シン家に向かう車の中・・・シンは小さく溜息を吐いた
『チェギョンすまなかった。お母様がしもべのような扱いをして・・・』
『えっ?何のこと?』
『料理の盛り付けを刺せただろう。』
『あ~そんなことぉ・・・ただメインディッシュを盛り付けただけで、配膳はメイドさんがしてくれたし
しもべ扱いなんかされていないよ。』
『そうか?』
『うん。私もさ・・・あの誕生パーティーの時、折角綺麗にに盛り付けられたのに
シン君には食べて貰えなかったでしょう?
だから今度は食べて貰えてよかった♪』
『くくっ・・・そうか?だったら安心した。』
運転をしながらチラとチェギョンに目を向けると、チェギョンは本当に嬉しそうな顔をしシンを見つめていた
『あのね・・・お願いがあるんだけど・・・』
『なんだ?』
『私・・・シン君のポケットチーフが収納せれている引き出しを見て、ちょっと感激しちゃったんだ。』
『あぁ?なぜだ?』
『だって~見るからにブランド品と分かるポケットチーフの中で、ノーブランドの私が贈ったポケットチーフが
一番大事にされている気がしたから・・・』
『くっ・・・当然だろう。最近はチェギョンがくれた物しか使っていない。』
『どうもありがとう。でも・・・そのスーツに合った物を使ってね。
あのお見合いの時のスーツに白のチーフはなかったよ~あはは~♪』
『っつ・・・あれは胸にお前を秘めていけば、強い気持ちで見合いを断れると思ったからだ。』
『あはは・・・でも断らなかった・・・』
『それは相手がお前だからだろう?』
『うん。そのまま・・・変わらないでね。』
『あぁ?・・・どういう意味だ?』
『ブランド価値のある女の子に囲まれても、ノーブランドの私を大事にしてねって事♪』
『っつ・・・当然だろう?今までだって周りはブランド品ばかりだったが、俺は一度としてなびいていない。』
『え~~っ・・・パーティーには露出の多い女の子がいっぱいいたじゃん~~!』
『くっ・・・もうそんなことはしない。俺もギョンもあいつらに纏わりつかれて、断るのが面倒だったから
傍にいることを許していたが・・・もう誰かさん達が嫌がるだろうからな。』
『ちぇっ・・・私やガンヒョンのせい?』
『いや・・・お前が傍にいると気持ちが安らぐのを知ってしまったからもう無理だ。
恐らくギョンもそうだろうな。』
『えへへ~~♪』
今まで傍にいた取り巻きの事を思い出し、少し不機嫌になったチェギョンだったが・・・シンの言葉で機嫌を直し
満面の笑みを浮かべた
『あ・・・シン君、ここで降ろしてくれればいいよ。』
以前いつも降りていた場所でチェギョンはそういった
『いや…家の前まで送る。』
『もぉ~毎回駐車場に入れるなんて無駄遣いだよ。ここで私が家に入るのを見届けてくれればいいの。
ねっ♪』
そう言って車を降りようとしたチェギョンの腕をシンは掴み引き留めた
『わかった。じゃあここで見送ることにするからちょっと待って・・・』
『ん?なあに?』
シンの方向に振り向いたチェギョンを、シンは徐に抱き寄せた
『あっ・・・』
『くっ・・・ずっとこうしたかったんだ。』
『でも人目が・・・・』
『誰も通っていない。誰も見ていない。』
『うん。』
抱き締められシンの肩口に顔を乗せたチェギョンは、次第に胸が高鳴るのを感じた
(やっやだっ・・・ちょっと心臓の音が煩いっ!シン君に聞こえちゃう~~~!)
