翌朝・・・チャン・ギョンの携帯に未登録の番号からの着信が入る
昨晩からある一人の女性の電話を待ち侘びていたギョンは、慌ててその電話を取った
『もしもし?』
『あ・・・チャン・ギョンの携帯?』
『そうだけど・・・イ・ガンヒョン?』
『ええそう。今大丈夫?』
『もぉ~昨晩からずっと電話を待っていたんだよ。』
『えっ?昨晩はもう遅い時間だったから今朝にしたのよ。』
『そうだったんだ~。俺、ずっと待ってたのに・・・』
『そんなこと知らないわよ。それで・・・待ち合わせ場所と時間はどうする?』
『ガンヒョンの家の近くまで行くから場所を教えて。』
『だから言ったじゃない。ファミレスから近い場所なのよ。』
『本当に?』
『嘘なんか吐かないわよ!』
『わかった。じゃあさ・・・ファミレスの向かいにあるコンビニの駐車場に9時45分でどう?』
『えっ?でもチェギョンは9時半に迎えが来るって言ってなかった?』
『あ~そんなに早く行かなくて大丈夫だよ。』
『そう?じゃあその時間に。ところで・・・ちょっと聞きたいんだけど・・・』
『なに?何でも聞いて~~♪』
『誕生日プレゼントって用意するべき?』
『いや・・・それは必要ないよ。だってアルバイトに行くんだしさ~♪もし気になるなら、俺が何が準備しておくよ。』
『えっ?アンタが?』
ガンヒョンはすぐに頭を回転させる
この男に何か準備させたら、きっと大袈裟なものを準備するに違いないと即座に判断した
『あ~いいわ。簡単な物を自分で準備するから、アンタは気にしないで!』
『そう?構わないんだけど・・・じゃあ当日の9時45分にね。遅れないでよ~♪』
『アタシは時間に正確な女なの!』
そしてその電話の様子はガンヒョンからチェギョンに報告され、しもべといえど今まで労力でしか
償っていないチェギョンは、シンにほんの心ばかりの誕生日プレゼントを用意した
そしてシンの誕生パーティー当日・・・大きな外車を道端で待たせておくのは申し訳ない感じたチェギョンは
約束した時間の10分前にその場所に出向いた
するとシンの車は既に停まっており、チェギョンは慌てて助手席のドアをノックした
シンはすぐに樹種席のロックを外し、チェギョンに乗るように促した
『まさかこんなに早く来ているなんて思わなかったから、待たせちゃってごめん。』
『いや・・・俺も今来たところだ。早く乗れ。』
『うん。』
自転車でいつも汗だくになって走る道を、快適な車の中で眺めながらチェギョンは問い掛けた
『イ・シン君・・・この間のパーティーはすごく人数が多かったけど、今日も同じくらいの人数?』
『いや・・・親しい友人が四人くるだけだ。』
『えっ?たったそれだけ?』
『あぁ。』
『じゃあ・・・そんなにお仕事はないのでは?』
『あぁ確かにな。』
『なのにガンヒョンにもアルバイトを頼んだの?』
『くっ・・・イ・ガンヒョンか?彼女はどうしても呼んでほしいとギョンから頼まれてな。
まぁこじつけだな。』
『そうだったのかぁ・・・。あっ・・・あのさ、これホント気持ちだけなんだけど・・・』
チェギョンが差し出した小さな包みをシンは横眼で眺めた
『なんだ?それは・・・』
『あ~ポケットチーフなんだけど、イ・シン君いつもスーツでしょ?胸元のポケットに入れておけば
食事した時に口を拭えるかなとか思って・・・あはは~♪』
『ポケットリーフはいくらあっても困らない。』
『あ~でもお宅のポケットチーフと並べるのは勘弁してね。相当チープだから~。
まぁ気持ちだけね・・・』
『あぁ。貰っておこう。』
シンはチェギョンがくれた小さな包みを、信号待ちの時にポケットにしまい込んだ
『しかし・・・この間も思ったけどカッコいい車。あ~でも私が乗ってるところなんか、取り巻きに見られたら
大変じゃない?』
『別に構わない。』
『もし苛められたらちゃんと弁解に来てよ。』
『取り巻きか?今日は来ない。』
『えっ?今回取り巻きは来ないの?じゃあ・・・招待客が四人って・・・』
『あぁ。取り巻きたちはお母様から出入り禁止を喰らった。』
『(ひえ~お母様が出たんだ!)まぁ・・・それも当然かも。イ・シン君のお母様の判断は正しいよ。
財閥の家であの格好じゃあね~~!』
『そうかもな。だからj今日の招待客は男四人だ。』
『(えっ?取り巻きの事を悪く言われたのに怒らないの?)まぁ私が色々言える立場じゃないけど・・・。』
『ところでチェギョン・・・俺をフルネームで呼ぶのはやめないか?』
『えっ?あ…うん、じゃあシン君って呼ぶよ。』
