イ家の執事であるコンは、奥様からの依頼ですぐにシン家の調査を開始した
そして翌日の午前中にはその報告をしていた
『奥様…昨日ご依頼の件なのですが・・・』
『コンさん何か分かったかしら。』
『はい。調べてまいりました。シン家はご主人がナムギルさん・その奥様がイ・スンレさん・
三歳年下の弟のチェジュンさんの四人家族でご両親とも会社勤めをしている
ごく平凡なご家庭でした。』
『まぁ!そうなの?弟さんがいるのね~よかったわ。』
『ただ・・・調べてみて、イ家とは古くにご縁のある家だとわかりました。』
『ご縁?一体どんな縁があったの?』
ミンは身を乗り出してコンに問い掛けた
『先代の旦那様の時代・・・シン家の先代がこの家にお仕えしていたことが判明いたしました。』
『この家に・・・仕えていた?』
『はい。つまりシン・チェギョンさんのおじい様が、この家の執事をなさっていたのです。』
『まぁ~なんて深い縁があるのかしら。あの子のおじい様がこの家の執事をしていたなんて・・・
でも・・・私が嫁いできた時には既にコンさんが執事をしていたわ。』
『さようでございます。奥様がこの家に嫁がれる少し前・・・身体を壊し私と入れ替わりに辞職なさったのです。』
『そうだったの。知らないわけだわ。コンさんありがとう。よい情報を知らせていただいたわ。もう下がっていいわ。』
『はい、失礼いたします、奥様・・・』
コンが部屋から去った後、ミンは口角を上げ一人呟いた
『まぁ~チェギョンちゃんのしもべ体質はおじい様譲りだったのね。おほほほほ~~♪
確かあの子…ランチタイムからアルバイトに入るって言ってたわ。早速逢いに行っちゃいましょう。
そうね・・・お昼を過ぎたくらいの時間に行った方が、話ができるかも~♪
そうと決まったら着替えてっと♪』
ミンは自分の持っている服の中でも普段着の洋服に着替え、昼食を済ませた後イ家の車に乗り込んで
大学近くのファミレスに向かった
ミンはファミレスなどというところにやって来るのは初めてで、実に緊張した面持ちで店内に入っていく
すると活気に溢れた若者の声がした
『いらっしゃいませ~~♪』
そしてすかさずミンの元には、まるで示し合わせたかのようにチェギョンが現れた
『いらっしゃいませ。お一人で・・・あっ!おばさん~♪昨日はありがとうございました。
早速来てくださったんですか?』
ミンは胸元で両手をひらひらと振り笑顔を振りまく
『チェギョンちゃ~~ん、来ちゃったわ~♪』
『わぁ~嬉しいです。ではお席にご案内いたします。』
丁度ランチタイムも落ち着き、店内は割と空いていた
チェギョンはミンを窓側の席に案内しメニューを手渡した
『今お水を持ってきますね。お昼ごはんは済んだのですか?』
『ええもちろん。だからお茶とデザートを頂こうかと思って~♪』
『ではすぐに参りますね。』
チェギョンは一旦キッチンに戻りグラスにたくさん氷を入れた水をトレーに載せると、ミンの元へ向かった
『お水をどうぞ。』
『ありがとう。何がお勧めかしら?このチョコレートのケーキとかがいいかしら?』
『あ~おばさん、中高年はあまり甘い物を摂りすぎてはダメです。このフルーツゼリーのアイスクリーム寄せなど
いかがでしょうか?』
『(あら…この子ったらアタクシに中高年だなんて~~!まぁシンのばあやさんだと思ってるものね。)
そうね・・それにしようかしら。飲み物はロイヤルミルクティーで・・・』
『おばさん・・・ドリンクバーなんですよ。』
『ドリンク・・・バー?』
『はい、飲みたいドリンクを飲みたいだけ飲めるんです。ひょっとして初めてですか?』
『え・・・ええ。実はね・・・』
『あはは~でしたらそちらもご案内します。』
『じゃあそれでお願い。』
『はい!』
チェギョンはまたキッチンに向かい注文を出すと、ミンの元へ戻っていった
『おばさん・・・では参りましょう。』
『ええ・・・ドリンクバー初体験ね。』
幸いロイヤルミルクティーがあったため、その機械の使い方をミンに教えるチェギョン
ミンはすべてが物珍しく、目を輝かせカップに注がれるロイヤルミルクティーを見つめていた
そして他の客がするようにそのカップを持ち席に戻った
初めてドリンクバーでいれたロイヤルミルクティーを恐る恐る口に運びながら、
ミンはチェギョンの働きぶりを観察した