火傷をした時にお姫様抱っこをされたことはあっても、向き合って抱き締められたのは初めてのことだった
チェギョンは一人でかなり意識してしまっていた
ところが・・・
『じゃあここで見送るから気を付けて帰れ。』
そう言うとシンは密着した身体を離し、チェギョンに笑顔を向けたのだった
『えっ?あっ・・・う・・・うん。じゃあシン君またね~♪』
車を降り家までの道を歩きながらチェギョンは心の中で呟いた
(あれっ?んっと・・・おかしいな・・・ふつうこういう時って、ぎゅ~~っときたらちゅ~~って・・・なるよね~~。
シン君って意外と・・・あ~やらしい!何考えてるの私ったら~~///)
そして家の前で後ろを振り向くと、シンに向かって手を振った
シンはチェギョンが門の中に入っていったのを確認し、漸く車を発進させた
『さすがにまだ早いだろう?くくっ・・・』
と自分に言い聞かせるように呟きながら・・・
暑い夏が過ぎ去り…夏休みが終わったシンとチェギョンは、再び大学に通う日々となった
シンとギョンはファミレスでのアルバイトを辞め、普通の生活に戻っていった
まぁチェギョンとガンヒョンの心を射止めた今では、アルバイトをする必要はない
チェギョンとガンヒョンは、恋人の要望でアルバイトをセーブすることとなった
今までは祭日や土曜日曜は必ず出勤していたのだが、土曜を完全休日にしその日は恋人の為に空けておいた
キャンパス内でも仲睦まじく歩いたり、ランチをしたりする二組のカップルの姿が・・・そろそろ大学内で
噂になっているようだ
やはりそんな光景を主面白くないと思っているのは、シンやギョンの取り巻きの女性たちだ
『ねえ…確か美術科のあの子、シンの≪しもべ≫だったわよね?』
『そうそう。イ・シン様の誕生パーティーの時、働かされてたわよね?』
『ギョンさんと一緒にいるのは、あのしもべの友達じゃなかった?』
『イ・シン様もチャン・ギョン様も夏休みに何度電話しても、出て貰えなかったわ。』
『あなたも?私もよ・・・』
『なぜあの子たちがあの二人と一緒にいるの?真相を確かめなくちゃ・・・』
ミン・ヒョリン率いる芸大のお嬢様軍団は、シンやギョンに知られないように美術科の棟へと向かった
そしてシン・チェギョンとイ・ガンヒョンが教室から出てくるところを捕まえた
『ねえあなた、シンのしもべよね?なぜ最近・・・シンと一緒にいるのか説明していただける?』
『そっちの眼鏡の女もよ。どうしてチャン・ギョン様と一緒にいるのよ!』
チェギョンとガンヒョンは顔を見合せ目で会話をする
(ちょっとチェギョン・・・この人達なによ。)
(シン君やギョン君の取り巻きだよ。ほら~前に話したことがあるでしょう?
パーティーに露出の多い服でやって来ていたお嬢さん達だよ。)
(そんな人たちが一体アタシ達に何の用なの?)
(ほら~最近一緒にいるから面白くないんでしょう。)
(ふ~~んくだらない!どうする?はっきり言っちゃう?)
(言っていいでしょう。何も隠れて付き合うことないし~~♪)
チェギョンはガンヒョンからミン・ヒョリンに視線を移した
『確かに夏休みの最初の頃までは≪しもべ≫していたけど、今は違うの。』
『違う?違うってどういう意味?』
『お付き合いしているし!私も・・・ガンヒョンも・・・』
『えっ?・・・』
一瞬にして表情が険しくなる取り巻き軍団
チェギョンが対応している間に、ガンヒョンはギョンにメッセージを送った
≪ギョン・・・アンタやイ。シンの取り巻きに、今絡まれてるんだけどどうしてくれる?≫
そんなメッセージを受け取ったギョンはシンを伴い、すぐに美術科の棟に向かっていった
中途半端なところで終わっちゃって
御免よ~~!
続きはまた来週ね❤
今日は長男君のお誕生日なんです。
22歳になりました~♪
日が変る頃、誕生日プレゼントを渡したら
『こ~ゆ~の欲しかったんだよな~❤』と
大変喜んでくれました。
素直な息子に育ってくれてありがとう。