なんとなく車内に不思議な空気が漂ってきた時、シンの車は大きな門扉をくぐりイ家の敷地内に入っていった
『シン君ちって・・・門から家まで遠すぎる。』
『前回は自転車で来たなんて知らなかったんだ。』
『えっ?いや別に・・・シン君が謝ることじゃないよ。』
カーポートに停められた車から降り、チェギョンはシンに続いてイ家の玄関から屋敷の中に入っていった
そしてパーティー会場となるリビングにチェギョンは案内された
『俺はちょっと部屋に戻って来るから・・・』
『じゃあ私はお料理を運んでるね。』
おずおずとリビングに入っていく・・・するとチェギョンの姿を見つけたミンが駆け寄ってくる
『おばさん~~♪』
『チェギョンちゃ~~ん♪ねっねっ見て~~♪』
ミンはチェギョンの手を引っ張り、見せたくてたまらなかったドリンクバーコーナーの前に連れて行った
『うわ~~~!ドリンクバーじゃないですか。』
『私が提案して設置したのよ。』
『さすがおばさん♪シン君のばあやさんだけあって、この家の権力者なんですね♪』
『ねっねっ♪お味も試してみて~~最高なのよ。』
『あ・・・でも私、お料理を運ばないと~~!』
『大丈夫よ。後で手伝えばいいわ。ささっ・・・一杯試飲して~~♪』
『本当にいいんでしょうか。』
『いいのよぉ~~♪』
『じゃあお言葉に甘えて~~♪』
チェギョンはアイスラテを氷を入れたグラスに注いだ
そしてミンに勧められるままにそれを口にする
『お・・・美味しい~~♪すごく良いコーヒーの香りがしてコクがあります。』
『でしょ~~♪チェギョンちゃんに飲ませたかったの。私は今日、勝手口の方の部屋にいますから
何か困ったことがあったら顔を出してね~♪』
『あ・・・はい~~♪あぁ・・・乾いていた喉が潤いました~。後でこっそり・・・他の飲み物もそちらに運んで
飲んでもいいでしょうか?』
『えっ?別に堂々と飲んだらいいわ。』
『え~~~っでも私、しもべでやってきたんですよぉ。シン君に叱られると困るのでこっそりこちらの部屋に
来ちゃいますね~♪』
『解ったわ。また後でね~♪』
『はい~~♪』
明らかに自分たちがバイトをしているファミレスに入っている機械とは味が違う
(後でガンヒョンにも飲んでもらわなきゃ~~♪)
ミンは勝手口に続く部屋に入っていき、チェギョンはメインキッチンに顔を出すとメイドたちに問い掛けた
『こんにちは~♪今日のパーティーの手伝いに来た者です。お料理・・・どれを運んだらいいですか?』
配膳は慣れたもののチェギョンは笑顔でそう問い掛けた
ところが・・・
『もうほとんど運び終えました。後はできたての料理を私達で運びますので、ゆっくりなさっていてください。』
『えっ?でもぉ・・・』
根っからのしもべ体質なのか、チェギョンは両手を開いたまま困り果ててしまった
そこに自室から戻ったシンが顔を出す
『シン君・・・もう運ぶものないって・・・。』
『今、ギョンとイ・ガンヒョンも到着したから、ゆっくりしていればいい。』
『で・・でもぉ~~!』
そして到着したギョンとガンヒョンが、リビングに入って来る
ガンヒョンはチェギョンの姿を見つけるなり声を掛けた
『チェギョン・・・アンタ何ぼぉ~っと突っ立ってんのよ。』
『あ~ガンヒョン、それがさ~やることがないんだよ。』
『やることがない?料理は・・・もうテーブルの上にある。えっ?ドリンクバー?』
ミンご自慢のドリンクバーコーナーに気が付いたガンヒョンは、驚愕の表情でその場に近づいていった
すかさずチェギョンも後を追う
『これ・・・確か業者向けのカタログで見た、最高級最新機種じゃないの?』
それを聞いたシンは、したり顔で自慢する
『さすがイ・ガンヒョンだな。目が高い。これはお母様が導入されたものなんだ。
試飲してみるといい。』
『えっ?いいの?』
『あぁ。』
『俺も飲む~~♪』
『チェギョンも飲んでみたらどうだ?』
『あ・・・私はまだ喉が渇いていないから、後でいただく~。』
まさか≪到着するなり一杯いただきました≫とは、とても言えないチェギョンは二人がドリンクバーコーナーに
並ぶのを見て心の中で呟いた
(ガンヒョンそれ、メチャクチャ美味しいの~♪)
そして四人がドリンクバーコーナーで盛り上がっていた時、他の招待客も訪れたようだ
カン・イン・・・リュ・ファン・・・そして従兄弟のイ・ユル
どう考えても男女の人数が釣り合わないこのパーティー
女性二人はさぞかし高待遇を受けることとなるだろう
あはは~~パーティーが始まる前に
つづく・・・になっちゃった。
続きはまたお盆休み明けにね~~★
皆様~楽しい夏休みを満喫してくださいね❤