(ん~~お味はどうってことないわね。まぁ仕方がないわ。それにしてもチェギョンちゃんの良く働く事。
まるで回し車に乗ったハムスターのようね。おほほほほ~♪
昨日の怪我はアルバイトに支障なかったみたいね。よかったわ。)
そんな時キッチンから出てきたチェギョンは、どうやらミンの注文品を運んできたようだ
『お待たせいたしました。』
そしてテーブルの上にガラスの器に入ったフルーツゼリーアイスクリーム寄せを置きながら小声で囁いた
『おばさん…あまり味は期待しちゃあダメですよ。』
『解っているわ~♪』
『じゃあ私はお仕事に戻りますね。もしドリンクバーの使い方が分からなくなったら呼んでくださいね。』
『ええ。』
チェギョンが去った後、ミンは再びドリンクバーのコーナーに足を運ぶ
どうやら面白くて仕方がなくなったようだ
(いいわねこの機械。我が家にも一台あったら、飲みたい時にメイドさんたちが気軽に飲めるし
私も楽しいし~~♪取り寄せちゃおうかしら~~♪)
その後ミンは何度もお替わりをして、店を出る頃には水分でお腹が一杯になっていた
会計の時・・・その場にはガンヒョンがいた
チェギョンはミンが会計をすることに気が付いて、すかさずガンヒョンと会計を代わった
『あら…随分お安いのね。』
提示された金額を聞いてミンは驚く
『おばさん・・・バイト割引ですよ~♪』
『まぁ!ありがとう。ご馳走様。また来るわね~♪』
『はい!お待ちしております~♪』
ミンが帰って行った後、ガンヒョンはチェギョンに問い掛けた
『ねえチェギョン…今の人ってだあれ?』
『あ~今のおばさん?あの人はね~イ・シン君のばあやさんだよ~♪』
『ばあやさん?そうなんだ・・・』
ガンヒョンが会計をしようとした時、一瞬提示されたブラックカード
その客はすぐにそれをしまい紙幣を出したのだ
(イ家のばあやさんがブラックカードを使うなんて…そんなことあるかしら?)
ガンヒョンの胸の中に沸々と疑問が湧きあがったようだ
夕方になって店内は夕食にやってきた客で再び混み始める
ミンが思ったようにまるで回し車に乗ったハムスターのように忙しく働くチェギョンとガンヒョン・・・
そんな客も少し落ち着いてきた夜9時過ぎ・・・
男性客が二人訪れた
それを見たチェギョンは、咄嗟にガンヒョンに懇願した
『ひえっ!イ・シン君とチャン・ギョン君だよ~!何しに来たんだ。ガンヒョン・・・悪いけど案内お願い。』
『わかったわ。』
昨日もガーデンパーティーにチェギョンが駆り出されたことを聞いていたガンヒョンは、快くその客を引き受けた
『いらっしゃいませ。何名様ですか?』
『二人。』
『お席にご案内いたします。』
騒がしいファミレスにこれほど不似合いな男性客がいるだろうか・・・と思うほどめかしこんだ二人
メニューを見て注文を澄ました後、シンはガンヒョンに告げた
『すまないがシン・チェギョンを呼んでもらえるか?』
『お客様・・・生憎シン・チェギョンは手が離せないのですが・・・どういった御用件ですか?
私は彼女の友人ですので代わりに伺いますが・・・』
それを聞いたチャン・ギョンは思わず席から立ち上がるとガンヒョンの手を握った
『君・・・チェギョンの友人なの?初めまして~♪』
ガンヒョンはやんわりとその手を振り解くと答えた
『初めましてじゃないわ。あのイチゴラテ事件の時にチェギョンと一緒にいたもの。』
『えっ?そうだったの?えっと…イ・ガンヒョンって言うのか~♪
俺はチャン・ギョン♪』
『良く知ってるわ。うちの大学のおバカ御曹司でしょ?では失礼いたします。』
くるりと踵を返し去っていったガンヒョン・・・
ギョンは自分の事をおバカと言われたショックより、ガンヒョンのその容姿に一目惚れしてしまったらしい
『綺麗な子だな・・・』
思わず溜息を吐くギョン・・・
シンはそんなギョンに構うことなく、呼び出しブザーを何度も押した
なかなか厄介な客である
自分が行かなければいつまでも鳴らし続けるだろう…そう思ったチェギョンは、渋々といった感じで
二人の席に向かっていくのだった
暑くて書き切れなかった。
中途半端なところで切ってしまいますが
続きは来週ね~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
ホント暑い。
今夜も寝苦しそうですね・・・
鉢植えの大葉が・・・暑さで焦げてしまいました(号泣)