その後シンはミンに報告をする
『あとお母様、ご報告したいことがあるんです。』
『報告?』
『はい。社会勉強のためにチェギョンのバイト先で週に三日ほどアルバイトしようかと思います。』
『まぁ❤アルバイトを?あなたが?でもお父様の会社にも行っているでしょう?』
『お父様の会社には週に二日だけですから、支障はないかと・・・』
『いいんじゃないの?何事も人生経験よ。そうね・・・こんなことでもなければ、あなたは一生
面接を受ける事などないでしょうし・・・やってみたらいいわ。』
『ありがとうございます。そうですね・・・面接に受からない事には、どうしようもありません。
少し研究して行くことにします。』
『それがいいわ♪』
自室に戻ったシンはギョンと電話で連絡を取り合いながら、ネットで検索し
面接に勝つためのノウハウを研究する
『いいかギョン・・・育ちの良さを出しちゃあダメだ。』
『そうだよね。お互い普通の大学生を装わないと。』
『それが一番難しそうだな。面接時の服装は・・・』
『あ~普段着で行こう。ガンヒョンに今日みたいな格好はダメだって念を押された。』
『俺もだ。くくっ・・・じゃあ明日な。』
『うん。明日ファミレスで逢おう~~♪』
普段、会社に顔を出しても管理職からさえも頭を下げられる後継者の立場・・・
それを隠して面接に挑むわけだから、二人にとっては相当な難問だ
二人は互いに夜遅くまで、面接に受かるべく訓練を繰り返した
恐らくこんなに必死になったのは生まれて初めての事だろう
その日の夜帰宅したイ家の当主ヒョンは、車がガレージにあるのにシンの姿がないことで妻に尋ねた
『シンは・・・部屋にいるのか?』
『ええ。部屋におりますわ。なんでも~明日アルバイトの面接があるとかで、必死にレッスンしてますわ。』
『なにっ?アルバイト?』
『ええ・・・大学のお友達のシン・チェギョンちゃんの影響でしょう。』
『君がシンの女性関係に寛大だなんて珍しいな。』
『ええ。とってもいい子なんですの。あのシンッにアルバイトさせてしまうくらいですから
影響力は絶大ですわ。あなたも満更無関係な娘さんじゃないんですのよ。』
『それは・・・どういう意味だ?』
『シン・チェギョンちゃんはこの家で執事をしていたシンさんのお孫さんなんですの。』
『なんだって?シン執事のお孫さん?・・・。君は相当その娘を気に入っている様子だが、
我が家とは家柄が釣り合わないだろう?』
『いいえ。そうではありませんわ。シンが今まで連れてきた娘達など、いくら家柄がよくたって
どこぞの水商売の女のような子ばかりでしたわ。でもチェギョンちゃんは違うんです。
一度あなたもお逢いになってはいかがです?チェギョンちゃんの魅力に引き込まれますわよ~おほほほほ♪』
『相当な気に入ようだな。君がそんなに一人の娘を推すなんて。
いいだろう。今度その娘に逢わせてくれるかね?』
『ええ。機会を作りますので是非逢いに参りましょう~♪』
どうやらミンの作戦は着々と進行しているようだ
翌日・・・アルバイトに勤しむチェギョンとガンヒョンは、店内に入ってきたシンとギョンを見て噂し合った
『ちょっとチェギョン・・・あの二人本当に来たわよ。』
『シン君のジーンズ姿なんて初めて見たぁ~♪』
『でもあれ・・・ブランド品よ。』
『ガンヒョン・・・なぜわかったの?』
『あれは確かメチャクチャ高いビンテージ物・・・雑誌で見たもの。あれで面接大丈夫なのかしら・・・』
『さぁ~それはどうかな。履歴書には御曹司ですなんて自己申告する場所はないしね・・・』
『たとえ面接に受かったとしても、あの二人に接客なんてできると思う?』
『う~~ん・・・難しいだろうなぁ・・・。なんたって頭下げる姿が想像できないもん。』
『でしょ?アタシもそう思うわ。』
その後忙しく接客していた二人は、面接が済んで出てきたシンとギョンを店長から紹介された
『チェギョンさんガンヒョンさん・・・明日から週に三日アルバイトしてくれるイ・シン君とチャン・ギョン君だ。
同じ大学だそうだね。色々教えてあげてくれ。』
『『えっ…?』』
屈託ない笑顔でギョンは二人に握手を求めた
『先輩~どうぞよろしく~♪』
その後シンも握手を求めた
『二人共、夏休みの間よろしくな。』
『う・・・うん。』
『ま・・・マジで?ひえ~~~っ・・・』
まさか受かるまいと思っていたアルバイトの面接・・・それに見事合格した御曹司二人組
これでぐっと・・・四人の関係はは親しくなりそうだ
その夜シンのスケジュールを把握したミンは、夫に告げた
『あなた・・・日曜の午後・・・お出掛けしませんか?』
『構わないが一体どこに?』
『シンのアルバイト先ですわ。』
『だが・・・シンは日曜は休みの筈では?』
『シンに逢いに行くんじゃありません。シン・チェギョンちゃんに逢いに行くんですよ。』
『別にシンがいる時でも構わないだろう?』
『それが~~シンがいる時ではちょっと支障があるんです。実は私・・・
チェギョンちゃんからイ家の使用人と思われているものですから~♪』
『なにっ?プライドの高い君がよくそんな屈辱に耐えているな。』
『おほほ~その方が自然体の彼女が見られますからね。よろしいですか?使用人とその夫ですから
その辺りをお散歩するような格好でお願いしますね。』
『ああ構わないが・・・君の考えていることはさっぱりわからないな。ははは・・・』
ミンは自分の思い描く未来に向かってまた一歩踏み出したようだ
翌日からシンとギョンは出勤していった
要領のいいギョンと物覚えのいいシンは、接客マニュアルもすぐに頭に叩き込みオーダー入力もすぐに覚えた
そしてその日からホールスタッフとして働くこととなった
お調子者のギョンはその笑顔を振りまきお客から≪感じのいい店員さん≫というイメージを持たれ
クールなシンは≪寡黙で素敵≫とイメージづけられたようだ
なんにしても女性たちは老いも若きも新しく入ったホールスタッフのシンとギョンに釘付けになった
『あぁぁなんてこと?』
『ったく・・・御曹司を馬鹿にできなくなったじゃないの。』
シンとギョンの出勤日には自然と女性客が増えるようになり、また失敗もなく仕事をするその様子に
御曹司・・・恐るべしと二人を見直すようになっていった
そして・・・仕事に慣れ始めたその週の土曜日・・・アクシデントが起こった
やだわ・・・私ったら
アクシデントを起こしてしまうなんて~~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
まぁさらに二人が近づくエッセンスなので
許してね❤
雨・・・いかがですか?
こちらはかなり降りましたが
もう雨は上がっています。
大きな被害が出ないことを祈るばかりです。