イ家と言ったらこの国で五本の指に入る大財閥よ。シンがあなたになにを言ったか知らないけど
恥をかくのはあなただから、勘違いしない方がいいわ。お付き合いしているなんて・・・
口が裂けても言ってはいけないと思うの。シンの迷惑になるでしょう?』
端っから交際宣言を完全否定してくるミン・ヒョリンに、チェギョンは苛立ちを顔に出した
明らかに不愉快・・・そう言わんばかりの表情だ
追い打ちをかけるように他の取り巻きがガンヒョンを攻撃する
『あなたもよ。チャン・ギョン様はお優しいから、あなたみたいな女でも優しく接してくださったかもしれないけど
それは誰にでもすることよ。誤解しない方がいいわ。』
『アンタ達・・・人の話をちゃんと聞いてる?アタシ達は付き合ってるって言ったのよ。勘違いでも誤解でもなく
付き合ってるのよ。この意味が分かる?』
傲慢なシンやギョンの取り巻きに言い放ったガンヒョンに、チェギョンは更に念を押す
『付き合っているっていうのは・・・相思相愛の仲っていう意味よ。あなたたちみたいなお嬢様じゃなくて
彼らは私達のようなノーブランドを選んだ。彼らに必要とされているのは私達よ。』
『言わせておけば・・・』
憎悪の表情でチェギョンとガンヒョンをぐるりと取り囲んだ取り巻き軍団
雑草育ちで少々踏まれても平気なチェギョンとガンヒョンだが、さすがに人数が多すぎるようだ
そんな危機一髪の時・・・まるで暗闇の中バックライトに照らされたように登場したシンとギョンは
取り巻き軍団がチェギョンとガンヒョンに指一本でも触れないように、威嚇する声を張り上げながらも
優雅に歩いて来る
『おい!お前達、何をしているんだ?』
『いたいけな女子を寄ってたかって苛めるなんて、なんて質の悪い奴らなんだ~~!』
その声を聞いてシンとギョンの取り巻き達はチェギョンとガンヒョンから離れ、一斉に二人の元に駆け寄った
『シン・・・あなたのしもべが言いたい放題なの。』
『ギョン様・・・この失礼な女をどうか叱ってください~~!』
まるで群がるようにシンとギョンの周りには、取り巻き軍団が集まった
だがシンとギョンはその集団を押しのけ、チェギョンとガンヒョンの元へ向かう
そしてシンは徐にチェギョンの肩を抱き、取り巻きの方向に振り向き・・・ギョンもシンに倣って
ガンヒョンの肩を抱いた
『俺達の恋人に・・・何か用か?』
『変な言いがかりをつけるのはやめて貰いたいなぁ。ようやく付き合えるようになったんだからさ~♪』
ミン・ヒョリン率いる取り巻き軍団は、その状況を信じたくないとばかりに首を横に振る
『嘘っ・・・一体何の冗談なんです?』
『そんな庶民はお二人に似合いません。』
そんな言葉を口々に呟く取り巻き軍団に、シンは溜息混じりにチェギョンの顔を見つめた
『ここまで言っても理解ができないらしい。致し方ないな。』
シンは肩に回した腕をチェギョンの腰に降ろしその身体を引き寄せると、徐にチェギョンの唇に自分の唇を重ねた
『ひっ・・・・』
『きゃぁ~~!』
あがる悲鳴・・・取り巻き軍団は、目の前で起こったあまりに衝撃的な光景に唇を震わせ立ち尽くした
そんな取り巻き軍団よりも一番驚いたのは当のチェギョンだった
目を見開いたままその場で固まっていた
唇が触れたほんの数秒の時間が、何時間にも思えたほどだ
『おい・・・チェギョン?』
シンに声を掛けられて、漸く我に返った時・・・取り巻き軍団は姿を消していた
『じゃあ俺達は次の講義があるから、また帰りにな。』
『う・・・うん・・・』
すっかり放心状態になってしまったチェギョンを、ガンヒョンは教室に連れて行くと話しかけた
『アンタ達・・・結構進んでいたんだ。あ~ギョンが影響受けやすいから困るなぁ・・・』
『えっ?』
先程の光景がチェギョンの頭の中でリフレインする
『ちっ・・・違うよガンヒョン・・・さっきのが初めて・・・』
『え~~~っ?さっきのが初めて?はぁ・・・イ・シンもなんて無粋なことを・・・』
チェギョンの胸の中に沸々と怒りがこみあげてくる
(どうして初めてが公開キスなの~~?もうっ信じられない。
もっとロマンチックな時はいくらでもあったはずなのに、シン君の馬鹿ーーーーっ!
私のファーストキスを返せ~~~!)
放心状態のままその日一日を過ごしたチェギョンは、帰りにシンの車に乗り込んだ時・・・
その不平不満を一気に爆発させた
『シン君・・・いくら何でもあれは酷い。』
『あれとは?』
『あれっていったら・・・あれだってば!不意打ちキス・・・』
『くっ・・・すまなかった。あまりに取り巻きが無礼だったから、お前は俺の物だって見せつけたかったんだ。』
『だからって・・・初めて・・・なのに・・・』
『俺だってそうは思ったが、一瞬であいつらを黙らせる方法はあれしか思い浮かばなかったんだ。』
『ちっ・・・信じられない。しかも美術科のみんなが見ている前で・・・』
『これで美術科でお前にちょっかい出す男はいなくなる。俺にとっては一石二鳥だ。』
『もぉっ・・・もぉっ・・・』
相変わらず膨れっ面で唇を尖らすチェギョンに、シンは口角を上げると呟いた
『そんな顔するな。運転しながらじゃキスはできない。それとも俺を煽っているのか?』
『ちっ違~~う!そうじゃないんだってば・・・』
シンが膨れっ面のチェギョンを乗せてどこかに移動している頃、ギョンもガンヒョンを車に乗せてどこかに
行こうとしていた
『ちょっとギョン・・・どこに行くつもりなの?今日はおば様に家で食事するって約束しちゃったんだから
家に向かってよ。』
『そんなこと言われても、このまま家に帰る気にはなれないよ。』
『ど・・・どういう意味よ。』
『シンとチェギョンはもうあんな関係なのに、俺達は・・・まだ・・・』
『人は人、アタシ達はアタシ達よ。それに・・・チェギョンはどうやら初めてだったらしいわ。』
『えっ?・・・マジっ?』
『ええ。相当怒っていたわ。』
『それはシン・・・やらかしたな。』
『でしょ~。だからアンタも気を付けな。そんな無粋な真似したら、おば様に言いつけるからね。』
『解ってるよ。』
ガンヒョンから牽制されても、ギョンは(無粋じゃなきゃいいんでしょ~♪)と心の中で呟いている
どうやらシンとギョンはは、無粋じゃなくキスできる場所を探して車を走らせているのだった
えっと~シン君とギョン君の登場シーンは
トッ●ビと死神さんの登場シーンを
想像していただけると嬉しいかな(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
なんと公開初キスしてしまったシン君
さて~どうやってチェギョンのご機嫌を取るのかな?
頂いたコメントのお返事は
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